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混沌の時代を駆け抜ける最強のベンチャー、ネオキャリアを創った加藤賢の戦略。 成長し続ける会社の事業・組織の創り方

組織のエンゲージメント、社員のモチベーションを企業成長のエンジンとして経営を行うモチベーションカンパニー。

そんなモチベーションカンパニー創りのナレッジをシェアし、より多くのモチベーションカンパニーを創り上げていくことを掲げて開催されている「Motivation Company Session」。

業界成長率No.1企業のネオキャリア社の加藤氏に登壇頂きました。

ほとんどメディアに登場することない加藤氏が語る、ネオキャリア社の事業成長の秘訣と事業成長を支えた組織戦略。

「成長を目指す」すべての経営者に送る、圧巻の全2回シリーズ、前編。


【プロフィール】
株式会社ネオキャリア 専務取締役 加藤賢 氏

株式会社リンクアンドモチベーション 執行役員 モチベーションクラウド事業責任者 麻野耕司

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広げる戦略と深める戦略

麻野耕司(以下、麻野):今日はネオキャリアの加藤副社長をお迎えしまして、テーマとしては「業界成長率ナンバーワン企業の秘訣」ということで、お話をお伺いしていきたいと思います。

私が事業責任者を務めるモチベーションクラウドは、現在300社以上の企業様にご導入頂いております。その中でも、おそらくネオキャリア社は、最も成長されている企業の一つだと思います。

成長の秘訣を、事業面・組織面の両方からお伺いしてまいりたいと思います。加藤さんは ネオキャリア社創業の2000年から、ナンバーツーとして事業、組織共に手腕を振るって来られた方です。

加藤賢氏(以下、加藤氏):ネオキャリアの加藤と申します。本日はよろしくお願い致します。

あまりこういった場に出て、話をしてきませんでしたが、今回リンクアンドモチベーション様からご依頼を頂き、お話させて頂くことになりました。

麻野さんから「最も成長した」というお話を頂きましたが、逆に言うと非常に多くの挑戦や失敗を繰り重ねてきている会社でもあるかと思います。

そういった事例を、今日はお話させて頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

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麻野:それでは改めて私からネオキャリア社の紹介をさせていただきたいと思います。

まず会社概要からお話させていただきたいと思いますが、設立が2000年、今日(11月15日)で17周年ということで、おめでとうございます。

売上が2017年9月期、約440億円で着地されたとお伺いしております。これまでのネオキャリアの歴史を創業期、転換期、飛躍期と三つの期に分けて頂きました。

後ほど深掘って聞いてみたいのは、2008年ぐらいから2010年ぐらいまで、少し苦しい時期もあったということですね。

この時期、売上が少し伸び悩んでいらっしゃるというところから、2011年、2012年ぐらいから突如として急成長されています。

このタイミングで加藤さんがどんなことを考えて、どういうふうに経営手腕を振るってこられたのかというところは、特にお伺いしたいです。

社員数の推移でいきますと、国内、国外合わせると今2,667人。私がコンサルタントとしてお手伝いし始めたのが400人ぐらいの時だったので、非常に早いスピードで、売上、社員数、共に成長されていらっしゃいます。

各方面からも、表彰されていらっしゃるということで「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤージャパン2015」にて代表の西澤さんがファイナリストに選定され「Job Creation2015」では、雇用創出効果の高い会社ということで第1位を獲得されています。

またGreat Place to Work Japanの「働きがいのある会社」でも表彰され、弊社のベストモチベーションカンパニーアワードでも表彰されていらっしゃいます。

最近ではHR Techの領域でも様々なプロダクトを新しくリリースされていらっしゃいます。特にこのjinjerというサービスが、HRテクノロジー大賞でも表彰をされていらっしゃるということでございます。

