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【後編】セールスフォース・ドットコム 不況、テレワークでも成果を出す組織づくりの秘訣

セールスフォース・ドットコムは、顧客管理や営業支援分野を中心にクラウドシステムを提供しているグローバルカンパニーです。1999年に設立し、2020年現在まで成長を続けています。

リンクアンドモチベーション主催の「モチベーションチームアワード2019 (素晴らしい組織変革に取り組んだ部署を表彰) 」を受賞、OpenWorkの「働きがいのある企業ランキング2020」でも1位を受賞されるなど、エンゲージメントの高い組織創りに成功されています。

コロナ禍による混迷期においてもエンゲージメントを高く保たれている秘訣について、マネジメントで意識されたことや、具体的な取り組みをお伺いします。

【セミナー実施日】
2020年6月22日 (月)

【スピーカープロフィール】
株式会社セールスフォース・ドットコム セールスデベロップメント本部 執行役員 本部長 鈴木 淳一 氏
株式会社セールスフォース・ドットコム セールスデベロップメント本部 エンタープライズ事業部部長 谷 正光 氏

【モデレーター】
株式会社リンクアンドモチベーション マネジャー 大澤 雷大

【ライター】
株式会社リンクアンドモチベーション マーケティンググループリーダー 沖田 慧祐
株式会社リンクアンドモチベーション マーケティンググループ 小笠原 有希

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  モチベーションクラウド|組織改善ならモチベーションクラウド モチベーションクラウドは、リンクアンドモチベーションがこれまでの組織人事コンサルティングのノウハウをもとに開発した国内初の組織改善クラウドです。組織のモノサシ「エンゲージメントスコア」をもとに「診断」と「変革」のサイクルを回すことで、組織変革を実現します。 株式会社リンクアンドモチベーション


マネジメントできている「つもり」になっていた

リンクアンドモチベーション 大澤(以下、大澤):それでは次に、実際の現場マネジャーである谷さんにもお話しをお伺いしてみたいと思います。セールスフォースでは、コロナ禍真っ只中の4月にモチベーションクラウドで組織診断サーベイを実施されていますよね。谷さんは現場のマネジャーとして、自部署の結果を見てどのように感じられましたか?

株式会社セールスフォース・ドットコム 谷正光氏(以下、谷氏):結果はエンゲージメントスコアが69.7、エンゲージメント・レーティングがAAA (※モチベーションクラウドによる組織の状態スコア。スコアは偏差値であり、50が平均。レーティングはスコアに応じて出るランキングで、DD〜AAAで表される) でした。

すごく良いスコアと言われるんですが、実は社内で私の部署が最下位なんです。この結果は4月下旬に出たものですが、その時期は従業員の安全やお客さまの状況を踏まえた上で、メンバーの業務課題を吸い上げ、活動していこうというタイミングでした。

実はサーベイ実施当時、「そこまで課題はないだろう」と思っていたのですが、結果は上司評価の項目が低かったんです。特に「支援行動」、「判断行動」「情報収集」項目の期待度と満足度にギャップがありました。


これを見たとき、ショックは受けましたが、一方でこの結果を見られてすごく良かったなと感じました。見えてきた課題でいうと、まずメンバーへの傾聴姿勢が足りない。そして、業務課題をしっかり把握できていない。私自身は把握していた「つもり」だったのですが、メンバーとはギャップがありました。

4月の前半はコロナ禍で、お客さまから事業運営を不安視するお言葉をいただいたり、本来なら接点が取れていたお客さまと音信不通になったりして、未曽有の状況下であることは十分承知の上であるものの、メンバーは自分の成果が上がらなくなっていました。

私はメンバーのプライベートや、テレワーク下で業務が回っているかどうかを気にかけていたのですが、メンバーは今やっていることが本当に自分の成果につながるのか、というところをを気にしていたんですね。

気遣いよりも、リアルタイムにお客さまの声を取り入れて情報発信し続けることが求められていました。今回のサーベイをきっかけにそれがわかったので、自分にとってもメンバーにとっても良かったなというのがこのスコアの振り返りです。

モチベーションクラウドはサーベイ実施することで次のアクションが明確になり、前進できるのが良いところです。サーベイ結果を見ると、メンバーの状態がわかるんです。過去もう何回もやってますし、何回もへこみましたが、数字をしっかりと受け止めて前進してきた自負があります。

大澤:コロナ禍ではコミュニケーションの方法を変えないといけない場合がありますよね。先ほど鈴木さんがご紹介されていた。テレワーク下で「マネジャーが意識すべきこと」が参考になりそうです。具体的にはどのように行動を変えられたのでしょうか?

