人財が会社の最大資産、人財を最大活用するための10のトレンド
~全てが数値化される時代の人生スゴロクは? ーPost AI時代のHR Techとは、管理者にとって働く人にとっての環境変化~

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マッキンゼー、Google、楽天…13職を経て、気鋭のIT批評家として知られる尾原和啓氏。新著『モチベーション革命』はKindle版DL初日でAmazonランキング1位に。今回、尾原氏に寄稿頂いた短期連載では、世界最大の人事イベント「HR Tech Conference 2017」の総括を元に、これからのHRテック事情について、押さえておくべきポイントについてレポートしていきます。

【執筆者】IT批評家、藤原投資顧問シニアアドバイザー 尾原和啓 氏


第二回目では、第一回目で述べたHRテックとそれを取り巻く時代の変化について、さらに細分化させ、一つ一つ解説していきます。参考資料は、毎年、人事関連の動向について調査している米ヒューマンキャピタル大手デロイト社の作成した「2017 Deloitte Human Capital Trends」というレポートです。

この中から、HRにまつわるアメリカの最新トレンドを主に6つに分け、さらに細分化させ10の要素に分けたページを参考に、一つ一つをわかりやすく紐解きつつ、何が日本に入ってきて、何が入ってこないのかを整理しながらご紹介していきます。

尾原さん記事中編_キャプション①

How we redesign the organization and its leadership for the future
将来のために組織とリーダーシップをどのように再設計するか

トレンド1
The organization of the future:Arriving now
未来の組織:今もうおきている変化

予測できない変化がずっと起こり続ける時代、組織やリーダーシップの在り方が劇的に変化してきています。ポイントは二つ。一つは、上司から部下に命令が下される「トップダウン型」から、現場の変化に柔軟に対応していく「ボトムアップ型」へ変化していること。

二つ目は、いかにゴール設定を柔軟にできるかが問われていること。例えば一年に一回、会社と社員のそれぞれの目指すべき方向性について、社員を指導して、その通りに動いているようでは社会の変化に間に合いません。

ゴールを目指しているうちに状況が変わるから、臨機応変にゴール設定を微調整していく必要があります。しかも、会社のゴールが変わればチームや社員のゴールも変わるので、各評価の基準も変えなければならない。これらをどう柔軟にやるか、ということが、トレンド1で問われている点です。

トレンド6 
Leadership disrupted: Pushing the boundaries
全く異なる新しいリーダーシップ:境界を推し進める

破壊的変化の時代に対応していくのに重要なのが「多様性」です。どこから攻めてくるかわからない多様な敵と戦うには、どこからでも応戦できる多様なメンバーがチームに必要ですよね。

「Pushing the boundaries(境界を推し進める)」とはどういうことでしょうか。これには二つポイントがあって、一つは組織としてリーダー自体の多様性を増した方が有利です。ジェンダー、宗教、肌の色、多種多様な背景をもった多様なリーダーをもつことが合理的な時代であり、またリーダーになったとき、いかに同様の多様なメンバーそれぞれと価値観をすり合わせていくのかが問われる時代になっていっています。

もう一つはトップダウン型のリーダーシップから、ボトムアップ型に変わっていきます。

変化の時代は最前線に立つ現場の方々が一番変化に敏感ですからボトムアップが大事で、そのためにリーダーシップも「羊飼い型リーダー」のように、現場の個々の動き・声を汲み上げ、その上で明確なビジョンを示し、さらにメンバーによりそいながら支えていくような奉仕的なリードをいかにやっていくかが大事になってきます。

今までみたいに、「こうやれ、ああやれ」と一方的に指示をするのではなく、「僕にはまだプロジェクトの正解が見えていないから、現場の新しいことを君に教えて欲しいんだ。その分僕も、君が言語化できない言葉をもっと引き出してあげるから」「それだったら誰々に聞いた方がいいよ」などと、サポートもしていく必要があるのです。

これらのリーダーシップ論は、さらにトレンド5へ絡んでいきます。

How we build a new management system to empower and engage the teams
チームが活きる新しいマネジメントシステムを作るには

トレンド5
Performance management:Play a winning hand
パフォーマンスマネジメント:勝てる手札で勝負するには

変化に素早く対応するためには現場に委ねる重要性がまします。そうすると社員がどんな行動をすれば目的達成できるか?変化が多い、つまり不安が多くなりがちな環境の中で何をすればモチベーション高く行動をつづけられるか?をその時その場にあわせて現場の個人が見極めなければなりません。つまり、より良質な行動を引き出すためのパフォーマンスマネジメントができるかが重要になってきます。

