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ダイバーシティの意味とは?背景や企業が推進すべきことを解説

「ダイバーシティ」という言葉は最近よく耳にするかと思います。ただ、「何となく聞いたことはあるけど、結局働く上で何が関係あるのか分かりにくいな」と思う方も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事では「ダイバーシティ」とはそもそも何なのか?その背景とは?また、企業として「ダイバーシティ」を推進するためには何をすべきなのかを説明します。

ダイバーシティの意味とは?

まず、日本ではダイバーシティとインクルージョンの2つの言葉が一緒に使われる場合が多いため、ダイバーシティの意味を理解するためには、それぞれの意味を適切に把握することが大切です。

2つの意味はそれぞれ
・「ダイバーシティ」=「多様性」
・「インクルージョン」=「統合」
という意味が一般的です。

また、「ダイバーシティ&インクルージョン」とは、「一人一人の多様性を束ね、同じ方向に向けること」です。

ダイバーシティ・マネジメント(ダイバーシティ経営)とは?

ダイバーシティ&インクルージョンの考え方を取り入れた経営をダイバーシティ・マネジメントと言います。

またこのダイバーシティ・マネジメントはダイバーシティ経営とも言われており、

・違いをもつ従業員同士がそれぞれの違いを受け入れて協働できるようサポートする
・それぞれが活躍できる環境や体制を整えて組織強化を図る

これらが可能な経営を指します。

この考え方はこれからの企業経営・マネジメントでは不可欠なものだと言われています。

ダイバーシティ経営が重視された背景

では、昨今なぜダイバーシティ経営が重視されているのでしょうか?
理由は2点あります。

①労働市場(働き手)の変化国内の労働人口が減少していくため、これまで労働人口にカウントできなかった人材をより活かす経営が求められている
②商品市場(マーケット)の変化多様な顧客ニーズを捉え、サービスにしていくために、多様な従業員を確保する必要がある

これらを時代背景もあわせて、具体的に説明していきます。

①労働市場(働き手)の変化:労働人口減少と労働人口構造の変化


日本国内の労働力(生産人口)の減少に伴い、これまで以上に性別・国籍・世代を越えた戦力の確保・能力開発が経営課題になってきます。(下図参照)


また、日本では高度経済成長期から「男性・正社員・終身雇用」が企業活動を担うことが当たり前の状態でした。しかし、現在はその前提が揺らいでおり、それ以外の異なる多様な性別・雇用形態・国籍の従業員(女性・非正規社員等)から貢献を引き出し、成果に繋げることが求められてきているとも言えるでしょう。

②商品市場(マーケット)の変化:企業のグローバル化


近年、自国だけではなく、国や地域を越えて様々なやり取りが行われ、グローバル化が加速しています。グローバル化の背景には、主に2つの理由があるとされています。

・国際関係の変化
資本主義の元で規制緩和や自由競争が推進されたことにより、人・物・金が国や地域を越えて自由に行き来するようになったこと

・技術の進歩
IT技術の進化により、インターネットを活用して輸送と通信に関わるコストを大幅に削減できたこと

このような理由からグローバル化は加速していき、その中で「日本企業の海外進出」や「海外企業の日本進出」が進むようになりました。

つまり、自国の需要を捉えるだけで良かった時代から、自分達の常識や価値観とは異なるものを持つ世界中の人々の需要を捉えなければならない時代になったのです。

世界中の人々の需要を捉え、それにマッチするような商品開発やサービス提供をするためには、
・海外拠点での円滑な経営のための人材マネジメント
・社内での文化・国籍などの受容を通して、様々な国での需要を捉えられるようにすること
が必要になってきているのです。

ダイバーシティ経営のメリット

ダイバーシティ経営は必要に迫られて行わなければならないだけのものではなく、それによるメリットも多く存在します。

■新たな視点によるイノベーション

多様性を持つ組織は、多様な人材の発想やアイデア、それぞれが持っているスキルが重なり合い、組織全体としてそれまでの既成概念の中では生まれなかったようなイノベーションを生み出す力が高まります。

似通った人材の集まる組織と比較すると、柔軟性、発想力、品質、スピード全てが向上する傾向があります。柔軟性、発想力、品質、スピードの向上により、多様化する顧客ニーズ(ビジネスチャンス)に対してタイミングを逃さず仕掛けることが可能です。

