関西企業特集企画 THE SUN RISES IN THE “WEST”
株式会社八百鮮
「日本一かっこいい八百屋」を実現するための組織創り

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特別企画「THE SUN RISES IN THE “WEST” 〜太陽は西から昇る〜」では、これまでの固定概念を覆し、新しい常識を創り出していく関西企業を特集します。

今回は、株式会社八百鮮 代表取締役社長 市原敬久 氏に取材させていただきました。

株式会社八百鮮は、ビジョン「八百屋を、日本一かっこよく。」、ミッション「日本に、鮮度を。」を掲げ、大阪と名古屋を中心に日本一かっこいい八百屋を目指し、店舗を運営しています。4年で5倍近く売り上げが向上。現在は創業9年、5店舗で年商28億円に達しています。

【プロフィール】
株式会社八百鮮 代表取締役社長 市原敬久 氏 (https://yao-sen.co.jp/)

【インタビュアー】
株式会社まなざす 代表取締役 林 慎一 氏 (http://manazasu.com/)

八百屋という商売が持つ使命と可能性

-市原さんは八百屋というビジネスのどんなところに興味を持たれたのですか?

株式会社八百鮮 市原敬久 氏 (以下、市原氏):八百屋の仕事って、一人で仕入れと販売ができる仕事なんです。普通の営業の仕事って販売だけで、仕入れを伴う仕事って実は世の中にすごく少ないと思います。八百屋の仕事の中でも、まずは仕入れが面白かったですね。仕入れをする時に、仕入先となる市場の仲買さんといい関係を創らないといけない。人間的に好かれないといけない。最初2ヶ月ぐらいは全然上手に仕入れができませんでした。情報もないし、人脈もない。でもその足りない部分を補うために、誰よりも早く市場に行って、何とかしていいものを仕入れようと必死に動いていました。そういう姿を、市場の人たちって見てくれてるんですよね。だんだんと市場の人から声をかけられ、かわいがられるようになって、どんどんいい商品が集まってくるようになった。頑張ってる奴が報われる、誰かが見てくれる、義理人情みたいな世界なんですけれど、僕はそれが面白いと思ったし、人間くさくて好きでした。

今度は、仕入れたものを売るということなんですけれど、そこも同じ。お客様から「あなたが仕入れてきたものは、いつも新鮮で安くて美味しい」と思ってもらえるかどうか。自分が人からどう認知されるかという個人ブランディングで勝負できる。そして「一生懸命頑張る」という当たり前のことが、しっかりと成果に繋がるところが八百屋というビジネスのいいところだと思います。

-「八百屋を、日本一かっこよく。」というビジョンを掲げるのには、どんな背景が?

市原氏:1つは、使命感です。僕らがやらなければならない。10年間この業界で仕事をして、危機感を感じました。例えば僕らは新卒採用に力を入れているんですが、やっぱりかつては「八百屋」「肉屋」「魚屋」ということを聞くと、若い子からは「僕が就職したい業界ではない」という反応が返ってくるわけです。今回のコロナ禍において、スーパーにも注目が集まっていますが、やっぱりこの仕事は社会にとってのライフラインです。食料の物流を担うというインフラ事業なんです。この業界を、維持・発展させていかないといけないにも関わらず、働き手として若者が興味を持たなければ、衰退しか無い。そこに強く危機感を感じました。

もう1つは、可能性です。僕らならできる。これまで経営してくる中で、僕らの仕事には、町を元気にできるインパクトがあると実感しました。出店をして、ちゃんと僕らが僕ららしく商売をすれば、店だけじゃなくて商店街が活気づいていく。コミュニティをつくれてしまう。八百鮮はミッションとして「日本に、鮮度を。」と掲げているのですが、数多くの商店街から出店のオファーを頂くようになりました。これだけ目に見える形で、商店街、町、社会を元気にできる仕事は、なかなかありません。

食品物流の仕事というものが、実はむちゃくちゃかっこよくて面白い仕事だということを多くの人に知ってもらうためにも、まずは自分たちが「日本一かっこよく。」を体現しないと、という思いからビジョンとして掲げています。

「仲間の成長」に一番感動できるチーム

-組織創りにはどんな工夫を?

市原氏:昔から、人が育つ組織という自負はありました。これまで、仕事を任せて売上が下がったという経験はほとんどありません。そもそも僕たちは大学時代の仲間と「感動しようぜ」という思いで会社を興しています。感動はどこにあるか、というと現場なんですよね。仕入れることや販売の現場に感動があって、仮に売上が下がったとしても、その感動を味わってもらうために会社をやってる。なので、「任せる」ということに恐怖感なくどんどん任せてきたおかげで、人が育ったのだと思います。

ただ、採用は苦労しました。やっぱり応募をしても募集が集まらない。けれど、採用も変ってきました。採用ブランディングをトゥモローゲートさんに手伝ってもらって、採用人数が劇的に向上しました。(八百鮮 RECRUIT 2021)また、採用の基準も変わりました。これまでは、仕入れや販売の成果がよいこと、プレイヤーとして優秀なことを評価してきましたけれど、仲間の気持ちに寄り添えてリーダーシップを発揮できる人が店長になっていく。店長が集まる幹部会で、「みんなにとっての感動とは何か」と聞いた時、全員が「仲間の成長」と答えました。嬉しかったですね。それ以来、八百鮮の「感動ある人生」の定義の一番最初に「仲間の成長」と置いています。会社を興して0億から30億の売上がつくれたことは嬉しいですけれど、やっぱりその過程において「仲間の成長」をつくれたことが何よりも嬉しいです。そして、それが一番大切だと思える人が集まる組織になってきているという手応えはありますね。

-「八百屋を、日本一かっこよく。」というビジョン実現への手応えは?