では早速お話を伺っていきたいと思います。まずは事業成長について。

ネオキャリア社の特徴でいくと、既存事業・新規事業ともに成長されていることが挙げられると思います。その二つについてそれぞれお話を聞かせてください。

まずは既存事業について。正直申し上げて、競合と比べて商品・サービスにすごく大きな違いがあるビジネスではないと感じます。

求人広告・人材紹介・人材派遣といったサービスは、内容に大きな違いがない中で、どうして突出した成長率を上げてらっしゃるのか。

新規事業については他社とは全く違う商品・サービスを開発されて事業を伸ばしてらっしゃる。どのように新規事業を伸ばしてこられたのか。

この二つについて聞かせて下さい。まずは既存事業の成長について。

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加藤氏:弊社で戦略を立てている際には、「広げる戦略」と「深める戦略」という二軸に分けて考えています。「広げる戦略」ということで、非常にわかりやすいところでいくと、拠点展開です。

現在弊社は、国内61拠点、アジア22拠点です。全部合わせて83の拠点展開をしています。

最近はWEB上での面をおさえることが大事と言われますが、弊社の場合はリアルな部分でのお客様との接点を増やすことを重視してきました。その背景にあるのは、リーマンショックです。

リーマンショックの時に、人材業界で何が起こったかと言いますと、各社が地方から撤退をするということが、非常に多く見られました。

そのタイミングで、弊社は逆張りといいますか、地方展開を進めました。大手が撤退をするということをチャンスと捉え、地方展開を急速に拡げ、お客様との接触量を増やしたことで、2010年以降の成長に繋がりました。

このリーマンショック時の拡大は、弊社の成功体験としてとても大きなものでした。それ以降も「顧客との接点を増やす」ということには、非常に意識を高く取り組んでいます。

もう一つは、事業・サービスを増やすということです。

例えばお客様は新卒採用だけでなく中途採用もされている。人事関連のあらゆるニーズにワンストップで応えていこうということで、新しいサービスを次々と生み出しました。

そのスピードが速かったということは、成長の一つの要因として挙げられると思います。

広げる戦略というのは、とてもシンプルです。拠点を拡げ、お客様との接触を増やし、お客様のニーズに応えられるサービスラインナップを充実させていったという流れです。

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二つ目の「深める戦略」。これもシンプルです。

先ほど麻野さんのお話にあったように人材業界というのは、私が言うのも大変恐縮ではございますが、ビジネスモデルは各社ほぼ同じです。ビジネスモデルや料金体系といったところでも、差別化することは難しい。

結局お客様が何を思って決めるのかというと、企業ではなくて、担当者に紐づくということが、この業界の特徴になります。

ですので社員の採用や育成、またお客様への価値をどう拡げていくのかとうことを指標化して取り組みをしています。

この方針の背景も、リーマンショックにあります。弊社は、100名以上の人材系企業の中で、リーマンショックの時にリストラをしなかった数少ない企業だったと思います。

リストラをしなかったことにはいろんな要素がありますが、比較的事業を多角化していたことで不況の影響を受けづらい事業に人員を異動させたり、地方へと異動させたりして、何とか雇用を削らずに耐えることができました。

この当時在籍したメンバーの大半が、今でもネオキャリアを支えています。

まとめますと、「広げる戦略」では拠点を拡げ、サービスを増やした。「深める戦略」では人に対して投資をし、時間をかけて育てていくことに非常に力を入れた、ということになります。

逆境に強いネオキャリア

麻野:ありがとうございます。リーマンショックの時のことについて伺わせて下さい。

実際にネオキャリア社も2009年の売上が落ち込み、そこから一気に飛躍されています。当時、人材業界各社が人員削減を含め、いろんな撤退判断をする中で、ネオキャリア社はかなり攻めたと思うんですよね。

人材派遣のビジネスを立ち上げられたのもこの時です。しかも全国に展開していくって、当時はあまり考えにくい戦略だったと思います。

実際その決断をされる時、加藤さんはどんなことを考えてらっしゃったのでしょうか。今から振り返れば、当時は人材業界がマーケットサイズに対して、撤退をしすぎたのだと思います。

