
360度評価のコメント例文(立場別・職種別・評価軸別)と書き方のコツ
360度評価は、多角的な視点から評価を行うことで、評価の公平性を高め、人材育成を強化するツールです。この評価制度の成否を分けるのが、点数ではなく具体的なコメントの質です。形式的、あるいは感情的なコメントは、被評価者の成長を阻害し、制度を形骸化させます。
本記事では、360度評価のコメントが持つ役割と重要性を解説し、立場別、職種別、評価軸別など多様な場面で建設的かつ効果的なフィードバックを記述するための具体的なポイントと例文、さらには避けるべきNGコメントとその改善策を詳細に紹介します。
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360度評価におけるコメントの重要性
360度評価とは、特定の従業員について、上司だけでなく同僚や部下といった複数の関係者が多角的に評価を行う人事評価の手法です。この評価制度において、点数による定量的な評価は集計や比較を容易にしますが、被評価者の行動変容を促す上で真に重要なのは、コメントという定性的なフィードバックです。
コメントは、点数だけでは見えない行動の背景、影響、そして具体的な改善点を言語化し、評価の根拠を明確にします。これにより、被評価者は「なぜこの点数なのか」という納得感を得られ、自分の強みや弱みを具体的な行動レベルで認識できます。
360度評価のコメントを適切に記載するポイント
質の高いコメントは、評価の公平性を高め、被評価者の成長を促します。以下のポイントを意識することで、効果的なフィードバックコメントを記述できます。
ポイント①:感情ではなく、具体的な行動事実に基づいて記載する
適切なコメントは、評価者の主観的な感情や印象ではなく、具体的な行動事実を根拠として記述されていなければなりません。例えば、「リーダーシップがない」といった抽象的で感情的な批判ではなく、「先週の会議で意見が対立した際、双方の主張を整理し、5分で解決策を提案した」というように、いつ、どこで、何があったかという客観的な事実に基づいた記述が求められます。
このポイントを意識することで、コメントが感情論に流れず、評価の客観性が担保されます。被評価者は、具体的な事実を指摘されることで、自分の行動と評価のつながりを理解しやすくなるため、コメントの納得感と信頼性が向上します。
ポイント②:良かった点と改善点(ネガティブな点)の両方を記載する
コメントは、批判的な内容だけでなく、良かった点(強み)と改善が必要な点(弱み)の両方をバランス良く記載することが重要です。良かった点を具体的に承認することで、被評価者は自己肯定感を高め、成長への意欲を維持できます。その上で、改善点を伝える際は、人格を否定するような表現を避け、期待する行動を前向きに伝える建設的な表現を心がけます。
この両面からのフィードバックは、被評価者が安心してコメントを受け入れる土台を作り、改善点に対して積極的かつ意欲的に取り組むモチベーションを引き出すというメリットがあります。ネガティブな点を伝える際も、必ず改善の可能性を付け加えます。
ポイント③:コメントは簡潔かつ明確に、一つのテーマに絞る
一つのコメントに複数のテーマや要素を詰め込みすぎると、焦点がぼやけ、被評価者が最も改善すべき課題を特定できなくなります。コメントは、一つのフィードバックに対して一つのテーマに絞り、簡潔で明確な表現で記述することが重要です。例えば、コミュニケーションの課題を指摘する際は、業務遂行能力には触れず、傾聴の姿勢や情報共有の方法といった点のみに集中して記述します。
これにより、被評価者はコメントの意図を正確に理解しやすくなり、何を改善すべきかという優先順位を明確にできます。明確なコメントは、フィードバック後のアクションプラン策定を容易にするというメリットがあります。
ポイント④:フィードバックは「I(アイ)メッセージ」で伝える
