株式会社LIFULL
【前編】「日本一働きたい会社」創りの秘訣とは

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ベストモチベーションカンパニーアワード2017で第1位に輝いた、株式会社LIFULL(ライフル)。2008年に「日本一働きたい会社プロジェクト」を社内で立ち上げ、推進し続けてきたのが、羽田幸広氏だった。有言実行ののちに得た、日本一の称号。そしてその軌跡は「日本一働きたい会社のつくりかた」として書籍にもなり、多くの反響を呼んでいる。15年以上前から同社を支えるパートナーでもある、リンクアンドモチベーション主催の経営者セミナーで、日本一に至るまでの数多くの挑戦を聞いた。

【イベント実施日】
2017年5月29日(月)

【プロフィール】
株式会社 LIFULL 執行役員 羽田幸広 氏
株式会社リンクアンドモチベーション 執行役員 麻野耕司 

モチベーションカンパニーアワード2017、第1位を獲得

麻野:本日は「日本一働きたい会社創りの秘訣」というテーマで、株式会社LIFULLの羽田さんにお越し頂きました。LIFULL社はリンクアンドモチベーションが12年前からサポートさせて頂いている、クライアント企業さまでして、その取り組みをぜひいろんな方に知って頂きたいという思いで、今日は開催しております。では、LIFULL社の紹介を、羽田さんからお願いしたいと思います。

羽田幸広氏(以下、羽田氏):みなさんこんにちは、LIFULLの羽田と申します。それでは会社の概要を説明していこうと思います。当社は1997年に設立しまして、現在設立20年になります。基幹事業はLIFULL HOME’Sという不動産・住宅情報サービスで、グループ全体の従業員数は1,140名ですね。LIFULL HOME’S以外にも、グループではインテリアや引越し、マーケティングやスポーツ、介護やママの就労支援など、様々な事業を行っています。売上が前期299億ということで、お陰様で順調に成長しております。

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当社は経営理念や価値観を非常に大事にして、経営をしております。ビジョンカードというものを全社員が持っているのですが、そこに記載されている文言の中でも一番大切にしているのは、社是の「利他主義」です。自分を中心にした全方位の人たちに利を提供していこうという考え方です。この「利他主義」という考え方が、社内には非常に浸透しております。この、全方位をHappyにしていく利他主義という考え方をベースに、事業の方向を示しているのが経営理念です。経営理念は「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を 得られる社会の仕組みを創る」です。 

今年の4月からLIFULLという社名になりましたが、これはLIFE(人生・暮らし)とFULL(満たす)を組み合わせた造語で、「あらゆるLIFEをFULLにしていこう、世界中の人たちの人生や生活、暮らしを満たしていくようなサービスをやっていこう」という想いが込められています。まさに経営理念で言っていることも同じです。73億人に対して、幸せになってもらえるような仕組みをつくっていくことを経営理念として掲げ、これを本気で実現していくために事業活動を行っています。

定量的には、2025年までに子会社を100社つくり、100か国に進出することを目標にしています。そのために100人の経営者を生み出していくことを目指しており、現在子会社が14社あります。経営陣、執行役員は今10名いますが、10名の問題意識だけでは100の事業をつくっていくのはなかなか大変です。そこで、社員の問題意識をどんどん引き出してそれを事業化していく。そんな取り組みを戦略的に行っています。

組織に対する評価としては、ベストモチベーションカンパニーアワードで、今年1位を獲らせて頂きました。あとはGreat Place to Workでも7年連続ランクインしております。働きがいのある会社、モチベーションの高い会社ということで、評価をして頂いています。

麻野:ありがとうございます。羽田さんのお話にありましたが、弊社のベストモチベーションカンパニーアワードという、モチベーションの高い会社のランキングを発表する取り組みで「日本一働きたい会社」としてLIFULL社を認定させて頂きました。今日は、どうすればその「日本一働きたい会社」がつくれるのかというところを、お伺いしていきたいと思っています。

はじめに、リンクアンドモチベーションが何をもってLIFULL社が日本一働きたい会社だと認定したのか、調査の方法からお話したいと思います。弊社の組織診断サーベイ、モチベーションサーベイと呼んでおりますが、これを2000年の創業以来提供してきております。