■グローバル市場における競争力の強化

適切なダイバーシティマネジメントは、それぞれがその職場で働く意味や意義を感じやすくなり、従業員の満足度や貢献意欲の向上にも反映されます。

その結果、顧客や社会、労働者からも良い評価を受け、企業価値を高めることができるのです。

ダイバーシティを推進するためには

さて、そんなメリットがあるダイバーシティ経営ですが、ダイバーシティを推進するためには、以下の2点が大切なポイントになります。1つ目は仕組み、2つ目は理解と育成です。

■ワークライフバランスの充実

まず1つ目のワークライフバランスの充実です。ワークライフバランスとは「仕事と生活の調和をとり、両方を充実させる働き方・生き方」です。ワークライフバランスの充実がダイバーシティを推進させるポイントです。


ワークライフバランスを充実させる施策の例として、3つ説明します。

①育児休業・介護休業の充実
労働者の権利として、
・2週間以上にわたり常に生活補助を必要とする家族を介護するための介護休業
・1歳未満の子を養育するための育児休業
・3歳未満の子を持つ労働者が利用できる1日6時間勤務といった所定労働時間の短縮措置
が認められています。

また、企業に対しても
・当同社から申請があった場合における所定外労働の免除を原則化 
・短時間勤務制度や所定勤外労働免除の制度の導入
といったものが義務化されています。

こういった制度の充実を開示するだけでも、身近な多様性の受け入れと力の発揮が促進されやすくなります。

②勤務体系の柔軟化
勤務体系の柔軟化の例として、フレックス制や裁量労働制があります。


フレックス制とは、就業時間に一定の幅を持たせる就業制度です。メリットとしては業務効率の向上や、通勤ラッシュでの疲弊を防ぐといった効果があります。


裁量労働制とは、労働者は実際の労働時間とは関係無く、あらかじめ労使で定めた時間分働いたとみなされる制度です。時間配分を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるエンジニア等の役職に多く見受けられます。労働者の自立管理が必要である一方、裁量範囲が大きく広がることがメリットです。

③勤務地の柔軟化
勤務地の柔軟化はワークライフバランスの充実にとって欠かせないものです。

昨今、コロナ禍により、勤務地の柔軟化は進んでいる企業も多く見受けられると思います。従来、出社して行っていた業務を、遠隔での実施やサテライトオフィスを利用した勤務形態に変えるといった方法は、通勤による疲弊や、家事・育児・介護等と仕事の両立といったメリットがあります。

こういった制度等を駆使し、ワークライフバランスの充実を図ることができれば、ダイバーシティの推進は比較的早く行うことができるでしょう。

■経営層を含めた研修プログラムの整備

ただし、「仕組みやルール」だけ整備しても、「制度はあるけど、利用できる雰囲気じゃない」「自分だけ利用するのは申し訳ない」と言うように、結局活用されないままや、活用しにくい文化になっている事が多々見受けられます。


そのために、仕組みの整備と共に、社内での理解を深める事と活用できる環境づくりが重要です。
まずは、組織のトップである経営層から理解と促進を行う事で、社員も理解と活用がしやすくなります。


また、そういった理解の深まりや社内での浸透は放っておいても促進されるものではない事も事実です。企業文化としてダイバーシティの考え方を浸透させるためには、経営陣・ミドルの研修プログラムの実施が必要不可欠です。

しかし、研修プログラムという機会だけでは人はなかなか変わりづらく、研修プログラムを変化の機会にしてもらうことは非常に難しいのが実情です。少しでも多くの研修参加者に変わりたい・変われそう・変わらなければと思ってもらうために、まずは下記のような参加者のBefore(参加する前の状態)とAfter(参加した後の状態)をしっかり描くことが大切です。(※A社の例)

参加前後の状態を明確にすることで、一貫性のある設計が可能になり、研修プログロムをより効果的に実施することができます。

参加者のBefore(参加する前の状態)とAfter(参加した後の状態)を明確にした後、下記のような考え方をふまえて研修の設計をすることがポイントになります。

弊社は上図を組織変革の3ステップと呼んでいます。組織を変革する際には、Unfreeze(解凍) – Change (変化) – Refreeze (再凍結)の3つのステップで進めることが不可欠です。四角い氷を丸い形に変えようとするシーンを思い浮かべてください。形を変えるために四角い氷をアイスピックで削ろうとすると割れてしまいます。人の心も氷と同じで、いきなりChange、つまりああしろ、こうしろと伝えることから入ってしまうと、拒否反応を起こしてしまいます。3つのステップの中で最も忘れられがちなのはUnfreezeです。Unfreezeとはつまり、「相互不信を解くこと」です。そのためには、理解や共感を示すことが大事です。

