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【2025年最新】ダイバーシティとは?意味とメリットを簡単解説 | 組織改善ならモチベーションクラウド

「ダイバーシティ」という言葉は最近よく耳にするかと思います。ただ、「何となく聞いたことはあるけど、結局働く上で何が関係あるのか分かりにくいな」と思う方も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事では「ダイバーシティ」とはそもそも何なのか?その背景とは?また、企業として「ダイバーシティ」を推進するためには何をすべきなのかを説明します。

目次[非表示]

  1. 1.ダイバーシティとは?
  2. 2.ダイバーシティ・マネジメント(ダイバーシティ経営)とは?
  3. 3.ダイバーシティ経営が重視された背景
  4. 4.ダイバーシティ経営のメリット
  5. 5.ダイバーシティを推進するためには
  6. 6.ダイバーシティ推進のポイント
  7. 7.ダイバーシティの取り組み事例
  8. 8.記事まとめ

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ダイバーシティとは?

ダイバーシティとは、「多様性」を意味し、性別・年齢・国籍・人種などの表層的な違いだけでなく、価値観・経験・思考様式といった深層的な違いをも包括的に捉える概念です。

企業活動においては、こうした多様性を受け入れ、組織内で活かす取り組みが重視されており、競争力強化やイノベーション促進にも直結するとされています。

特に近年では「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」として、単なる多様性の受け入れだけでなく、その多様な人材が活躍できる組織環境の整備(インクルージョン)が同時に求められています。

ダイバーシティは大きく以下の2つに分類されます。

表層的ダイバーシティ(見える多様性)

これは外見的・身体的特徴や社会的属性に関わる要素です。たとえば:

  • 性別
  • 年齢
  • 国籍・人種
  • 障害の有無
  • 宗教や言語

これらは採用・昇進などでの不当な差別を防ぐ観点からも企業が配慮すべき重要な要素です。

深層的ダイバーシティ(見えない多様性)

こちらは内面的・精神的な価値観や思考の違いに関わる要素です。例としては:
働き方の志向(リモート志向・ワークライフバランス重視など)

  • 思考様式(論理型・直感型など)
  • 性格(内向的・外交的)
  • キャリア志向や人生観
  • 学習スタイルや得意分野

表層的ダイバーシティに比べて可視化が難しいため、管理職や人事部門には傾聴と理解の姿勢、柔軟な制度設計が求められます。

ダイバーシティの種類と分類

ダイバーシティは大きく「表層的ダイバーシティ」と「深層的ダイバーシティ」に分類されます。単なる人材の多様性を数値的に捉えるだけでは不十分であり、組織がこれら2種類の多様性をいかに理解・活用できるかが、ダイバーシティ推進の成否を分けます。

表層的ダイバーシティ:見える違い

性別、年齢、人種、国籍、障害の有無などが該当します。これらは法的保護や統計的管理がしやすいため、多くの企業が「採用時のバランス」や「男女比の目標値」として指標化しやすい領域です。ただし、表面的な数値改善だけにとどまると“見せかけの多様性”に陥る危険性があります。

深層的ダイバーシティ:見えない違い

価値観、宗教観、キャリア志向、思考スタイル、対人スタンス、働き方の選好などが含まれます。表層的な属性と異なり、これは関係構築や職場文化との接点によって初めて顕在化するものです。

深層的ダイバーシティを無視すると、表面上は多様な人材を採用していても、実際には均質な意見しか組織に反映されず、同調圧力が残ったままになることも多いのが現実です。

企業が多様性を本当に活かすためには、「可視化しやすい表層」だけでなく、「可視化しにくい深層」に向き合う覚悟が必要です。そのために有効なのが、心理的安全性を担保したフィードバック文化や、価値観の共有を図る対話の場づくりです。また、評価制度にも「違い」を組織価値として正当に認める視点を持たせることが求められます。