需要と供給がアンバランスになるところを一気に攻めてネオキャリア社は成長された。「不況に強い」「逆境に強い」というネオキャリア社の強みは、この時に確立されたように感じます。

加藤氏:そうですね。一つはやはり、お客様先で起きていることを重要視した、ということだと思います。

景気変動の影響を受けやすいビジネスをしている中で、お客様から見ると、ころころ担当が変わっていく。半年ごとに担当が変わって、誰が担当しているかわからないような状況が、人材業界の至るところで起きていました。

その中で、弊社がリストラをせず、担当としてずっとお客様の側にいた、ということがシンプルに評価されたのだと思います。

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また、リーマンショックの時にこういった判断ができた背景には、更に過去の弊社の経験があると思います。

弊社は2007年頃、IPOを目指していましたが、その時期の人材業界は大荒れで、いろんな事情があって、IPOを止めました。

当時社員は100名ほどで、事業の成長的にも踊り場を迎えました。その時に、経営陣がネオキャリアの存在意義について、しっかりと考えることができました。

存在意義であり、理念であり、信念でもあると思うのですが「成長し続ける」ということです。

改めて会社として一致団結して進んでいこうという状態になっていたところに、リーマンショックでした。非常に組織としての濃度というか純度が高い状態でリーマンショクを迎えたので、シンプルに「成長」へとアクセルを踏めたのだと思います。

麻野:なるほど。

上場を見送られたタイミングで「成長し続ける」っていう理念をはっきりと定めて、その上でリーマンショックが来たので、リーマンショックが来ようが、どうしようが、もう成長し続けるために攻めるぞ、という判断をされたのですね。ありがとうございます。

既存事業について引き続き聞かせて下さい。

リーマンショックの時、競合との逆張りで投資をしたということですが、それだけではなく既存事業は業界内でずっと高い成長率で伸び続けています。

競合企業も非常に強い中で、なぜネオキャリアが突出して成長しているのでしょうか。

基準の違いが圧倒的な成長を生む

加藤氏:ありがとうございます。少し定性的なお話になってしまうこと、ご容赦下さい。

弊社には競合大手から転職してくるメンバーもいるんですね。そのメンバーも最初の半年間ぐらいは「なんでネオキャリアが伸びているか、わからない」って言うんです。

その後メンバーと話していく中で共通した言葉が出てきます。それは「基準が違う」ということです。

あともう一つ、弊社の成長として考えられるのは、新規顧客の開拓だと思います。

人材業界は、非常に成熟が進んでいます。どんな企業も人材系の企業と何らかの取引をしているのではないでしょうか。その中で、昔からある企業は、だんだんと新規開拓を避けたくなっていく。効率が悪く感じるんですね。

けれど、私たちのようにこれから成長していく会社にとっては、どれだけ新規のお客様と接点を持てるかが勝負です。

そこに会社として非常に注力したというのも、成長の原点になっていると思っております。

麻野:なるほど、今挙がった二つのキーワードについて聞かせて下さい。

一つは「基準の違い」。もう一つは「新規開拓」です。

まず、「基準の違い」ですが、具体的に言うとどんなことなのでしょうか。例えば予算を組むときの目標設定とか、そういったシーンに現れるのでしょうか。

加藤氏:そうですね。目標設定の仕方は、他社さんと違うかもしれません。

例えば、弊社は「努力目標」みたいなものは一切掲げない会社です。まず最低でもここまでやるというコミットラインを決めます。

この段階で、前年比割れということはあり得ないんです。「成長」をテーマにしていますから。

事業責任者は、積み上げ式で「ここまでは絶対にやりきる」というラインを決め、そこから上振れさせるための戦略を考えていきます。

麻野:なるほど。そうすると、例えば現場から上がってくる最低ラインの目標が、低めに上がってくるということはありませんか。

加藤氏:弊社では、現場から上がってくるものと、経営陣中心に計画を立てたものを付き合わせて再度検討するということをしています。現場サイド、経営企画サイドで結構激しく叩き合いをして目標設定をしています。

