米フォーブス誌『世界で最も革新的な企業』
No.1受賞 セールスフォース・ドットコム
モチベーションクラウドの結果分析から見えた、
インサイドセールス組織の“穴”と対策

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顧客管理や営業支援を行うためのCRM(Customer Relationship Management)分野における
グローバルカンパニーとして成長を続け、2017年には米フォーブス誌による「世界で最も革新的な企業100社」ランキングにおいて、No.1を受賞。また、「働きがいのある企業」としても常に上位にランクインする、株式会社セールスフォース・ドットコム。
成長の一つの要因となるのは分業とデータ連携を高度に両立させた社内体制だが、一方で大きな課題も浮き上がってきた。
その課題にいかに取り組み、どんな成果を上げたのか。同社セールスデベロップメント本部の鈴木淳一事業部長と菊地真美氏に語っていただいた。

【プロフィール】
株式会社セールスフォース・ドットコム 
セールスデベロップメント本部/スタートアップ戦略部事業部長 鈴木淳一氏

株式会社セールスフォース・ドットコム
セールスデベロップメント本部 営業戦略室 菊地真美氏

株式会社リンクアンドモチベーション マネジャー 大澤雷大

高いリピート率で拡大成長を続ける企業、セールスフォース・ドットコム

鈴木淳一氏(以下、鈴木氏):まず当社についてご説明しますと、CRM(Customer Relationship Management)のシステムを全世界で提供しているリーディングカンパニーです。すごく簡単に言うと、業務を効率化して売り上げを上げるための仕組みをクラウド上で提供しています。年間契約で月額課金というシステムですが非常に高いリピート率を維持し、現在、全世界でお客様の数は15万社以上、従業員は3万人規模となっています。

大澤雷大(以下、大澤):ありがとうございます。鈴木さんの部門のご説明もいただけますか。

鈴木氏:当社ではマーケティング、インサイドセールス、外勤営業、活用ご支援の各部門を分業化し、同時に各部門のKPIをすべてリアルタイムで、全社で見られるようにしています。これが私たちの「The Model」というビジネスモデルで、分業とデータの連携の両立を高いレベルで行っています。インサイドセールスというのはマーケティングが獲得した見込み客を外勤営業に効率的に橋渡しする役割を担っているのですが、その中で私は中堅中小やスタートアップのお客様を担当するスタートアップ戦略部を統括し、隣の菊地はインサイドセールス専門の分析部隊に所属しています。

続いてビジョンを説明させていただきますと、当社では「V2MOM」というビジョンを持っております。これはVisionとValue、Method、Obstacles、Measurementの頭文字をとっていて、「どこを目指すのか」「何を大事にするのか」「そのために何をするのか」「達成に向け乗り越えるべき壁は何か」「どのように結果を判断するのか」という内容であり、一人ひとりが毎年決めて全社に公開することで意思を統一させています。

また、インサイドセールス部門では今年のビジョンとして、「Insight Sales」を設定しました。
インサイドセールスは内勤営業とかテレアポ部隊だと思われがちですが、全員がお客様に気づき(Insight)を与えられるようになろう、と高い意識を持つようにしています。またバリューとしては3つ、「Frontier spirits」「Grit」「FEPP」を掲げております。「Frontier spirits」はもう当たり前ですが、チャレンジしていって新しいものをどんどん見つけていこうという精神。「Grit」はやり抜く力ですね。目標達成に対してどこまでやれるのか、地道に努力することです。「FEPP」はFun・Enjoy・Positive・Passionをくっつけて作った言葉。わかりやすく、合言葉のように社員全員が覚えられるようにしています。

セールス組織の若手のモチベーション維持が課題

鈴木氏:まず導入の背景ですが、当社のインサイドセールス部門は比較的若手社員が多い部署です。第二新卒に加えて四年前からは新卒配属も始め、どんどん若手が増えています。さらに短期間で外勤営業部門へ送り出していく育成の役割も担っているので、非常に重要な部署です。一方、その育成期間は年々短くなっており、いかにモチベーションを維持するかが大きな課題です。

先程お伝えしたとおり、私たちは顧客管理や営業支援のクラウドサービスを提供しており、もちろん自社で活用しています。そのため、追えるKPIは豊富なので数値管理についてはいくらでも指導できるのですが、当然数字だけでは人は動かないし成長しない、ということが元々課題意識としてありました。

そんな中で、組織改善のためのクラウドサービスであるモチベーションクラウドの話を聞き、導入を決めました。

大澤:そういう問題は、実際にメンバーからの声にも表れていたんですか。

菊地真美氏(以下、菊地氏):「数値管理の話が多く、自身の仕事とキャリアがどうつながっているのかがわからない」といった声が挙がっていました。特に新卒は新人研修でビジョンの話に感動した後にいきなり電話業務ですから、ギャップが生まれやすいという一面はあります。