研修プログラムの設計においても同じことが言えます。これらの流れを踏まえて、研修プログラムを設計すると、下記のようになります。(※A社の例)

STEP1:そもそもの自社におけるダイバーシティ推進の必要性を理解する(Unfreeze)
STEP2:ダイバーシティマネジメントの必要性を理解する(Unfreeze)
STEP3:ダイバーシティマネジメントの実践方法を理解する(Change)
STEP4:ダイバーシティマネジメントのアクションを習慣化する(Refreeze)

組織変革の3STEPの「Unfreeze」にあたる「必要性を理解する」機会を設けることがポイントです。いきなりダイバーシティマネジメントの手法だけを教えたとしても、その必要性を理解していなければ、参加者の日々の実践には繋がりません。
なぜダイバーシティを自社において推進しなければいけないのか、その必要性を体感してこそ、参加者の意識や行動に変化が生まれるのです。

また、一度の研修だけでは参加者の変化には限界があります。そこでSTEP4の「Refreeze:ダイバーシティマネジメントのアクションを習慣化する」というフェーズを組み込む必要があります。日々の取り組みを習慣化させることで、研修の効果は単発的に発揮するのではなく、継続的に発揮することができます。そしてようやくダイバーシティの推進が加速するのです。

ダイバーシティの取り組み事例

■P&G

P&Gは、一般消費者向けにサニタリー商品を提供している会社です。消費者の変化するニーズに対応していくため、多様な価値観から生み出されるイノベーションに期待し、ダイバーシティの推進に取り組みました。

P&Gは
・社内の文化や制度による個々の能力や成果の最大化
・あらゆるアイデアや才能から生み出されるイノベーション
・変化する消費者ニーズに対応する企業文化の創造
これらの実現を目指しました。

具体的に取り組んだ施策の内容は下記の通りです。

・ダイバーシティ&インクルージョンをテーマにした外部スピーカーによるセミナーの実施
・勤務形態を自由に選べる制度の設計
・オフィスと自宅の両方の労働時間を合計できるコンバインドワークの導入

このような施策に取り組んだことで元々実現しようとしていた、「多様な価値観からイノベーションを生み出すことができる企業文化の創造」を図ることができました。

■SOMPOホールディングス

SOMPOホールディングスは、グループで展開している様々なサービスに多様な人材の視点を反映し、お客様のニーズに幅広く応えるために、2013年10月に「ダイバーシティ推進本部」を設置しました。

そこでSOMPOホールディングスは
・女性活躍推進
・障がい者活躍推進
・託児所との連携
・多様な働き方の推進
・ライフワークバランスの支援
など、様々な取り組みを実施しました。

その中でも女性活躍推進に関しては特に注力しており、
・女性社員の知識・スキル向上、意識・マインド変革にむけての女性育成プログラム
・更にグループ各社へのプログラムの展開、浸透促進
といった施策を実施しました。

その結果、2014年3月 経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」受賞から、2020年3月 経済産業省・東京証券取引所「令和元年度なでしこ銘柄」選定(2017年度から連続)など継続的にその取り組みの社会的評価を受けています。

また、女性管理職者数を目標数値として定めた2013年7月時点ではグループ全体で女性管理職数は305名(女性管理職者比率5.0%)でしたが、2020年4月現在の女性管理職数は906名(女性管理職者比率23.8%)となり、実際の成果としても如実に表れています。

参考:SOMPOグループのダイバーシティ推進

記事まとめ

日本における労働人口・構造の変化やグローバル化によって、多くの企業はダイバーシティを推進するようになりました。

今後、さらに時代の変化は加速していき、より一層ダイバーシティの推進が必要になってくると思います。ただ、いきなり壮大な取り組みをするのではなく、まずは身近な「多様性」に目を向けてそれを活かす事が更なる企業価値の向上に繋がることでしょう。

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