目標はただ高ければいい、というものではないので、目標設定にはこだわっていますね。

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麻野:なるほど。

経営陣がものすごく高い目標設定をして引っ張るというよりは、現場からしっかりと目標を出させて、かなり時間を割いて目標設定をしている、と。経営企画とぶつけ、かなり揉んで。

ポイントとしては、現場が心底納得して、達成しないとダメだという状態を最初につくる。

その上で、どう積み上げていくかという意識を事業責任者や営業責任者と共有するということなんですね。

加藤氏:そうですね。いろんな会社さんでそれぞれの価値観があると思うのですが、弊社では目標設定にこだわることによって、「未達成は異常」という価値観がつくられています。

勝ち癖をつける、という感覚です。負け癖を徹底的に排除しています。

「また未達成しちゃった」という状態になってしまうと、危機感は生まれません。達成して当たり前というところに基準値を置いてもらう、ということは非常に徹底しているつもりです。

麻野:ありがとうございます。続いて「新規開拓」について聞かせて下さい。

いわば、大手がちょっと嫌がることを積極的にやりにいったということだと思うんです。新規開拓の営業って、最近はやりたい人って少ないですよね。目先の生産性を考えても、あまり高いようには見えない。

「既存顧客の深耕」とかが戦略として掲げられることが多いと思います。「新規開拓」という戦略をとられた背景について、更に詳しく聞かせて下さい。

加藤氏:そうですね。新規開拓に関しては、そこに力点を置くしかなかった、というのが正直なところです。

当時は100名ぐらいでしたが、人材業界でいくとスタートアップみたいなものです。待っていても声をかけられることなんてない。ただ一心に、新しいお客様に会いに行った。

それが当社の成長ドライバーになったというところです。

麻野:ありがとうございます。既存事業のお話を私なりにまとめると、ベンチャー企業として大手とどう戦っていくかということがポイントになるかと思うんですけど、

一点目としては、大手のやってないところとか、手薄なところを攻めるということ。

他の会社が撤退しすぎたら、その間隙を縫って一気に地方展開をする。他の会社が既存顧客へと寄っていったら、新規に一気に攻める。大手が弱いところ、手薄なところをしっかり見極めて勝負をしにいくということが一つ目。

二つ目が、基準の違い。

なんとなく計画比95パーセントだったらセーフというような雰囲気にするのではなくて、「未達成は異常だ」という文化を作るために、予算策定の擦り合わせをしっかりやること、事業戦略と組織風土が合致して既存事業が伸びているということですね。

ありがとうございます。

続いて、新規事業の展開のところを少しお話いただければと思います。

社会の変化の波を見て、新規事業を立ち上げる

加藤氏:はい。弊社としては「成長し続ける」というスタンスが非常に明確な会社ですので、既存事業の収益を成長市場に投資していこうという方針を明確にしています。

その中で、弊社が今非常に力を入れているのは三点です。この三点というのは、社会的な大きな変化の波を鑑み、注力ポイントとして設けています。

一つは少子高齢化による人口動態の変化。別業界の方からよく言われるのは、これから人口が減少していく中で、「人材業界ってこれから縮小していきますよね」ということなのですが、弊社は全くそう捉えておりません。

1950年から2050年で人口のピラミッドがほぼひっくり返るんですよね。そうなると、今まで必要とされていたサービスが必要なくなり、逆に今まで求められていなかったサービスが急速に求められていきます。

人口が減るので人材業界が小さくなるという捉え方ではなく、大きな入れ替えが起こる非常におもしろいタイミングだという捉え方をしています。

例えば、ヘルスケアや保育や介護という話題は、今、新聞・ニュースで触れられない日がないほど、日本の社会的課題になってきています。

そんな中、弊社の場合はかなり速いタイミングから参入をしたことによって、保育の紹介や介護の派遣という事業は業界でもトップクラスの実績を出せるまでになってきたと思っております。