組織をよくしていくために必要なものとして、定量指標をもとにPDSサイクルを回すことが大切だということを掲げております。どういうことかと言いますと、成果が出る活動には、必ずモノサシ=定量指標をもとにしたPDSサイクルがある。例えば、ダイエットを成功させようと思えば、当然いいサプリやいいエクササイズといったものが必要ですが、一回も体重計に乗らずに、ダイエットを成功させたという方はほとんどいらっしゃらないはずです。体重計に乗って、体重を計って、それをもとにPDSサイクルを回していくことで、ダイエットがうまくいきます。今の体重・理想の体重・進捗の体重を見ながらPDSサイクルを回していく。

受験勉強も同じです。当然、いい授業・いい教材というのも大切なのですが、やはり模試を受けて、自分の偏差値を知るということがなければ、PDSサイクルは回らない。今の偏差値・理想の偏差値・途中の偏差値を見ながら、英語をもっと勉強しようとか数学を勉強しようとかいう行動があって、志望校に初めて合格できる。一度も模試を受けたことがないけれど、受験に成功しましたという方は、世の中にほとんどいないと思います。

一方で、経営に目をやると、事業活動や商品をつくったり営業したりということに関しては、定量指標がある。今日会場にお越しいただいた、おそらく全ての皆さんの会社で、PLを出されていると思います。PLをもとに、現状の目標途中進捗を見ながら、PDSサイクルを回されているはずです。PL以外にも様々な定量指標・KPIが社内にあると思います。

ただ、これだけ組織や人材が重要な時代になっているにも関わらず、組織にはモノサシ、定量指標がなく、勘や経験でやっている。なので「今の組織状態を定量的に教えてください」「今年の組織状態の目標を、定量的に教えてください」とお聞きすると、ほとんどの方が答えられない。その状態では組織改善がうまくいくはずがない。そこで、私たちが提供しているのが、この組織診断サーベイです。

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現在2,400社、60万人ほどのデータベースがございます。社員の方々に、20分くらいで回答頂くと、組織の偏差値が出てくる。今までの2,400社60万人分のデータベースの真ん中を50のCランクとして、ランクを出していきます。LIFULL社はこれを、10年以上をかけてAランクに上げていかれました。

どうやって算出しているかというと、社員が会社に求めるものというものをモチベーションファクターとして、16領域定めています。それぞれの領域について4項目ずつ設問を設けていて、64項目について調査しています。聞き方は2つです。期待度「その社員が会社にどれくらい求めているか」、満足度「その社員が会社にどれくらい満たされているか」。これを64項目について5段階評価で聞いています。これをもとにモチベーションインデックス(MI)という偏差値が出ます。期待度・満足度の高さとその合致度合いで算出されるのですが、LIFULL社は、2012年に実施された時にはC+でしたが、この5年間で23.2ポイントアップし、Aランクまで上昇されています。

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会場にはモチベーションサーベイを実施されている企業さまもおそらく半分くらいいらっしゃると思うのですが、この1,000人という規模で、23.2ポイント上げるということがどれだけ大変なのかということは、皆さんにご実感いただけると思います。ポイントを掴んでしっかり取り組まないと、なかなかここまでモチベーション状態・組織状態は上がってきません。ではこの間、具体的に何をやったのかというのを、今日羽田さんに掘り下げて伺っていきます。

当時判定がC+。AランクからEランクある中で、真ん中より少し上というC+からスタートされています。理念の浸透度や事業戦略の納得度・納得感が思いの外、不足しているという状況が明らかになったというところが、スタート地点としてありました。今日はその具体的な取り組みを、①経営理念に「命」を吹き込む、②妥協のない、最高の採用、③企業文化を醸成する、④結果を出す組織開発、⑤「社員が自ら学ぶ」人材育成、という順番でお伺いしていきたいと思います。それでは羽田さん、①経営理念に命を吹き込むというところから、どんな取り組みだったか教えて下さい。

理念の実現を本気で目指すために、まず言語化する

羽田氏:はい、ではご説明していきます。弊社はモチベーションサーベイを2003年から実施していまして、昔からコツコツやってきました。ですので、今日お話しさせて頂く内容も、この2012年以降とは限らないというところで、ご了承頂ければと思います。 

