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【前編】プロフェッショナルファーム業界 経営者座談会 ~組織の30人の壁とその乗り越え方~

【特別企画】
業界別座談会 プロフェッショナルファーム編。今回は下記の2社の経営者にお越しいただき、自社の経営において課題に感じること、大事にしてきたことなどをざっくばらんにお伺いしました。

■「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」という経営理念のもと、特定部門に対するコンサルティングではなく、クライアントの経営における根本的な課題に触れ、会社全体の「業績」「CIS (顧客感動満足)」「EIS (社員感動満足)」「人財育成」「より良い仕組み」のレベルを総合的に高めていくためのコンサルティングサービスを提供する、株式会社リブ・コンサルティング(※1)


■「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」をビジョンに掲げ、豊富な経験・知見をもつ“プロフェッショナル人材”を、“雇用”という形ではなく“シェア”で活用し、経営課題を解決していくプロシェアリングサービスを提供する、株式会社サーキュレーション。(※2)

- 出た話題 -
・流動性の高いプロフェッショナルファーム業界で人を定着させるためには
・新しい取組をするために大事なのは、“フィロソフィーの浸透”
・人事は“点”ではなく、“線”や“面”で捉える

【スピーカープロフィール】
株式会社リブ・コンサルティング 代表取締役 関 厳氏
株式会社サーキュレーション 代表取締役 久保田 雅俊氏

【モデレーター】
株式会社リンクアンドモチベーション カンパニー長 田中 允樹

※1:株式会社リブ・コンサルティングの会社情報
https://www.libcon.co.jp/company/philosophy/
https://www.wantedly.com/companies/company_746632?auto_login_flag=true#_=_

※2:株式会社サーキュレーションの会社情報
https://circu.co.jp/who-we-are/
https://www.wantedly.com/companies/circu/about

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コンサルティングファームの悩みは、“高い流動性”

田中 允樹(以下、田中):お忙しいところ、お集まりいただき有難うございます。本日のテーマは「プロフェッショナルファーム業界 経営者座談会」です。

お二方にお伺いしたいのは、プロフェッショナルファームの経営の中で、どんなことが課題になり、乗り越えるために何をしているかです。

株式会社リブ・コンサルティング 代表取締役 関 厳氏(以下、関氏):基本的に、コンサルティング会社は30人くらいの規模が、最もマネジメントコストと収益効率のバランスが良いです。

社長が自ら、何人かのプロジェクトマネジャーをマネジメントできていれば良いので、マネジメントコストが大きくかからず、生産性もある程度維持でき、離職も多くは発生しません。

しかし、その規模からさらに拡大しようとすると、大きな課題が出てきます。それは、人の“流動性”が他業界と比べても高いということです。

つまり、コンサルティングファームに所属している者は、例えば競合他社は勿論、SaaS業界や事業会社の経営企画などのポストで、他社からのオファーが多いため、社長がマネジャーを経由して従業員をしっかりとグリップできるかが重要になります。

そのため、コンサルティングファームは30人という規模を超えるときに、サービスを型化、プロダクト化していくことは勿論、それに加えて組織の統制をかけながら事業推進していくことが求められます。

これが結構難しいという会社さんが多いのですが、これを乗り越えられない限り組織の拡大は難しいと思います。

新しい取り組みをするにあたって重要なのは、“フィロソフィーの浸透”

田中:ありがとうございます。つまり、コンサルティングファームの経営では、組織が30人という規模を迎えた場合、そこから事業を拡大するかそのまま維持するか、という判断がまず必要になると。

そして、事業を拡大させるのであれば、転職が多い業界であることもあり、自社に惹き付け続けるための仕組みをどのように実現していくかが大事なんですね。久保田さんは、これまで事業を運営する中で、どのような課題がありましたか?

