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人事戦略とは何か?意味や戦略人事との違い、立て方などを徹底解説

組織の成功と持続可能な成長を実現するためには、人事戦略と経営戦略の緊密な連携が不可欠です。具体的には、職務や役割の明確化、適材適所の人材配置、評価・処遇システムの見直し、そしてマネジメント人材の採用と育成が重要です。これらの要素は、組織の効率的な運営と目標達成に不可欠な要素であり、その実践によって組織全体のパフォーマンスを最大化する方法となります。

本記事では、効果的な人事戦略の策定と経営戦略との連動方法に焦点を当て、その重要なポイントについて解説します。 

目次[非表示]

  1. 1.人事戦略とは?
  2. 2.人事戦略の必要性・重要性
  3. 3.求職者は企業に何を求めている?
  4. 4.人事戦略を策定する手順
  5. 5.人事戦略と経営戦略を連動させる際のポイント
  6. 6.人事戦略のことならモチベーションクラウド
  7. 7. まとめ

人事戦略とは?

人事戦略とは、組織の全体的な目標とビジョンに合致するように、人的資源を計画、配置、管理する方法を指します。この戦略は、組織の成功に不可欠な役割を果たします。主な目的は、適切な人材を引き付け、育成し、維持することにあります。

まず、人事戦略は組織の長期的なビジョンと密接に結びついています。これには、業務の性質、組織の文化、将来の成長計画などが含まれます。戦略はこれらの要素に基づいて策定され、組織が目指す方向性に合った人材を確保することを目指します。

次に、人材の採用と開発が重要です。適切な人材を採用するためには、明確な職務記述と資格要件が必要です。また、従業員のスキルとキャリアの発展を支援するための継続的な教育とトレーニングプログラムが求められます。

加えて、人事戦略は柔軟で進化し続けるものでなければなりません。市場の変化、技術の進歩、働き方の多様化などに対応し、継続的に戦略を調整していく必要があります。

人事戦略に似ている戦略人事との違い

戦略人事は、組織の長期的な目標とビジョンに沿って、人的資源の管理を行うアプローチです。これには、従業員の採用、育成、保持、評価、および報酬などが含まれます。戦略人事の主な目的は、ビジネスの成功を支えるために、適切な人材を確保し、発展させることです。このアプローチは、組織の総合的な戦略と密接に結びついており、経営層と人事部門が緊密に連携して実施されます。

一方、人事戦略とは、組織の全体的な戦略に基づいて、人的資源の管理を計画し実施するプロセスを指します。人事戦略の焦点は、組織の目標達成に必要な人材を確保し、その能力を最大限に活用することにあります。これには、効果的な採用方法、従業員のスキル開発、パフォーマンス管理、報酬と福利厚生の戦略などが含まれます。

戦略人事と人事戦略の主な違いは、その焦点と範囲にあります。戦略人事は、組織全体の戦略と直接結びついており、ビジネスの成功を目指して人的資源を管理します。一方で、人事戦略は、組織の全体的な戦略に沿った人的資源の管理方法を指します。ここでは、組織の長期的な目標に合わせて最適な人材を確保し、育成することが重視されます。

戦略人事はビジネス戦略と密接に結びつき、組織全体の成功を目指すのに対し、人事戦略は特定の人事関連の課題に対応し、組織の長期的な目標達成に貢献することを目的としています。

人事戦略の必要性・重要性

人事戦略の必要性と重要性は、現代の組織運営において中心的な役割を果たします。主に以下のような要因で人事戦略はその重要性を高めています。

組織目標の達成

人事戦略は、組織の全体的な目標と密接に連携しています。この戦略を通じて、組織は適切な人材を確保し、そのスキルと能力を組織の目標達成に向けて最大限に活用することができます。

組織文化と従業員満足度の向上

組織の文化は、従業員の行動や意思決定に大きな影響を与えます。適切な人事戦略は、肯定的な職場文化を築き、従業員の満足度とエンゲージメントを高めることに貢献します。

変化への対応能力

市場や技術の変化に迅速に対応するためには、適応能力の高い人材が必要です。人事戦略は、変化に対応するためのトレーニングやスキル開発を計画することによって、この柔軟性を支援します。

求職者は企業に何を求めている?

働きやすさ

2023年卒業の就活生を対象にした調査によると、彼らが企業選びで最も重視しているのは「働きやすさ」です。しかし、多くの就活生が「働きやすい企業の探し方が分からない」と感じており、この点が課題となっています​​。
(出典:PRTIMES「【23卒の就活生の企業選びの軸】1位は「働きやすさ」、しかし「働きやすい企業の探し方が分からない」と答えた就活生は78%と課題あり」

フレックスタイム制度と在宅勤務

2023年卒の大学生を対象にした調査では、「フレックスタイム制度」が最も魅力的だとされており、74.8%の学生がこれを求めています。また、「在宅勤務」に魅力を感じる学生も50.1%に上り、会社選びの重要な要素となっています​​。
(出典:マイナビ「2023年卒大学生就職意識調査」)

安定性とノルマの負担

多くの学生が「ノルマのきつそうな会社」を避け、安定性を重視しています。また、転勤の多い会社も避ける傾向にあり、これは共働き志向の高まりと関連していると考えられます​​。
(出典:ネオキャリア「【最新版】中途採用の市場動向|求職者が転職において重視するポイント」

これらの結果から、求職者は働きやすさ、柔軟な勤務形態、安定性を重視しており、企業側もこれらのニーズに応えるべく努力する必要があることが分かります。特に、働きやすい環境の提供や、多様な働き方に対応することが、求職者の満足度を高め、優秀な人材を引き付ける重要な要素となっています。