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まずですね、理念の実現を本気で目指す組織をつくるということで、先ほどのビジョンカードを2005年4月頃につくりました。僕が入社したのは2005年の6月なので、ビジョンカードをつくった後の入社になります。ビジョンカードをつくる前までは、経営理念を言語化してはいませんでした。その結果、社内で事業の方向性が食い違い、退職をする役員や社員がいたそうです。そこでちゃんと言葉にして、共通の意識を持つことが大事だろうということで、4か月くらいの時間をかけて、まず全社員で話し合って、最終的に役員で議論をして、ビジョンカードをつくりました。

ビジョンカードには、社是・経営理念・ガイドラインの3つを記しています。社是は一番根っこにある価値観です。二つ目が経営理念で、方向性を示しています。社是と経営理念は会社が存続する限り変えないつもりでおります。LIFULLという会社の存在意義は、経営理念を実現することにあるというのがその理由です。一方、ガイドラインに関しては、会社のフェーズが変わるごとに社員の行動も変化する必要があるということで、5年に一回くらいのタイミングで変更しています。

社是や経営理念をつくってカードにして、全社員がネックストラップで常に携帯し、たびたび見返す状況にはなりました。ですが、言葉としては覚えていても、実際に経営理念を実現するために行動に移せているかというと、あまり実行できていない状況でした。そこで実施したのが、ビジョンプロジェクトというものです。

ビジョンを掲げることと体現することの違い

羽田氏:2012年に選抜海外研修というのがありまして、前年度に優秀な成果を上げた人たちが選ばれました。研修予算だけついていて、目的や行く場所、やることなどは、全部研修参加者が自分たちで考えて決めるという研修プログラムです。このメンバーに僕も選抜して頂きました。メンバーで行先について話し合った結果、ザッポスというラスベガスにある会社へ行こうということになりました。僕は以前から本を読んでザッポスを知っていたのですが、話し合った結果、ザッポスの「コアバリュー」の浸透度合いがすごいということで、ぜひ見に行こうということになりました。

行ってみたら、ザッポスは本当にとてつもなくすごい会社でした。会社の「コアバリュー」という価値観が組織に浸透している。例えばコールセンターの部門の場合、一般的には通話時間が短いほうが、評価されると思います。ですがザッポスでは、お客様と長く会話した通話時間を賞賛すべき記録として壁に貼っていたんです。当時は確か8時間くらいだったと思います。ザッポスには「サービスを通して、WOW(驚嘆)を届けよ」というコアバリューがありますが、一人の顧客と一日8時間話して満足してもらうことが「すごい」と賞賛される企業文化でした。そういう実際のオフィスや社員を見て「これが本当にコアバリューを体現するということなんだ」と衝撃を受けたのです。

ザッポスと比較すると、「うちは理念を掲げて共感しているが全員が実現に向けて行動できているとは言い切れない」ということを感じました。研修メンバーと色々話し合った結果、ビジョンを真に浸透させるための社員巻き込み型のプロジェクトをやろうということになり、「ビジョンプロジェクト」というものを立ち上げました。

全社を挙げて取り組んだビジョンプロジェクト

羽田氏:ビジョンプロジェクトには、当初チームが3つありました。一つ目は「つくるチーム」。二つ目が、「伝えるチーム」。三つ目が、「チェックチーム」。まず「つくるチーム」についてですね。現在弊社は、営業部門も技術部門も、人事部門も経理部門も、全部門がビジョンを持っています。これを、年に1回〜2回修正をして、常にビジョンを血の通ったものにしています。各部門がビジョンをつくることによって、その部門が目指すものが明確になりますし、経営理念から自分の部門のビジョンまでを辿っていくと、経営理念と自分の仕事がどう繋がっているのかということがわかるようになります。そして、自分の仕事の成果が経営理念の実現にどんな意味を持つのかが、わかるようになっていきます。各部門でビジョンをつくってそれを実現することが、経営理念の実現に繋がっているんだ、ということを理解してもらえるようにしました。

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「伝えるチーム」の施策はいくつかありますが、一例をあげると「役員の心得」というものがあります。役員は日々この「役員の心得」の五箇条を意識しながら業務に取り組んでいます。そして、年に2回アンケート調査を実施します。例えば「羽田はビジョンと一貫性のある戦略を立案してそれをわかりやすく伝えていますか?」という質問についてメンバーが無記名で答えるものです。アンケートでは、具体的なコメントを記載することもできまして、結構辛辣なものもあるのですが、これに社長を含めた全役員が取り組むことによって、役員の行動が少し ずつ変わっていきました。僕は、企業文化はトップダウンでつくられると思っていて、まずは社長や役員がしっかりと企業文化を理解して、それに沿った行動をすることが、メンバーへの浸透に繋がると信じています。

