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360度評価を導入している企業を紹介!成功・失敗事例から学ぶポイント | 組織改善ならモチベーションクラウド

360度評価は、上司だけでなく同僚や部下といった多方面からフィードバックを集めることで、マネジメント層の育成や組織の透明性向上に貢献する評価手法です。近年、働き方の多様化や組織のフラット化を背景に、導入する企業が急速に増加しています。

本記事では、360度評価の最新の導入傾向、具体的な企業事例としてトヨタ自動車株式会社を含む5社の事例、導入が加速している背景、そして導入に失敗しないための具体的な要因と対策、成功のポイントを徹底解説します。

目次[非表示]

  1. 1.360度評価の導入率と傾向
  2. 2.360度評価を導入している企業
  3. 3.360度評価の導入企業が増加している背景
  4. 4.企業が360度評価の導入に失敗する要因
  5. 5.企業が360度評価の導入を成功させるポイント
  6. 6.組織変革のことならモチベーションクラウド
  7. 7.まとめ

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360度評価の導入率と傾向

企業における360度評価の導入率は、特に大企業やグローバル企業を中心に高まっています。規模が大きくなるほど、一人の上司が部下を多角的に見るのが難しくなるため、導入の必要性が増す傾向にあります。

具体的な導入率は企業規模や調査機関によって異なりますが、従業員数1,000人以上の大企業では半数以上が何らかの形で導入、あるいは導入を検討していると言われています。

導入の主な傾向として、従来の評価制度のように評価結果をそのまま昇給や昇進といった人事処遇に直結させるのではなく、管理職層の行動変容を促すためのフィードバックツールとして活用する企業が増えています。

これは、処遇に直結させると評価が甘くなったり、報復評価のリスクが高まったりするデメリットを避けるためです。

特に、マネージャーのリーダーシップ開発や、部下からの評価(逆評価)を通じて組織の風通しを改善する目的で活用されることが多く、人材育成マネジメントの重要な要素として位置づけられています。

360度評価を導入している企業

360度評価は、製造業からIT、サービス業に至るまで幅広い業界で導入されており、特に人材育成を経営の根幹と位置づける企業で積極的に活用されています。ここでは、その代表的な事例を紹介します。

事例①:トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社は、「人間性尊重」を経営理念の柱の一つとし、社員の能力開発と健全な組織文化の維持に注力しています。同社が360度評価を導入した主な目的は、管理職のマネジメント能力と人間力といったソフトスキルを客観的に測定し、育成することにありました。

従来のトップダウン評価だけでは、管理職の持つ協調性や、部下とのコミュニケーションの質といった、チーム運営に不可欠な側面を捉えることが困難でした。

そこで、360度評価の結果を賃金や昇進に直結させるのではなく、管理職の育成プランと個別コーチングに活用する方針を徹底しました。この運用により、上司は部下や同僚からの率直なフィードバックを心理的な抵抗なく受け入れることが可能になりました。

結果として、マネージャーは自身のマネジメント行動の癖や改善点を具体的に認識し、対話型のリーダーシップへの変容が促され、組織全体の風通しの改善と部下のエンゲージメント向上に貢献しています。

事例②:KDDI株式会社

KDDI株式会社は、2020年8月に「KDDI版ジョブ型人事制度」を導入し、全社員の専門性の強化と自律的なキャリア形成を推進しています。

この新しい人事制度の下で、同社は社員の能力を多角的に評価する客観的な仕組みを必要としていました。従来の評価制度だけでは、ジョブ型に求められるコアスキル(チームワーク、リーダーシップなど)を適切に評価できないという課題があったため、360度評価を導入しました。

KDDIでは、360度評価を基幹職(非管理職)を含む全社員のコアスキル評価として算定する人事評価に組み込んでいます。この多角的なフィードバックを通じて、社員は自身の専門領域だけでなく、組織に貢献するために必要な行動特性を明確に把握することが可能になりました。

評価結果は、社員が自身の成長課題を認識し、専門人財としてさらに自律的に能力開発を進めるための重要な情報源として機能しています。

事例③:富士通株式会社

富士通株式会社は、グローバルでの競争力強化と事業変革を推進する中で、マネージャー層の意識改革と多様な人材を活かすダイバーシティマネジメントの実現が急務となっていました。従来の評価制度では、マネージャーの多様性への受容姿勢や、部下のエンゲージメントを高めるための行動を多面的に評価する視点が不足していました。

そこで、同社はマネージャーの能力開発を目的として360度評価を実施しました。評価項目には、多様性を尊重する姿勢や、部下の意見を傾聴する能力といった、これからの時代に不可欠なコンピテンシーを設定しました。得られた多角的なフィードバックは、マネージャー本人に返され、個別コーチングやリーダーシップ研修に活用されています。

この取り組みにより、マネージャーは自身の無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)や、コミュニケーションの課題を具体的に認識し、多様な価値観を持つ部下をまとめ、変革をリードできるリーダーシップの強化に繋がっています。

