ストライプインターナショナル
「学びなおす力、変化し続ける組織」

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earth music&ecology をはじめ、数々のブランドを生み出してきたストライプインターナショナル。
アパレルに限らず、フード領域やホテルなどライフスタイル全般へと事業領域を拡大し、
通販サイト STRIPE CLUBやファッションサブスクリプションMECHAKARIというIT領域にも展開、
「ライフスタイル&テクノロジー」という新しい事業領域において、年商約1,400 億円を創り出す。
ストライプインターナショナル代表取締役社長石川康晴氏が実践してきた事業・組織の創り方について、リンクアンドモチベーション取締役麻野・カンパニー長近藤がお話を伺いました。

【プロフィール】
株式会社ストライプインターナショナル 代表取締役社長 石川康晴氏

株式会社リンクアンドモチベーション 取締役 麻野耕司
株式会社リンクアンドモチベーション カンパニー長 近藤俊弥

ストライプはまだどこにも辿り着いていない

株式会社リンクアンドモチベーション 近藤俊弥(以下、近藤)

本日はありがとうございます。早速ですが、ストライプインターナショナルの現在地について、石川さんはどのように捉えていらっしゃいますか。

株式会社ストライプインターナショナル 石川康晴氏(以下、石川氏)

よろしくお願いします。現在、約1,400億円という売上をつくり、外部の方から「アパレル業界の革命児」という認知をされることについては、自分たちも一定の自己評価をしています。しかし、アパレル業界という領域において、言わば「下剋上」のような形で進んできたというだけであって、イノベーションを次々と生み出せたか、というとまだまだだと思っています。

日本のアパレルがグローバル化していかなければいけないという時代の中で、ベトナムで約200店舗へと拡大できたことや、日常着が借りられるプラットフォームMECHAKARIをつくったということに関しては、アパレル業界に一石を投じられたという自負はあります。ただ一方で、現状の組織の中で「国際的なリーダー」や「テクノロジーのリーダー」が成長してきたか、という点がこれからの課題です。

創業時、当社は「クロスカンパニー」という社名でした。「人と人がクロスする」という意味を込めていて、創業以来ずっと人をリスペクトし、大切にしてきました。アパレル業界において「全員正社員」という取り組みも、当時はとても驚かれました。会社として人をリスペクトする姿勢や取り組みが、高いオペレーション力を生み出しました。数多くのブランドをつくろうとも、何百店舗をつくろうとも、しっかりと軌道に乗せて成長させられたのは、オペレーション力であり現場力でした。

このオペレーション力を資産として活かしながら、東南アジアや中国、eコマースやサブスクリプションという新しい領域に挑戦していったことで、約1,400億円から次のステージへと行く道筋は立ってきたと思います。ここまでのストライプインターナショナルは、私という創業社長がいわば独裁的に「I am」で進めてきた会社、これからは「We are」で進んでいくフェーズへと変わっていきます。

「100人100億1兆円」はストライプらしい目標

近藤:これまでとは違った企業経営へと変化していくということですか?

石川氏:そうですね。わかりやすく言えば、100人が100億円、それで1兆円を創る。創業以来四半世紀かけて、現場はかなりダイバーシティ化が進みました。私たちの企業文化とも言えると思います。100億円の商いができる人が100人集まる会社というのは、とてもストライプらしいですし、これが実現できれば本当の意味で「ダイバーシティの実現」が証明できると思っています。

当然、性別も国籍も問いません。「100億円の事業がやりたい人、ストライプに集まれ」と全世界に発信していきたいですね。当然、グローバル基準の対価も用意しますし、実現できるようなチームも用意します。今のストライプで100億の商いが実現できている人が4人、その可能性がある人が約20人といったところでしょうか。これまでに1ブランドで1兆円という構想を掲げたこともありましたが、いろいろあってうまくいきませんでした。多様性を受け入れ、多様性を創り出していけるという自分たちの強みを考えたら、100人100億という道筋が、実は一番無理がないと思っています。

近藤モチベーションクラウドの結果からも、ストライプの組織の特徴が見えてきます。普通のアパレル企業では強く出てこないような「理念戦略」の部分が強みとして出ています。組織の特徴としては、「アパレル」系というよりも「ITメガベンチャー」系に近しいと分析できるのですが、石川さんが組織にベンチャーマインドを育む上で意識されてきたことはありますか?

石川氏:「死なないことには挑戦する」ということを掲げてきました。会社として死なない、ということなので、倒産しないということですね。ここまでの当社の規模で言うと、最大100億円の投資は「死なないこと」です。ですので、1億円〜100億円というレンジの中で様々な事業に挑戦してきました。どんな会社でも、当然大なり小なり挑戦はすると思うのですが、大切なことは「撤退ルールを決める」ということです。新規事業を立ち上げる時は、ゴールを掲げ精緻に戦略を描きながらも「どこで負けを認めて、どこで引くか」ということを必ず決めています。挑戦って本来怖いものですが、どこまでは死なないかが分かっていれば、挑戦が怖くなくなる。しっかりと撤退ルールを決めて全力で走り切る、というのがストライプイズムだと思います。

「面白い会社」が選ばれる時代

麻野:すごく興味深くお話を伺っています。私はこれまでインターネットセクターの会社をお手伝いすることが多かったのですが、最近はインターネットだけで完結するビジネスというのはどんどん少なくなってきています。リアルビジネスとインターネットをどう融合させるか、ということが大切になってきています。どちらかというと、インターネットセクターの方にこれからもチャンスが多くあると感じているのは、リアルビジネスの方にインターネット的な感性で経営する方が少ないと感じるからです。石川さんのお話を伺っていると、リアルビジネスにおいての非常に強力な現場力の構築とインターネット的感性の両方が存在していて、すごく興味深いです。