フィードバックを伝える際は、「あなたは〜すべきだ」といった「You(ユー)メッセージ」ではなく、「私は〜と感じた」「私は〜を期待する」といった「I(アイ)メッセージ」で伝えることが推奨されます。「Iメッセージ」は、評価者が自分の意見や感情を主語にして伝えるため、被評価者が一方的に非難されていると感じにくくなり、コメントを抵抗なく受け入れやすくなります。
例えば、「あなたの報告書は分かりにくい」ではなく、「私は、あなたの報告書を読んで、結論がどこにあるのか分かりにくかった」と伝えることで、被評価者と評価者の間に信頼関係を築きつつ、具体的な改善点(この場合は結論の明確化)を指摘できるというメリットがあります。
ポイント⑤:次期目標や行動変容につながるよう記述する
最も効果的なコメントは、過去の行動の評価に留まらず、次期目標や具体的な行動変容につながる示唆を含んでいることです。改善点を指摘するだけでなく、「今後は、会議前に必ず資料を事前に共有することを提案します」といったように、次に取るべき具体的な行動や、期待する変化を明確に記述します。
この示唆を含むコメントは、フィードバック面談におけるアクションプラン策定の基盤となり、被評価者の自律的な成長を促進します。コメントが次期目標と明確にリンクすることで、評価制度が単なる形式的な手続きではなく、継続的な人材育成システムとして機能するというメリットが生まれます。
【立場別】360度評価のコメント例文
立場が異なれば、評価する視点や焦点が大きく変わります。ここでは、それぞれの立場で効果的なコメントを記述する際の視点と例文を紹介します。
1.部下から上司
評価する視点
部下は、上司のマネジメント行動、育成能力、意思決定の明確さ、心理的安全性の確保といった点に焦点を当てて評価します。特に、コミュニケーションの質やハラスメントリスクの有無など、「人に対する接し方」が重要な視点となります。
書き方のコツ
個人的な感情や不満ではなく、上司の具体的な行動や、その行動がチームの士気や業務効率にどのような影響を与えたかを記述します。匿名の立場を活かし、率直かつ建設的な意見を伝えます。
例文
・良かった点
「週に一度の1on1ミーティングにおいて、私の話(業務外の課題も含む)を遮らずに最後まで聞いてくれるため、安心して相談できています。その後のフィードバックも建設的で、キャリア形成について具体的なアドバイスをいただけたことで、自身の成長目標が明確になりました。おかげで、モチベーションが高く保たれています。また、チームの方針決定の際、必ずその背景にある経営的な理由を明確に説明してくれるため、納得感を持って業務に取り組めています。情報共有についても漏れがなく、意思決定の透明性が非常に高いと感じています。」
・改善点
「プレイングマネージャーとして多くの業務を抱えているためか、チームメンバーからの報告や質問に対して返答が遅れることがあり、業務が滞る原因になることがありました。特に重要な決定事項については、メールだけでなく口頭での確認や承認を迅速に行っていただけると、業務が円滑に進むと期待します。また、会議中に意見が対立した際、特定のメンバーの意見を一方的に採用してしまう傾向が見受けられました。今後は、多様な意見を公平に聴取し、最終的な判断の根拠を明確に説明していただけるよう期待します。」
2. 上司から部下
評価する視点
上司は、部下の目標達成度、プロセス遂行能力、主体性、組織への貢献意欲、そして今後の育成課題といった点に焦点を当てて評価します。育成者として、部下の強みを伸ばし、弱みを克服するための具体的な道筋を示すことが重要です。
書き方のコツ
評価点と行動を明確に結びつけ、具体例を挙げて記述します。抽象的な批判は避け、次に取るべき行動を具体的に示します。
例文
・良かった点
「今期、担当した新規顧客開拓プロジェクトにおいて、当初の目標(売上1,000万円)に対し、1,300万円を達成するという素晴らしい成果を上げました。特に、従来の営業手法に固執せず、データ分析に基づいた独自の提案資料を作成し、顧客の潜在的なニーズを引き出すことに成功した点、その主体性と論理的思考力が高く評価できます。この成功は、チーム全体の営業戦略にも大きな示唆を与えています。この問題解決能力と実行力は、次期目標達成に向けた重要な強みとなるでしょう。今後もこの積極性を維持し、チームの成功事例として展開することを期待します。」