大澤:ありがとうございます。それでは、次に、サーベイの結果をどう受け止められたのかについてお聞かせいただければと思います。

モチベーションクラウドの結果分析から、上司のコミュニケーションの在り方、若手のモチベーション低下要因が浮き彫りになった

大澤:1回目の結果ですが、このサーベイは全社ではなくてインサイドセールス本部単体の方にこの1年強で3回取っていただいた内の初回のものですね。結果としては、会社と職場のスコアが高く、仕事・上司が低い。

鈴木氏:予想通りと言えば予想通りでした。「外資系企業の仕事はスマート」というイメージがある中、実際は一日中電話していて、マネジャーからは数字管理の話が多い、と思っていることが、推測できました。

大澤:特徴的なのは、上司に対して期待も満足度も低いことですね。会社のブランドや安定性、集まっている人は素敵だけれども、十分に仕事にやりがいを感じられていない。個別に見ていくと、あるマネジャーの部署で仕事への満足度が著しく低い。個性の発揮や責任ややりがいなどで特に低いので、自分のやり方を押し付けるようなマネジメントをされていたのかもしれません。

鈴木氏:弊社では成長速度が早い為、部署をマネジメントするマネージャーがそのスピードに追いついていないのが現状です。また自社の営業支援ツールを使った数字による管理に頼りがちになっていることも原因として考えられました。

また、モチベーションクラウドのサーベイ結果を、コンサルタントの方に分析していただいた結果、とても興味深いことがわかりました。具体的には、配属後すぐに、ある程度のモチベーション低下が見られ、1年後から1年半後には回復していくという傾向です。

モチベーション低下の要因は、「仕事のやりがいが見つけにくい状態に陥る」ということでした。私たちマネジメント側としては、インサイドセールス本部から別の部署へと異動する前のタイミングで、ハードルの高さに思い悩むのではないかと想定していたのですが、そのもっと前にモチベーション低下のタイミングがあることが明確になりました。時期によるモチベーションの揺らぎの傾向が見えたのは、とても大きかったですね。

一人ひとりが仕事の意義を感じられるマネジメントに変化

鈴木氏:数字管理が多い状態をやめ、若手が仕事を楽しくするために、私たちは2つのことを変えました。まず数字進捗の管理の話が多かったコミュニケーションに対して、1on1の実施に注力し、個々人のキャリア相談や達成するための戦略をしっかり入れる。ここは菊地がかなり力を注いだ部分ですね。

菊地氏:メンバーが考えていること、個人として大切にしていることを可視化する取り組みを今行っています。そして月4回やるマネジャーとの1on1のうち2回はキャリア相談や仕事の目的などの話に振り切る。これはだいぶ効果がありました。

鈴木氏:それから組織のビジョンを変えました。英語の長文でわかりにくかった以前のものから、3つのシンプルな言葉に変えました。元々はとても長くわかりづらかったのですが、これを、「Frontier spirits」「Grit」「FEPP」に変えました。

「Frontier spirits」はもう当たり前ですが、チャレンジしていって新しいものをどんどん見つけていこうという精神。「Grit」はやり抜く力ですね。目標達成に対してどこまでやれるのか、地道に努力することです。「FEPP」はFun・Enjoy・Positive・Passionをくっつけて作った言葉。わかりやすく、合言葉のように社員全員が覚えられるようにしています。

モチベーションの向上で、商談件数最下位だったチームが商談件数トップのチームに

大澤:数字的な成果としてはいかがですか。

鈴木氏:劇的な変化としては、ワースト1だったチームが商談件数トップになりました。このチームは全員記名でマネジャーに改善して欲しいところを出すなど、とことん腹を割って話し合ったんですね。そうしたら商談数が急上昇し、翌月には7名ものメンバーが初めて目標達成しました。それに刺激されて隣のチームでも同じことを実施し、結果として商談金額が一気に跳ね上がりました。

今後は数字だけでなく人を育てることにコミットしていきたいと考え、人の「The Model」を掲げて取り組んでいます。ノウハウをリレーする伝道師として、いろんなキャリアプランを作っていこうと。あとは、やはり私たちが現場の声を聞きながらキャリアパスを構成しようとしています。スペシャリスト育成からゼネラリスト育成へというのが今のテーマですね。

大澤:なるほど。今後が楽しみですね。本日はありがとうございました。

※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

公開日:2019.06.11

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