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株式会社ジェーシービー 「徹底的な対話」で組織を活性化し、業務変革を実現

「モチベーションチームアワード」とは、リンクアンドモチベーションが毎年開催している、従業員エンゲージメントを高め、組織変革を実現した「部署」を称える祭典です。

2025年度は、モチベーションチームアワードの優秀賞に選出された中でも傑出した変革を遂げた4部署にインタビューを実施しました。

部署単位で変革がいかにして行われたのか。
事例を通じて、組織変革に挑む管理職や人事の方々に、実践のヒントをお届けします。

本記事でご紹介するのは、株式会社ジェーシービー会員サービス部(大阪)様の事例です。

【お話をお伺いした方々】
株式会社ジェーシービー 業務プロセス本部 会員サービス部

・次長(変更業務グループ担当) 伊藤 良孝 氏

・次長(変更設計グループ担当) 福田 佳代子 氏

・推進役(変更業務グループ担当) 出口 崇 氏


部署名   会員サービス部(大阪)
事業内容  お客様会員情報の諸変更など
部署規模  47名

事業の変化

  • 組織風土の変革によって、業務のデジタル化や自動化を実現中
  • ラインをまたいだ協業開発案件が昨年度から倍増

組織の変化

  • 組織のグループ間で不満が表出する組織から、グループ間で助け合う組織へ
  • 自組織だけの変化は”損”だと捉える組織から、自分たちのために変化を選ぶ組織へ

業務変革を推進するために組織の活性化が不可欠だった

はじめに、組織変革に取り組んだ目的を教えていただけますか。

伊藤氏:JCBは今期から新たな中期経営計画の年度に入り、私たち「会員サービス部」が担っている諸変更業務においては、ペーパーレス化や自動化、これに伴う業務再配置といった動きが加速しています。こうした業務変革をよりスムーズに実現するためには、組織の活性化が不可欠です。そのために今回、「組織活性化プログラム」の実施を決めました。

変革の過渡期に表面化した不協和音

組織変革に取り組む前、貴部署の事業はどのような状態でしたか。

伊藤氏:近年のカード会社はデジタル化・自動化をどんどん推進していかないと、コスト構造的に他社に後れをとってしまいます。会員サービス部が担っている、お客様情報等の「諸変更」という業務はまだまだ紙による処理も多く、デジタル化・自動化が遅れています。ですから、急ピッチで進めているところで、それに伴って仕事のやり方を変えています。

私たちの組織は、「設計グループ」「業務グループ」の2つのグループに分かれているのですが、設計グループは新たなシステムの保守・メンテナンスが想定の工数を超えひっ迫し、業務グループは業務の変更に伴う過渡期対応が重なり、現場の混乱を招いていました。

その一方で、事業計画としてデジタル化・自動化が進むと、人はこれだけ減っていくということが決まっています。こうしたなかで、メンバーは変わっていくことに対する不安を抱えていたように思います。

組織の状態はいかがでしたでしょうか。

伊藤氏:仕事のやり方が変われば手戻りが増えるなど、局地的に忙しくなることがあります。少し前には1日で処理できない仕事が日をまたいで、どんどん溜まっていくような状態が半年くらい続くことがありました。その時期は、組織の雰囲気も決して良かったとは言えません。他のラインにしわ寄せがいくことも多く、「○○のせいで…」というように、すさんだ空気が漂うことすらありました。

福田氏:モチベーションが低く、組織がうまく回っていないときは、どうしても不協和音が生まれます。「私たちがやっているのに、何であの人たちは帰っているの?」というような声も聞こえてきました。組織があちこちで「きしみ」を立てているような状態でした。

たとえばですが、PCなど会社の備品はID管理をしますよね。ID管理は私たちのラインが担当していたのですが、あるメンバーから「ID申請をしているのに対応してもらえない」という声が上がってきました。双方に事情を聞いてみると、「申請方法が間違っているから対応できない」「そもそも申請方法を教えてもらっていない」「いや、案内しているはずだ」というように、認識の食い違いがあることがわかりました。このようなコミュニケーションギャップから、不満が表面化するケースも少なくありませんでした。

300超の課題に向き合った「対話会」

今回の「組織活性化プログラム」の取り組みの内容について教えていただけますか。

伊藤氏:まず、モチベーションクラウドのサーベイを実施し、その結果を4人の管理職で読み込みました。全体的に数値が低く、多くの課題が明らかになりました。ですが、すべてに対応するのは難しいため、まずはコミュニケーションに対する課題にフォーカスし、その対策として徹底的な「対話会」をおこなうことを決めました。

設計グループも業務グループも人数が多いので、細かくグループを分けました。全員が考え、発言できるよう5~6人を1グループとし、1回あたり1.5~2時間の対話会を実施しました。回数は20回以上に及びます。加えて、各グループから代表者を選出し、代表者同士が他のグループの課題について話し合う対話会もおこないました。

最初の対話会では、メンバーにサーベイの結果を見せながら、「今の組織はこういう状態で、特にコミュニケーションに問題がある」という話をしました。さらに、組織の現状について「思い当たること」「原因と思われること」を具体的に洗い出してもらいました。その結果、300以上もの課題があがってきました。

こうした課題を踏まえながら、組織を「活性化」することについて対話をしました。「活性化している組織とは?」「なぜ活性化するのか?」といった点で共通認識を形成するための議論です。最終的に「活性化した組織と非活性な組織、どちらが良いか?」を確認したところ、誰もが活性化した組織を望みました。300以上出てきた課題も、活性化した組織であれば、そのほとんどが問題にならないという結論に至りました。