ですので、まだまだ大手企業の動きが遅く、本腰を入れていない中で、早くから着手していくことで、事業を伸ばしていくチャンスは大いにあると考えています。

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二つ目がテクノロジーの進化。テクノロジーが人を超える時代がもうそこまで来ていると叫ばれる中で、弊社は国内でいくと今正社員で約2,000名おりますが、その内の約500名はIT系のエンジニアです。

ネオキャリアという会社は、非常に営業熱心で営業の人員が多い会社と見られがちですが、実はこの数年で急速にエンジニアの採用・育成に注力をしてきました。

HR Techという事業においては、自分たちで開発をしていこうということで、テクノロジーに非常に力を入れております。

三つ目はアジアの成長。2010年でいくと、全世界のGDPの内、アジアが占める割合は4分の1ぐらいと言われています。2040年になると、全世界のGDPの内、アジアが占める割合は半分になると言われております。

なので、日本国内だけでなく、アジアという大きなエリアを視野にいれて、ビジネスを展開していくことに注力をしています。

麻野:介護・保育のビジネスを立ち上げられたのはいつごろですか。

加藤氏:介護が2012年、保育が2014年です。

麻野:それが2017年で約150億円の売上になっている、と。驚異的な成長ですね。

加藤氏:ありがとうございます。HR Techの領域においても、弊社は非常に早いタイミングで参入し、事業を立ち上げることができました。

紹介や派遣とは全く違うビジネスモデルではありますが、自分たちでサービスを作ることができた、というのは弊社にとって大きなことだと思います。

全く違う業態ではありますが、ユニクロさんとかと近しいモデルだと思っています。自分たちでヒートテックという新しい素材も作れるし、店舗での販売力も高い。

作る力と売る力、その両方が高ければ、短期間にスケールさせることが可能だと考えています。

多くの企業が、売る力は強いけれど、作る力は無い、もしくは作る力は強いけれど、売る力は無い、というようにどちらかに寄っていることが多いと思います。弊社の場合は、そのどちらも伸ばすということに挑んでいます。

困難な事にこそ、経営陣が取り組む

麻野:なるほど、ありがとうございます。

改めてですが、ネオキャリアほど高い角度、早い速度で新規事業がいくつも立ち上がる会社というのは稀有だと思うのですが、なぜこんなにも新規事業が立ち上がるのでしょうか。

加藤氏:そうですね。とてもシンプルな理由だと思います。僕は、外部からきた誰かに新規事業を任せることは、かなり難しいと考えています。

その領域を進めてくれる責任者を採用して、その人にお任せします、というのは相当困難なことを強いている、と。

ですので、新規事業に関しては、全て僕の直下において、僕自身が責任を持って進めています。社内に全く事例が無い中で、ゼロからつくるというのは、相当難易度が高いことです。

なので、困難なことほど、経営陣が直接取り組む、という方針です。代表の西澤は、海外に行き、直接アジアで営業をしていますし、支店の立ち上げなんかを今でも行っています。

新規事業って、スタートした段階では売上なんて微々たるもので、「それって意味あるの?」というような向かい風は、社内・社外からも相当厳しいです。

そんな状況の中で「なぜそれをやるのか」という意義を語り、立ち向かい、成功させる、というのは経営陣の仕事ではないかと、僕は思っています。

麻野:ありがとうございます。社内のメンバーに任せるんじゃなくて、新規事業のフィールドに経営者自ら飛び込んでいってやると。

あと他にはどんなところが新規事業成功の要因としてありますでしょうか。新規事業が軌道に乗ってきたときのリソースの張り方とか、かなり大胆だな、と思ったんですよね。

先ほどのHR Techサービスのビジネスも、エンジニア200人が動くとなると、それだけで人件費は10億を超えるはずです。

そのダイナミックなリソースの張り方というのは、どんなことを考えながら判断されているんですか?