ダイバーシティを「制度で管理するもの」から、「文化として育むもの」へと進化させる視点が、今後の企業にとって不可欠です。

インクルージョンとの違いと関連性

日本ではダイバーシティとインクルージョンの2つの言葉が一緒に使われる場合が多いため、ダイバーシティの意味を理解するためには、それぞれの意味を適切に把握することが大切です。

2つの意味はそれぞれ
・「ダイバーシティ」=「多様性」
・「インクルージョン」=「統合」
という意味が一般的です。

また、「ダイバーシティ&インクルージョン」とは、「一人一人の多様性を束ね、同じ方向に向けること」です。

▼関連記事

(参考)​​​​​​​インクルージョンとは?意味やダイバーシティとの違い、導入のポイントについて解説

ダイバーシティ・マネジメント(ダイバーシティ経営)とは?

ダイバーシティ経営の発展段階

アメリカにおけるダイバーシティの発展段階(3段階)

  1. 法的遵守段階(1960年代〜1980年代)                       公民権法や差別禁止法の施行により、女性・有色人種・障害者などの採用促進が進められました。多様性は「差別をしないための義務」として捉えられており、コンプライアンス(法令順守)重視の姿勢が中心でした。
  2. 戦略的多様性段階(1990年代〜2000年代)                     多様性が企業の競争優位に貢献すると認識され始め、マーケット拡大、顧客理解、人材戦略の一環として活用されました。特にグローバル企業では、多文化チームの導入やダイバーシティ専門部門の設置が進みました。
  3. インクルーシブ文化形成段階(2010年代以降)                    単なる多様性の存在ではなく、それを活かす組織文化(インクルージョン)が重視されるようになりました。リーダーシップ、多様性指標のKPI化、LGBTQ+や精神的多様性への対応も含めた包括的な取り組みが加速しています。

日本におけるダイバーシティ経営の発展過程

  • 2000年代初頭:女性活躍推進の文脈からスタート                   少子高齢化による労働力不足への対応として、政府主導で女性管理職比率や両立支援制度の拡充が進められました。
  • 2010年代中盤:法制度と企業戦略の融合                      「女性活躍推進法」(2016年)を契機に、数値目標の設定や行動計画の公表が義務化。大企業を中心に、外国人・高齢者・障害者雇用も戦略的に推進されるようになりました。
  • 2020年代:ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)への本格移行          人的資本経営の観点から、性別・国籍だけでなく、価値観・働き方・ジェンダーなど深層的多様性も対象とした取り組みが重要視されています。組織文化の変革とともに、従業員エンゲージメントやイノベーションとの関連が注目されています。

参考)マネジメントとは?定義や役割・今後必要なスキルを解説

ダイバーシティ経営が重視された背景

価値観・働き方の多様化への対応

現代の労働市場では、個々人の価値観や働き方に対する考え方の多様化が顕著になっています。従来の「安定志向」「終身雇用」から、若年層を中心に「自己実現」「ワークライフバランス」「社会的意義のある仕事」を重視する傾向へと移行しています。特にミレニアル世代・Z世代では、「職場の文化」や「自分らしさの尊重」「柔軟な働き方」を評価軸とする人が増えており、企業はその価値観に合わせた戦略的対応を迫られています。

具体的な企業戦略の例:

  • パナソニックホールディングス:ジョブ型人事制度の導入               職務ベースでの評価と役割に応じた柔軟なキャリア形成を可能にし、多様な働き方を支援しています。
  • サイボウズ:選べる働き方制度                           フルタイム、パートタイム、リモート、週3日勤務など個人の事情に応じて働き方を選べる制度を導入。離職率の低下とエンゲージメントの向上に成功しています。
  • リクルート:複業の公認と推進                             本業以外の活動を認め、個人の成長や外部ネットワークの拡大を企業の競争力と連動させる仕組みを構築しています。

これらの事例は、従業員一人ひとりの価値観を尊重しながら、組織としての生産性やイノベーション力を高めるための有効な手段となっています。

政府によるダイバーシティ推進施策

政府もダイバーシティの推進を重要な国家課題と位置づけ、各省庁がさまざまな取り組みを行っています。なかでも代表的なものが経済産業省の「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」です。