・改善点
「業務遂行能力や専門知識は高い水準にありますが、業務を一人で抱え込み、周囲に相談するタイミングが遅れる傾向が見受けられました。特に複雑な案件においては、進捗状況の報告や課題発生時の情報共有をもう少しタイムリーに行うことで、チーム全体でリスクを分散し、さらに効率的に業務を遂行できるはずです。今後は、週に一度の進捗ミーティングで、懸念事項やボトルネックとなる可能性のある業務について、必ず口頭で報告することを徹底してほしいと期待します。また、チームメンバーへの業務の依頼時に、指示が一方的にならないよう、依頼の背景を説明するコミュニケーションを意識すると、チームワークがより円滑になるでしょう。」
3.同僚間
評価する視点
同僚は、被評価者の協調性、情報共有の適時性・正確性、業務連携における貢献度、相互理解を促すコミュニケーションの質といった点に焦点を当てて評価します。チームワークや組織貢献度といった、水平的な関係性における行動が主な視点となります。
書き方のコツ
個人的な感情を排し、業務連携における具体的な事実に基づいた記述をします。相手の業務に敬意を払い、貢献に感謝を伝えるポジティブな言葉を基調とします。
例文
・良かった点
「部門横断プロジェクトにおいて、私の担当する作業が遅延した際、自分の業務が多忙であるにもかかわらず、進捗確認と具体的なサポートを申し出てくれました。そのおかげで、納期を無事守ることができました。特に、困難な状況でも冷静さを失わず、論理的に解決策を提案できる問題解決能力と、チームを支える協調性が非常に高く評価できます。日頃からの情報共有も丁寧かつ迅速で、連携が非常にスムーズに行えています。共に仕事をする上で、極めて信頼できるメンバーだと感じています。」
・改善点
「専門的な知識やスキルが非常に高いことは理解していますが、新しい業務の進め方やツールに関する説明が、やや専門用語に偏りがちで、初心者である私には分かりにくいことがありました。チーム全体で情報を共有する際は、相手の知識レベルに合わせて、より平易な言葉で解説したり、具体例を交えたりするなどの配慮をしていただけると、チーム全体の理解度が高まり、連携がさらに円滑になると期待します。今後は、説明の後に『ここまでの内容で不明点はありますか?』と一言確認を入れていただけると、大変助かります。」
【職種別】360度評価のコメント例文
職種によって成果を出すための行動特性が異なるため、評価の焦点も変わります。ここでは、職種別に重視すべき視点とコメント例を紹介します。
1. 事務職
評価する視点
正確性、効率性、情報管理能力、他部門との連携におけるサポート力といった、業務の基盤を支える能力に焦点を当てます。ミスの少なさや、定められた手順を遵守しているかが重要です。
書き方のコツ
定型業務における改善点や、他部門とのスムーズな連携に貢献した具体的なエピソードを記述します。
例文
・良かった点
「経費精算業務において、提出された書類の不備を見つける精度が極めて高く、部門全体の処理スピードと正確性の向上に大きく貢献しています。特に、複雑な申請規定を分かりやすいチェックリストにまとめて全社員に共有してくれたことで、他部門の作業負担も軽減されました。単に処理するだけでなく、ミスを未然に防ぐ仕組みを自主的に構築する改善意識と、その実行力が評価できます。また、期限厳守の意識が高く、安心して業務を任せることができます。」
・改善点
「日々の定型業務は完璧にこなしていますが、業務外の新しいプロジェクトや、部門を横断するタスクへの参加に対して、やや消極的な姿勢が見受けられました。今後は、既存の知識を活かしつつも、新しい環境で自身の能力を試す機会を積極的に求める主体性を期待します。例えば、新しいツールやシステム導入の際に、率先して情報を収集・学習し、その知見をチームに共有すると、さらなる成長に繋がるでしょう。」
2.営業職
評価する視点
目標達成へのコミットメント、顧客との信頼構築能力、市場や競合に関する情報収集力、計画的な行動力といった、結果とプロセスに直結する行動に焦点を当てます。
