契約社員とは?正社員との違いやメリット・デメリット、転職時の注意点を解説!
高度経済成長期では終身雇用・年功序列が一般的な雇用形態でしたが、企業の生存戦略や働き方の多様化により契約社員として期間が定まった雇用形態が増えてきています。昨今では同一労働同一賃金や無期転換ルールなどによる待遇面での改革も注目されていますが、実際に契約社員と正社員にはどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では基本的な正社員との違いや、企業が契約社員の制度を活用する際のメリット・デメリットなどをご紹介します。
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契約社員って?
「契約社員」とは、正社員とは異なり定められた雇用期間がある「有期労働契約」を結んでいる従業員のことを指します。
雇用期間は労働基準法で定められており、最長3年とされています。一般的には1年間の労働契約を締結し、1年ごとに契約の更新・終了が判断されています。
企業と契約社員の間で合意がある場合には、次の契約期間を定めて雇用契約が継続され、契約期間を満了した段階で更新しない判断がされた場合には退職という扱いになります。
ただし、契約終了となると契約社員自身は転職先や仕事を探す必要があるため、突然契約終了が知らされると生活環境を整えることが難しい場合があります。そのため、
・有期労働契約が3回以上更新されている
・1年を超えて継続している
という場合は、企業は契約終了の30日前までに更新を継続しない旨を契約社員に伝えるように指導されています。(参考:厚生労働省「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」)
また、「契約社員」という呼び方は一般的に使われていますが、法律上では雇用区分として明記はされていません。そのため、同じような意味合いで「契約社員」「非常勤」「嘱託」「臨時社員」「準社員」「パートナー」などの呼び方がされています。
契約社員と正社員の違いについて
契約社員と正社員では雇用期間の他に、報酬の体系や働き方にも同じ点/違う点があります。求職者はもちろんですが、企業側としても契約社員に期待することを明確にする必要があります。ここで代表的なものについて確認していきましょう。
雇用主との関係の違い
雇用主と労働者の間での契約の仕方には「直接契約」と「間接契約」が存在しており、それぞれ下記のような違いがあります。
・直接契約:雇用主と労働者が直接契約書をかわして契約を結ぶ形態
・間接契約:派遣会社を通じて契約を結ぶ形態
契約社員は正社員と同様に雇用主(給与の支払い者)と「直接契約」を結んでいます。
雇用期間の違い
先述したように、契約社員は雇用契約で定めた最長3年までの雇用期間が存在しており、雇用期間が満了するタイミングで雇用の継続や終了が判断されます。一方で、正社員には雇用期間がない無期雇用の形態がとられています。
ボーナスの違い
法律上はボーナスや賞与の支払いは企業に義務付けられていません。企業が定める制度やルールに沿ってボーナスの金額や支給方法が定められていますが、正社員と契約社員ではボーナスの扱いが異なる場合が多く見受けられます。
昇進・昇給の違い
多くの場合正社員には役職や等級が設定されており、昇進やそれに伴う昇給のルールも存在します。一方で、契約社員は職務の内容や雇用期間などが限定されているため昇進する機会が少ない場合や、昇進自体が無い場合があります。
副業・兼業の違い
法律上は正社員と契約社員で副業・兼業の制限や違いは定められていないため、企業ごとが定める制度・ルールに任されています。就業規則や雇用契約に副業・兼業の扱いが記載されている場合が多いため、契約締結時に雇用主と労働者が共に確認する必要があります。
休日・休暇の違い
労働基準法で定められている「年間105日以上」の休日・休暇については、正社員と契約社員のどちらにも適用されます。それ以上の休日・休暇の日数や取り方については、企業ごとが就業規則や雇用契約の中で定めています。
転勤の違い
契約社員は転勤が少ないイメージがありますが、法律上では正社員と契約社員で転勤の有無で違いは定められていません。しかし、雇用条件として就業場所や転勤の有無を明記することは定められているため、そこに「業務の内容によっては転勤を命じる場合がある」といった記載があれば契約社員でも転勤の対象となります。
福利厚生の違い
慶弔休暇や見舞い金、住宅手当といった福利厚生の有無や内容については、法律上で義務付けられているものはなく企業ごとに定められています。正社員と契約社員で、利用できる福利厚生や適用範囲で違いがある場合が多く見受けられます。
社会保険の違い
健康保険や厚生年金など社会保険への加入は、基本的には正社員と契約社員で同様に扱われています。ただし、社会保険の内容ごとに労働日数や労働時間、年齢などで一定の条件があるためその部分では条件に違いがあります。
退職金の違い