経済産業省:ダイバーシティ2.0行動ガイドライン

このガイドラインは、企業が単なる多様な人材の受け入れに留まらず、多様性を価値創造につなげる経営へと進化するための行動指針を示しています。
主なポイントは以下の通りです:

  • ダイバーシティを経営戦略に統合すること
  • 管理職の意識改革と巻き込み
  • 定量指標による目標と進捗管理
  • イノベーションや業績への貢献を評価

厚生労働省:認定制度・支援制度

  1. えるぼし認定(女性活躍推進法)                          女性の職業生活における活躍推進に関する状況が優良な企業に与えられる認定で、採用、継続就業、労働時間、管理職比率などが評価されます。
  2. くるみん認定(次世代育成支援対策推進法)                     仕事と子育ての両立支援に積極的な企業に与えられる認定で、子育て支援制度の導入・活用状況が評価されます。
  3. 障害者雇用企業への助成金制度                           障害者雇用を推進する企業には、雇用奨励金や職場環境整備助成などの制度も整備されています。

これらの施策は、企業のダイバーシティ経営を制度面・財政面の両面から後押しする仕組みとして機能しており、取り組みの成果を社外にアピールする材料にもなります。企業はこれらを積極的に活用し、自社の信頼性・魅力度を高めていくことが求められています。

ダイバーシティ経営のメリット

ダイバーシティ経営は必要に迫られて行わなければならないだけのものではなく、それによるメリットも多く存在します。

■新たな視点によるイノベーション創出

多様性を持つ組織は、多様な人材の発想やアイデア、それぞれが持っているスキルが重なり合い、組織全体としてそれまでの既成概念の中では生まれなかったようなイノベーションを生み出す力が高まります。

似通った人材の集まる組織と比較すると、柔軟性、発想力、品質、スピード全てが向上する傾向があります。柔軟性、発想力、品質、スピードの向上により、多様化する顧客ニーズ(ビジネスチャンス)に対してタイミングを逃さず仕掛けることが可能です。


■優秀な人材の確保と定着率向上

ダイバーシティ推進により、多様な人材が活躍できる職場環境が整うことで、企業の魅力が向上し、採用競争力が高まります。

特にZ世代やミレニアル世代は「自分らしさを尊重される職場」を重視する傾向があり、企業の多様性への取り組みが採用の決め手となります。また、個々の違いが認められ、安心して働ける環境は定着率の向上にもつながります。

■組織の柔軟性と危機管理能力の向上

VUCA時代においては、変化への迅速な対応力が企業の存続を左右します。ダイバーシティによって多様な価値観や経験を持つメンバーが集まることで、柔軟な意思決定と複眼的なリスク認知が可能になります。

異なる視点が集まるチームは、想定外の事態にも対応しやすく、危機に強い組織体制を築くことができます。

■多様な市場ニーズへの対応力強化

多様な人材を受け入れる企業では、年齢・性別・国籍・価値観などの違いを通じて多様な顧客ニーズを的確に把握する力が高まります。

たとえば、女性顧客へのサービス改善に女性社員の声を反映するなど、顧客理解に基づく商品・サービス開発が促進されます。結果として、新市場へのアプローチや既存市場でのシェア拡大が可能になります。

■グローバル市場での競争力強化とビジネスチャンス

グローバル市場では、多様な価値観や文化への理解が競争優位につながります。ダイバーシティを推進することで多国籍チームの構築や、現地市場のリアルなニーズ把握が可能となり、国際展開の加速に寄与します。さらに、SDGsやESGに関心の高いグローバル投資家からの評価向上にもつながり、新たなビジネスチャンスが広がります。

ダイバーシティを推進するためには

さて、そんなメリットがあるダイバーシティ経営ですが、ダイバーシティを推進するためには、以下の2点が大切なポイントになります。1つ目は仕組み、2つ目は理解と育成です。