市原氏:まだないですね。今、日本で一番八百屋という仕事に真摯に向き合って、やる気まんまんの人材が働いているというチーム作りには自信がありますが、「日本一の八百屋」というレベルに達するには、接客も、商品知識も、エンターテイメント性も、ITの活用も、まだまだ足りないことがある。もっともっと出来ることがあります。

– モチベーションクラウドを導入された背景は?

市原氏:採用ブランディングにおいて、「面白い会社」という一定の認知も獲得して、「八百鮮で働きたい」という若者も増えてきました。当然、採用してから、入社してからが大切です。理念の浸透には一定の手応えを感じていますが、それが実際どの程度なのか。現場のマネジメントは各店舗の店長に依存する部分もあるので、当然ばらつきもあると思います。そこをちゃんとモチベーションクラウドで数値化して、「日本一を目指す」という活動に繋げていきたいと思いました。僕自身が28歳で経営者になってしまっているので、中間管理職・ミドルマネジメントという立場をきちんと経験できていない。ミドルマネジメントが、まさに組織の中核です。時には虫の目で現場を見ないといけないし、時には鳥の目で経営を理解できないといけない。その上下運動って簡単なことじゃない。エンゲージメント状態が数値化されれば、ミドルマネジメントが自分で分析がてきて、手を打つことができる。それは本当にすごいことだと思います。

あと、佐竹食品・U&Sさんが導入されて、しっかり結果を出されている(3年連続ベストモチベーションカンパニー1位)のも存じ上げています。やっぱり僕らの業界では有名です。仕入れの現場とかでもご一緒しますし。ビシッと結果に繋げてらっしゃるのが、かっこいい。採用の説明会でも1回で100人以上集めたり、そんな会社いまどきこの業界では無かったですから。モチベーションカンパニーの上位に、佐竹食品・U&Sさんだけじゃなくて、僕らも入っていくようになれば、業界の流れは確実に変わります。

愛が伝わる組織を創る

-これからどんな組織を目指されますか?

市原氏:ちょうど今日(取材日2020年4月6日)、全従業員に1万円ずつ渡したんです。僕らの仕事というのは、医療従事者の方々と同じで、こんな時でも止めることはできない。社会にとってのライフラインです。僕は、経営判断として、全店営業を続けることを最優先にする、と伝えました。従業員のみんなはリスクを背負って現場で踏ん張ってくれるので、感謝の気持ちとして1万円を渡しました。コロナ感染拡大対応の状況は日ごとに変っていくので、営業に関しての経営判断は、僕が責任を持って行います。社会のライフラインであるという使命感を持って、従業員が現場で働いてくれていることは、誇りです。

僕が経営者として一番追求しているものは「従業員の感動」です。そのために会社を創ったと言っても過言ではありません。お客様の前では少し言いづらい言葉ですが、でも僕は従業員が一番。従業員が感動して働けるということは、それは必ずお客様の感動にも繋がります。売上や給与が上がることは、当然大切なんですけれど、それだけが全てでは決してない。いきいきと働ける会社・店舗・チームをつくっていきたいですし、それを従業員のみんなが実感できる組織にしたい。モチベーションクラウドで数値化できることは、そのためのひとつの手段だと思います。愛が伝わる組織をつくりたいですね。

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担当コンサルタントからの一言

西日本中堅・成長ベンチャー企業様向けコンサルティング事業責任者 梅原英哉

市原さんや八百鮮で働く方々からは「八百鮮という会社を通じて、世の中を変えていきたい」という想いを強く感じます。「自分たちが町や社会を明るく照らせているか」ということを本気で考えて仕事をされています。

組織のセオリーとしては、ここから「拡大期」の症例が襲ってくる可能性があります。組織成立の3要素と言われる「共通目的」と「協働意思」は八百鮮さんであれば揺るがないはずなので、「コミュニケーション」が課題になってくると思います。経営トップからのコミュニケーションだけでなく、それを組織全体に繋げるミドルマネジメントの方々の役割の重要度が高まっていきます。

スーパーマーケットはオペレーション毎に役割分担し、縦割りの組織で運営されることが多いですが、「現場主導のボトムアップ型で新しいことを生み出す」という組織風土を活かしたまま拡大していくという常識破りの挑戦を、私たちも支援していきたいです。

※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

公開日:2020.05.25

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