組織偏差値50台から70台へ。 前年比30倍の予算をかけた新卒採用で、組織が変わった。
株式会社PLAN-B

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様々な企業の中で閉じられていた組織人事のナレッジをシェアし、日本のベンチャー企業の発展に貢献していくことを掲げて開催している、「Strategic HR Summit」。「組織偏差値70の企業が実践するマネジメントの秘訣とは」をテーマに、株式会社エアークローゼット、株式会社PLAN-B、株式会社ユーザベースの3社に登壇いただきました。
HR2048独自編集でお届けする3回シリーズの第2回目は、ベストモチベーションカンパニーアワード2015で一位に輝いた、株式会社PLAN-Bに迫ります。

【イベント実施日】
2017年9月22日(金)

【プロフィール】
株式会社エアークローゼット 代表取締役社長 兼 CEO 天沼 聰氏
株式会社PLAN-B 代表取締役 鳥居本 真徳氏
株式会社ユーザベース 代表取締役社長(共同経営者) 稲垣 裕介氏
株式会社リンクアンドモチベーション 執行役員 麻野 耕司

組織偏差値50台から70台へ、劇的な変遷

麻野耕司(以下、麻野):「組織偏差値70の企業が実践するマネジメントの秘訣とは」をテーマにお送りしている今回のSHRS。株式会社エアークローゼットに続いて、株式会社PLAN-Bの代表取締役、鳥居本さんのお話しをおうかがいしていきます。

鳥居本真徳氏(以下、鳥居本氏):株式会社PLAN-Bの鳥居本と申します。私たちは2003年に創業した、15期目の会社です。SEO事業やビッグデータ事業を中心にデジタルマーケティング領域でサービス展開をしておりまして、社員は今320名ほどですね。海外に約100名、沖縄に約80名ほどのアルバイトがいますが、正社員としては100名強の会社です。私たちは、世界中の人々に「!」と「♡」をというミッションを掲げています。「!」は驚き、「♡」は感動と読みます。

BtoBの領域は、市場こそ伸びてはいるものの、決して顧客満足が高い領域とは言えません。その中で私たちは、今までにできなかったことをできるようにしたり、今までにあったサービスだとしても想像を超えるクオリティで提供したりすることでお客様に「驚き」を。そして「感動」については、おもてなしや思いやりを指します。テクノロジーとホスピタリティを武器に、IT業界にあって、リッツ・カールトンやディズニーのような、世界を代表するサービスカンパニーになりたいという志で事業展開をしています。

本日は、組織偏差値70の企業が実践するマネジメントの秘訣というテーマですが、2014年に初めてサーベイを実施したときは、「53.2/C」というスコアでした。その状態から、様々な施策を実施しながら、70を超えて「71.3/A」の組織状態にまでなったという変遷があるので、本日はそういった部分もお話しできればなと思っています。

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麻野:まさに、50台から70台まで、様々なスコアの組織状態を経験されていらっしゃると思います。スコアが高いときと低いときで、どんな風に会社の雰囲気が違うのかからお聞かせください。

鳥居本氏:私たちの会社の一番初めのサーベイスコアは「53.2/C」でした。その後、Aに変化していったんですが、まず53.2という低い状態のときは、本当に組織がバラバラで経営方針を発表したり戦略を伝えたとしても、組織が動いていかなかったですね。例えば「なんでそれをやる必要があるんだ」みたいなリアクションがあったり、もっと悪い場合では、無関心だったり。なぜそんな状態になってしまったのか、自分でも分からない状態でした。

一方でスコアが70点台に変わったときは、まさに真逆の状態。方針発表をすれば、私以上に現場の皆が「じゃあ、こうするべきですよね」と、新しいアイデアをくれたり、掲げるよりももっと高い目標を追おうという姿勢が見えたりと、会社を創る当事者の数が増えたという印象です。

麻野:ありがとうございます。では、特にどんなことにこだわってこの高いスコアが出たのでしょうか。

組織づくりは、理念を再策定することからはじめた

鳥居本氏:まずどういう組織をつくっていきたいかを決めなければならないと思いました。当事者意識を持って会社をつくる人間が何名いるか、ということが大事なので、そういった人材がモチベーション高く働けるような組織をつくっていきたいと位置付けました。そのときのスコアは53.2。

まず、PLAN-Bとしての理念を策定しようと、リンクアンドモチベーションさんにサポートしていただいて、会社は何のためにあり、われわれは何のために働くのかを言語化して、合計10個の指針をつくりました。指針は理念カードにして全員が持っているのですが、それらの浸透を目指して、結節点となるマネジメント層に対する研修を行ったのが、最初の施策です。

