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【後編】プロフェッショナルファーム業界 経営者座談会 ~経営に必要な、“組織に力を入れる意思決定”~

【特別企画】
業界別座談会 プロフェッショナルファーム編。今回は下記の2社の経営者にお越しいただき、自社の経営において課題に感じること、大事にしてきたことなどをざっくばらんにお伺いしました。

■「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」という経営理念のもと、特定部門に対するコンサルティングではなく、クライアントの経営における根本的な課題に触れ、会社全体の「業績」「CIS (顧客感動満足)」「EIS (社員感動満足)」「人財育成」「より良い仕組み」のレベルを総合的に高めていくためのコンサルティングサービスを提供する、株式会社リブ・コンサルティング(※1)


■「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」をビジョンに掲げ、豊富な経験・知見をもつ“プロフェッショナル人材”を、“雇用”という形ではなく“シェア”で活用し、経営課題を解決していくプロシェアリングサービスを提供する、株式会社サーキュレーション。(※2)

- 出た話題 -
・経営に求められる、“組織に力を入れる意思決定”
・仕事の先にある“貢献性”で、人をつなぎとめる

【スピーカープロフィール】
株式会社リブ・コンサルティング 代表取締役 関 厳氏
株式会社サーキュレーション 代表取締役 久保田 雅俊氏

【モデレーター】
株式会社リンクアンドモチベーション カンパニー長 田中 允樹

※1:株式会社リブ・コンサルティングの会社情報
https://www.libcon.co.jp/company/philosophy/
https://www.wantedly.com/companies/company_746632?auto_login_flag=true#_=_

※2:株式会社サーキュレーションの会社情報
https://circu.co.jp/who-we-are/
https://www.wantedly.com/companies/circu/about

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経営に求められるのは、組織に力を入れる意思決定をすること

田中 允樹(以下、田中):今回のテーマであるプロフェッショナルファームについて、私たちがクライアントからよく聞く課題は、「育成をする気がない人が多すぎる」ということです。

自分の専門性を上げることや、自分の新しい挑戦にばかり目が向く人が多く、人が育たないので困っているといった話をよく聞きます。そのあたりはいかがですか?

株式会社リブ・コンサルティング 代表取締役 関 厳氏(以下、関氏):最近は国内・海外問わず、組織が一番大事だという話をよく聞きますし、外部のセミナーなどでも必ず、一番大事なのは組織作りだと言われます。

皆頭では理解しているんですが、行動に移している人は少ないのが実情だと思います。これには仕方がない部分があって、やっぱり事業がないと売りが立たないから、事業はMUST、組織はWANTだよね、といった感じで切り分けて考えてしまうからだと思うんです。

でも本当は、そうであるからこそ、企業は組織に力を入れなくてはいけないということを、一般論としてではなく、自社の事業ステージにおいて、その必要性をしっかりと考え、納得すべきだと思っています。

このとき、視座を上げる、そして時間軸を長くする、という2点を踏まえて、会社にとって今、トップが組織にどれくらい力を入れるべきなのかを決めることが重要です。

そういう意思決定をせずに、色々なことに取り組もうとしても、結局最後は「やっぱり売りに注力したほうがいいよね」「やっぱり事業だよね」となってしまい、ブレてしまいます。

最後は事業に注力すべきなのか組織に注力すべきなのか、経営自身が自分で考えて、理解し、覚悟を決めなくてはいけません。

そもそもコンサルティングビジネスでは人が辞めたら終わりなので、「人が全てだ」と言いやすいビジネスですが、一方で、例えば1つのゲーム事業が成功したゲーム会社では、次の新たな事業を生み出すために人はもちろん必要ですが、成功した今の事業では、ここからどうやってキャッシュ回収をしていくかが重要で、「人が全てだ」と心底思うことは難しいかもしれません。

ただし、それは時間軸を伸ばすことで変わります。1年ではなく3年で見たら、今のうちから何も新しく仕込まなくて良いのか、今の事業にしがみつき続けるのか、という問いが生まれ、考えが変わります。

そういう意味で、プロフェッショナル業界かどうかに関わらずですが、経営は、長い時間軸で良い流れをつくるにはどうすればよいか、という視座で考えを巡らせ、組織に力を入れる重要性について早く理解して、覚悟を決めなくてはいけないと思います。

