「丸亀製麺」を展開するトリドールジャパン
好調な業績の裏側にあった、現場の組織改善への投資

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讃岐釜揚げうどん「丸亀製麺」をはじめ全国に約1,000店の直営店、さらに海外にも300店以上を展開し順調に成長を続ける株式会社トリドールジャパン。
しかし「成長中の今だからこそ」と、トップダウンの決定によりモチベーションクラウドの導入に踏み切り、3カ月ごとのエンゲージメントサーベイ調査を続けている。
導入の背景、そしてその後の取り組みについて、同社の恩田和樹社長とご担当者の髙垣稔氏にお話を伺った。

【プロフィール】
株式会社トリドールジャパン 代表取締役社長 恩田和樹氏
株式会社トリドールホールディングス 国内事業企画部 課長補佐 髙垣稔氏
株式会社リンクアンドモチベーション MCEカンパニー カンパニー長 近藤俊弥

組織状態を、「感覚」ではなく「数値」で把握する

近藤俊弥(以下、近藤):今回ご登壇くださったトリドールジャパン様では、組織改善に向けて、弊社のモチベーションクラウドを導入してくださっており、今回お話いただく組織改善のエピソードにおいても、モチベーションクラウドを活用いただきました。

最初に私から、モチベーションクラウドについて簡単に説明させていただきます。モチベーションクラウドは、組織のモノサシによって組織状態を可視化し、PDCAサイクルを回し、組織の問題を解決するためのクラウドサービスです。
4,690社108万人の国内最大級のデータベースをもとに、組織を偏差値的に捉える「エンゲージメントスコア」(=組織のモノサシ)を算出し、この数値を指標にすることで、組織状態の良し悪しを捉えることが容易になります。エンゲージメントスコアが高ければ高いほど、良い組織状態であることを示し、スコアは業績とも相関関係があるという分析結果も出ています。

また、モチベーションクラウドでは、組織状態の可視化に加えて、課題の診断、施策の実行促進の機能も備えており、クラウドサービス単体で組織のPDCAサイクルを回せるようになっています。

はじめに、モチベーションクラウドを導入することに決めた背景をお伺いできますでしょうか?

恩田和樹氏(以下、恩田氏):モチベーションクラウドを導入しようと思った背景としては、3点ありました。

まず1点目。私がまだ社長になる前、営業部長という形で800店舗を見させていただいていた時代、社員一人ひとりに会って、売上を上げるというやり方をずっとしていたんです。ただ、基本的にそのデータがないものですから、なんとなく会った時に「元気だよね。」みたいな感じだったんですね。その時、実際に業績は良かったんですが、それだけだとどうしても説得力に欠けており、どうにかして定量化できないか、ということはずっと考えてきました。
私としても、人のモチベーションが業績を作っているんだという所を絶対に信じたいと言いますか、そこに対して投資したいというのもありまして、そこのデータをなんとか見える化したかった、というのが背景の1つです

また、背景の2つ目は他のツールと比較したときの使いやすさです。何種類かのツールも併せて見た中で、一番我々にとって使いやすそうだなと感じました。私もベストモチベーションカンパニーアワード (※リンクアンドモチベーション主催の、エンゲージメントの高さ日本一を発表する年に一回のアワード。) を見に行かせていただいたり、モチベーションクラウド実施の後の現場推進のサポートもしていただけたので、導入を決定しました。

最後3点目ですが、私は、当社のような外食・サービス業においては、現場社員の教育環境というのが一番重要だと思っています。ただ、教育環境を整備するにも優先順位というものがあります。このモチベーションクラウドがその優先順位をつけるためのツールとして使えるなと思いました。
例えば、対上司のスコアが低いのであれば、フィードバックに問題があります。さらに、フィードバックの内容に関する項目のスコアが低いのであれば、フィードバックの研修をしましょうとなります。
外食という文化の中では、教育環境の整備はなかなか手が付けづらい部分です。しかし、モチベーションクラウドで定量的に組織状態を把握することで、漠然と「教育環境を整えよう」、ではなく、各人の個別のFBの内容までブレイクダウンして改善すべき環境を考えることができるようになります。

現場マネジャーのフォローと成功事例の共有で、スコアを改善した

近藤:そして髙垣さんが担当者に指名されたわけですね。ここからは全社的な取り組みと、部署での取り組みについて、それぞれお伺いさせてください。まず、全社ではどのような取り組みをされていたのでしょうか?

髙垣氏:前提として、私たちは何百店舗も持っているため、全社組織で何か変えようと考えてもなかなか動かないというのが、私たちのような小売サービス業の常だと思います。そのような中で組織変革を起こすために、私たちは3つのポイントでモチベーションクラウドの結果を活用しています。

まず1つ目は、現場マネジャーのフォローと成功事例の全社展開です。当社では年4回サーベイを実施していますが、課レベルの全部署のフィードバックはすべて私が行っています。今でいうと2年弱、モチベーションクラウドを活用させていただいていて、8回ぐらいフィードバックを実施しており(※2018年12月当時)、1回目・2回目は低く出た組織状態の数値に対して、「このままの状態が続くと、いずれ社員の気持ちは離れていってしまう」などのアラートとしてのフィードバックをしたのですが、なかなか変化はなかったのが現実です。

そこで、3回目ぐらいからは「社員は売上しか気にしていませんよ」のような、突っ込んだ話しをして、ようやく変わってきたなという印象です。加えて、スコアが良かった部門の事例は社内SNSなどで横展開しています。

