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パラダイムシフトって何?変化や要因、対応できる企業になるポイントも解説!

 科学の分野でしばしば使われてきた「パラダイムシフト」。現在は科学分野だけではなく、産業や経済といった分野でも注目を集めています。パラダイムシフトが生じることで、それまでの常識や価値観は大幅に変化するため、企業や個人はその変化に対応する必要があります。本記事では、パラダイムシフトの基本的な知識や事例、対応するための方法をご紹介します。

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パラダイムシフトとは?


 「パラダイム」とは、英語の「paradigm」から来ており、これはギリシャ語で範例という意味を持つ「paradeigma」に由来していると言われています。元々アメリカの科学者であるトーマス・クーンが著書「科学革命の構造」の中で「一般に認められた科学業績の中で、一定の期間専門家に対してその問い方や答え方のモデルを与えるもの」として定義したものが始まりとされています。

 そしてあるタイミングで、それまでのパラダイムでは説明や処理ができなくなった時に新しいパラダイムが生まれることをパラダイム論として提唱しました。

 科学の分野で生まれたパラダイムという概念ですが、産業や政治など様々な分野でも使われるようになり、現在は「時代や分野の中で支配的なものの見方や捉え方」というように解釈が拡大しています。

 その中でパラダイムシフトとは、それまでのパラダイムの範疇を超えて新しい常識やものの見方が生まれることを指しています。それまでの経済活動を大きく変えるような商品・サービスの出現や、生活様式を変える社会情勢の変化などがパラダイムシフトに当てはまります。

パラダイムシフトが注目される背景


 パラダイムシフトは近年注目されているキーワードの1つですが、なぜ注目を集めるようになったのでしょうか。


 コペルニクスやガリレオが提唱した地動説や、産業革命による経済活動の変化など、人類はこれまでも多くのパラダイムシフトを経験してきました。そして近年は特にインターネットやデバイスといったIT技術の発展や、新型コロナウイルスのような感染症の蔓延など、それまでの常識や価値観が大きく変化する機会が更に増えてきています。


 このような目まぐるしい変化が起こっている現代では、よりパラダイムシフトに適応する必要性が高まっており、その言葉自体にも注目が集まっています。

パラダイムシフトが近年加速している要因


デジタル技術の発達


 パラダイムシフトが近年加速している要因として、デジタル技術の発達が挙げられます。スマートフォンの登場や人工知能の発達など、私たちの生活や仕事でもデジタル技術が無くてはならないものになっています。更に、膨大なデータを扱うビッグデータの活用や物とインターネットを繋げるIoT技術の開発などが進んでいくと、よりこれまでとは異なる常識が生まれていくでしょう。

インターネットの発展


 デジタル技術の発達に伴って、インターネットの普及・発展も進んでいます。現在はインターネットを介して世界中と通信ができるようになっており、様々な情報を手軽に手に入れることができるようになってきました。そのため、企業においても自社の商品・サービスはすぐに模倣されるようになっており、情報格差がある時代と比較して新しいアイデアを商品・サービスに繋げるまでのスピードを速める必要があります。

感染症による生活様式の変化


 新型コロナウイルスの蔓延は世界的に大きな影響を与え、経済活動や生活様式の変化を引き起こしました。多くの企業がリモートワークの採用や、対面でのビジネス機会の縮減などに取り組んだことで、全体の産業構造にも変化が生まれてきています。現段階でも感染症に対する意識や警戒は強く、今後も感染症による生活様式や経済活動の変化が生じてくると考えられます。

人口構成の変動


 特に日本では少子高齢化の影響で労働人口の減少が問題視されています。経済産業省が公表している「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」の中では、将来人口の予測として下図のように生産年齢人口比率は低下していくことが示唆されています。

出典:経済産業省「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」

(出典:経済産業省「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」)

 また、「人生100年時代」と言われているように、人々の寿命はのびていくため、新たなキャリアの考え方が必要になってきます。このように人口構成が変動することでも、これまでとは違う価値観や常識が生まれてくるでしょう。


ビジネスのパラダイムシフトの例


リモートワークの浸透


 新型コロナウイルスの蔓延に伴い、出勤や会合が制限されるようになりました。そのような状況に対応するべく、多くの企業でリモートワーク・テレワークが導入されることになり、現在は「仕事はオフィスに出勤して行うもの」という価値観や常識は変わっています。

音楽サービス


 音楽のストリーミングサービスやダウンロードサービスにより、CDを購入する人は減少しています。現在は多くの人がサブスクリプションサービスに登録するなどして、音楽を聴くようになっています。

カメラ技術


 以前はカメラはフィルムカメラで撮影して現像をしていました。しかし、デジタルカメラが登場した後には、写真をデータで保存するようになり、現在はスマートフォンでも高画質な写真を撮影できるようになっています。


テレビの視聴形態


 元々テレビ番組は屋内で視聴するものでした。しかし、現在はスマートフォンやタブレットなど、持ち運ぶことができるデバイスでテレビを視聴することができるようになっています。

ペーパーレス化


 現在は目にすることが少なくなりましたが、以前は地図や電話帳は紙の媒体で提供されていました。現在はインターネットを介してオンライン上で地図を見たり、電話番号を調べることができるようになっています。また、ICカードの発展により紙の切符の利用が少なくなっていることなど、ペーパーレス化もパラダイムシフトの1つでしょう。


社会的なパラダイムシフトの例


働き方の多様化


 特に日本企業では、従来は年功序列で終身雇用の働き方が一般的でしたが、現在は働き方への意識が変化してきています。1つの企業に勤め上げるのではなく、転職や独立などの多様なキャリアステップを進む人が増えてきており、給与よりもワークライフバランスを重視する声も多くなってきています。

