【テンプレート付】目標達成シートとは?作り方はもちろん、メリデメやポイントも紹介!
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ビジネス活動では、目標を立ててそれを達成するためのアクションを実行することは基本的なことだと言えます。しかし、「戦略に合った目標設定」「それを実現するためのアクション」などを適切に考えて設定することはやってみると難しいものです。
「目標を立てはしたが、中々実行に移すことができない」「そもそも目標の立て方がわからない」といった場合に目標達成シートは有効な手段です。
本記事では目標達成シートとは何か?作成する際のポイントは何か?についてご紹介します。
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目標達成シートとはどういうものか
目標達成シートは「目標を達成するために必要な要素を洗い出す」ためのツールです。
設定した目標を達成するには、その目標はどのような要素に分解できるかを考えて洗い出し、その1つ1つを実行・実現することが大切です。例えば、「店舗の売上を10%向上させる」という目標を立てたとしたら、「顧客単価を向上させる」「顧客数を増やす」などの目標達成に必要な要素を考えるイメージです。
実際の目標達成シートは、下図のように3×3の9マスの表がよく使われます。中心のマスに「目標」、周囲の8マスに「達成に必要な要素」を記入します。仏教の曼荼羅に似ていることから「マンダラシート」とも呼ばれます。
(目標達成シートのイメージ)
周囲の8マスに洗い出した要素を更に分解して、要素ごとに新しい目標達成シートを拡張する場合もあります。
(目標達成シートの拡張イメージ)
野球界の大谷翔平選手も活用
現在アメリカのメジャーリーグで活躍している大谷翔平選手も、高校生時代に目標達成シートを活用していたことで知られています。当時の目標は「ドラフト会議で8球団から1位指名を受ける」ことでした。それを達成する要素として「体づくり」「球速160km/h」「人間性」「運」などを挙げており、更にそれぞれの要素を実現するために要素の細分化をしていました。
ドラフト会議で1位指名をした球団は日本ハムファイターズのみでしたが、その当時にメジャーリーグ行きを表明したことや球団側の確実な獲得を狙った動きも影響しているでしょう。現在の活躍をみると、当時の目標達成シートは大いに役立っていると考えられます。
目標達成シートを作成する目的とは?
目標達成シートを活用して目標の要素を洗い出せることを確認しましたが、実際にはどのような目的で作成されるのでしょうか。代表的なものをご紹介します。
目的①:目標の明確化
最初に立てる目標は多くの場合、やや抽象的になってしまうことが多いです。抽象的な目標だと自身でも取り組みづらいだけではなく、職場で共通の目標の場合には目標の認識にズレが生じてしまい、取り組み方もバラついてしまいます。そのような事態を防ぐために、目標への理解を深めて明確にするために目標達成シートが作成されます。
目的②:目標達成までの具体化
また、先述したように目標を達成するためには、要素やプランが具体的になることが重要です。目標が決まってもそれに至るまでの要素・行動が漠然としていると、達成までに時間がかかったり、達成ができない場合があります。
目標達成シートの作成過程で要素を吟味し、洗い出すことで達成までの行動を具体化することができます。
目標達成シートのメリット
では、目標達成シートにはどのようなメリットがあるのでしょうか。主に得られるメリットをご紹介します。
メリット①:活用場面が豊富
目標達成シートはビジネスにおける目標やその達成要素を設定することはもちろん、大谷翔平選手が活用していたようにスポーツの分野や、個人的な目標にも使えるため、活用場面が豊富だというメリットがあります。
また、目標も「何か新しいことを達成する」といったものだけではなく、「現状起きている課題を解決する」ことに対しても活用することができます。例えば、「部署内での連携ができていない」という課題があるとすると、「定期的なコミュニケーションの機会が足りない」「互いの業務の進捗が見えていない」というように、生じている課題の要因を洗い出して分析をすることができます。
メリット②:計画の質が向上する
目標達成シートでは基本的に1つの目標に対して8つの要素を設定し、場合によっては出した要素に対してもまた8つの分解を施します。その結果、目標やその要素といった全体像を把握できるため、それまで立てていた計画よりも更に詳細で効果的なものを立てるきっかけになります。
また、様々な要素を洗い出すことで上手くいかなかった場合の軌道修正方法も加味した計画を考えることができるため、計画自体の質の向上を期待できるでしょう。
メリット③:組織内で共通認識を作ることができる
目標達成シートを作成することで、目標の言語化を行うことができます。元々ある目標に対しても達成するための要素を考える過程でその目標への理解が深まります。理解を深め、言語化した目標を共有することで組織内でも認識のばらつきを抑え、より効果的な行動に繋げることができるでしょう。
加えて、部署やチームのメンバーで一緒に目標達成シートを考えるとその議論の中でお互いの認識をすり合わせることもできます。「どのような視点で計画を立てているか」「どんなやり方が想定できるのか」というような組織内で目標にまつわる共通認識を作ることで実行度合いが高まることを期待できます。
