【前編】フロムスクラッチ、メルカリ、LITALICO 
「最強の採用戦略論」

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様々な企業の中で閉じられていた組織人事のナレッジをシェアし、 日本のべンチャー企業の発展に貢献していくことを狙いとした「Strategic HR Summit」の2回目。『最強の採用戦略』と題して、株式会社フロムスクラッチ代表取締役社長CEOの安部泰洋氏、株式会社メルカリ取締役の小泉文明氏、株式会社LITALICO取締役の中俣博之氏を迎えた。3者共に、モデレーターを務めたリンクアンドモチベーション執行役員の麻野氏とはプライベートでも関係が深く、序盤からリラックスしたムードでトークが展開されていった。

【イベント実施日】
2016年9月13日

【登壇者】
株式会社フロムスクラッチ 代表取締役社長CEO 安部泰洋 氏
株式会社メルカリ 取締役 小泉文明 氏
株式会社LITALICO 取締役 中俣博之 氏
株式会社リンクアンドモチベーション 執行役員 麻野耕司 氏

圧倒的な事業成長の基盤にある採用戦略

麻野耕司氏(以下、麻野氏):本日のトークテーマは「最強の採用戦略」。登壇メンバーとはよく飲みに行く仲なので、カジュアルにオープンに進めていきたいと思います。まず、会社の紹介と共に採用の特徴をお話しいただければと思います。

小泉文明氏(以下、小泉氏):メルカリ小泉です。メルカリは2013年2月にできた会社です。日本で3,500万ダウンロード、アメリカでは2,000万ダウンロードと、順調にダウンロードを伸ばしています。流通高で言うと、月間で100億円を超えてきたところですね。経営陣は代表の山田をはじめ全員が起業や経営をしたことがあるので、経営経験豊富なメンバーが揃っていると言えるかもしれません。採用の特徴としては、約半数が社員紹介の「リファラル採用」。それ以外はHP等のメディア経由が4割程度で、エージェント経由が1割程度ということで、1人あたりの採用コストがかなり低いことが特徴です。

麻野氏:メルカリは、サッカーでいうところのレアルマドリッドみたいな、スーパースター選手ばかりが揃うすごい会社です。事業を多角化していきたいとお考えのミドルステージの経営者のみなさんからすると、そういった経営ができる人材をどうやって採用しているのか、最も興味のあることだと思いますので、そのあたりも詳しく聞いていきたいと思います。では次に、LITALICO中俣さんお願いします。

中俣博之氏(以下、中俣氏):LITALICOは障害者の支援をしている会社で、今年の3月に上場をしました。現在で12期目、正社員が1,000名を超えるくらいの体制の大きい会社です。事業としては、大人の障害者の方々への就労支援や、発達障害の子ども達のための塾の運営、障害の有無を超えて広く子ども達に向けてプログラミングの授業などを行っています。

見た目ではなく本質的に社会を変えるというスタンスです。具体的には、社会のシステムを変えていく、公教育を変えていくということですね。ちなみに経営陣は、カーライルやグリー、マッキンゼーなど出身は様々です。採用という点では、店舗型のビジネスなので、採用力が競争力の源泉になると考えていまして、現在、色々な方とお会いさせていただいています。

麻野氏:中俣さんとは、中俣さんがDeNAの人事マネジャーで、私がリンクアンドモチベーションのコンサルタントだった頃からのお付き合いです。これまで多くの人事担当者と仕事をさせていただいてきましたが、中俣さんは特別優秀でした。2010年頃にDeNAの採用が一変して強くなったのは、中俣さんがいたからだと言って良いと思います。それくらいの逸材。人事・採用といえば右に出る人はいない方ですが、どんな思いでDeNAの組織改革をされてきたのかなどもおうかがいできればと思っています。それでは最後に、フロムスクラッチ安部さんお願いします。 

安部泰洋氏(以下、安部氏):フロムスクラッチは企業のマーケティング活動を最適化・改善するシステムソリューションを開発しています。2010年4月にできた会社で、今7期目です。「B-Dash」というマーケティングプラットフォームのプロダクトを開発・提供しているデータテクノロジーの会社と覚えていただければ幸いです。

これまでに合計13億円の資金調達を実施しており、元LINEの森川亮さんに顧問に就任いただいたりしています。ボードメンバーは、BCGやアクセンチュア、ベインアンドカンパニーなどの出身メンバーで構成されています。採用の特徴としては、中途採用だけではなく新卒採用にもかなり力を入れています。17採用の入社予定者は11名ですが、戦略系コンサルや外資系投資銀行・総合商社や広告代理店、メガベンチャーを辞退して入社してきてくれているような面々ですね。