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麻野:組織偏差値を算出するエンゲージメントサーベイは、合計16個の領域で構成されていますが、相関度という考え方があります。「この項目が上がったら他の項目も上がりやすい、この項目上がっても他の項目上がりにくい」ということです。例えば、施設環境(オフィス)に関する項目が上がっても、他の項目は全然上がらないんです。オフィスが広くなったから理念に共感できるとか、オフィスが広くなったから上司を信頼できるということはイメージしにくいですよね。

そして、理念戦略という項目は一番相関度が高いんです。恐らく、理念に共感できていたら上司の言っていることも納得しやすいとか、戦略に共感できていたら評価も受け入れやすいということは、あるのだろうと思います。なので、理念戦略は大事なポイントです。一方で理念そのものは、どの企業にもあるものです。実際に、PLAN-B社にも以前から理念はあったと思うのですが、何をポイントとして変更し、どんな変更が良かったのか、教えてもらえたらと思います。

鳥居本氏:ポイントは、変更のときと浸透のとき、それぞれにあると思います。変更のときについてですが、以前は「この国を代表する会社をつくるんだ」みたいなふんわりとした言葉で、独自性がなかったんです。なので、言葉の“強弱”ではなく“違い”を意識して、日本一とか世界一というような強さではなく、我々だからという言葉をメッセージングしました。

また、言葉を変えることから端を発して、合わなくなってくる社員が出てくるかもしれないと思っていました。私たちのポリシーとして、社員本人がギブアップするまではこちらから勝手にイグジットはしないと決めているのですが、結果として、少数ではありますが、共感できないと言って辞めていく人はいました。ですが、こればかりは仕方ないと思っていました。痛みを伴う施策でもありましたね。

麻野:日本とか世界とかいうことではなく、他とどう違うのかを大切にしたということでしたが、その個性を規定するためにどんなことを考えたのでしょうか。

鳥居本氏:「今まで自分たちが大事にしてきたことって何だっけ?」ということと「これからどうなっていきたいんだっけ?」ということをベースに言葉を紡いで、最後に辿り着いた感じでした。ワーディングの最後は、降りてきたというような感じでしたね。

麻野:浸透フェーズは、どんな風に取り組まれたのでしょうか。

鳥居本氏:常に持ち歩けるように名刺サイズの理念カードの作成をしたり、社員総会で理念を最も体現した社員を表彰する制度を設けたりしました。あとはマネジメント層の強化ですね。表彰などは非日常なので、イベントとしての効果は高いですが、これらが浸透するかどうかは、結局日常会話が重要になってきますので、コミュニケーションの結節点となる部長やマネジャー向けに半年間のマネジメント研修を実施しました。

採用予算30倍。身の丈を超えた圧倒的な新卒採用を開始

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麻野:ありがとうございます。では、続いての施策についても聞かせてください。
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鳥居本氏:サーベイでいうと、理念策定と同様、全項目にインパクトするようなものから強化していきましたので、新卒採用ですね。将来メガベンチャーをつくっていきたいと考えている中で、今採用力で負けているということは、5年後は事業力で負けることになると位置付けました。即効力としては強くはなかったのですが、とにかく自分たちの身の丈を超えた人材を採っていこうと。組織偏差値が53.2の頃、会社の課題を書き出して、最終的に何が問題なんだろうかと考えていたのですが、入口が間違っているという結論に辿り着いたんです。

例えば、能力はあるけれども会社の考え方に合わない人材を採用してしまっていて、採用後の風土のすり合わせなどにコストがかかっているという、まさに報われない時間があることも分かりました。入口さえしっかりしていれば変わるだろうと直感的に思ったこともあり、まず採用強化しようと決めました。今までは、ナビ媒体に出す以外は一部エージェントさんからご紹介いただいて、PLAN-Bに入りたいっていう人の中から採用していました。ですが、誰から見ても優秀でどこの会社にでも行けそうな人材を口説く方針に変えました。

一人当たり採用するのにかけていた費用が、10〜15万円だったのですが、2017年の採用で一気に振り切って、一人当たり375万円かけましたね。12名採用だったので、4千万円かけた計算になります。

麻野:2017年の新卒採用で、会社が変わっていった感覚はありますか。

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鳥居本氏:変わりましたね。2017年4月入社なので、半年ぐらいですが、スタンスも能力も圧倒的に違います。「あ、こういう人材が本当に優秀な人材なんだな。それこそ、10年前から新卒採用にこれだけの力をかけていれば、全く別の会社になれていただろうな」と思ったほどです。

優秀な新卒社員を採用できたことは、既存社員の育成にも大きくインパクトしました。採用シーンに全社員の内の70%強が登場するんです。PLAN-Bの理念や事業、仕事のやりがいや将来の夢などを、採用の様々な場面で話すんですが、自分の思いや考えを言葉にして誰かに話すことにより、一人ひとりのモチベーションがどんどん上がって、ビジネスパーソンとしても成長していきましたね。PLAN-Bでは、新卒採用の費用の半分は、育成費用だと捉えるようになりました。