書き方のコツ
具体的な売上目標や、顧客との関係性におけるエピソードを数値や事実を交えて記述します。
例文
・良かった点 「今期の売上目標(1,500万円)を130%達成しただけでなく、既存顧客からの継続的なリピート受注が安定しており、顧客との間に極めて強固な信頼関係を構築していることが分かります。特に、競合他社にない弊社の強みを深く理解し、顧客の潜在的なニーズに対して適切なソリューションを提案できる能力が評価できます。また、失注案件についても感情的にならず、原因を論理的に分析し、次の提案に活かす改善サイクルを回す主体性も素晴らしい。チームへの情報共有も積極的で、他のメンバーの成功にも貢献しています。」
・改善点 「目標達成への意欲や実行力はチーム内でトップレベルですが、チームメンバーとの情報共有や連携が、個人の目標達成を優先するあまり、やや不足する傾向が見られました。特に、大型案件の進捗や、顧客から得た市場の重要なフィードバックについて、チーム全体に共有するタイミングが遅れることがありました。今後は、個人の目標だけでなく、チーム全体の成功を意識し、自分の持つ知見や情報をタイムリーに共有する協調性を期待します。これにより、チーム全体の生産性向上につながるでしょう。」
4.企画職
評価する視点
創造性、論理的思考力、市場分析力、多様な関係者を巻き込むコミュニケーション能力、実行可能性といった、アイデアを具体的な形にする能力に焦点を当てます。
書き方のコツ
提案したアイデアや企画が、最終的にどのような成果につながったかというプロセスを記述します。
例文
・良かった点 「市場の動向と顧客のニーズを的確に捉え、他社にはない画期的な新製品企画を提案し、実現に導きました。特に、その企画を具体的な収支計画やスケジュールに落とし込む論理的思考力と、実現に向けて開発部門や営業部門といった多様な関係者を巻き込み、合意形成を図る高いコミュニケーション能力が評価できます。この企画は、当社の次期収益の柱となる可能性を秘めており、その創造性と実行力はチームの見本となっています。困難な状況でも、粘り強く目標を追求する姿勢は素晴らしいです。」
・改善点 「企画の内容やアイデアは非常に優れていますが、その企画をプレゼンテーションする際、専門的な知識がないメンバーにも理解できるよう、複雑な内容を分かりやすく要約・整理するスキルに改善の余地が見受けられました。特に、技術的な専門用語を多用しすぎたため、経営層への提案時に意図が十分に伝わらないことがありました。今後は、相手の知識レベルに応じて表現を調整する配慮と、企画の核となるメッセージを明確に伝える簡潔な説明力を意識することを期待します。これにより、企画の実現可能性がさらに高まるでしょう。」
4.技術職
評価する視点
専門知識の深さ、正確性、問題解決スキル、新しい技術に対する学習意欲、他部署(特に営業や企画)との連携能力といった点に焦点を当てます。
書き方のコツ
バグの修正や開発期間の短縮など、具体的な技術的貢献や効率化の成果を記述します。
例文
・良かった点 「システム開発プロジェクトにおいて、他者が解決できなかった深刻なバグに対して、その原因を論理的に究明し、迅速かつ正確に修正を完了させました。この高い専門知識と問題解決能力は、プロジェクトの遅延を防ぐ上で非常に重要な貢献でした。また、自分の担当外の技術分野についても、自発的に学習し、その知見をチームに共有する積極性が見られます。新しいプログラミング言語の習得も迅速で、その意欲と実行力は、技術者としての模範となるものです。常に品質と効率を意識した仕事ぶりは評価できます。」
・改善点 「個人の技術力と専門知識は非常に優れていますが、営業部門や企画部門など、技術的な知識を持たない他部署との連携において、専門用語を多用しすぎるため、意図が正確に伝わらないことがありました。特に、スケジュールや技術的な制約について説明する際、相手の理解度を確認しながら、平易な言葉で説明するコミュニケーションに改善の余地が見受けられます。今後は、技術的な内容を非技術者に分かりやすく伝えるための説明スキルを意識し、部門間の連携を円滑にすることで、プロジェクト全体の効率性を高めることを期待します。」