■ワークライフバランス施策の具体例

まず1つ目のワークライフバランスの充実です。ワークライフバランスとは「仕事と生活の調和をとり、両方を充実させる働き方・生き方」です。ワークライフバランスの充実がダイバーシティを推進させるポイントです。

ワークライフバランスを充実させる施策の例として、3つ説明します。

①育児休業・介護休業の充実
労働者の権利として、
・2週間以上にわたり常に生活補助を必要とする家族を介護するための介護休業
・1歳未満の子を養育するための育児休業
・3歳未満の子を持つ労働者が利用できる1日6時間勤務といった所定労働時間の短縮措置
が認められています。

また、企業に対しても
・当同社から申請があった場合における所定外労働の免除を原則化 
・短時間勤務制度や所定勤外労働免除の制度の導入
といったものが義務化されています。

こういった制度の充実を開示するだけでも、身近な多様性の受け入れと力の発揮が促進されやすくなります。

②勤務体系の柔軟化
勤務体系の柔軟化の例として、フレックス制や裁量労働制があります。

フレックス制とは、就業時間に一定の幅を持たせる就業制度です。メリットとしては業務効率の向上や、通勤ラッシュでの疲弊を防ぐといった効果があります。

裁量労働制とは、労働者は実際の労働時間とは関係無く、あらかじめ労使で定めた時間分働いたとみなされる制度です。時間配分を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるエンジニア等の役職に多く見受けられます。

労働者の自立管理が必要である一方、裁量範囲が大きく広がることがメリットです。

③勤務地の柔軟化
勤務地の柔軟化はワークライフバランスの充実にとって欠かせないものです。

昨今、コロナ禍により、勤務地の柔軟化は進んでいる企業も多く見受けられると思います。従来、出社して行っていた業務を、遠隔での実施やサテライトオフィスを利用した勤務形態に変えるといった方法は、通勤による疲弊や、家事・育児・介護等と仕事の両立といったメリットがあります。

こういった制度等を駆使し、ワークライフバランスの充実を図ることができれば、ダイバーシティの推進は比較的早く行うことができるでしょう。

(参考)テレワークの活用で働き方改革を!導入事例やポイントを解説

■多様性を尊重する企業文化の醸成

インクルーシブな企業文化を醸成するには、まず経営層がダイバーシティの重要性を明言し、実践する姿勢を見せることが第一歩です。次に、管理職研修や全社的なワークショップを通じて、無意識バイアスの理解や多様性の価値を浸透させましょう。

また、日常業務においても多様な意見を歓迎し、対話の場を設ける仕組みが必要です。イントラネットや社内報での情報発信、従業員アンケートによる現場の声の可視化とフィードバックも、継続的な意識改革につながります。

■評価・報酬制度の見直し

ダイバーシティを推進するには、一律の基準による評価・報酬制度からの脱却が不可欠です。柔軟な勤務形態や個別の働き方を尊重しつつ、職務内容や成果に応じた公平な評価軸を設けることが求められます。たとえば、

  • 成果に対するプロジェクトベースの評価制度
  • フルタイム以外でも活躍が認められる役割貢献度評価
  • チームの成功に貢献した協働姿勢を評価する制度

などが挙げられます。また、昇進や報酬における透明性の確保も多様な人材の納得感を高める重要な要素です。

ダイバーシティ研修プログラムの重要性と実施方法

ただし、「仕組みやルール」だけ整備しても、「制度はあるけど、利用できる雰囲気じゃない」「自分だけ利用するのは申し訳ない」と言うように、結局活用されないままや、活用しにくい文化になっている事が多々見受けられます。

そのために、仕組みの整備と共に、社内での理解を深める事と活用できる環境づくりが重要です。
まずは、組織のトップである経営層から理解と促進を行う事で、社員も理解と活用がしやすくなります。

