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日本オラクル×Workday ×ミライセルフ「HR Techサービス開発社と考える10年後の人事の姿」

あらゆる業界において第一線で活躍するプロフェッショナルを「先生」として迎え、オンライン授業を届けるスクー。株式会社リンクアンドモチベーション執行役員の麻野耕司による4回シリーズの共通テーマは「人事はテクノロジーによって進化する」。

人気シリーズの最終回となる第4回目の授業「HR Techサービス開発社と考える10年後の人事の姿」は、日本のHR Techの商品・サービスを生み出すトップランナー3社による60分を、HR2048が独占レポートします。

【放送日】
2017年3月8日

【登壇者】
日本オラクル株式会社 クラウド・アプリケーション事業統括 HCMソリューション部 部長 津留崎 厚徳氏
Workday,Inc. ディレクター,プロダクトマネージメント HCM Japanプロダクトリーダー 宇田川 博文氏
株式会社ミライセルフ 代表取締役CEO 表 孝憲氏
株式会社リンクアンドモチベーション 執行役員 麻野  耕司 

日本の人事は、義理人情が強い「サイエンス<アート」の世界

津留崎 厚徳氏(以下、津留崎氏):日本オラクルの展開しているサービス「Oracle HCM Cloud」は人事のクラウドサービスです。

具体的には、統合された人材情報のデータベースを中心として、採用から入社後の目標設定・評価あるいは報酬の決定・人材育成などを包括的にカバーする人事のアプリケーションをクラウドで提供しているものです。

クラウドなので、常に最新技術を取り入れることが可能であり、年に2回ほど新バージョンをリリースしています。

モバイル・クラウド・ソーシャル・ビッグデータのテクノロジーを特に取り入れています。

オラクルは会計など様々なアプリケーションを持っているのですが、人事のアプリケーションの中でも、AI(Adaptive Intelligent)という業務に則した分析を組み込んでいます。

業務で忙しい現場への気づきやリコメンデーションを提供する機能なのですが、例えば、入社後にモチベーション状態が不安な社員の面談の必要性を示唆したりします。 

麻野:なるほど。それでは、自社サービスやHR Tech普及に向けての課題についてはどのようにお考えでしょうか。

津留崎氏:HR Techとは≒AI(Artificial Intelligence)というイメージが先行していて、機械が人事部の代わりをするという文脈で捉えられることもあると思います。

しかし、テクノロジーで人事の業務を支えるという意味で考えると、私たちITベンダーの取り組みに通じるところがあります。

また、機械学習を使っていく上で、基礎データが足りないとも感じていますし、何より、データ・ドリブン・カルチャーの浸透が不足している現状があります。

アメリカと異なり、日本の人事はまだまだ義理人情の世界が強く、サイエンスよりもアートが強いといえばわかりやすいでしょうか。 

麻野:アメリカでは「人事はサイエンスしていこう」といった潮流があるのですか。 

津留崎氏:そうですね。アメリカは人材の流動性が高く、担当者もHRのプロフェッショナルとして会社を移ることは珍しくありません。様々に人が入れ替わったとしても、きちんと運用するためにはデータが必要になるわけです。

日本の場合は、そこまで人の流動性が高くない上に、社員の顔と名前がわかる人事が大半なので、アメリカほどにデータ活用する意識が高くないと感じます。 

麻野:なるほど。ありがとうございます。

世界各国と比べても、人事変革の意識が低い日本

麻野:それでは、次にWorkday,Inc.宇田川さん、お願いします。 

宇田川博文氏(以下、宇田川氏):Workday,Inc.のご紹介から始めたいと思います。ワークデイは2005年にシリコンバレーで創業しまして、製品としては財務と人事のシステムを提供しています。

Fortune500社の内、1/4社にご利用いただいており、グローバル展開している大手企業のお客さまが多いです。改めてカウントしたのですが、1,900万人の従業員の方にご利用いただいているサービスです。

麻野:私自身、ワークデイ社そのものに非常に興味がありまして、人事システムに限らず、ワークデイ社はこの10年間で最も成功したベンチャー企業の一つだと思っています。

時価総額は1兆円に到達されているはずですが、たった10年強で、そこまでの成功を収められた要因は何だとお考えですか。 

宇田川氏:新しいテクノロジーを使って、ゼロから次の世代のエンタープライズクラウドというものを作っていることだと思います。

大手企業の基幹業務をクラウドで行うということについて、成功するわけがないと誰もが言っていました。

ですが、私たちは「グローバル企業がHR Techを活用していくにあたっては、これ以外の方法はない」という信念に基づいて10年間やってきました。それが評価されたということではないかと受け止めています。 