最後に「チェック」チームについて。様々な施策を踏まえて、実際にビジョンが浸透したのかを確認するアンケートを年に2回実施しています。全社員に対して、あなたは経営理念を実現するための行動ができていますか?等ビジョンに関するアンケートをとり、その結果をビジョンプロジェクトのKPIにしています。現在は、「作成・理解・共感・実行」の4段階のうち、約9割が共感、6割弱が行動ができているという結果が出ています。

徐々に成果が出てきていますが、こんなプロジェクトを通じて、一人ひとりがビジョンをちゃんと自分のものにして、行動に移していくということを目指しています。

モチベーションファクターの中で最も大切なものは「理念戦略」

麻野:ありがとうございます。私自身、色んな企業さまをサポートしてきて感じているのは、今日お話し頂く5つのチャプターの中でも、経営理念のところが一番大事だということです。モチベーションクラウドのデータで見ても、先ほど16領域のモチベーションファクターのお話しをしましたが、どの領域が全体のスコアに一番影響を与えるかという「相関」という考え方があるんですね。

ある項目のスコアが上がったとしても、他の項目はあまりつられて上がらない。ある項目は、その項目が上がれば、他の項目もつられて上がる、など。その度合いを相関度と呼んでいるんですが、理念戦略の相関度が圧倒的に高いです。

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理念に共感できていれば、上司の言うことも納得できるとか、自分の受けている評価も納得しやすいということは起こり得ますが、給料が高いからといって、上司の言うことに納得できるとか、理念に共感できるということは考えにくい。

結局、組織状態がいい・モチベーションスコアが高いというのは、データで見ると「理念がちゃんと浸透しているか」「日々やっている仕事に理念と繋がって意味が感じられているか」「未来が感じられているか」ということなのだと思います。ただ、経営理念というのは、ほとんどの会社で浸透していない。改めて、先ほどの羽田さんのこのチャプターのお話は、とても大切なことばかりだと感じます。実際に、理念が浸透して具体的にどんなことが社内で変わったかを、教えていただいてもいいですか。

羽田氏:ひとつは、新規事業提案制度の提案数が増えたことですね。2005年からこの経営理念を掲げていて、当時から住まいだけでなく、暮らし全域に事業を展開していくことを目指していたのですが、みんなやはり不動産業界を変革したいと思って入社してきていました。なので、HOME’S(現LIFULL HOME’S)のビジョンは実現したいんだけど、会社の経営理念に関してはよくわからないという社員も多くいました。しかし、例えば地方創生や教育・介護など、不動産とは別領域の新規事業提案が非常に増えていったということが、大きい変化ですね。

事業が苦しい時こそ、ビジョンで束ねられている会社は強い

麻野:ありがとうございます。事業と社員が紐づくということはもちろん大事なのですが、理念と紐づくということも大事ですね。いろんな成長企業をサポートしてきて感じることなのですが、ずっと伸び続ける事業はほとんどないので、成長したり停滞したりします。けれど、事業だけで束ねてしまうと、事業が好調なときは人も採用できるし、人も辞めない。でも、事業が下り坂になった瞬間に、波を打ったように人が離れていく。人が離れたらもう立て直せない。

でも、人と理念が紐づいていたら「この事業は調子悪いけれど、この理念に共感できているから頑張って立て直そう」とか「別の事業で頑張ろうとか」という風に、事業の調子が悪いときに社員が踏ん張りやすいと感じます。LIFULL社では、理念に基づいた積極的な行動が見られるようになったということでしょうか。

羽田氏:そうですね。当社は2011年に、HOME‘S(現LIFULL HOME’S)のビジネスモデルを変更しました。そこまでは掲載型課金で、物件情報を掲載したらお金がもらえるというモデルだったものを、問い合わせ型の課金に変更して、物件を掲載して、問い合わせがあった時点で課金をするというかたちに変えていったんです。私たちとしては日本中のすべての物件の中から、ユーザーにとってぴったりのものを選んで頂きたいというビジョンがありましたが、掲載課金ですとすべての物件情報を網羅することが困難でした。