石川氏:そうですね。それはすごく意識しています。やっぱり自分よりも高齢の経営者が多いアパレル業界の中で、インターネット的感性は強みになると思います。IT業界のど真ん中に行ってしまえば、まだまだ自分は知識不足ですし。やはり「ライフスタイル&テクノロジー」というのがストライプですね。

麻野:組織創りの考え方も興味深いですよね。流通業や小売業というのは、1つのフォーマットをつくってしまえば、フォーマットを厳格に守って一気に拡げていくというやり方が多かったと思います。ただ、カリスマ的なトップがいなくなると立ち行かなくなり、継承も難しい。商いができる人100人というお話を聞いていると、リクルートやサイバーエージェントのような組織という印象を受けました。これから何か大きなビジネスをやりたいというリーダーにとって、ストライプはとても面白い会社ですね。

インターネットセクターのスタートアップでリアル×ITということを考えると、やっぱり難しいのはリアルアセットです。例えば私たちのいるようなHR領域においても、ITだけが強くてもダメで、やっぱりセールスやコンサルというリアルアセットが重要になってきます。スタートアップが華々しく生まれても、やっぱりリクルートやビズリーチというリアルアセットを持っている会社に勝つのはなかなか難しい。そういう意味でも、御社は現場力というリアルアセットを持ちながら、そこに組み合わせて色々と仕掛けていけるというのは面白いですね。

石川氏:IT系の経営者と話していると、そこは羨ましがられますね。特に工場。作る能力があるというところ。そして、お客様のデータですね。1,000店舗を超える店舗でPOSデータを取得できるので、「テクノロジー」という文脈では、大きな強みだと思います。

成長企業のリーダーとは、「学びなおし、成長し続ける人」

近藤:石川さんの近著『学びなおす力 新時代を勝ち抜く「理論とアート」』の中でも、「これからは面白い会社が選ばれる」というお話がありましたが、まさに実践されていますね。これから先のストライプについて、どのような展望をお持ちですか?

石川氏:アパレルという事業ドメインからスタートをし、インターネットの普及によって「アパレル&テクノロジー」へ、アパレルという領域を拡げて「ライフスタイル&テクノロジー」へと。現状はドメスティックなライフスタイルであり、ドメスティックなテクノロジーだと認識しています。日本の人たちのライフスタイルをもっと豊かなものにしていきたい、という思いは強く持っています。新品の服を着ることはとても気持ちがいいことですし、美味しいランチを食べて、カフェでドーナツを食べて、家に帰ったらパーティドレスに着替えて出かけていく。豊かなライフスタイルという意味において、ストライプという企業が無くなったら困る、というところまで行きたい。代替がきかないサービス、代替がきかないプロダクト、代替がきかない企業でありたいと思います。今はまだそうじゃない。もっと自分たちの存在意義を示せるように成長したいですね。

そしてその先にあるのが、「グローバルライフスタイル」であり「グローバルテクノロジー」です。この領域は、自分たちが進む延長線上にはない領域だと思います。ドメスティックな市場で存在意義を示せるようになるところまでは道筋を描けていますが、その先のグローバルというところまでの道筋を描くのが、これから2年の私の仕事ですね。100人100億1兆円と言っていますが、その上にあるミッションやビジョンが必要で、ストライプで今働いている社員やこれから働く人たちにとって、ワクワクするようなコンセプトが設定できていない。

2年ぐらいずっと考えていますがなかなか出てこないです。あんまりかっこいい言葉である必要はなくて、誰にでもわかるような、そんな言葉を見つけたいと思いますね。そこが言葉にできれば、ドメインを設定しわかりやすいビジョンとストーリーを描き、インナーリレーションによって一気にフロアのみんなまで伝えていけると思います。

麻野:「まだコンセプトが設定できていない」って言えることがすごいですね。普通、経営者の方って、建前でも何かありそうに振る舞ったりすると思います。それを率直に「まだない」と言えることがすごい。

石川氏:今の時点であれば「いいこと、しようぜ。」なんですよ。社会の課題をストライプのやり方で解決していく。それはそれでブレていない。でも、これから先はどうだろう?と思った時に、常に自問自答していますね。

近藤:「学びなおす」という姿勢ですね。トップがそういう姿だからこそ、社員の方にもその姿勢が浸透していくんでしょうね。

石川氏:そうですね。本にも書きましたが、学び続けることが大切です。どんなにいい大学を出ていても、学ばない人は停滞している。アップデートされないので、学び続ける人に抜かされていきます。

麻野:本当にそう思います。成長し続ける企業のリーダーとは、成長し続けているリーダーなのだ、と。Facebookをつくった時のザッカーバーグ氏には、世界に冠たる企業を率いる能力も人格も備わっていなかったと思います。でもザッカーバーグ氏は、僕らの世代の中でも抜きに出て成長しているし、それはつまり学び続けている。

石川氏:そうですね。人格すら変わる。そう思います。

麻野:今日の石川さんのように、見えてないものは見えてないと言えることが、学びなおす上で大切なのだと感じました。ありがとうございました。

石川氏:ありがとうございました。

※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

公開日:2019.11.08

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