近藤:なるほど。それは面白いですね。ちなみに、私たちのこれまでのナレッジとしても、組織変革を起こしやすい、スコアごとに取り組みの方針というものがあります。ランクAぐらいだと何もしなくてよい、ランクBぐらいだと、先程髙垣さんからも仰っていただいたような良い組織での事例を共有する、ランクCだと、責任者が直接介入しないと変わらない。さらに、ランクDぐらいでは、構成員がそのままでは変わらない可能性が高いということで配置転換まで含めて検討すべき、ということがわかっています。髙垣さんの取り組みは、まさにそれに当てはまっていますね。

モチベーションクラウドの結果を基に、経営トップの期待を知る

髙垣氏:モチベーションクラウドの結果活用の2つ目は、経営トップとのコミュニケーションツールとしての活用です。具体的には、社長である恩田と結果について話し合ったり、各部署の対応方針について議論したりすることで、経営トップが何を気にしているのか、詳細に把握することができるという点です。

近藤:先程、モチベーションクラウドの説明で期待度という軸がありましたよね。この期待度は、実はとても重要です。サーベイの項目ごとの満足度を高めるためには、まず期待度を上げる必要があるんです。サーベイの各項目の重要性を理解していないと、それを満足させようと動かないので。髙垣さんは現場に対して、経営からの期待を伝える役割も担っているということですね。ちなみに、具体的に期待度のギャップがあった項目はありましたか?

恩田氏:そうですね。モチベーションクラウドのスコアが元々高いチームには、しっかり期待が伝わっていて、高くないチームは期待がそもそも低い、ということは確かにありましたね。具体的には、理念に対する期待が高くあってほしいにもかかわらず、低い、等です。

モチベーションクラウドのスコアは、評価・異動の材料になる

髙垣氏:最後の3つ目は、評価・異動での活用ですね。極端にスコアが低い、30ぐらいの場合は「相当まずい状況です」ということを伝えさせていただいていますが、それだけで終わってはいけないので、それを評価の一部に入れながら、異動について考える材料の1つにしています。

近藤:一定のスコアをラインとして設けて、それ以下の場合は評価や異動について考える材料にするということですね。確かにそれは合理的です。スコアが低いことが何度も続くと、そのチーム内では、段々諦め感が漂うようになっていきます。そうすると、ますますスコアは悪くなっていくので、髙垣さんの仰っていただいたように、一定のラインを超えた場合は、抜本的な措置を考える、というのはすごく良い手だと思います。

店長クラスが業務に追われ、受動的だった

近藤:それでは、次に部署ごとの取り組みについてお伺いさせてください。今回、関東営業部2課2エリアというところを挙げていただきましたが、モチベーションクラウドを実施する前はどんなチームでしたか?

髙垣氏:そこは、スコア改善に向けて一番頑張った部署です。店長クラスは非常に才能があって能力があるにもかかわらず、日々の業務に追われてしまい、受動的に業務をこなしている状態になってしまっていたのが、実施前の状態ですね。業務の余裕もあまりなく、パートナーさんに色々なお願いをしてしまうこともあり、パートナーさんへ負担をかけてしまうこともあったと聞いています。

コミュニケーションを丁寧にとり、主体的な行動を促した

近藤:なるほど。そこからモチベーションクラウドを実施され、改善に取り組んだとのことですが、どのようなことに取り組まれたんですか?

髙垣氏:とにかく泥臭く、店長の1つ上の課長補佐から一人ひとりの店長とのコミュニケーションを大切にしました。それぞれの店舗とは距離があるので、出勤したら必ず部下に電話をするようにし、電話では「今日何をやるか」ということと「これから先の何を考えて行動するか」ということを話します。この話しを通して、部下(店長)が主体的に行動できるように促しました。

店舗に行った時には、前回訪問した時に課題を与えていたりするので、それができているかどうか聞き、成果を褒めて、また次の課題を設定するようにしていました。

また、私たちの店舗で、最前線でお客様にサービスをしてくれているのはパートナーさんたちなので、パートナーさんが困らないように、無駄がないようにということを意識しています。各店舗に課長補佐が訪問するときには、当たり前のことですが、しっかり挨拶をしたり、パートナーさんをちゃんとお名前で呼ぶことを特に意識したとのことです。

モチベーションクラウドによって組織の状態が数値化されていることで、より私自身の行動も明確になりますし、部下も「この項目をやればいい」というふうに具体的な行動の計画が立てやすくなっていると思います。

これらの施策を通して、スコアは2017年9月にランクCだったのですが、2017年12月にはAAまで上昇しました。

モチベーションクラウドをきっかけに、自分たちで良い組織文化をつくっていく

近藤:ありがとうございました。それでは最後に一言ずつ、メッセージや感想をいただけますでしょうか。

髙垣氏:モチベーションクラウドを導入すれば社内が勝手に変わるだろうと考える人が多いですが、導入しただけではすぐに何かが変わるわけではありません。そこをどうやって「自分たちが動かないと変わらないよ」と伝えていくか。しっかりとフィードバックし、自ら動くことが大切だと感じています。

恩田氏:髙垣が申し上げた通り、ツールを入れればすべて解決するわけでもなく、私たちの企業文化というものを測るツールと捉えています。スコアだけにこだわるのでなく、アワードで表彰される会社になれるように、従業員一丸となって組織文化を変えていきたい、もっといい文化を作っていきたいと思っています。

近藤:貴重なお話をいただき、本日は誠にありがとうございました。

※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

公開日:2019.06.25

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