【評価軸別】360度評価のコメント例文
人事評価制度の主要な評価軸に沿って、コメントの焦点を紹介します。
1.能力評価
評価する視点
従業員が業務を遂行する上で保有している知識、スキル、技術、行動特性といった潜在的な能力に焦点を当てます。職務の難易度や複雑性に対応できる能力が備わっているかを評価します。
書き方のコツ
具体的な業務における行動を能力に紐づけて記述します。今後の成長の可能性についても言及します。
例文
・良かった点
「複雑なデータ分析を伴う新プロジェクトにおいて、難易度の高い統計的知識を活かし、チームの課題解決に貢献しました。これは、単なる知識ではなく、それを実務に応用できる高い能力を示しています。この論理的思考力と分析スキルは、今後のキャリアにおいて大きな強みとなるでしょう。また、未経験の分野においても、必要な知識を短期間で集中して習得する学習意欲と能力も高く評価できます。今後は、このスキルを活かして、チームメンバーへの指導も積極的に行えるようになることを期待します。」
・改善点
「専門知識の習得は早いものの、会議におけるファシリテーション(進行役)や議論をまとめるスキルに改善の余地が見受けられます。発言のタイミングが遅れたり、発言内容が抽象的になりがちで、チームの意思決定を円滑にする貢献が十分ではありませんでした。今後は、議論の構造を事前に整理する準備を行うことと、自分の意見を簡潔かつ明確に伝える訓練を意識することを期待します。これにより、チームの生産性向上に貢献できるコミュニケーション能力が身につくでしょう。」
2.成果評価
評価する視点
設定された目標に対する達成度や、業務を通じて創出された具体的な結果、貢献度といった、アウトプットに焦点を当てて評価します。
書き方のコツ
具体的な数値目標や期限と対比させて記述し、結果に至った要因(プロセス)にも触れます。
例文
・良かった点
「今期の売上目標を2ヶ月前倒しで達成し、部門全体の業績に大きく貢献しました。この成果は、既存のやり方に満足せず、非効率な業務プロセスを洗い出し、RPAを導入するなど、業務効率化を主体的に行った結果として評価できます。単なる目標達成に留まらず、成果を出すためのプロセス自体を改善する能力は、組織の模範となるものです。この実行力と改善意識をもって、次期はさらに難易度の高い目標に挑戦できることを期待します。」
・改善点
「担当したプロジェクトは最終的に目標を達成しましたが、プロジェクトの進捗管理が計画よりも遅延することがありました。特に、外部協力会社との連携において、納期調整の交渉が不十分であったため、リカバリーに多くの時間を要しました。今後は、計画段階で起こりうるリスクをより詳細に分析し、関係者との合意形成を早期に行うことで、予期せぬ遅延を防ぐ計画性を期待します。成果を出す能力は高いため、プロセスの確実性を高めることで、さらに高い成果を生み出せるでしょう。」
3.意欲評価
評価する視点
業務に対する前向きな姿勢、積極性、責任感、倫理観、そして組織への貢献意欲といった、個人の内面的な態度や情意的な側面に焦点を当てて評価します。
書き方のコツ
困難な状況下での態度や、自発的な行動に関するエピソードを記述し、その意欲が周囲に与えた影響に言及します。
例文
・良かった点
「前例のない困難な状況下での新規事業立ち上げにおいて、チームメンバーがモチベーションを失いかける中、常に前向きな姿勢で臨み続け、周囲を鼓舞する重要な役割を果たしました。この強い責任感と諦めない意欲は、チームの士気維持に不可欠でした。また、自分の担当業務だけでなく、チーム全体の成功のために積極的にサポートを申し出る献身的な姿勢も高く評価できます。企業の理念や方針を理解し、その実現に向けて常に最善を尽くそうとするプロ意識は素晴らしいものです。」
・改善点