麻野:なるほど。面白いですね。改めて、理念を浸透させるときに大事なのは、入口と出口だなと思います。鳥居本さんのお話にもありましたが、「理念を守ってもらえないのならうちの会社には居てもらえないです」と言うくらい強いコミュニケーションを取らないと、理念は浸透していかないと思います。「できたら守ってください」だと、日常業務に流されていくので。新しい理念に合わない人が辞めたというお話しもありましたが、そういうプロセスを踏まないと理念は浸透しないですね。

スキル重視でマインドが合わないタイプの人材を採用すると、チューニングが大変です。それから、スキルじゃなくてマインドと言いがちですが、スキルとかポテンシャルは低くてマインドが高い人ばかりでも組織力は上がりません。マインドもポテンシャルも高い人を採るために、採用力を圧倒的に強化するしかないんですよね。また、社員が採用を通じて語ることで、理念が浸透していくというのは、非常に上手いやり方だなと思いました。では最後、コミュニケーション強化について。

個人面談の場を提案の場にすることで、批評家をなくす

鳥居本氏:新卒採用を変えたときに思ったことです。今組織で起こってる問題を考えたとき、ひとつは入口が間違っているということですが、もうひとつがコミュニケーションによって起こっているということでした。なので、コミュニケーションに対して、徹底的に時間もお金も投下しようと決めました。一番効果的だと思うのは、毎月の個人面談です。マネジャーとメンバー間で、約一時間。マネジャー側からしたら、全メンバーに対して一時間ずつ取ることになるので、負担が大きい施策ですが、非常に効果的だと思います。
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面談では、求める成果や望ましい在り方に対して認識のズレがないかの合意形成を定期的に行います。日々の仕事の中でついつい目線が下がってきてしまったりするときでも、この時間で引き上げられたり。今やっていることの意義が見出せない瞬間があったとしても、そのタイミングで「将来どうなりたいんだっけ?」という時間軸を広げて、今取り組んでいる仕事の価値の再定義ができたり。細かなチューニングができていることで、納得感の醸成にもつながって、モチベーションを維持できているように思います。

それから、この個人面談の場は、提案の場という風にも位置付けていて、「会社に何か提案がないか」は必ず聞くようにしています。仕事をしていると、どうしても批評家みたいになってしまう瞬間があると思うんです。飲み会に行ってネガティブな話をしてしまうような。なので、飲み会でもどこでも「本人に言えないことは言うな」というルールを決めているんです。陰口はださいぞ、と。その代わり、月に一度の面談での提案の機会をオフィシャルに設けて、何か会社に言いたいことがあったら言える仕組みにはしています。

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麻野:個人面談を提案の場にするというのは、面白いですね。やはり、当事者意識の醸成は大事ですね。サーベイのスコアリングなんかも下手をすると、「会社に点数付けてやる」「上司に点数を付けてやる」と、社員が評論家的になっていくリスクがあると思うんです。大切なのは、自分自身に点数を付けているとか、自分たちがスコアを良くしていくんだという感覚を醸成できるかなんですよね。

エンゲージメントスコアが低い組織状態のときは、心理的安全性が低いので、組織に対して提案してもきっと何もやってくれないだろうと思ってしまう可能性が高い。そうすると、せっかくの提案の場が活きなくなってしまいます。提案の場が必ず活かされるために、何かされていることはあるのでしょうか。

鳥居本氏:やはりマネジャーだと思います。個人的にマネジャーに伝えているのは、マネジメントをする立場になって最初にやるべきは、信頼のインフラを構築することだ、ということです。相互信頼がないと、心理的安全が担保されないので、本音でネガティブなことを言ったら、上に報告されて評価が下がると思うはずです。なので、信頼のインフラをつくることから始めさせます。最初は雑談ベースの面談でもいいんです。ゆくゆく関係性ができてきたら「最近何か思ってることない?」と聞くだけで、メンバーからすっと言葉が出てくるようになります。

麻野:なるほど。マネジメント層に信頼インフラの構築を徹底させることで、メンバーの心理的安全を保障するということですね。組織偏差値70を超えるPLAN-B社が実践するマネジメントの秘訣ということでは、「言葉を再定義する」「入口と出口の管理」「個人面談を会社への提案の場にするという三つが参考になるお話だと思いました。非常にオープンにお話しいただき、ありがとうございました。

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次回は、「組織偏差値70の企業が実践するマネジメントの秘訣とは」をテーマに、株式会社ユーザベースに迫ります。
10月25日公開予定です。