ただ、先ほどいったようにどういう能力が必要か?評価は?というのもトップダウンでは役に立たなくなってきます。なぜなら、トップには現場の変化がわからなるということは、現場の社員が新しくやろうとしてることを把握できないということです。それはつまり、そもそもトップには社員の適切な評価ができない時代に突入している、ということでもあるのです。

つまり、マネージャーからの一方的な評価ではなくて、チームからの多面的な評価が必要だということです。さらに、評価=給与だけで終わるのではなく、今後も成長していくために「何ができて何ができてないのか」、「どういう風にやった方がいいのか」という細やかなアドバイスも含まれていきます。

改善までいかなくても、微調整的なアドバイスをできるのか?新しい目的地ではなく、新しいコンパスをいかに言語化して渡せるのか?これをリアルタイムで、チームのメンバーから個人へと差し出せる体制・プロセスづくりが必要なのです。尾原さん記事中編_キャプション②

トレンド9
Diversity and inclusion:The reality gap
多様性とインクルーシブさ:リアリティギャップ

アメリカのダイバーシティにおける課題は、マイノリティの方々にどう対応していくかが大きな課題になっています。トレンド6とトレンド9でも触れたように、リーダーこそ多様な人であるべきで、メンバーも多様な方が変化に強い。

そこで大切なのは、多様性を推進していくということは、マイノリティを受け入れることである、ということです。

アメリカでは、社会的マイノリティの方々がネガティブなバイアスを受けてしまうシチュエーションがまだまだ多いのが現実です。それも、マジョリティ側の人達はそれに気づかずにやってしまう。こうした自覚のない潜在的な差別はついついおこってしまうものです。

言葉では多様性を受け入れるというふうにいっていたとしてもです。そういった事前の期待に対して現実を目の前にした時の差を reality gap(リアリティギャップ 日本の場合はリアリティショックということが多いですね)と呼んでいて、就職・転職時のモチベーションを大きく下げるものとして課題になっており、特にこういった多様性を受け入れること(Inclusion)を尊重することを強調する背景の中でおこる排他性(Exclusive)は大きな課題にアメリカではなってます。

極端な例だと、トランプ大統領も、女性を傷つけるつもりがないにしろ、心のOSが女性蔑視に設定されている。OSレベルで浸透しているために、本人に悪気がないのが問題なのです。

そのため、多様性を受け入れるとは、リアリティギャップを自覚した上でどう埋めていくのか、という課題でもあるのです。

ただし、日本に関しては、ほぼ単一民族だという風に自分達を捉えていることもあり、人種、ジェンダー、宗教的な問題は、アメリカに比べるとまだ顕在化していないし、日本の移民政策のことを考えても、しばらくは顕在化させないように見受けられます。

一方で、日本女性の社会における活躍度は、先進国の中でも最低グループであり、このランキングは毎回下がっていっている深刻な課題です。

我々が多様に変化する世界市場をターゲットにするのであれば、このDiversity & Inclusiveは我々から最も遠いが故に最もハードルの高い課題であり、国内をターゲットとするにしても少子高齢化する社会の中で女性など今活躍をする機会を無意識に奪われている方々をどうしていくかというのは大きなチャンスであると同時に大変困難な課題です。

How we design the employee experience for engagement, productivity, and growth
どうやってスタッフが成長、生産性、エンゲージメントを高められる経験をデザインしていくか

トレンド4
The employee experience:Culture,engagement,and beyond
スタッフの経験:企業文化、エンゲージメント、そしてそれを超えるもの

アメリカでは、Well-beingといって会社が社員の健康を、それも身体的健康に留まらず、精神的にも社会的にも健康でありつづけることを支援することが大事になってきています。マインドフルネスの実践やエクササイズ、健康管理などのプラットフォームまで提供しているケースも珍しくありません。

さらに、自分が生きる意味合いや生きがい、やりがいを、会社を通して感じるために会社がボランティアを推奨したり、プラットフォームを提供したりしていることもあります。

アメリカでは、社会に対して、自分が背負ってしまったマイノリティにいかに向き合い続けたかによって生じる「だからこそ同じ思いをしている人に貢献しよう」という意識から、自分の意味合いを見出していくことが大事な概念になっています。人種のるつぼだからこそ、アイデンティティそのものが自分の生きる意味につながりやすい。こういった、因果関係から自分を見出すことをcausality(コーザリティ)と呼びます。