「業務に対する責任感は非常に高い水準にありますが、自分の意見と異なるアイデアや提案に対し、やや感情的になってしまい、建設的な議論を避けてしまう傾向が見受けられました。多様な意見を冷静に受け止め、客観的に分析し、結論を導き出す姿勢を持つことで、チーム全体の議論の質が高まります。今後は、意見が対立した際でも、相手の主張を一度受け止め、論理的に自分の意見を伝える冷静なコミュニケーションを意識することを期待します。これにより、周囲からの信頼がさらに厚くなるでしょう。」
360度評価において避けるべきコメント
質の高いフィードバックを行うためには、どのようなコメントが不適切であるかを理解することが重要です。不適切なコメントは、被評価者のやる気を削ぎ、制度への信頼を損ないます。
NGコメント①:抽象的で、具体的な根拠がないコメント
避けるべきコメント: 「コミュニケーション能力が全体的に不足していると感じる。」 「やる気がないように見える。」
改善点: 評価の根拠となる具体的な行動やエピソードを追記します。抽象的な批判は避け、「いつ、どこで、何があったか」を記述します。 改善後の例:「会議中に発言の機会があっても沈黙していることが多く、チームがあなたの意見や専門性を活用できない場面が見受けられました。今後は、週に一度、自分の業務状況や意見を積極的に発言するよう期待します。」
NGコメント②:人格や感情を否定するコメント
避けるべきコメント: 「この人はリーダーに向いていない。」 「彼の態度はだらしなく、プロ意識に欠ける。」
改善点: 評価の対象を人格や資質ではなく、具体的な行動に限定し、建設的な言葉に置き換えます。 改善後の例:「会議の開始時刻に遅れることが複数回あったため、チーム全体の時間を尊重する行動に改善の余地があります。今後は、時間管理を徹底し、約束の5分前には準備を完了させるプロ意識を期待します。」
NGコメント③:他者との比較や憶測に基づくコメント
避けるべきコメント: 「Aさんのように積極的に提案すべきだ。」 「おそらく仕事に飽きているのだろう。」
改善点: 他の従業員との比較や、根拠のない憶測は避け、被評価者自身の行動のみに焦点を当てます。 改善後の例:「既存の業務プロセスに対して改善提案が今期は一件もありませんでした。現状維持に満足せず、自ら課題を設定し、新しい取り組みを提案する主体的な行動を期待します。」
NGコメント④:評価者が自分の業務の不満を表明するコメント
避けるべきコメント: 「〇〇さんの仕事が遅いせいで、私の業務負荷が増している。」 「私の質問への回答が遅く、非常に迷惑している。」
改善点: 評価者の業務上の不満を表明するのではなく、被評価者の行動が組織に与えた影響に置き換えて記述します。 改善後の例:「進捗報告が期限より遅れることがあったため、チーム全体のスケジュール調整に遅延が発生しました。今後は、報告書を期限の1日前に提出する計画性を期待します。」
NGコメント⑤:評価期間外の行動や私的な内容に言及するコメント
避けるべきコメント: 「去年のプロジェクトでは、彼は全く役に立たなかった。」 「彼の私生活の忙しさが、業務態度に影響しているように見える。」
改善点: 評価の対象期間外の行動や、業務と無関係の私的な内容への言及は避けます。評価期間中の行動のみに焦点を当てます。 改善後の例:「この評価期間中、業務に集中できていないように見える場面がありました。パフォーマンスを維持するために、必要に応じて上司や産業医に相談する機会を活用することを推奨します。」
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まとめ
360度評価の成功は、点数ではなく、コメントの「質」にかかっています。効果的なコメントとは、感情論を排し、具体的な行動事実に基づいて「良かった点」と「改善点」の両方を建設的に記述することです。立場や職種によって評価の視点を変え、上司からは育成の視点を、部下からはマネジメントの改善点を、同僚からは協調性を評価します。抽象的な批判や人格否定を避け、次期目標につながる具体的な行動示唆を含めることが、被評価者の自律的な成長を促す鍵となります。質の高いコメントは、評価制度を真の育成ツールへと昇華させ、組織のコミュニケーションとエンゲージメントの向上に不可欠な要素です。