そこで、より多くの物件情報を掲載できる、問い合せ型の課金モデルに変更したのですが、このとき、クライアントから多くの反発の声がありました。大手の不動産・住宅情報サイトでそういった課金モデルの会社はなかったので、すぐには受入れられなかったのです。「お前たちが儲けたいんじゃないか」といった声もあり、社員は疲弊していました。

ですが、そのときに大切だったのが、このビジネスモデルの変更はHOME’S(現LIFULL HOME’S)のビジョンを実現するために必要であり、社員みんながコミットした共通の目標の実現のための変更だったということです。時に弱気になったり落ち込んだりしながらも、ビジョンを実現するためだという想いがあったからこそ、乗り越えられたところはあると思います。

麻野:なるほど。苦しいときに支えになったということですね。理念が大切だと思いますかと聞けば、ほとんどの人がそうだ言うと思うんです。でも色々な組織に伺って感じるのが「理念はあまり大切にされていないな」と。理念が浸透しない組織を見ていくと、その組織のトップが「いや業績だよ」って本音では思っている。例えば、社長は理念が大事だと思ってるけれども、部門長が「業績でしょ。理念で飯は食えないよ」と思っている組織はやはり、理念は浸透してない。

理念と業績、もちろんどちらかではなくて両方を追求していくものだと思うのですが、LIFULL社の経営陣とか役員の皆さんが、やっぱり理念が大事だと思えたのはどうしてですか。

経営トップのコミットメントが、理念浸透には不可欠

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羽田:僕たちは、単に業績を上げるために集まっているわけではなく、理念を実現するために集まっているという共通認識があったからですね。単に業績を上げたいだけであれば他にも方法があると思いますし、そういう人は辞めていると思います。ただ、最初から理念が社内に浸透していたかというと、人によって正直かなりバラバラで。先日発行した書籍を担当頂いた編集の方に「警察官みたいですね」って言われたんですけど(笑)、役員が、居酒屋とか陰で「ビジョンていうけどさ・・・」と言っているところを見つけると、僕が捕まえて会議室に連れて行って、説教するみたいなことを結構やっていて。

麻野:ほんとに警察みたいじゃないですか(笑)。でも事業部の責任者の方と人事の方って、現場の事業部の責任者の方が立場が強かったりする会社も多いじゃないですか。売上・利益を出しているので。LIFULL社ではどんなパワーバランスだったんですか。

羽田氏:「正論を振りかざす」という話でして。例え事業部の責任者であっても、結局は社長の前では絶対に言えないんですね。けれど陰では言っている。なので、最終的には正論でしっかり話をして、理解してもらうということですね。

麻野:前提としてはトップのコミットメントが前提となって、人事の方もコミットして、それを武器に現場のトップにもコミットさせていく、ということなんですね。やはり、色んな経営者とお話をしていても、理念のスコアが高い会社というのは、経営トップのコミットメントが非常に強いなと思います。

先ほど「つくる」「伝える」「チェックする」というお話がありましたが、やっぱり「つくる」という部分は大事ですね。最終的には、社長が本当に「これが大事だ」と思っていることを、理念として言葉にすることがとても大事だと思います。耳ざわりがいい言葉を入れておくとかではなく、社長が本音でそれが大事だと思っていなかったら、なかなか浸透しません。そしてつくる上でのセカンドステップとしては「理念を推進することが、事業の成功に繋がる」ということを、つくる時点でちゃんと考えるということも大事だと思っています。

それから、このビジネスではこんなアクションが大事、なので理念の中にこんな行動指針を入れていますということも大事だなと思っています。浸透している理念や成功している行動指針とかを紐解くと「自分の業界で勝つための特徴はこういうことで、それが指針・行動指針の中に散りばめられています」ということを、しっかり説明できるものになっていると感じます。

 

 

本文にも登場する「日本一働きたい会社プロジェクト」を中心に、現在に至るまでの組織改革が全公開されている、羽田幸広氏の著書「日本一働きたい会社のつくり方」も、ぜひご覧ください。

株式会社LIFULL 【中編】「日本一働きたい会社」創りの秘訣とは はこちら
株式会社LIFULL 【後編】「日本一働きたい会社」創りの秘訣とは はこちら

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