麻野氏:フロムスクラッチは、新卒採用・中途採用いずれにおいても、恐らく日本最高レベルの採用をしている会社だと思います。メルカリは日本を代表するユニコーン企業ですし、LITALICOも上場して知名度がある。そう考えると、フロムスクラッチはBtoBのサービス展開ということもあり、知名度は高くない。それにもかかわらず、これだけ優秀な人材を採用できているというのは、相当戦略を練っているはずですので、その辺りを掘り下げて聞いてみたいと思います。

ベンダーを使わず、自社で採用できる力を磨く

麻野氏:「採用を成功させるために最も大切なことは?」。本日用意した問いはこれだけです。登壇順で、この宇宙より深い問いにお答えいただこうと思います。

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小泉氏:採用の基本的な考え方は、10人応募してくれて10人採用できればいい、ということです。一番欲しい母集団にきちんとメッセージが届けられて、ミスマッチなく全員採れたら最高じゃないですか。人事の人たちがよく言う、大規模な母集団形成をして確率論で採るみたいな考え方は、好きじゃないですね。ですので、ブランディングをどうするかだと常々思っています。

メルカリでは、メルカンというオウンドメディアを人事が作っているんですね。人事部がオウンドメディアを持つなんて、日本初だと思うんですが。かたい記事からゆるめの記事まで、色々と自由に書いています。プロフェッショナルなイメージが強すぎたら、若手が活躍しているシーンを出すことで、若手にもチャンスがあるよということを見せるなど、自分たちが一番届けたいイメージ・情報を、自分たちで届けています。それがエージェント経由の採用の比率が低い要因だと思います。ベンダーに頼らないことですかね。

麻野氏:外資系企業が日本に進出して驚くことは、採用コストの高さだそうです。ベンダーが母集団を作ろうとするからだと思うんですが、10名の採用に対してまずは100名集めましょう、みたいなイメージです。母集団を広げるので、当然コストがかさむ。メルカリは、自社に合った人にだけリーチするということですね。ベンダーを飛ばして採用できるような採用力を持っているということでしょうか。

小泉氏:日本の人事の仕事はベンダーマネジメントですよね。確率論の作業。そこから脱却しなきゃいけないですよ。

麻野氏:全体の何割くらいが、ベンダーの力を借りないリファラル採用(社員紹介での採用)なんでしょうか。

小泉氏:5割がリファラル採用、4割がメディア経由です。ちなみにリファラル採用の場合、紹介する側の社員も、一体会社の何をアピールすれば良いのか分からないはずなので、まず会社のアピールポイントを明確にすることが重要なんです。現在は、自社メディアのメルカンの運用を通じて、メンバーが会社のアピールポイントを自然と理解する仕組みができています。

麻野氏:リファラル採用を通じてメンバーから候補者に伝えて欲しい内容が、社内メディアに載っているということですね。メルカリ小泉さんから最強の採用戦略は「ベンダーを使うな、自社で採用できる力を磨け!」ということになるでしょうか。

経営陣の本気のコミットで、身の丈を超える人材を獲りにいく

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中俣氏:僕はベンダー使っていいんじゃないか?派です(笑)。人事の価値は、LITALICOに入りたいという人をどれだけ最大化できるかだと思っています。優秀な人材がひとり入社することで、会社は変わりますから。ただ大抵、会社の身の丈に合う人材しか入ってこないものですよね。なので人事には常々「もっとプロアクテイブに動け!」と伝えています。

その上で、採用を成功させるために大事なのは、経営陣のコミットメントです。コミットメントを定量で表すと、代表や僕は、業務時間の半分を採用に充てています。一次面接にも自分が出ますし、採用イベントにももちろん出ていますね。Webメディアの対応もやっています。そこまですると、現場のみんなが焦り始めてくれるんですよ。非効率を飲み込んで、やりすぎる覚悟を持つ。本気でやりきるかどうかだけです。

麻野氏:同感ですね。人事が成功している成長企業の共通点のひとつは、経営陣がコミットしているかどうか。それに尽きます。例えば、DeNAやスタートトゥデイもそうです。大抵の経営者は「人事は重要です」と言うものですが、コミットメント度合いが違いますよね、実際。中俣さんは、業務時間の半分を採用に充てているというお話がありましたが、他に、コミットメントの度合いが分かるエピソードはありますか?

中俣氏:エースを人事に引っ張ってこれるかじゃないですか。営業力がある・人間力があるメンバーを、採用リーダーに置けるか。そして、細かい媒体系の作業であっても全部やらせるという、非効率の許容ですかね(笑)。

麻野氏:なるほど。LITALICO中俣さんの最強の採用戦略は「身の丈を超える採用をしよう。今の会社のレベルに合う人材じゃなく、未来を見て人材を採ろう」が大前提で「会社の経営陣が採用にコミットし、時間・人・お金・非効率なことを惜しみ無く投下する」ということですね。

【後編】フロムスクラッチ、メルカリ、LITALICO「最強の採用戦略論」はこちら

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