300もの課題に向き合う対話会は大変だったのではないでしょうか。

伊藤氏:300個も課題が出れば、名指しはしていなくても「これ、たぶん私のことです」というように、特定の個人やお互いのグループを非難する内容もあります。ですが、そこで反論したり非難し返したりしていても、組織は活性化しません。「自分たちのグループは隣のグループからこういうふうに見えている」という事実に向き合い、活性化した頭で「じゃあ、うちのグループはどうするべきか?」をみんなで話し合いました。

対話会では、「活性化した組織になると、自分たちが損をすることになるのでは…」という意見も聞かれました。活性化した組織では、メンバーが前向きに仕事をします。自分たちの仕事を限定せず、協力を惜しみません。そうなると、頼まれごとがすべて自分たちに回ってきて、さらにひっ迫するのではないかという懸念ですね。

こうした懸念に対しては、「会員サービス部の全員が活性化するから大丈夫。みんなが協力的になるから、自分たちだけ損をすることはないよ」と伝えました。そうすると今度は、「部全体が活性化すると、他部署との関係で損な役回りになるのでは…」という懸念も出てきます。

たしかに、会員サービス部は他部署から無理難題なリクエストを受けることもあり、言わんとすることはわかります。こうした難しいリクエストに対しては、部内で「判定会」を実施したうえで、諾否を決めることにしました。1人で応えようとする必要はなく、組織としてどうするかを考えるということです。

今回の取り組みは一定の成果につながったとお伺いしています。その要因はどのような点にあったとお考えですか。

福田氏:実は、以前に「大阪改革」という名称で、組織変革に取り組んだことがありましたが、なかなか思うようにいきませんでした。ルール作りなどをしたのですが、そんなにうまくいかないですよね。

今回の「組織活性化プログラム」も人事部から降りてきたこともあり、「やらされ仕事」になりかねません。ですが、「やらされ仕事で取り組んでも組織は変わらない」ということは、「大阪改革」の経験からも明らかでした。中心になる管理職が一つになり、メンバーを引っ張っていかないと組織を活性化させることはできません。今回は、管理職が一体となり、ブレない姿勢で働きかけ続けたことが、成果につながったポイントだと思っています。

私も取り組みが始まる前は、自分自身、活性化できていないところがありました。ですが、伊藤さんがすごいリーダーシップを発揮して、一歩引いていた私を前に引っ張って、当時管理職メンバーだった同期の西條さん(25年10月異動で転出)が背中を押して前に進むことで活性化させてくれました。

伊藤氏:「本気で組織を良くしたい」「本気でみんなが幸せに働ける環境をつくりたい」という思いが強くあったんです。そういう気持ちがメンバーに伝わったのかなと思います。

福田氏:管理職が一致団結してスタートした取り組みですが、「自分たちの組織の課題なんだから、自分たちで解決していこう」と伝え、具体的な対策はメンバー主体で考えてもらいました。この点も良かったのかなと思っています。メンバーたちも「文句ばかり言っていてもダメだ」「私たちがやらなきゃ」というように、変わろうという姿勢が垣間見えました。

出口氏:組織を活性化させる目的もうまく伝えられたかなと思います。こういう取り組みって、総じて「組織のために頑張ろう」というメッセージになりがちですが、そう言ってもたぶん響きません。ですから、「自分たちが働きやすい職場にするために、組織を活性化しよう」という伝え方をしました。

部門の壁を越えたコミュニケーションで、「やります」と言える組織へ

今回の「組織活性化プログラム」によって、どのような成果がありましたか。

伊藤氏:従来の枠組みにとらわれず、能動的に取り組む活動が増えています。たとえば、設計グループにおけるシステム保守・メンテナンスのひっ迫に備えて、業務グループのメンバーが一部のシステムの扱い方を学ぶような研修も始まっています。

必要とされる仕事が変化することを前向きに捉えて新しいスキル習得に立候補するメンバーが、職制を問わず大幅に増えました。また、グループをまたいだ協業開発案件は、昨期の12件から今期は21件と倍増しています。

組織風土にはどのような変化がありましたか。

福田氏:今回の活動を通して、設計グループと業務グループの間にあった「見えない壁」が取り払われ、コミュニケーションが活性化しました。管理職を通り越して、担当同士でコミュニケーションを図るシーンも増えています。メンバーからも、「以前より話しかけやすくなった」「壁を感じなくなった」という声が聞かれるようになりました。

伊藤氏:仕事への取り組み方にも良い影響が表れています。「また面倒な仕事を押し付けられた…」「何で私たちが…」という考え方から、「わかりました、やります」という姿勢に変わってきました。前向きに取り組めば周囲が協力してくれる、良い結果につながって感謝されるといったことを実感できるようになっているのかなと思います。

「活性化」した今の状態を文化として定着させる

最後に、今後の展望をお聞かせいただけますか。

伊藤氏:今は良い波に乗れていて、みんなが「活性化した組織のほうが居心地が良いね」ということを共有できている状態です。ただ、活性化というのはグラデーションであり、油断すればすぐにマイナスのほうに転じてしまうと思います。「2:6:2の法則」で語られるように、ちょっとしたきっかけで活性・非活性のどちらにも傾く6割を、いかに活性化した状態に寄せておけるかが重要です。ここは、管理職のマネジメントが鍵を握るところなので、より管理職間で認識共有を強化していきたいと思っています。

活性化した状態でいるための一つのポイントが、メンバーのキャリアプランと、会社の方針がうまく噛み合っていることだと思います。そこをフォローできるような仕組みもつくっていきたいですね。

福田氏:私たちが世代交代をしても、今のモチベーションをキープしてもらいたいと思っています。今回の取り組みを通して活性化された状態を文化として定着させていきたいですね。

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