また、そういった理解の深まりや社内での浸透は放っておいても促進されるものではない事も事実です。企業文化としてダイバーシティの考え方を浸透させるためには、経営陣・ミドルの研修プログラムの実施が必要不可欠です。

しかし、研修プログラムという機会だけでは人はなかなか変わりづらく、研修プログラムを変化の機会にしてもらうことは非常に難しいのが実情です。

少しでも多くの研修参加者に変わりたい・変われそう・変わらなければと思ってもらうために、まずは下記のような参加者のBefore(参加する前の状態)とAfter(参加した後の状態)をしっかり描くことが大切です。(※A社の例)

参加前後の状態を明確にすることで、一貫性のある設計が可能になり、研修プログロムをより効果的に実施することができます。

参加者のBefore(参加する前の状態)とAfter(参加した後の状態)を明確にした後、下記のような考え方をふまえて研修の設計をすることがポイントになります。

弊社は上図を組織変革の3ステップと呼んでいます。組織を変革する際には、Unfreeze(解凍) – Change (変化) – Refreeze (再凍結)の3つのステップで進めることが不可欠です。

四角い氷を丸い形に変えようとするシーンを思い浮かべてください。形を変えるために四角い氷をアイスピックで削ろうとすると割れてしまいます。

人の心も氷と同じで、いきなりChange、つまりああしろ、こうしろと伝えることから入ってしまうと、拒否反応を起こしてしまいます。3つのステップの中で最も忘れられがちなのはUnfreezeです。Unfreezeとはつまり、「相互不信を解くこと」です。

そのためには、理解や共感を示すことが大事です。

研修プログラムの設計においても同じことが言えます。これらの流れを踏まえて、研修プログラムを設計すると、下記のようになります。(※A社の例)

STEP1:そもそもの自社におけるダイバーシティ推進の必要性を理解する(Unfreeze)
STEP2:ダイバーシティマネジメントの必要性を理解する(Unfreeze)
STEP3:ダイバーシティマネジメントの実践方法を理解する(Change)
STEP4:ダイバーシティマネジメントのアクションを習慣化する(Refreeze)

組織変革の3STEPの「Unfreeze」にあたる「必要性を理解する」機会を設けることがポイントです。いきなりダイバーシティマネジメントの手法だけを教えたとしても、その必要性を理解していなければ、参加者の日々の実践には繋がりません。

なぜダイバーシティを自社において推進しなければいけないのか、その必要性を体感してこそ、参加者の意識や行動に変化が生まれるのです。

また、一度の研修だけでは参加者の変化には限界があります。そこでSTEP4の「Refreeze:ダイバーシティマネジメントのアクションを習慣化する」というフェーズを組み込む必要があります。

日々の取り組みを習慣化させることで、研修の効果は単発的に発揮するのではなく、継続的に発揮することができます。そしてようやくダイバーシティの推進が加速するのです。

ダイバーシティ推進のポイント

ダイバーシティを推進するにあたり、重要になるスキルについてご説明します。

ダイバーシティパースエージョン

 パースエージョンとは相手を「説得」させるスキルを指し、ダイバーシティパースエージョンとは「異見(異なる意見)を引き出しながら、相手を説得するスキル」 のことを指します。

このスキルの習得が重要だと言える理由としては、文化や価値観の違い等により、扱う言語のコンテクストが人によって異なるということが挙げられます。

例えば、日本は世界でも有数のハイコンテクスト文化ですが、ハイコンテクスト文化では 「あの件どうなった?」 「あ、もう大丈夫だよ」 などといった、「1を聞いて10を知る」コミュニケーションが成り立つので、言葉で説得する筋力は養われにくいです。

それに対してアメリカはローコンテクスト文化と呼ばれ、 「来週木曜の10時からのミーティングについてなんだけど○○はもう準備できてる?」 「いや、まだできていないよ。明日の12時には準備できているよ。」 のように「10を聞いて10を知る」コミュニケーションがスタンダードになります。