メリット④:新しいアイデアが生まれる
1つの目標に対して8つの要素を考えることはそもそも難しいものです。実際に目標達成シートを作成すると、「マスを埋めるのが難しい」場合もあります。もちろん、「8マス埋めること」が目的ではありませんが、個人ないしはチームで考えて埋めることに挑戦してみることも時には有効です。
中々埋まり切らない状況を打破するために、それまでの延長線上では考えなかったようなアイデアが生まれる可能性があります。
目標達成シートのデメリット
有効に活用するために、目標達成シートで考えられるデメリットも把握しておきましょう。
デメリット①:できていない現状にモチベーションが下がる
目標達成シートは目標を具体的にし、組織内で共通認識を作ることに役立ちます。一方で、高すぎる目標になっていたり、内容が十分に理解できる内容になっていたりすると、視える化されていることで「まだこんなにできていない」「できる気がしない」という認識を生んでしまう可能性があります。
できていない現状のみに意識が向きすぎると、目標に対するモチベーションも下がってしまい、達成が遠ざかってしまう場合があります。
デメリット②:やるべきことが煩雑になる可能性がある
8つの要素を考えることは目標やその計画を具体化することに有効ですが、一方で実行する際に混乱しやすくなるリスクもあります。「どれからやればいいんだろう」「あれもこれもやらないといけない」というようにやるべきことが煩雑だと感じてしまう可能性があるため、8つ要素を出す際には優先順位や実行のスケジュールを決めることが大切です。
目標達成シート作成前におさえておきたい基礎
ここまで目標達成シートのメリット・デメリットをご紹介してきましたが、ここからは実際に作成するためのポイントや流れを見ていきます。まずは、作成する前に抑えておきたい基礎的な考え方を確認しましょう。
基礎①:実行しやすい期間で目標を設定する
最初に作成する際には、1ヶ月〜3ヶ月のできるだけ短い期間で達成する目標を設定することをおすすめします。半年〜1年など長い期間での目標を考えると、要素が多く複雑になりやすい傾向があるのに加えて、結果が出るまで時間がかかるため軌道修正もしづらくなってしまいます。
何度か作成・ブラッシュアップを繰り返すことで徐々に上手く活用できるようになるため、実行しやすい期間で目標を設定しましょう。
基礎②:目的と目標の違いを把握してどちらも意識する
目標の重要度を上げ、行動を促進するためには目標の持つ目的も意識することが大切です。目的を意識するためには以下のように目標との違いを認識することが第一歩です。
・目的:個人や組織で成し遂げたい状態
・目標:目的に到達するための過程を言語化・数値化したもの
個人の場合でも、組織の場合でも「なんのためにこの目標があるのか」を理解していないとただの数字・言葉遊びになってしまい目標達成に対する意欲も高まりません。目標自体を考える際や、目標を達成する要素を考える際には「なぜこれを設定するのか」を忘れないようにしましょう。
基礎③:サポートも検討・活用する
特に初めて作成する際には他者のサポートを活用することも大切です。初めて作成すると、中々アイデアが出なかったり、偏った意見になりやすくなったりしてしまいます。
目標設定シートの作成に過剰な時間や労力をかけてしまうと実行までのスピードが落ちてしまうため、最初のうちは経験の多い上司や別の角度から意見を出してくれるメンバーを交えてアドバイスを貰うと良いでしょう。
目標達成シートの作り方
では、実際に目標達成シートを作る際の手順を見ていきましょう。今回は例として店舗展開系のビジネスを仮定します。
手順①:中心に目標を記入する
手書きやPowerPoint、スプレッドシートまたはアプリなどで3×3の9マスを作成します。そしてその中心のマスに達成したい目標を記入します。目標については、企業によっては全社から降ろされてくる場合もあるかもしれませんが、その際にはしっかり目標の背景・目的を理解することが大切です。
手順②:達成するための要素を周囲の8マスに記入する
次に、中心に記入した目標を達成するために必要な要素を周囲の8マスに記入します。この際はあまり具体化しすぎずにある程度テーマに分けて抽象的なものにすると考えやすさと網羅性が向上します。
今回は大まかに「認知拡大」→「興味喚起」→「購入検討」→「購入」→「紹介」というビジネスプロセスを意識して記入しています。実際に記入する際には「紹介数50件」のように更に定量的な目標値を検討する必要があります。
手順③:8つの要素それぞれで9マスを作る
更に具体的な行動に落とし込むために、周囲に書いた8マスそれぞれで新たに9マスのシートを作成します。今回は1部分を抜粋していますが、実際には全部で81マスができます。
手順④:周囲のマスに記入する
次に、8つの要素を実現するために行うべきアクションを周囲に記入します。この際にはできるだけ具体的なアクションにすることが重要です。マーケティングであれば「マーケティングの4P」、マネジメントであれば「マネジメントの4象限(参考:管理職とは?目的や役割、必要なスキルについて徹底解説)」というように、テーマそれぞれに即してフレームを活用すると考えやすいでしょう。
目標達成シートの簡易テンプレをダウンロード!