例えば「子どものころは肌の色のことでいじめられた。でも大人になって、こんな分野で私らしく活躍できた」というような、社員それぞれが発揮するコーザリティに対し、同胞をサポートするようなボランティア活動を会社が推奨するケースも多いのです。

会社が社員に対し、同じコーザリティをもってボランティアをする仲間を、社内でも社外でも見つけられるようにサポートする。そうやって、社員が「この会社は自分らしさを認めてくれて、力を発揮させてくれる。ここで働いていることはすごく意味がある」と、やりがいを見い出せるところまで支えるのが、アメリカのトレンドだったりするんですね。

つまり、アメリカ発のHRテックで起きているトレンドには、このような文化的背景があるのです。一方、日本はコーザリティが意識化されることが大変薄い国で、マイノリティに関しても女性差別以外は蓋をしがちなので、そもそも意識に上りにくいところがあります。

こういった個人がエンゲージメントをもちながら働きつづけることをどう支えていくのか?そういったことを含めて企業文化としてどう培っていくかが社員にとって長く働き、成長しつづけてもらうために大事になってきます。

一方でコーザリティもダイバーシティ同様に日本では意識化されにくい領域です。他方で、日本は企業文化が非常に濃くでる国でありSuzukiなど強烈な企業文化による家族主義で発展している会社も多くあります。

日本的な企業文化やエンゲージメントを作り方を今のミレニアル世代の価値観にあわせてどう発展させていくかは、欧米と全く違う進化をアジアではする可能性が高く、筆者も洞察しつづけている領域です。

How we build a culture of continuous learning, adaptability, growth, and personal development
学び続けること、適応し続けること、組織が成長し、個人としても向上しつづける企業文化をどうやって構築するか?

トレンド2
Careers and leaening:Real time,all the time
キャリアとラーニング:リアルタイムに、常時に

変化の時代は、新しいアイデアや仕組みがどんどん生まれてきます。同時に、働き手もどんどん学び続けて進化しないと、あっという間に時代においていかれてしまう。

特に、生まれた時からなんでも揃っている環境で育ってきたミレニアル世代は、給料以上に、いかにその会社で成長できるかを大事にします。「会社のために、お国のために」が通じない世代なので、その分「君はちゃんと成長できています」ということを提示してあげないと、すぐに辞めていってしまう。

だからこそ、第1章でもお話ししたように、例えば社員が一つのプロジェクトに参加することになったとして、それが本人の「人生すごろく」や生涯のキャリアプランにおいて、どれくらいの成長を促してくれるのかを提示してあげなければならない。それも、同時に会社にこれだけ貢献できる、という前提で。

また、デジタルの進化によって学習がすごく簡単にできるようになってきていることを受けて、ここではマイクロラーニングとマクロラーニングに分類して見ていくことができる、としています。

例えば、新しいプロジェクトの会議に向かう移動時間中に、スマホで2分間、プロジェクトに関わる動画を見るというようなマイクロラーニングから、自分のキャリアに必要なメンターへ自分でコンタクトして、定期的に面談をしてもらって成長を修正していくようなマクロラーニング、といった具合です。

大事なのは、リアルタイムで学べる環境ができているのだから、大小組み合わせて日々学び続ける、ということ。「3ヶ月に一度、1週間くらい学んでこい」じゃなくて、いまはデジタルによって便利な機能が増えたのだから、隙間時間を使ったり、より自分に合ったレコメンド機能を用いたりして、自分だけの学習をしよう、ということですね。

尾原さん記事中編_キャプション③

How we leverage digital technology to design and improve work, the workplace, and the workforce
どうやって、ワークフォース、職場、仕事が向上していく環境デザインをデジタルテクノロジーが加速させていくか?