ハイコンテクスト文化で育った日本人が海外でマネさジメントをする際にぶつかる最初の壁がこのコンテクストの壁だとよく言われます。

ポイントは「どこまで詳しく伝えるのか」です。 ここでは株式会社リンクグローバルソリューションが提供している3 WAY ローコンテクストを紹介します。

モノゴトを詳しく伝える際は、①WHAT:具体的にどういうことか? ②WHY:なぜ今、それが大切なのか? ③HOW:いつ、だれがどう行うのか? の3ステップが有効だと考えています。 また、外国籍社員を説得する際には主語を「you」に変えることが重要です。

日本では「we」が主語になっていることが多く「みんなで頑張る」ことを要することが多いですが、責任範囲が明確な海外では主語を「you」に置かなければ人は動かないことが多いのです。

 この文化の違いを私たちはテトリス型とアメーバ型と呼んでいます。 欧米ではテトリス型の文化がスタンダードであり、仕事の責任範囲が明確なことが特徴的です。

ゆえに個への意識が強く、「それは自分の仕事なのか」「自分にメリットがあることなのか」という疑問に対しリアクションをすることが重要になってきます。

それに対して日本を始めアジアの国々に多いのがアメーバ型の文化です。個人の責任範囲は曖昧で、全体への意識が強いことが特徴的です。

「ローコンテクストvsハイコンテクスト」「テトリスvsアメーバ」の2つは異文化・異なる価値観の相手を説得し、行動を促す上で重要な観点となります。

ダイバーシティファシリテーション

また、ダイバーシティにおいてはミーティングや会議の場において、ファシリテーターとして多様な意見を引き出すスキルも極めて重要になります。 このスキルをダイバーシティファシリテーションスキルと呼びます。

 異文化の相手とミーティングをする際に認識すべきことは、ミーティングスタイルの違いです。ミーティングスタイルは2種類存在し、1つがゴルフ型、もう1つがラグビー型と呼ばれています。

 日本の会議スタイルはゴルフ型だと言われています。日本の教育は先生が情報を発信し、生徒はそれを聞く講義スタイルが一般的です。 それに対して欧米の会議スタイルはラグビー型と言われています。

会議中の活発な発言・議論が好まれることが多く、ディスカッションやディベートが多い欧米の授業スタイルと類似しています。

 以上を踏まえると、「ラグビー型がベストだ!」と考える方もいるかと思いますが、大切なの事は「どちらのスタイルにも合わせられる人材になること」です。

どちらのスタイルにも適応できる人材だからこそ、ラグビーとゴルフを織り交ぜたハイブリッドミーティングを設計し、異文化出身の相手に対しても、意見と異見を引き出せるのです。

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ダイバーシティ推進における課題と対策

日本企業におけるダイバーシティ推進には、「同質性を重視する企業文化」が大きな障壁となっています。終身雇用や年功序列といった制度が根強く残り、異なる価値観や背景を持つ人材が組織に馴染みにくいという課題があります。

また、管理職層における多様性への理解不足や、推進活動が形骸化しやすい点も問題です。

これに対する対策としては、まず経営層がリーダーシップを持ってD&Iの必要性を明言・実践することが重要です。次に、無意識バイアスを取り除く研修や、多様性を尊重する行動評価制度の導入が有効です。

たとえば、ある製造業では外国籍社員の登用にあたり、文化交流イベントを定期開催。社員間の相互理解が進み、離職率が大幅に低下しました。また、IT企業では育児中社員向けに柔軟な勤務制度を設けた結果、女性管理職比率が2年で2倍に増加した例もあります。

これらの実践的な取り組みが、ダイバーシティを成果につなげる鍵となります。

ダイバーシティの取り組み事例

■P&G

P&Gは、一般消費者向けにサニタリー商品を提供している会社です。消費者の変化するニーズに対応していくため、多様な価値観から生み出されるイノベーションに期待し、ダイバーシティの推進に取り組みました。