 いわゆる人材の流動化が激しくなってきている中で、企業と個人は相互に拘束し合う関係ではなくお互いに選び合う関係に変化していると言えるでしょう。

所有から共有への変化


 家や車、衣服などの資産は個人が購入して自分自身で所有することが一般的でした。現在でも資産を保有することは多いですが、シェアリングサービスやサブスクリプションサービスなどの発展に伴って「必要な時に必要なものを使う」といった意識が浸透してきています。特に「使う機会がそこまで多くないもの」については、所有者と利用者の間で貸し借りを行う機会が増えてきているでしょう。この「所有から共有への変化」により、所有者は自身の持ち物で利益を得ることができ、利用者は固定費を抑えて好きなものを使うことができるようになっています。

消費から持続への変化


 高度経済成長期までは「大量生産・大量消費」が当たり前の時代であり、企業は資源を使って利益を追求し、個人はお金を使って消費を続ける活動様式が一般的でした。しかし、地球環境や社会的格差に対する問題意識が強くなるにつれて、「消費するだけではなく、持続可能なものを探す」といった意識の変化が広がってきています。特に、SDGsのような持続可能な社会実現に対する取り組みは世界中で注目されており、個々人が商品・サービスを選ぶ基準や社会貢献への意識が変わってきています。


パラダイムシフトに対応する方法


多様性を活かす経営を行う


 社会情勢や価値観の変化といったパラダイムシフトに伴い、働き手の意識も変化します。そのため、企業として従業員を統合してまとめ上げることと同時に従業員の多様性を活かすことが重要になります。画一的な経営やマネジメントだけでは、従業員の会社に対する愛着心や共感度合い(エンゲージメント)が低下して、貢献意欲が薄まってしまう可能性があります。様々な文化や価値観などを受け止めて、強みを活かし合う方法を模索しましょう。

(参考:「ダイバーシティとは?意味や効果、企業の取り組み事例などを解説」)

イノベーションが生まれやすい環境をつくる


 パラダイムシフトが注目されている背景の1つとして、インターネットの普及による情報化社会の発展が挙げられます。一度ヒットした商品・サービスでも、模倣品や類似品が登場することで市場における競争は激しくなることが多くなっています。更にパラダイムシフトが起こった場合には、それまで利用されていたものが使われなくなる可能性もあります。

 これらの状況に対応するためには、企業内でイノベーションが生まれやすい環境をつくることが重要です。イノベーションを生み出す環境づくりのためには、失敗を恐れない風土づくりや提案しやすい雰囲気づくりなどが必要です。

消費者のニーズの変化を把握する


 消費者の意識は現在、「所有から共有」「消費から持続」といった変化が起きてきています。そのような意識の変化はパラダイムシフトが起こるタイミングで生じると考えられるため、消費者のニーズがどのように変化しているのかを把握できる仕掛けが必要です。顧客に対するヒアリングの実施はもちろんですが、自社の従業員が持つ価値観の変化も重要な指標になるでしょう。

協力関係を構築する


 自社だけでパラダイムシフトに対応することは、時として限界がある場合があります。情報を外に出さずに内製化を進めることは、自社の利益を守るために必要なことではありますが、社会の変化といった大きなものに対応する際には、結果として組織の疲弊と利益の喪失に繋がる可能性があります。社外の顧客や取引先、株主などのステークホルダーとの協力関係を構築・強化することで、変化への対応力を身に付けることができるでしょう。

社員の「心の解凍」をする

そして、実際に組織や従業員が変化を受け入れるために重要な観点があります。

それが「心の解凍」です。

 これは、いわゆるクルト・レヴィンが唱えた態度変容の3ステップの「Unfreeze」にあたります。人間には「現状維持バイアス」というものがあり、一般的に変化を積極的には受け入れません。

 そこで、変化に対する懸念払拭や興味喚起を行い、共感を得ます。(Unfreeze)その上で、変化させたい方向性を明示し、(Change)変化し切るための仕組みづくりを行うことが重要なのです。(Refreeze)

心の解凍

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記事まとめ


 インターネットの発達や、科学技術の発展、感染症の蔓延など様々な理由により、これまでの常識や価値観が変化するパラダイムシフトが生じています。人類の歴史の中では何度もパラダイムシフトが起こっており、その度に新しいパラダイムを構築してきました。しかし、近年はそのスピードが加速していると言われているため、その変化に対応するためには顧客や従業員の変化を把握することや社内外での協力体制の構築などが求められています。

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パラダイムシフトに関するよくある質問


Q1:実際の企業における具体的な取り組みってどんなものがある?


A1:企業によって下記のような取り組みが行われています。

・自社の理念やビジョンの明確化

・多様化を活かすダイバーシティマネジメント

・コミュニケーション機会の増加

Q2:パラダイムシフトに上手く対応するコツとは?

A2:企業がパラダイムシフトに対応するためのポイントは、下記のようなものが挙げられます。

・多様性を活かす経営を行う

 社会情勢や価値観の変化といったパラダイムシフトに伴い、働き手の意識も変化します。そのため、企業として従業員を統合してまとめ上げることと同時に従業員の多様性を活かすことが重要になります。

・イノベーションが生まれやすい環境をつくる

 イノベーションを生み出す環境づくりのためには、失敗を恐れない風土づくりや提案しやすい雰囲気づくりなどが必要です。

・消費者のニーズの変化を把握する

  消費者のニーズがどのように変化しているのかを把握できる仕掛けが必要です。顧客に対するヒアリングの実施はもちろんですが、自社の従業員が持つ価値観の変化も重要な指標になるでしょう。
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・協力関係を構築する

  社外の顧客や取引先、株主などのステークホルダーとの協力関係を構築・強化することで、変化への対応力を身に付けることができるでしょう。



 

執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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