トレンド7
Degital HR:Platforms,people,and work
デジタルHR:プラットフォーム、ヒト、仕事

第一回目でも、デジタルが会社の状態や個人のスキル、キャリアプランを可視化してくれることで、社会の変化や与える影響を考慮しながら、より微細なマネジメントが可能になる、というお話をしました。このように、個人の能力やデータが可視化できる状態をデジタルDNAとここでは呼んでいます。

デジタルDNAによって個人が可視化されるとき、会社側に問われるのは、会社という集団を社会の中でどう位置づけるか、ということです。「僕たちはこういう人間の集団だから、文化的にも能力的にも、この方向性で揃った人たちであるべき」ということをあらかじめ測定しておく必要がある。

つまり、個人の能力もキャリアプランも可視化されるからこそ、集団をつなぐカルチャー、精神的支柱をしっかり据えていくべきなのです。でないと、会社として、一つ芯の通ったポートフォリオを描けなくなってきます。

さらに、デジタルの進化によって、すでに働き方も変化していってます。昔は場所をオフィスに固定されてきたけど、デジタルによって居場所に関係なく仕事ができるようになってきています。このようなデジタルによるビジネススタイルの変化についてまとめたレポートを見ると、主な変化を3種類に分けています。

⑴デジタルワークフォース
⑵デジタルワークプレイス
⑶デジタルHR

リモートワークやテレワークのように、すでにデジタルワークプレイスはある程度日本にも入ってきていますよ。ただ「ビデオ会議ツールを使えばどこでも働けるよね」って話で完結しがちなところがあります。

だから、デジタルワークプレイスばかりに着目されてしまうのだけど、ここで注目したいのはデジタルワークフォースです。

デジタルワークフォースとは、デジタルによって個人の能力が可視化されることに対して、一つの軍(チーム)としてまとめていく時に、最高のチームとしての才能を組織としてどう管理していくか、という概念です。これはリモートワークによって各所に点在しているメンバーをどう管理していくか、という話でもありますし、社内にいるメンバーをどうまとめていくか、ということでもあります。日本人にはまだなじみのない概念ですが、今後どんどん重要になってくると思います。

加えて、デジタルHRは、いわゆる人事がやっている今のプロセスがデジタルに置き換わっていくということです。

トレンド10
The future of work:The augmented workforce
働くの未来:テクノロジーで強化される人財力  アーギュメンティッド ワークフォース

しかも、この一人一人の戦力が違うヒト同士が適切に組み合わさることによって掛け算になっていく、しかもこの一人一人が、個人と個人の組み合わせが、チーム同士の組み合わせがテクノロジーによって強化(Augemented)されるサイボーグチームのようになってくるわけです。

尾原さん記事中編_キャプション④

実際、筆者はロボットでリモートワークでバリ島やシンガポールから東京のオフィスを走り回って、ちょっと気になる仲間に声をかけてヒソヒソ話をしたりできています。

こうやってリモートワークは 以前は人の力をどこか減衰させて0.9にしてしまっていたのでチームとして、0.9x 0.9x …とつながるほど減衰が多くなっていきましが、

今はこのロボットのように気軽に遠くてもつながれるエモーションも含めてよりつながることで テクノロジーの力で1.1でつながれる 1.1x 1.1x …と拡張することが可能なのです。

こういったAugemented Workforceは、私のロボのようなハードウェアだけではなく、SlackやChatworksといったグループウェアなどによってチームワークはテクノロジーによって増強されていっています。

こういった未来的な働き方も、更にAIによって自分のデータが数値化され、どんどん最適化されていくでしょう。

How we leverage data, cognitive technologies, and AI to improve the organization and its teams
どうやって、組織とチームが向上するためにコグニティブテクノロジーやAI、データを活用していくか?

トレンド3
Talent acquisition:Enter the cognitive recruiter
人財(才能)の獲得:コグニティブリクルーターとは

社員の能力やキャリアプラン、会社の状態などの詳細なデータが可視化されればされるほど、会社に足りない能力についてもより詳細に把握できるので、従来の採用プロセスをより細かくできるようになります。

こういったことはコグテニティブテクノロジーとよばれています。IBMさんの定義が分かり易いので引用すると「今まで活用されずに埋もれていた情報が、より深く専門的な知識や革新的な機能となって活用されていく」ことです。

こうやって考えると人財活用には、今まで活用されずに埋もれていた情報があふれています。

社内だけでなく、採用活動においてもそうです。能力を測るときに参照するのは学歴だったり、会社だったりと、肩書きが中心でしたよね。もしくは本人による「俺はこれだけやったんだ」という何かを達成した証や成績だったり。

つまり、これまではアバウトな基準でしか人の能力を見られなかったけど、これからは、その人がプロジェクトを達成していくプロセスまで可視化されていくから、採用の時点で「どんなやり方によって達成していくのか」さえも見られるようになる。こういった埋もれていた情報をテクノロジーによって活用した採用活動の担い手をデロイトさんはコグニティブリクルーターとよんでいます。

