「PLAN-B ミドルマネジャーの成長が、組織を飛躍的に強くする」
変革現場のリアリティに迫る「Humanism」。
今回は、SEOサービスやリスティング広告などを扱うデジタルマーケティングカンパニー、株式会社PLAN-Bの伝説のトークセッションを紐解きます。リンクアンドモチベーションが毎年開催している、社員モチベーションが高い企業を讃えるイベント「Best Motivation Company Award」2015年度グランプリ企業の表彰式典で明かされた、株式会社PLAN-Bの「モチベーションカンパニー創りの鍵」。
当時好評を博した、代表取締役の鳥居本真徳氏をはじめ3名の事業部長陣によって繰り広げられたリアルな現場変革ストーリーです。
【イベント実施日】
2015年3月5日
【登壇者】
株式会社PLAN-B
代表取締役 鳥居本真徳 氏
[当時]Webプロモーション事業部(SEO対策・製造)部長 / [現在]Juicer事業部 岩永 淳氏
[当時]営業部 部長 / [現在]人事部 部長 渡辺 錬平氏
[当時]Webインテグレーション事業部(制作)部長 / [現在]Juicer事業部 部長 岡田 誠一氏
株式会社リンクアンドモチベーション 代表取締役会長 小笹 芳央
株式会社リンクアンドモチベーション 執行役員 麻野 耕司
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「感謝と謝罪」で再構築した、メンバーとの信頼関係
麻野 耕司(以下、麻野):半年間でPLAN-Bのモチベーションインデックス値が「C+」から「A」へと劇的に向上していった背景には、3名の事業部長の変革ストーリーがあったということで、まずお一人目のお話をおうかがいしてきました。
鳥居本 真徳氏(以下、鳥居本氏):岩永に続いて、次の事業部長は渡辺です。渡辺は社会人生でずっと営業をしているんですね。だからこそ、営業においては絶対の自信をつけてきていて、できない人間の気持ちがわからなかった。メンバーに相談をされても「黙ってやることやれ」と言ってしまうタイプだったんですね。
メンバーは腑に落ちてないにもかかわらず、黙って従うしかなく、結果として組織が停滞していってしまったんだと思いますね。4つの領域では「PDCAマネジメント」がテーマでした。
渡辺 錬平氏(以下、渡辺氏):本当にもう、その通りですね。「いいから、やることやれよ」が口癖でした。どんなことでも、解決する方法は自分の中にありましたし。評価なんかも、独断でズバッと決めてましたが、全てが独りよがりだったと、今は思います。人として基本的な「感謝と謝罪」。頭でわかってやっていたつもりだったけれど、それはあくまでもつもりで、全くできていなかったです。
麻野:具体的なアクションとしては何をしたんですか?
渡辺氏:10名以上いたメンバーと、毎日一人ずつ食事に行きました。そこで、過去の自分のマネジメントに対する謝罪と、素直な感謝の気持ちを伝えました。メンバーからは「謝る錬平さんを見たのははじめてです」「本音を聞けて感動しました」と言われるなど、不信感で凍てついたメンバーたちの気持ちがほぐれていく実感がありました。
麻野:これはまさに、態度変容の3ステップと呼んでいるものの「解凍」フェーズですね。四角く硬い氷の形を変えるためには、溶かして液体にすることから始めること。
意気込むマネジャーは、ついつい「変化」から入ろうとしてしまいがちですが「変化」のためには「解凍」のプロセスを経ることが何よりも重要です。渡辺さんは、飲みに行くことでメンバーと本音を交換して相互不信を解いた。つまりは「解凍」を実現したということですね。
会社のビジョンとメンバーのビジョンをつなげ、導く
鳥居本氏:最後に岡田ですね。岡田は、事業部長である一方で、自身が、大きな会社から指名で仕事が入るようなプランナーなんです。専門性が高い分、スキルでマネジメントをしてしまうタイプ。ビジョンを伝えることが苦手な上、本人自身も意義を感じて働くというタイプではなかった。4つの領域でいくと、取り組むべきテーマは「ビジョンマネジメント」でした。
岡田誠一氏(以下、岡田氏):私が見ているのは、クリエイターなどの専門職を束ねる部隊です。私自身、クリエイターは会社に依存せずやっていける、独立した存在になるべきだと思っていました。なのですが、出てきたサーベイ結果からは、会社への不信感と、自身のスキルアップにしか興味がなく相互尊重に欠けているという実態が浮かび上がってきてしまったのです。
麻野:モチベーションサーベイの結果を踏まえて、どんなアクションを起こしましたか?
岡田氏:「会社のビジョンとメンバーのビジョンの接続」を行おうと決めました。会社の目指す方向性と、メンバー一人ひとりの目指す方向性の交わりの面積を増やすことができればいいのだと。メンバーには毎月、部門の方針と皆への期待を言葉で伝えました。
鳥居本氏:実際に、岡田の部署のメンバーからは「会社情報を共有してもらえることで、会社のことが自分たちのこととして捉えられるようになった」という声がありました。岡田は「伝える」ことを徹底し、現状の説明はもちろん、今後の機会などもしっかりと話していたように思いますね。
岡田氏:そうですね。そして、メンバーそれぞれが、明確な目標を持てるようになりました。
小笹芳央(以下、小笹):会社が成長して人員が増えることで、経営と現場の距離が広がる。だからこそ、結節点(経営と現場のコミュニケションのつなぎ目)が必要になるんですね。人員が増えるとうことは数の問題だけではなく、年齢の幅はもちろん出自など、質に多様性が出てくるということでもあります。
多様性はプラスの面もある一方で、マネジメントが難しい。束ねることをないがしろにして多様性だけを高めていくことは危険です。金銭報酬では限度があり、上げれば上げるだけそれが基準になってしまう。
だからこそ意味報酬が重要になってきます。目標の魅力やねぎらいの言葉、人によっては成長実感かもしれません。意味報酬は、無限に自らつくり出せるものであり、つくり出しただけ、生産性も高まりますから。
モチベーションインデックス値「A」がもたらした「組織が変化した」という実感
麻野:3名の事業部長それぞれの取り組みによって、PLAN-B全体としてはどう変わったんでしょうか?
鳥居本氏:小笹さんや麻野さんから「モチベーションインデックス値で「A」のスコアが出る組織になったときはきっと、今とは全く別の会社に生まれ変わったような感覚になりますよ」と言われていましたが、本当にそうでした。
ささやけば動く組織になった。メンバー一人ひとりから主体性を感じるようになり、具体的には、今まで目立たなかったメンバーが活躍してくれるようになりました。
小笹:本当に素晴らしい変化ですね。その上での注文としては、ぜひこの組織の状態を継続して欲しいと思います。クラゲを想像してみて欲しいんです。分化すればするほど、どの度合いに応じて強い統合が必要になります。統合施策やミドルの評価が行われないというのは、クラゲの足が伸びきっているような状態と同義ですね。
今後人数が増えて多様性が広がり、個々の力量格差が広がっていくと、今回同様、また統合が必要なタイミングがきます。益々統合の負荷がかかりますが、そこをクリアにできれば、会社は次のステージに進めます。会社が成長する以上、ずっとこの繰り返しですが、PLAN-Bさんが今後どんな変化を見せてくださるか、大いに期待しています。
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※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。