Case

導入事例

漠然とした組織課題が数値化されたことで
経営危機から黒字化へ

株式会社ネットプライス

役職 株式会社ネットプライス
代表取締役社長 小谷 北斗 様
企業情報

売上:32億円1400万円(2015年度)
従業員数:76名(2016年7月現在)
事業内容:携帯電話およびパソコン等からアクセス可能なインターネット上での通信販売事業、各種Eコマースの企画・開発事業等

危機的な経営状況を打破する
最後の切り札として

導入以前からサービスに関する話は耳にしており興味はあったのですが、経営的に新たな投資はなかなか難しい状況でした。実は私が代表に就いた当初から会社の状況は芳しくなく、苦しみながら経営をしていました。度重なるメンバーの離職、そして経営面でも危機的な状況が続く中で、会社全体に「何をやってもなかなか成果が出ない」という負のオーラが蔓延していました。

悪循環に陥りいよいよ立ち行かなくなってきたとき「万が一ダメになってしまうのならば、自分が思い描く理想のチームを創ることに思いきって賭けてみよう」と思いました。そこで、会社経営において「事業」と「組織」の両方が大切だという大前提の上で、まず先に「組織」の課題に対して着手することを選択したことが、すべての始まりとなりました。この状況下で、プロモーション費に投資して事業拡大を狙うのではなく、モチベーションサーベイ(組織診断)に投資をして組織課題に向き合う決断ができたのは、信頼する経営者仲間からの助言はもちろんのこと、ネットプライスが迎えている局面を深く理解した上で「一緒にやりましょう」と言ってくださった、リンクアンドモチベーションさんの存在が大きかったです。

数値化されたことで初めて露わになった、
組織の本当の姿

組織の雰囲気が良くないことは認識していましたが、想像以上に崩壊してしまっている現状を突きつけられ、愕然としました。平均を下回ることはないだろうと考えていたものの、モチベーションインデックス(組織診断の偏差値)の評価は“D+”。これは、11段階あるランクの中の下から4番目です。他のボードメンバーたちも、ショックを隠しきれない様子でした。

おそらく、モチベーションサーベイの結果を見て衝撃を受けない経営者は、ほとんどいないと思います。組織の実態をここまで詳細に知ることのできるサービスを、私は他に知りません。約2,300社のデータベースを基にした信頼できる数値によって、他社との比較だけでなく、部署や役職といった自社内についても、あらゆる評価軸から現状を把握することができます。

さらには、数値そのものだけではなく、調査を実施したことをきっかけに、相当な数のメンバーからの生の声が出てきたことが、最初の大きな転換点となりました。実際に現場の社員が、私を含むボードメンバーに対して不信感を抱いていたことが、サーベイフィードバックの場で明らかになったのです。モチベーションサーベイをとらなければ決して出てこなかった声だったと思います。

また、これをきっかけに私自身が何に対してどうコミットしていくのかを言語化しやすくなりました。課題意識を全社で共有し、モチベーションインデックスの数値そのものに対してただ一喜一憂するのではなく、解決すべき課題に対して客観的な数値を交えて向き合うことで、施策が立てやすくなるのと同時に変化も実感できるようになっていきました。

メンバーを知り、メンバーに知ってもらう

まず、私自身が経営者として、真っ先に、社員一人ひとりとの信頼関係を作り直すことに取り組みました。一人に対して数時間をかけて、メンバー全員と会社の外で、お互いに思っていることをぶつけ合い、一人ひとりの「やりたいこと」と、会社として「実現したいこと」を擦り合わせていきました。特に役職者のメンバーとは、会社が大切にしたいバリューや向かう方向性等を来る日も来る日も膝を突き合わせて議論しました。会議室での形式的なコミュニケーションではなく、心で通じ合いたいと本気で思いました。その当時は、出社している時間は、社員面談以外のことはしていないと言ってもいいほどでした。そして、一人ひとりに「私自身も変わる、君にもこんなマインドを持って欲しい、チャレンジして欲しい」と伝えました。その結果、私と社員との間のコミュニケーションに変化が生まれました。それまでは、新たなプロジェクトを立ち上げる時、時間をかけて背景から細かに説明しても、実際にプロジェクトを走らせてみると、全然意図が伝わっていないという事態は珍しくありませんでした。しかし、コミュニケーションが密に取れるようになり、根本の部分でビジョンが共有できるようになってからは、少ない時間で深く理解してくれるようになったと感じています。

ボードメンバーが一枚岩になる

組織の取り組みとしてボードメンバー全員が参加する、幹部研修に注力しました。ネットプライスの役職者は、プレイヤーとしてスキルの高い人・実績を残した人が就いており、そもそもマネジメントとは何かを理解していないメンバーがほとんどでした。メンバーとのコミュニケーションのとり方がわからなかったり、視点がメンバー寄りになりすぎてボードメンバーを敵視してしまうなど、マネジメントの基準が揃っていなかったのです。月に1回の幹部研修を通じて、シンプルに幹部同士の横のつながりが強くなりました。また、自分自身の頭の中にしかなかった、会社の将来のビジョンや現状のマーケットにおける立ち位置などを幹部全員と同じ質と量で共有でき、しかも皆が自分事として納得感を持って受け止めてくれたこともまた、非常に大きな出来事でした。イメージを明確に言語化できていないから周囲にも伝わらない、という実情があったのですが、幹部との議論を通じて自分自身の考えも言葉も、よりクリアになっていきました。