谷氏:一番大きかったこととしては、1on1の中身を変えました。事前にアジェンダを決めて、メンバーの話を傾聴するようになりました。これまで、自分は4割程度しか話していないと思っていたのですが、サーベイ結果を受けてメンバーに聞くと、「いや、ほとんど谷さんしかしゃべってないですよ」と指摘をもらいまして…。やり方を見直しましたね。

メンバーがアジェンダを持ってきてくれるようになって、私も大きな気づきを得ることができるようになりました。良かったと思っています。

またその他で言うと、チーム会のやり方も変えました。チーム会もメンバー主体で内容を考えてもらうようになりました。1時間のうち、私は15分ほど業務連絡と数字の報告をする程度です。ナレッジ共有の場になり、主体的に意見が飛び交う環境を整備しています。

混迷期にこそ、組織状態を可視化する意味がある

大澤:このコロナの環境下でサーベイを実施することに対する迷いはありませんでしたか?

鈴木氏:この時期にやるべきなのかということについて、リンクアンドモチベーションさんにも相談しましたが、この時期だからこそ、これまでフツフツと眠っていた本質的な課題が顕在化し、見えるものがある、メンバーの声を聞くことができるチャンスであるという言葉をいただいたのです。私たちもエンゲージメントスコアが大幅に下がる覚悟でトライしました。

結果、本当にいろいろな声を聞くことができました。エンゲージメントスコアが上がっただろうと思っていたマネジャーが実はそんなに上がってなかったということもありました。やはり本質的な結果が出てきたので、この時期にサーベイを実施するのは良いことだというのが正直な感想ですね。

大澤:大変な状況だからこそ、組織状態を見える化することが大切ですね。ただ、サーベイを取るからには結果を役立てないといけないです。

鈴木氏:そうですね、サーベイを取るだけでちゃんとしたアクションプランを実行しなければ、逆に満足度が下がります。

サーベイ結果を受けて、1 on 1やチームミーティングを変えた

大澤:モチベーションクラウドの結果から立てた、アクションプランの事例を教えていただけませんか?

鈴木氏:例えば、私たちのやり方でいうと、各チームに結果をフィードバックし、アクションプランを2つから3つ決めます。決めたものに関して、マネジャー同士がペアを組んで進捗状態をチェックし合う、というかたちで管理しています。

また、モチベーションクラウドを導入してから大きく変わったのは、1on1のあり方です。どういうコンテンツで行なうのか、マネジャーとメンバーが話をしている比率はどの程度なのか、どれくらいの満足度なのかを考慮するようになりました。

さらに、チームミーティングのやり方も変わりました。これまでは、毎回同じことを一方的に伝えられるだけとか、ディスカッションの時間がまったくないとか。業務をやってるかをチェックされるだけの時間もありました。

本来は、皆んなが集まって議論すべき時間なので、ディスカッションをしたり、メンバーからアイデアをもらってチームの戦略を考えるといった参加型のミーティングにしたりなど、大きく変わりました。この2つがモチベーションクラウドによって大きく変わったものです。


エンゲージメントを高めることは、マネジメントの必須スキル

大澤:ありがとうございます。最後に、アフターコロナへ向けて意識されていることについてお聞かせください。

谷氏:そうですね、仕事というのは、制約条件がある中で、人的リソースがかけ算になるようにしていくことが大切だと思っています。先行きが予測できない状況であっても、その制限を理解した上で「今何をすべきか」にもう一度立ち返ることができれば、成果は出せるはずです。

鈴木氏:我々は、この先行きの不透明な状況におけるお客さまの状態を3段階で認識しています。まず、最初に会社を安定させる安定期、ビジネスを再開させる再開期、再度成長する成長期という3段階です。お客さまの段階を考えながらお客さまをフォローすることを常に意識してますね。

正直今は、あのリーマンショック以上のビジネスの変革が訪れていると思います。アフターコロナにおけるニュースタンダードに対して全員で考えていかなければいけません。

オンライン化はもう止めようもないですし、オンラインでメンバーのエンゲージメントを高めるのはマネジャーの必須スキルになると考えています。今の時期を過ぎれば何とかなる、という問題ではありません。今後ずっとテレワークで業務する方々も出てくると思います。

我々のやっていることが正解であるとか、上手くできているとは全く思っていないです。ただ、私たちが意識していることは、現場でお客さまと一番会話しているメンバーが最も解決策に近い位置にいるということです。

アフターコロナで成長できるかは「いかに変化に対応できるか」にかかっています。お客さまの変化を一番わかっているのは現場の皆さんなので、現場の声を聞くことが重要です。

モチベーションクラウドで現場の声を聞き、組織の改善を早めていくことに注力すると、変化に対応できる組織になっていくと思います。

モチベーションクラウドはツールとして使えるだけでなく、リンクアンドモチベーションの皆さんからフィードバックをいただけるのが非常に嬉しいですね。無茶ぶりをしても組織改善に対するアイデアをたくさん出してくれる良い会社さんだと思っています(笑)。

大澤:ありがとうございます。メンバーの可能性を信じて、エンゲージメントを高めていくと業績につながると信じ続け、手を打たれているのが一番のポイントだと感じました。

不況期や先行きがわからないような状況では、ともすると組織や人は後回しにされがちですが、どこまで組織と人を後回しにせず経営していくかが大事だと実感しました。本日は本当に有難うございました。

※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等はイベント実施当時のものです。

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