プログラマーで例えるとわかりやすいのですが、エンジニア業界では「Github」と呼ばれる有名なエンジニア向けコミュニティサイトがあって、そこであらゆる技術やプロジェクトのプロセス、成果物などを可能な範囲でシェアしあっています。そこで活躍した高校生エンジニアがグーグルにスカウトされるという話もでてきています。

つまりそのサイト内では、日夜エンジニアたちの仕事ぶりが、初めから終わりまで可視化されている状態でもある、ということです。

極端な話、AIがさらに進化していけば、あるエンジニアがGithubにある技術をアップした、その瞬間に、その技術を必要としている会社から、本人の元へ「今、我が社が進めているプロジェクトにおいて、あなたの技術が必要です。ぜひプロジェクトリーダーになりませんか」とメッセージが届くようなことが起こってくるのです。同じことがTwitterやFacebookでも起きるようになるでしょう。雇われる側から見ると自分が今一番成長したいと頑張っているプロジェクトが自分がアウトプットをだしていれば声がかかりやすい時代が到来しているということです。

それは、マネジメント側からすれば、ただ人を肩書きで見るんじゃなくて、能力や行動に応じて、適切なタイミングでいかに声をかけ、チームに迎え入れることができるのかが問われるということでもあるのです。

トレンド8
People analytics:Recalculating the route
ピープルアナリティクス:毎日再計算される人生スゴロク

状況はどんどん変化するから、人生すごろくも毎日変わる。時代の大きな変化だったり、その中の心の変化だったりに、合わせて何回でも人生すごろくを再設計できる。

ということは、マネジメント側は、常に個人が進化し、変化することを前提として、ワークフォースを設計しなければならないわけです。RPGで例えるなら、チームのメンバーの一人が、この間まで魔術師だったのにいきなり剣士になってしまうこともある。「チームに誰か、新たな魔術師を迎えなければ。でもそれなら今いるメンバーの誰かを魔術師に進化させた方が早いかも、確か、魔法が使えるようになりたい人がいたはず」という塩梅です。デジタルを駆使しながら、いかにこれらをスムーズに行えるかがカギになるのです。

これらすべてが組み合って、10のトレンドを形成しているのですね。

まとめに「広義のHRテックとは」

これまでお話ししてきたように、社会・時代的価値観の変化と、AIによる技術変化、これら全てを含めてこそ、広義の「HRテック」だと言えると思います。もっと言えば、これらは「HRキャピタル」なのです。

第一回目で、“人”という資産を社外から集めるとき、これまでは採用に比重がおかれていたけど、これからは評価や育成になる、とお話しました。つまりこれは、デジタルの進化と同時進行で、社員も会社にとっての資産そのものである、という価値観に変化してきている、ということでもあるのです。

もしどんなにスキルのある人材を集めてきても、それぞれのウィル(個人がどうしたいか)が高まらなければ、資産が活きない。さらに、変化する時代だから、社員にどんどん成長してもらわないと、集まった時には優秀だった人間が、5年後には使い物にならない可能性もあります。

だからどんどん成長を続けてもらうために、会社が「成長マネジメント」という名の資産管理をし続けなければならない。その上で、会社の目標に揃った形で、成長してもらう必要があります。

さらに、デジタルDNAによって、会社としての精神的な支柱や、カルチャーが大事になってきているから、そこに添いつつも、個人が意思を持って成長し続けてくれるような、人の集団という資産を会社としてどうやって管理していくか。

さらにミレニアル世代は、会社にずっと守ってもらっているなんて誰も思っていないから、結局は自分を最も成長させてくれるところを選んでいくし、成長することがモチベーションそのものであるケースが多くなってきています。

結果的に、彼らのモチベーションに添いつつも、成長させてくれる会社の採用力が強くなっていきます。それがアメリカならグーグルであり、日本ならリクルート、今でいえばサイバーエージェントです。

私たちは、まずは価値観の変化や社会の変化に合わせて働く環境を整備して、より効果的なHRテックの使い方を実践できるように整えていく必要があるのかもしれません。

第一回目となる「『働く』の全てが変わる 5大変革を押さえれば未来が見える」はこちら

第三回目となる「激動HR TechでのGoogleは誰か? 日本での勝ち筋は? 今 HR Techが美味しい」はこちら

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