退職金の有無は正社員と契約社員に関わらず法律では定められていません。退職金を支給するかやその金額については、企業の定める就業規則や雇用契約で定められています。一般的に退職金は「長期間の労働」に対して支払う報酬としての意味合いが強いため、契約社員には支給されない場合が多いでしょう。
解雇予告の違い
労働契約法によって、やむを得ない理由を除いて契約期間中に労働者を解雇することは禁止されています。こちらは正社員と契約社員で扱いが異なるものでは無いため、雇用主は前もって解雇予告を行う必要があります。
契約社員を雇う企業のメリット・デメリット
雇用形態はあくまで雇用主と労働者の間でどのような関係性をつくるかを定めるものです。そのため、「契約社員は正社員に劣っている」「契約社員は都合が良い」というものではなく、多様な働き方に適応するための1つの手段として活用することが求められています。しっかりとメリット・デメリットを把握した上で、自社なりの契約社員の活用の仕方を考えていきましょう。
メリット
特化した業務内容を任せられる
契約社員は雇用契約を結ぶ際に、担当する職務内容や業務範囲を定めます。雇用契約の中で定められていない業務については基本的に担当することはありません。そのため、労働者の得意分野や特技を活かした業務に集中して取り組んでもらうことが期待できます。
ワークライフバランスの充実を提供しやすい
特に国内では、正社員は多くの場合働く時間や場所を指定され、企業側はそれを保障する努力が求められます。一方で、契約社員は契約の際にそれぞれの状況に合わせた雇用契約を結ぶため、労働者側にワークライフバランスの充実を感じてもらいやすいでしょう。
デメリット
雇用期間に制限がある
契約社員は最長3年の雇用期間が定められているため、どこかで契約更新・終了を告知するタイミングがあります。そのため、しっかりと契約の継続や終了の理由を伝える必要があるため、担当者に負担がかかる場合もあります。
待遇に対する不満が挙がる
正社員と契約社員では職務内容や責任の範囲に違いがあるため、適用される人事制度にも違いがある場合が多いでしょう。しかし、その内容や背景への納得感が無いと契約社員から待遇への不満が挙がる場合があります。
多様な人材が活躍できる、エンゲージメントの高い職場づくりを
ここまで、契約社員について説明をしてきました。契約社員は、正社員とは待遇面で異なる面が多くあります。こうした違いから、契約社員は正社員よりも、モチベーションを高めることが難しいのでは、と考えられるかも知れません。
しかし、従業員のモチベーションを高める要因には、社会保険料や賃金などの「経済的報酬」だけではないということがポイントです。
「経済的報酬」ではなく、従業員のモチベーションの源泉になりうるもの、それは「感情報酬」です。感情報酬とは、仕事のやりがい、獲得できるスキル、一緒に働く仲間との関係性、ミッションへの共感など、個々人にとって、意味や価値が大きく異なる性質を持っています。
例えばAさんにとっては魅力的でも、Bさんにとっては全く気にならないこともあります。
この「意味報酬」を上手く会社がコントロールし、従業員の心をつかむことができれば、経済的な報酬の何倍もの魅力を提供できます。いうなれば、「原価ゼロの報酬」とも考えられるでしょう。
従業員のモチベーションを上げるためには、給与、昇給といった経済的報酬と、無形な「感情的報酬」の両面を設計し、戦略的にアプローチをすることが重要です。
たとえ、就業形態の違いから「経済的報酬」を提供しにくいとしても、一人ひとりの従業員が求めるものを把握し、「感情的報酬」と「経済的報酬」の両面から、適切な形で提供ができていれば、エンゲージメントは高めることが出来ます。多様な人材が活躍することができるのも、エンゲージメントの高い組織のメリットです。
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記事まとめ
契約社員は有期雇用の1つの呼び方であり、「契約社員」「非常勤」「嘱託」「臨時社員」「準社員」「パートナー」などとも呼ばれます。多くの場合正社員とは雇用条件・待遇で違いがありますが、どちらかで優劣をつけるものではありません。契約社員の特徴やメリット・デメリットをしっかりと把握して活用することで、多様な働き方への対応や個性や強みの発揮を実現することができます。
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契約社員に関するよくある質問
Q1:契約社員になって以降のキャリアの選択肢について
A1:企業によっては正社員登用制度が設けられています。その場合には条件を満たすことで契約社員から正社員になるキャリアステップも歩むことができるため、雇用主と労働者の間で希望や評価をすり合わせていくことが必要です。
Q2:契約社員を雇用することのメリット・デメリットは?
A2:主に下記のようなメリット・デメリットが挙げられます。
■メリット
・特化した業務内容を任せられる
・ワークライフバランスの充実を提供しやすい
■デメリット
・雇用期間に制限がある
・待遇に対する不満が挙がる