田中:育成施策がどうこう、という話ではなくて、そもそも育成する気があるかどうか、どういう会社にしたいのか、ということをトップが長い時間軸での経営について考え、覚悟を決めることが大事ということですね。

株式会社サーキュレーション 代表取締役 久保田 雅俊氏(以下、久保田氏):育成はそもそも長い時間が掛かるものです。変化のスピードが速い今の経済状況の中ではより一層根気のいるものに感じられるかもしれません。

そのような中では、「育成」する側には何よりも育成しようというスタンスが必要です。

そういったスタンスを育成する側に形成するために、「なぜ自分は育成に携わるのか」「”育成する”ことを通してどうなりたいのか」というWHYやWILLを考えてもらう機会をつくることが大事です。

そういう意味でも、まずは経営者が、人材育成にはどういう意味があるのかを定義し、ポテンシャルのあるメンバーに任せてやりきらせることができるかが肝だと思っています。

関氏:プロフェッショナルファームという業界は流動性が高いので、労働市場で競争優位性を保つためには、“アナログ”でいかないと難しいと思います。

つまり、流動性が高い労働市場では、ブランド力や給与が高い大手企業とデジタル(≒定量的)に労働条件を比較されてしまうと、基本的に負けてしまいます。

それを逆転させるためには、理念や育成、組織風土などのアナログな部分における自社の独自性を応募者に適切に伝え、その評価によって勝負しない限り、ギャップは埋まりません。

実際、私たちの会社では5年ぐらい前、労働市場における認知度がまだ低かったときは、このアナログ部分の訴求に注力していました。

従業員が、仕事の先の貢献を感じることで組織が活性化する

久保田氏:私たちの会社は8名で創業しました。このぐらいの規模では、ある意味なにもしなくても順調に組織運営はできます。

そして、普通は30名ぐらいの規模から組織に様々な問題が起きることが多いのですが、サーキュレーションでは幸いなことに比較的スムーズにその山を越えることができました。

その理由は、会社としての哲学、フィロソフィーを重視してきたからだと思っています。

メンバーひとり一人が会社のフィロソフィーと自身のビジョンや大事にしている価値観がどうリンクするのかを考える機会を持つことで、組織全体にフィロソフィーが浸透した状態になれば、入社間もないメンバーでも早期に活躍し、やりがい持って働いてくれて組織の健全な拡大に繋がると考えています。

関氏:企業は結局、理念と根本のビジネスモデル以外は全てアウトソーシング可能なんですよね。そうすると、有能な外部の人材を惹きつけるのは結局何なのか、ということになります。

例えば、自動車会社の優秀な営業人材について考えて見ると、どこに就職したとしても同じ車を売れる、という状況があった時に、その人が会社を選ぶポイントは結局、理念や企業の想いというところしかありません。

今後フリーランスの方が増えてきたときも同じですが、企業は、所属する側に選ばれるメッセージを伝えていかなければいけません。

プロフェッショナルファームの組織作りという観点でいうと、先ほどお伝えした通り個人の市場価値を上げたい、専門性を磨きたいという人が多いので、どうしても目の前の仕事に向いてしまいます。

そうすると、3年程度経つと、「その仕事によって自分は社会にどう貢献しているか?」といった考えに行き着きます。そこに自分自身で意味を見出してもらい、視座を引き上げることが重要です。

例えば私たちの会社では、人材紹介会社さんから、「リブさんは皆楽しく働いていて、エンゲージメントが高いし、紹介した人も生き生き働いているんですが、何をやっているんですか?」と聞かれることがあります。

もちろんオンボーディング上の施策も影響していると思いますが、以前、弊社の人事がメンバーにヒアリングしたところ、結局自分のやりたいことをやれているのが一番の要因だと言っていました。

BtoBのビジネスでは、「お客様に貢献したい」ということでビジネスが始まることが多いのですが、企業側が売りたい商品を特定してしまうと、結果として本質的にお客様さんのためにはならないけどノルマがあるから売る、ということが起こることがあります。

しかし、私たちの会社では、コンサルティングを必要としている人たちに対して柔軟にサービスを提供することができます。こういった事業内容のど真ん中の部分を外すと、従業員のモチベーションは高まりません。

田中:なるほど。各会社で大事にしていること、そしてそれがどのように社会に貢献しているのかを常に意識させ続けることが大事ですね。本日は有難うございました。

※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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「【前編】プロフェッショナルファーム業界 経営者座談会~組織の30人の壁とその乗り越え方~」はこちら

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