事例③:株式会社リコー

株式会社リコーは、グローバルでの事業展開を強化する中で、各国・各拠点で活躍できるリーダーシップを発揮できる人材の育成が急務となっていました。従来の評価制度では、海外拠点を含めた多角的な視点でのリーダーシップ評価が不足しており、特に異文化マネジメントや多様性対応といったスキルを測る仕組みが不十分でした。

そこで同社は、360度評価をグローバルリーダー育成プログラムの一環として導入しました。評価項目には、多様な価値観を尊重する姿勢や、グローバルな環境で成果を出すためのコミュニケーション能力といった項目を設定しました。

評価結果は、マネジメント層本人にフィードバックされ、個別コーチングやグローバル研修に活用されています。

これにより、マネージャーは自身の国際的なマネジメントにおける課題を明確に認識し、グローバルリーダーシップの強化に繋がっています。

事例④:株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントは、インターネット広告事業という変化の激しい業界で成長を続けるため、社員の成長スピードを最大化することが常に求められています。同社では、特にマネージャー層が多忙なプレイングマネージャーであることが多く、部下への育成やフィードバックが疎かになりがちという課題がありました。

導入効果として、360度評価を「マネジメントレビュー」という形で定期的に実施し、マネージャーの成長支援と組織風土の健全化に活用しています。評価結果は、マネージャーの行動改善のための指標として利用され、評価結果の低いマネージャーには、人事や役員が個別フォローアップを実施しています。

これにより、マネジメントの質が可視化され、部下育成の重要性が組織全体に浸透し、優秀な人材の定着に貢献しています。

360度評価の導入企業が増加している背景

360度評価の導入企業が増加している背景には、現代のビジネス環境と組織の進化に対応するための必然的な要因が存在します。

背景①:組織のフラット化と複雑化

従来の階層型組織から、意思決定の迅速化を目指すフラット型組織へと変化する企業が増えています。また、部門横断的なプロジェクトチームが常態化するなど、組織構造が複雑化しています。この結果、直属の上司一人が部下の業務全体や協調性を把握することが困難になり、従来のトップダウン評価だけでは評価の公正性を担保できなくなりました。

360度評価は、この複雑な組織構造に対応し、多面的な関係者からの評価を取り込むことで、評価の客観性を維持するために不可欠なツールとなっています。

背景②:マネジメント層の育成ニーズの高まり

ミレニアル世代やZ世代といった若手層が組織の主力を担うようになり、彼らは上司に単なる指示出しではなく、対話や成長支援といったコーチング的なマネジメントを求めます。しかし、多くの管理職は、過去の経験則に基づくマネジメントスタイルから脱却できず、部下の育成に課題を抱えています。

360度評価は、部下からのフィードバック(逆評価)を通じて、管理職自身に自身のマネジメント行動に対する具体的な気づきを与え、時代に合ったリーダーシップへの行動変容を促すための強力な動機付けとなります。

背景③:従業員エンゲージメントの向上

企業が優秀な人材を惹きつけ、定着させるために、従業員エンゲージメントの向上が経営課題となっています。従業員は、自分の意見が聞いてもらえている、貢献度が公正に見られていると感じることで、組織への信頼感や愛着を深めます。

360度評価は、フィードバックという形で従業員の発言権を保障し、組織の意思決定に参加しているという意識を与えるため、エンゲージメント向上施策として機能します。

背景④:ハラスメントやコンプライアンスリスクの低減

ハラスメントやコンプライアンス違反といったリスクが企業価値を大きく損なう時代において、組織の健全性の確保が重要になっています。上司の不適切な言動は、上司の上司からは見えにくいものですが、部下からの匿名でのフィードバックを通じて、早期にリスクの兆候を察知することが可能です。

360度評価は、マネジメント層の行動をモニタリングし、問題が深刻化する前に人事部門が介入するための客観的なデータを提供することで、組織のリスクマネジメント体制を強化します。

背景⑤:働き方の多様化とリモートワークの普及

リモートワークやフレックスタイム制が普及したことで、上司が部下の日常的な業務プロセスを観察する機会が減少しました。その結果、従来の評価方法では、評価の網羅性が低下し、見えない貢献が見過ごされるリスクがあります。

360度評価は、実際に業務を共にしている同僚やプロジェクトメンバーの視点を取り込むことで、リモート環境下においても従業員の貢献度やコミュニケーションの質を公正に評価し、多様な働き方に対応した評価を実現するために不可欠な仕組みとなっています。

企業が360度評価の導入に失敗する要因

360度評価は、運用方法を誤ると組織に混乱や不信感を生じさせ、失敗に終わるリスクがあります。失敗の主な要因とその対策を理解することが重要です。

導入目的や評価基準が曖昧

企業が360度評価を導入する際、「なぜこれを行うのか」「結果を何に使うのか」という目的が曖昧なままだと、従業員は不安を感じ、協力的な姿勢を得られません。特に、評価基準が「協調性」や「責任感」といった抽象的な言葉に留まっていると、評価者によって基準がバラつき、評価の公平性が損なわれます。