人事戦略を策定する手順

人事戦略の策定には、一般的に複数のステップが含まれますが、ここでは3つの主要なステップに焦点を当てて説明します。

組織のビジョンと目標の特定

人事戦略の第一歩は、組織の全体的なビジョンと具体的な目標を特定することです。このプロセスには、組織の長期的なビジョンの理解、現在の市場環境や業界動向の分析、および企業のコア価値とミッションの確認が含まれます。

この段階では、組織のリーダーや関係者との緊密なコミュニケーションが不可欠であり、組織全体の目標と人事部門の目標が一致していることを確認する必要があります。また、組織が直面している主要な課題や機会を特定し、これらの要素が人事戦略にどのように影響を与えるかを検討することも重要です。

人的資源のニーズの分析

次に、組織の目標を達成するために必要な人的資源のニーズを分析することが重要です。これには、現在の従業員のスキルセットと能力の評価、将来の事業計画に基づく人材の必要性の予測、および現在の人事プラクティスと将来のビジョンとのギャップ分析が含まれます。

また、労働市場の動向、採用の難易度、従業員の流動率などの外部要因を考慮することも大切です。このステップでは、従業員の継続的な育成とキャリアパスの計画、必要なトレーニングと開発プログラムの特定、そして組織の将来の成長に合わせた人材の確保と育成の戦略が策定されます。

戦略の実行と評価

最後のステップは、策定された人事戦略を実行し、その効果を定期的に評価することです。戦略の実施には、明確な行動計画の策定、必要なリソースの割り当て、および関係するすべてのステークホルダーに対する明確なコミュニケーションが含まれます。

また、実施された戦略の効果を評価するために、定量的および定性的なパフォーマンス指標を設定し、これらの指標を定期的に監視し分析することが重要です。この段階では、戦略の効果を測定し、必要に応じて調整や改善を行うことが求められます。

人事戦略と経営戦略を連動させる際のポイント

人事戦略と経営戦略の連動は、組織の目標達成と持続可能な成長において中心的な役割を果たします。ここでは、人事戦略と経営戦略を連動させる際のポイントについてご紹介します。

それぞれの職務や役割を明確にしておく

組織内の各職務や役割の明確化は、効果的な人事戦略の基盤です。各職員が担当する責任と期待される成果を明確にすることで、従業員は自分の役割を理解し、組織の大局的な目標に貢献することができます。この透明性は、従業員のモチベーション向上と効率的な業務遂行にも寄与します。

組織内の各職務や役割の明確化は、組織の構造を整理し、各個人が自分の役割を適切に果たすことができるようにするための重要なステップです。明確な役割定義により、従業員は自分の仕事に集中し、目標達成に向けて努力することができます。また、従業員が自分の責任範囲を理解することで、チーム内での協力やコミュニケーションも円滑になります。

適材適所を意識した人材配置を行う

人材を適切なポジションに配置することは、経営戦略と人事戦略の連動において非常に重要です。組織の成功には、個々の従業員のスキル、経験、キャリアの目標を考慮した適切な配置が不可欠です。さらに、従業員の配置は、組織の成長と繁栄に直結しています。

適切な人材配置には、以下の要素が含まれます。

  • 従業員の能力や専門知識に基づいた役割の割り当て
  • チームの組成とコラボレーションの促進
  • 上司や部下との相性とコミュニケーションの考慮

適材適所の原則に基づく配置は、従業員の満足度を高め、組織全体の生産性を向上させる効果が期待できます。また、従業員が自身の能力を最大限に発揮し、組織の目標達成に貢献することができるようにします。したがって、人材配置は経営戦略の一環として重要な要素であり、戦略的な視点から慎重に検討する必要があります。

評価・処遇を見直す

従業員の評価と処遇システムの見直しは、人事戦略と経営戦略の連携を強化する上で不可欠です。これにより、組織が従業員の成果を正当に評価し、適切な報酬や昇進の機会を提供することができます。

また、公平かつ透明な評価システムの確立により、従業員は自身の努力や成果が適切に評価されることを確信し、より一層のモチベーションを持つことができます。従業員のモチベーションの向上は、組織の目標達成に直結し、長期的な従業員の維持にもつながります。したがって、従業員の評価と処遇システムの見直しは、組織の成長と成功に不可欠な要素となります。

従業員の評価と処遇システムの見直しは、組織における従業員の働き方や成果を適切に評価するための重要な取り組みです。公平かつ透明な評価基準を確立し、従業員が自身の評価結果に納得しやすい環境を整えることが求められます。

マネジメント人材を採用・育成する

経営戦略を実行するためには、優れたリーダーシップとマネジメントスキルを持った人材が必要です。しかしながら、これだけでは十分ではありません。効果的なリーダーとマネージャーを採用し、育成することで、チームを効率的に運営し、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。

また、組織内の潜在的リーダーを見つけ出し、育成するためには、リーダーシップ開発プログラムを導入することが重要です。このプログラムは、リーダーシップの重要性を理解し、リーダーシップスキルを向上させるための手段として非常に有効です。

さらに、組織内のコミュニケーションを強化し、チームビルディング活動を実施することも推奨されます。組織全体のビジョンと目標を明確にし、従業員が組織に共感し、意欲を持って働ける環境を整えることも重要です。

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まとめ

本記事では、人事戦略と経営戦略の連携を強化するための具体的な手法について解説しました。職務や役割の明確化から始まり、適材適所に基づく人材配置、公正かつ効果的な評価・処遇システムの構築、そしてリーダーシップとマネジメントスキルを持つ人材の採用と育成に至るまで、各ステップは組織の効率と成果を高めるために不可欠です。このプロセスを通じて、組織はその潜在能力を最大限に発揮し、競争力を維持することが可能となります。

執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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