Case

導入事例

冷静な分析と的確な施策で、
熱狂する組織を創り出す

株式会社サイバーエージェント

役職 株式会社シーエー・モバイル 代表取締役社長
株式会社サイバーエージェント 執行役員
石井 洋之 様
企業情報

株式会社シーエー・モバイル
売上:非公開
社員数:275名(2015年9月末現在)
事業内容:広告事業・コンテンツ事業・投資事業

株式会社サイバーエージェント
売上:2,543億円(2015年9月期)
社員数:3,894人(2016年6月末現在・連結)
事業内容:メディア事業・インターネット広告事業・ゲーム事業・投資育成事業

事業戦略の前に組織に目を向ける

私が担当していた事業部でモチベーションサーベイ(組織診断)を導入した1番大きな理由は、社員一人ひとりの本当の声を聞きたかったからです。

手前味噌になってしまうのですが、サイバーエージェントはたくさんの優秀な社員に恵まれていますし、若い会社ゆえに縦横の繋がりも柔軟性に富んでいます。しかし、そうした環境であっても、必ずしも社員全員が本音を打ち明けてくれているわけではありません。

社員が会社を辞める理由の半分は、直属の上司と合わないことが原因です。例え優秀な社員であっても、上司と合わない現実をきちんと上長に報告することは、なかなかできません。残念ながらサイバーエージェントも、その例外ではありませんでした。当時私が担当していた事業部では、上位2割のメンバーが事業の8割の成果を出していました。ところが、その上位2割の社員の何人かが不満を打ち明けてくれる前に会社を去っていく、という事態が発生していました。その頃の私たちは「まず顧客の成功を実現し、その結果として社員の成功がある」という理念でやっていましたが、それは逆なのではないかと感じるようになっていました。社員を大切にすることで、結果として顧客にもよりよいサービスを提供することができるのではないか。そのことを検証する指標として、モチベーションインデックス(組織診断の偏差値)を導入しました。事業戦略や経営状況を考える前にまず組織に目を向けることは、勇気のいることです。それでも私は、社員を1番大切にしたいと思いました。

まずは社員の声に耳を傾けること

属性比較を通じ、階層および部署によって満足度に大きな違いがあることが明確になりました。モチベーションサーベイ実施前に、部門ごとでモチベーションの高さに差異があるだろう、という仮説を立てて取り組みました。実際にそれぞれの数値を見てみると、元々マネジメントも得意とするリーダーたちは概してモチベーションインデックスの数値が高い傾向にありましたが、プレイヤー気質でマネジメントの仕事が合わないと感じている人たちは数値が低い傾向にありました。

初めてリンクアンドモチベーションから説明があったとき、多くのマネジャーは自分が所属する部署の実態を目の当たりにし、ショックを受けている様子でした。階層間および部署間の満足度の違いを知って、フォーメーションを立て直すのが目的。数値そのものに一喜一憂するのではなく、客観的な1つの指標として受け取るよう、マネジャーたちに呼びかけました。

会社を去ってしまったメンバーからその理由を聞き出すのは、困難です。だからこそ、今いる社員のどこに不満があるのかを事前に把握することのできる調査は、非常に有用だと感じました。まずは社員に耳を傾けることが大切です。社員の声をしっかりと聴くことを怠らなければ、組織創りを大きく踏み外すことはありません。

コミュニケーションの質を変えていく

最初に取り組んだのは、メンバーへの理解を深めるための面談です。当時のメンバーの多くは「モチベーションインデックス値が低かった部署は、石井さんに怒られるのだろう」と萎縮してしまっている様子だったので、とにかく傾聴のスタンスで取り組みました。「お互いに腹を割って話がしたいんだ」ということを理解してもらうためには、じっくりと時間をかけて熱心に相手の話を引き出していくことが必要とされました。マネジャーに対してどんなリーダーになりたいのかを聞き出し、2週間に1回のペースで面談を実施しました。

若い会社の多くは、慢性的に育成に問題を抱えています。私は最低でも、自分の時間の30%は人材育成に使うようにしています。エグゼクティブプレーヤーのモチベーションが下がっているという結果が出れば、そうしたメンバーとの会食の優先度を上げるなど、モチベーションサーベイを通じてコミュニケーションや関係の質を変えていきました。

事業の選択と集中に利用

私たちの会社では人材配置を大切にしており、半年に1回の大きな人事異動にもモチベーションサーベイの結果を参考にしています。

スマートフォンサービスを立ち上げるため、資源を新規事業に大きく当てるというタイミングでもモチベーションサーベイを利用しました。事業部内の多くの社員をサービス開発に人事異動させたタイミングで、社員のコンディションを確かめたいと考えたからです。その結果、スコアは非常に良く「社員は新しい挑戦に向かう準備ができているな」という確信が持てたため、事業の選択と集中に踏み切ることができました。人事異動については私たちも大きなコストを費やしており、2ヶ月前からメンバーとのコミュニケーションを始めます。その際にモチベーションサーベイの結果を用いることで、数字を間に置いて冷静に話をすることができるため建設的な人事異動ができています。

冷静な分析と評価がもたらした
確実な組織の成長

2012年当時、事業部の売上額は数100億円規模、社員数が500人で、PLを見ている責任者の数は30人ほどでした。これら責任者たちの能力を伸ばせば事業が伸びるはずだし、伸びしろはまだまだたくさんあると考えていました。実際に2012年はディフェンスの姿勢で取り組みましたが、2015年までに営業利益は160%以上の成長となりました。モチベーションサーベイを継続して実施し、マネジメントに課題があることを冷静に評価できたことが、こうした成長につながりました。

21世紀を代表する会社を創る

私は、2015年にサイバーエージェントグループであるシーエー・モバイルの社長に就任し、メンバーと共に新たな挑戦をしています。サイバーエージェントの広告事業本部を率いていた頃、売り上げを大きく伸ばす一翼を担った自負はあります。そんな数字の成果よりも何よりも嬉しかったことは、今までになかったような熱狂的な組織を創れたことです。あの組織こそが、私たちの作品だと思っています。そして現在も「本気の挑戦が、世界を変える新しい価値を生み出す」と信じて、この時・この場をともにする仲間を大切にしながら「21世紀を代表する会社を創る」という果てしなく高い目標に挑んでいます。この長い道のりは始まったばかりですが、これからも組織創りという面でのリンクアンドモチベーションのサポートを期待しています。