目標達成シートの簡易テンプレートはこちら。
(Googleスライドでのご提供のため、リンク先からパワーポイントなどの形式でダウンロードしてください。)
目標達成シートをうまく作成するポイント
ここまでで目標達成シートの作成手順までご紹介しましたが、実際に作成・運用する際にもいくつかポイントがあるため見ていきましょう。
ポイント①:SMARTの観点を意識する
これまでも何度か触れてきましたが、目標やアクションはできるだけ具体的にすることが大切です。具体的にするための観点として下記の「SMARTの観点」が有用です。
(参考:SMARTの観点)
SMARTの観点とは、上記のように「目標を設定する際に盛り込むべき条件」それぞれの頭文字をとったものです。これを意識することで目標の具体性や実効性が大きく向上するでしょう。
目標やアクションの設定やその確認をする際にはこの観点を元にして「きちんと結果が測れるものか?」「いつまでにやるかを決めているか?」を見ていきましょう。
ポイント②:目標の意義づけを行う
マスを埋めて目標達成シートを完成させることは大切ですが、実際に運用するためには目標に対するモチベーションを維持・向上させることも重要です。目標だけが先行すると「なんのためにやっているのか」「達成した先に何があるのか」が分からなくなってしまい、結果としてアクションの実行度も低下してしまいます。
これを避けるために「ラダー効果」を活用することが有効です。ラダー効果とは、下図のように「目的」「意義」といったより上位水準のレベルまで捉え直すことで目の前の「行動や目標」への意味づけができる効果です。自分自身やチームの中で活用することで目標へのモチベーションを上げることが期待できます。
(参考:ラダー効果)
ポイント③:軌道修正を行う
目標達成シートのようなツールを活用しても、「完璧な計画を立て切る」ことはできません。不確定要素や思わぬトラブルなど当初は予期していなかった要因で計画が上手く進まないことはよくあることです。
その際は起こった出来事をしっかり受け止めて分析すると共に、立てた計画の軌道修正を柔軟に行うことが大切です。特にチームで取り組んでいる際には最初に「軌道修正をしながらより良いものにしていくことが前提」という共通認識を取っておくことが重要です。
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まとめ
目標達成シートは、その多用途性や計画質の向上、組織内での共通認識の形成、新しいアイデアの創出という複数のメリットを提供します。しかし、達成できない場合のモチベーション低下や、煩雑さによるデメリットも考慮する必要があります。目標設定には、実行可能な期間設定、目的と目標の違いの理解、サポートの活用が重要です。作成方法は、中心に目標を置き、周囲の8マスに達成要素を記入し、さらに各要素に9マスを設けることで具体化します。効果的な目標達成シートの作成には、SMARTな視点、目標の意義づけ、軌道修正の考慮がポイントです。
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目標設定シートに関するよくある質問
Q1:目標達成シートを活用して目標を達成するコツを教えてください。
A1:「やりながら軌道修正をしていく」ことを意識することが大切です。「完璧に目標と計画を設定してから実行しなければいけない」という意識が強すぎると実際に行動するまでに時間がかかったり、実行までのハードルが高くなったりする可能性があります。ある程度のところまで記入ができたらトライ&エラーの中で実行することが結果として目標達成に近づきます。
Q2:マンダラチャートのほかにもおすすめの目標達成シートの例はありますか?
A2:目標達成シートには様々なパターンがありますが、代表的なものは
・OKR(Objective and Key Results)による「目的」と「それを達成する重要指標」を考えるためのシート
・KGI・KPIによる「最終目標」と「達成に必要な指標」を考えるシート
などがあります。活用する際に気をつけるべきポイントは本記事でご紹介したものが適用できるので、使いやすいものを選んでみましょう。