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加藤氏:そうですね。あんまり考えてないかもしれません(笑)。とはいえ、二点あるかなと思います。

一つは、他社にできて、自分たちにできない理由は、僕はないと思っています。例えば、何か新しいサービスを作りたい、と。でもエンジニアがいないから作れないです、と。

だったら、エンジニアを採用し、育成していく、ということをしっかりとステップを踏んで進めれば、必ず自分たちでもできるようになるはずです。

HR Techの立ち上げの時は、麻野さんともよくお話をさせて頂いていたと思うんですけれど、やっぱりこの領域において先行している欧米のビジネスを徹底的に勉強し、事例を調べ、どう日本において取り組むかということを考え抜きました。

その中で例えばいきなり「Googleをつくろう」というのもありだと思うのですが、なかなか一気にそこまでいくのは難しい、と。

それでも一つ一つ自分たちができることを増やしていくというステップを踏めば、自分たちにできないことはない、という前提のもと取り組んでいます。

もう一つは、マーケットの見極めです。弊社の新規事業の場合、潜在的なマーケットを狙うというよりも、ある程度顕在化しつつあるマーケットにぶつけにいっている、というところがあると思います。

これは人材業界でよく言われることなのですが、人材サービスにおいては「潜在マーケットは全く当たらない」と言われるんです。

僕自身も失敗の中で、学んできました。数年前のケースにはなりますが、高齢者の方々をサービス業で採用して頂くみたいな事業をやったことがありまして。当時はまだ企業様側の声が非常にシビアなものだったんです。

「いずれは採用しなければいけないのは分かっています。でも限界まで若い人を採用したいです」という声もあったりしましたし。。

なので、潜在ニーズが顕在化しつつある、どのタイミングでどれだけ勝負できるか、ということは重要かなと思います。

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麻野:なるほど。潜在的なマーケットを目指して、世界中の人が見たことないような商品サービスを作るのではなく、顕在ニーズがはっきりと見えているところで勝負をする、と。

しっかりと国内外のリサーチをした上で、マーケットが見えたらネオキャリア社の強烈な実行力で勝ちに行く、という戦いのスタイルがある、ということですね。

加藤氏:そうですね。マーケットも手段もある、という中で10年かけて育むというスピード感は、僕らにはないですね。

そこにマーケットも手段もあるのならば、2・3年でやりきるべきだと思っています。

マーケット全体を見渡して、どこまで自分たちがやりきるのかということを決めて、逆算して進めていくようなイメージです。

麻野:マーケットの全体像をイメージしていて、どこまで成長するかも決めているからこそ、その前提で最初の赤字をとってでも、リソースを投入していくということですね。

最初は生産性が多少悪かったとしても、スピーディーに立ち上げて、しっかりと黒字へと転換していくことを常に意識されているということなんでしょうか。

加藤氏:仰る通りです。弊社も全体では人数が増えてきましたが、新規事業となると限られた人数で行っていたこともあります。

かつてメディアの立ち上げという新規事業をしたのですが、10数名のスタートアップに敵わなかったんですよね。

向こうからしたらこっちは大きな会社ですけれど、向こうは10数名が全身全霊をその事業に懸けている状態。こちらは全体で数百人いようとも新規事業に関わるのは数人で、後は応援します、みたいな状態。

この構図では絶対勝てないなと感じました。なので、新規事業をやると決めたら、とことんリソースを投下して全力で勝ちに行く、ということはメリハリをつけてやっています。

麻野:ありがとうございます。既存事業・新規事業の、ネオキャリア流、加藤さん流の勝ちパターンについてお話を聞かせて頂きました。

この後は、とはいえダイナミックな人員の配置をする中で、組織をどう成長させていったのか、というお話を聞かせて頂きたいと思います。

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※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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