平均値まで上昇した
モチベーションサーベイの評価と、
生まれ始めた変化

2回目のモチベーションサーベイでの評価は“C”でした。「まだ“C”なのか」というのが、正直な感想でした。数々の取り組みを実施してきたという自負があったけれど、ようやく平均点に辿り着いたというレベル。実際のところ、財務的にもまだ良い状態とは言えず、顧客基盤や財務の安定性が低く出ていたので、その不安を払拭できていないことが、モチベーションサーベイの結果にも表れていることがわかりました。一方で良い兆しもあり、離職するメンバーは激減しました。そして、幹部一人ひとりにとって、「経営が自分事になった」という大きな変化がありました。社長とメンバーをつなぐ結節点という役割として、社長である私の言葉を自分なりに理解し、翻訳してメンバーに伝えようとしている様子が伝わっていました。これまでは、一国の主として自分のチームを守ることがマネジャーの仕事で、ボードメンバーは敵だと捉えているようにも見えていましたが、視界がグッと広がり経営陣に近づいてきていることがわかりました。

メンバーの意識・発言・行動が変わった

ネガティブな言葉を使うメンバーが少なくなりました。例えば過去には、高い目標が設定されるとすぐに「そんなの無理でしょ」という雰囲気になっていましたが、それが無くなり「どうしたら実現できるだろう」と考えるメンバーが増えました。また、メンバーがモチベーションサーベイの結果を楽しみにしてくれていることも変化の1つです。「早く組織の現状を知りたいです。早く結果をフィードバックしてください」と言われるほどですよ(笑)。メンバー自身が会社の現状を受け止め、改善の声を上げることに慣れてきたのかもしれません。組織のPDSサイクルをしっかり回せているという手応えがあります。そして、自分自身がリーダーとして、誰よりも先に改善することを宣言し率先して動いています。そして、意地でもその行動を継続すると決めています。

数年ぶりの黒字化

黒字転換できました。中でも粗利率とリピート率が劇的に変化しています。粗利率で言えば、モチベーションサーベイを始めた2014年と比較すると、6%超上昇しました。粗利率が上昇したことで、新しいお客様を開拓するためのプロモーションコストもまかなえるようになり、再成長の軌道にのったのです。これまでであれば、粗利率を上げようと号令をかけたとしても、上が勝手に言っていることという受け止め方で、結果何も変わらなかったと思います。でも今は、各セクションのマネジャーが、誰がいつまでにどのプロセスを改善したらいいのか、本気でマイルストーンを引いて考えて行動してくれるので、粗利率上昇が実現しているのだと思います。結局、マネジャーの意識次第なんですよね。上が決めたことだからと動くのか、自分たちが決めたことだからとチームメンバーを鼓舞して引っ張っていくのか、両者がもたらす成果は雲泥の差です。

また、リピート率も大きく上昇しました。もともとネットプライスのお客様のリピート率は高いですが、同業他社と比較しても、5倍近いリピート率を誇っています。ネットプライスらしく、お客様と絆が築けている証だと思っています。

日本を代表する「商い型のEC」を
支える組織創りを続けていく

事業については、「商い型のEC」を目指しています。つまりはお客様に、お買い物を通じて心がほっこりする経験を提供したい。一人あたりのお客様と、より長くお付き合いするための「おもてなし」を体現し続ける会社でありたい。利便性だけを追求するECサイトではなく、お客様とウェットな関係を築いていきたいのです。そして、過去に世界を席巻した「ものづくりの日本」から、「おもてなしの日本」をECの業界で体現する、唯一無二の存在へと成長していきたいと考えています。現在、EC業界は安さ・速さ・利便性を追求している会社が多いですが、デジタル化が進めば進むほど人と接触する回数は減ります。だからこそ、昔ながらの商店街の店主と常連さんとの関係のような、心が通う商いを体現していきたいですね。そして何よりも受け取るお金以上の価値を一人ひとりのメンバーが感じられるようにしたい。苦しい時代を支えてくれた戦友であるメンバーに対して、目標達成ができた喜びや、成長できたという手応え、そしてお客様からの感謝を受け取る嬉しさをもっともっと経験させていきたいと思います。そのためにも、組織の現状に毎回向き合い、何をどう改善していくのかを考え、行動し続けたいです。今のネットプライスの組織状態はまだまだ改善すべきポイントが有り、伸びしろしかない状態だと思っています。

理想の組織創りに終わりはなく、これからもずっと改善が続いていくのだと考えています。