P&Gは
・社内の文化や制度による個々の能力や成果の最大化
・あらゆるアイデアや才能から生み出されるイノベーション
・変化する消費者ニーズに対応する企業文化の創造
これらの実現を目指しました。

具体的に取り組んだ施策の内容は下記の通りです。

・ダイバーシティ&インクルージョンをテーマにした外部スピーカーによるセミナーの実施
・勤務形態を自由に選べる制度の設計
・オフィスと自宅の両方の労働時間を合計できるコンバインドワークの導入

このような施策に取り組んだことで元々実現しようとしていた、「多様な価値観からイノベーションを生み出すことができる企業文化の創造」を図ることができました。

■SOMPOホールディングス

SOMPOホールディングスは、グループで展開している様々なサービスに多様な人材の視点を反映し、お客様のニーズに幅広く応えるために、2013年10月に「ダイバーシティ推進本部」を設置しました。

そこでSOMPOホールディングスは
・女性活躍推進
・障がい者活躍推進
・託児所との連携
・多様な働き方の推進
・ライフワークバランスの支援
など、様々な取り組みを実施しました。

その中でも女性活躍推進に関しては特に注力しており、
・女性社員の知識・スキル向上、意識・マインド変革にむけての女性育成プログラム
・更にグループ各社へのプログラムの展開、浸透促進
といった施策を実施しました。

その結果、2014年3月 経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」受賞から、2020年3月 経済産業省・東京証券取引所「令和元年度なでしこ銘柄」選定(2017年度から連続)など継続的にその取り組みの社会的評価を受けています。

また、女性管理職者数を目標数値として定めた2013年7月時点ではグループ全体で女性管理職数は305名(女性管理職者比率5.0%)でしたが、2020年4月現在の女性管理職数は906名(女性管理職者比率23.8%)となり、実際の成果としても如実に表れています。

参考:SOMPOグループのダイバーシティ推進

■資生堂

資生堂は、「女性活躍推進の先進企業」として国内外から高く評価されています。2017年には、グローバルでの女性管理職比率を2023年までに50%にするという目標を掲げ、育成制度を強化。

たとえば、管理職候補向けに「女性リーダーシップ研修」やメンター制度を導入し、社内ロールモデルの可視化にも努めています。

また、育児中の社員向けに在宅勤務や時短勤務制度を整備し、仕事と家庭の両立を支援する環境づくりを進めています。このような施策が実を結び、2022年時点で女性管理職比率は40%を超え、離職率の低下にもつながっています。

■ソフトバンク

ソフトバンクは、多様なバックグラウンドを持つ人材の活用と共生を企業戦略の一部と位置づけています。

2016年には社内に「ダイバーシティ推進室」を設置し、LGBTQ+支援や障がい者雇用の推進を積極化。性的マイノリティへの理解促進として、全社員向けのeラーニングや、同性パートナーにも適用される福利厚生制度を導入しています。

また、外国籍社員向けの日本語研修や生活支援プログラムも展開し、職場での文化的障壁を減らす工夫を行っています。これらの取り組みを通じて、多様性を生かしたチーム編成やイノベーション創出に成果が表れています。 ​​​​​​​​​​​​​​

記事まとめ

日本における労働人口・構造の変化やグローバル化によって、多くの企業はダイバーシティを推進するようになりました。

今後、さらに時代の変化は加速していき、より一層ダイバーシティの推進が必要になってくると思います。ただ、いきなり壮大な取り組みをするのではなく、まずは身近な「多様性」に目を向けてそれを活かす事が更なる企業価値の向上に繋がることでしょう。

従業員エンゲージメントを可視化・改善するモチベーションクラウドはこちら

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執筆者:百田 海渡
執筆者:百田 海渡
【プロフィール】 リンクアンドモチベーション新卒入社。 以降、中堅・スタートアップ企業向けのコンサルティングに従事。 「理念策定・浸透」「人事制度構築」やモチベーションクラウドを活用した組織改善等、 IT系業界、小売業界を中心に数多くの企業様に貢献。

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