株式会社サーキュレーション 代表取締役 久保田 雅俊氏(以下、久保田氏):弊社は「プロシェアリング」という新しいマーケットを創っているので、前例のない困難が多いです。

一般的なコンサルティング会社と異なるプロフェッショナルを活用した課題解決のアプローチであり、これまでの世の中に無い、新しい取り組みをしていると思っています。

そして、新しい取り組みで前例が無いために、個々の課題に対して基本的に自分たちで答えを出して進めなければならないという困難があります。組織でその困難を乗り越えるために大事にしてるのはフィロソフィーの浸透です。

フィロソフィーとは、ビジョン・ミッション・行動規範など経営の土台となり、組織の指針となるもの。「マーケットから見たときに我々はどうあるべきか」という経営哲学を羅針盤とすることで、事業拡大における様々な課題に対応しながらブレずに挑戦し続けられていると考えております。

流動性の高いプロフェッショナル業界で大事なのは“入口のコミュニケーション”

田中:ここまでに、事業拡大や新しいビジネスをつくっていく上でのチャレンジといった話がありました。次は、その中でも、特に組織に起きる問題についてお伺いさせてください。

久保田氏:私からも是非、お伺いさせてください。リブさんは、働いている方々のモチベーションが高いコンサルティングファームだと評判ですが、モチベーションを高く維持するために経営で大切にされていることはありますか?

関氏:コンサルティング業界に入ってくる層は、シンプルに市場価値を上げたいという動機がある人が多く、基本的に、難解な課題を解決したい人が集まってきます。

その場合、何が起きるかというと、入社して3年で仕事を覚えたら、もしくは5年でマネジメントまでやったら、この業界にいる意味がないな、という考えが出てきます。

つまり、入社時にリブ・コンサルティングが高い志を目指す集団であるといったことや、理念やビジョンを伝えきれず、仕事内容の魅力訴求のみでスタートしてしまうと、山の頂上が見えるのが比較的早く、辞めてしまうのも早くなります。

コンサルティング業界を志望する人は、新卒でも中途でも、その会社の志の高さをあまり重要視しない方が多いのですが、それに対して、「あなたが身につけるべきは能力と高い志の両方だ」ということを初めに伝え、共感を得ることが大事だと思います。

入社時にそうコミュニケーションしておくことで、入社後、メンバーは自分自身で、あるべき姿に対しての自分の足りないところを考えたり、ここでやっていかないといけないんだということを強く思うようになります。

逆に言うと、「そこまで求められるんだったら嫌です」と言う人が必ず出てきますが、この「登る山の高さ」の確認が一番大事です。一般的にコンサルティング会社は、従業員に理念への共感などが無くても、ちゃんと稼働してもらえればよい、という考え方をしていることが多いのですが、私たちの会社は異なります。

入社時の理念への共感を諦めるのか、そうでないのか、で採用時のコミュニケーションが大きく変わります。

リンクアンドモチベーションさんも言っていますが、最初の採用で、会社の期待と入社者の期待がずれると、その後どんな対応をしてもなかなかモチベーションは高まりません。従業員のモチベーションの高い低いは、半分は採用の問題だと思います。

私たちの会社は、コンサルタントとして仕事が回せるようになることはゴールではありません。

仕事を通じてお客様がどうなってほしいかとか、それによってお客様の先にいるエンドユーザーや業界、社会が変わるといったところまで貢献できないといけないよね、ということを最初にしっかり握ることで、皆常に向上心を持って働けるようになる、というイメージです。

そして、共感性の高い人が集まる組織を一度つくることができれば、新しく入ってくる人も同じ想いで入って来てくれるはずです。

人事は単体のテーマではなく、全体で捉えることが大事

久保田氏:プロフェッショナルファームに限らずですが、そもそも人事について時間やパワーをかけられていない会社が非常に多いと感じます。

サーキュレーションは50名規模の時にすでに人事に10名弱を配置していました。そのくらい人事は重要な機能であり、未来の組織課題を見据えて戦略的に注力すべきポジションだと考えているからです。

組織づくりに悩みを抱えている会社は、「新卒採用はうまくいっている」「人材育成はうまくいっていない」など、人事の目立つテーマだけに注目してしまいがちです。

そのような場合、表面化している課題への場当たり的な対応になってしまい、長期的な組織の成長を考えた取り組みがなされなかったり、根本的な課題は解決できないままだったりということが起こります。

しかし本来は、人事のテーマは多方面に広がっているため、1つ1つの課題に、“点”で対応するのではなく、“線”や“面”で向き合わなくてはいけません。

※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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「【後編】プロフェッショナルファーム業界 経営者座談会~経営に必要な、“組織に力を入れる意思決定”~」はこちら

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