対策として、導入目的を「育成のため」などと明確に絞り込み、全従業員に透明性を持って周知することが必要です。また、評価項目は具体的かつ観察可能な行動(コンピテンシー)に落とし込み、評価者全員に評価基準に関する研修を徹底して実施することが不可欠です。

評価項目の数が多すぎる

評価項目が多すぎると、評価者(特に同僚や部下)の業務負担が著しく増加し、評価作業に対するモチベーションが低下します。結果として、回答が形式的になったり、深く考えずに回答されたりするリスクが高まり、フィードバックの質が低下します。 対策としては、設問数を30問から40問程度に厳選することが推奨されます。

評価対象者の役割に応じて、本当に測定したい核となるコンピテンシーに項目を絞り込みます。また、評価項目はクローズドエンドの選択式だけでなく、具体的なエピソードを記述するオープンエンド設問も適切に組み合わせることで、フィードバックの具体性を担保します。

評価結果を給与・賞与に直接反映させる

評価結果を昇給や賞与といった人事処遇に直接的に連動させると、評価者間に「甘い点数付け」や「報復評価」の心理が強く働き、正直なフィードバックが得られなくなります。これは、制度が形骸化する最大の要因です。特に、部下から上司への評価が処遇に影響する場合、部下は本音を言うリスクを避け、評価は平均点に集中します。

対策として、初期導入時や育成目的の場合は、評価結果を処遇決定に一切反映させないことを明確に約束します。評価はあくまでも育成のためのフィードバックツールとして位置づけ、賃金への反映はあくまで最終的な評価者が総合的に判断する際の参考情報に留めるべきです。

実施コストと労力の負担が大きい

360度評価は、従来の評価よりも評価者が多いため、評価の回収、集計、分析、レポート作成といった事務作業の負荷が人事部門に集中します。手作業で実施しようとすると、莫大な時間と労力がかかり、結果として制度の継続が困難になることがあります。

対策として、専用の360度評価システムやクラウドサービスを導入することが不可欠です。

システムを導入することで、評価依頼から集計、レポート作成までの一連のプロセスを自動化でき、人事部門や評価者の事務負担を大幅に軽減し、コストパフォーマンスを高めることができます。

評価後のフィードバックとフォローが疎か

360度評価は、評価結果のデータを得ることが目的ではなく、その結果を基に被評価者の行動変容を促すことが目的です。評価結果をただ本人に開示するだけで、上司や専門のコーチによるフィードバック面談や、その後の行動計画のフォローアップが疎かになると、被評価者は「なぜこの評価なのか」を理解できず、結果を成長に活かせません。

対策として、評価結果の開示後、必ず専門的なスキルを持った上司やコーチによる個別面談を実施する体制を整備します。面談では、結果の解釈を助け、被評価者自身が具体的な改善行動計画を自律的に策定できるように支援するコーチングの場とします。この丁寧なフォローアップこそが、制度の成否を分けます。

企業が360度評価の導入を成功させるポイント

企業が360度評価の導入を成功させるには、単にシステムを導入するだけでなく、組織文化への定着を意識した戦略的な運用が不可欠です。

目的を「育成」に絞る

導入初期は、評価結果を昇給や賞与に結びつけず、管理職のリーダーシップ開発や社員の能力開発といった育成目的での活用に限定します。これにより、評価者からの正直なフィードバックを確保し、制度の信頼性を高める土台を築きます。

経営層・管理職の理解とコミットメント

制度の目的と意義について、経営層と管理職層が深く理解し、率先して評価を受け入れ、行動変容を示すことが不可欠です。特に上司が部下からのフィードバックを真摯に受け止める姿勢は、組織全体の協力意識を高めます。

評価者研修の徹底

評価者(部下を含む)に対して、評価基準の統一、感情を排した事実に基づく記述式フィードバックの書き方、そして匿名性の重要性について、徹底した研修を実施します。評価の質の担保は、制度の成功の鍵です。

フィードバック面談の専門化

評価結果を基に、専門のコーチや訓練を受けた上司が、被評価者と一対一で面談を実施します。面談では、結果の解釈を助け、被評価者が自律的に行動計画を策定できるよう支援するコーチングスキルが求められます。

データ活用の仕組み化

評価結果を個人に留めず、部門別・階層別に集団データとして分析し、組織全体の課題(例:特定の部署のコミュニケーション不全)の特定と改善策の実行に活用します。これにより、制度を組織変革のPDCAサイクルに組み込みます。

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まとめ

360度評価は、従来の評価制度の限界を超え、管理職育成と組織の透明性を向上させる強力なツールです。トヨタ自動車株式会社をはじめとする多くの企業で導入が進んでいますが、成功には「育成目的への限定」「評価基準の具体的定義」「フィードバック面談の専門化」が不可欠です。

評価結果を給与に直結させるなど運用を誤ると、人間関係の悪化や制度の形骸化を招くリスクがあります。企業は、適切なシステムと徹底した研修を通じて、この多角的な評価を組織変革と従業員エンゲージメント向上に活かすことが求められます。

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執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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