麻野:どの点が、他社とは違ったのでしょうか。

宇田川氏:一番重要なことは、トランザクション(業務処理)とアナリティクス(分析)とプランニング(計画)のシステムが完全に、一体化しているということです。

機能で言えば、例えばオラクル社とはコンペティターになりますので、同じようなものを持っています。

一番の違いは、トランザクションをオンメモリに展開して、そこへ直接分析をかけることができる。その結果に基づいてプランニングをするということです。

HR Techが発達していくにつれて、元のデータに対しての直接の働きかけが強まるため、保有するデータ量が多ければ多いほど良いのです。業務処理した大量のデータに直接働きかけられることが、差別化の要因だと考えています。

麻野:ありがとうございます。それでは、HR Tech普及に向けての課題はどうお考えでしょうか。 

宇田川氏:私どもの製品を日本のお客さまにご提供する際に感じることですが、人事変革の緊急性に対する意識が低いと感じます。アメリカをはじめその他の国々のお客さまと比較すると、のんびりしている印象を受けます。

例えば、これからタレントマネジメントを行いたいというご相談が非常に多くありますが、対象が幹部候補生だけという相談が多いです。1万人企業であれば3,000人程度でしょうか。

サクセッションプラン(後継者育成計画)に利用したいという目的なのですが、それだけでは、これからの人事は上手くいきません。すべての従業員を対象としたピープルマネジメントが必要なのです。

麻野:なぜ、欧米をはじめとした各国と異なり、日本は人事変革への意識が低いのでしょうか。

 宇田川氏:そうですね、変化に対応する力が弱いと思います。日本では、ERPという業務システムを、自分たちのやり方に合うようにカスタマイズして使用していることが多いです。

大きな投資になるので、10年近く同様のシステムを使い続けるわけですが、そうすると、自分たち流に業務が固定化してしまい、新しいことを始めづらい状態が作られてしまうのです。

「使いやすくわかりやすい」サービスで、グローバル企業に挑む

麻野:では最後に、ミライセルフ表さんお願いします。 

表孝憲氏(以下、表氏):ミライセルフは、人と組織のミスマッチを解決するサービス「mitsucari」を展開しています。

自身の経験としても、「入社してみないと社風はわからない」という面接を受ける側の思いがあり「面接では素晴らしかったのに入社後全然フィットしない」という面接を行う側としての悩みがありました。

求職者と企業の間には「社風や風土にフィットする人や組織がわかりづらい」という課題がある。

コミュニケーションの方法は多様に進化しているのに、フィット感を見る方法は変わらず面接という現状に、何かサポートができたらとサービスを始めました。

「mitsucari」の仕組みはシンプルで、企業側と求職者それぞれに同様の検査問題をメールで回答してもらい、そのマッチ度合いを見ていきます。

そして、そのデータを蓄積して分析するものです。そしてこれらが1時間内にスタートできる手軽さも良さのひとつではないかと思います。

そして、自社サービスやHR Tech普及に向けての課題感ですが、一番はやはり「 HR Techは難しいものじゃないか」というイメージだと思います。

難しく考えすぎず、採用・保留・不採用にした人は具体的にどんな人だったのかを、エクセルに残して見ていくことからでも始められることだと考えています。

麻野:例えばオラクル社は、グローバルで開発者が6,000人いる。そういった中で、スタートアップ企業として何をセールスポイントにしていこうとお考えでしょうか。

表氏:2つあると思っています。「使いやすさ」と「わかりやすさ」です。

「使いやすさ」で言えば、感覚的に使えるUIであること。人事のシステムは採用や面接の場面で使うことが多く、場合によっては毎日使用するシステムではないこともあります。

ですが、システムを使用する度に、Facebookやゲームアプリのような感覚で使いこなせることが大事だと考えています。

「わかりやすさ」においては、わかりやすい結果にフォーカスして、人工知能を使っていくということです。

10年後の人事はどうなっているのか

麻野:表さん、ありがとうございます。3社それぞれのお話をお伺いしてきましたが、今回のテーマは「10年後の人事の姿」です。壮大な話ではありますが、予測でも提言でも結構ですので、お話いただければと思います。 

津留崎氏:10年は、遠い先のようで案外あっという間だとも言えます。これから10年後の姿は、一人の従業員のライフサイクルに関するデータが、いつでも取り出して分析できるようになっていること。

そして、機械学習などのテクノロジーが、幾つかの領域で、人事の意思決定の支援を行っているイメージです。人間とAI(Artificial Intelligence)の判断を合わせることで、より精度の高い判断が実現できるのではと思います。

宇田川氏:10年後、何が起きているかわかりません。誰もわからないと思います。だからこそ、変化に対応できるようになるということが必要です。人事のやり方も多様化し、ダイバーシティは、人だけではなく人のマネジメントへと広がっているはずです。

現在の会社のコアビジネスに携わる人・新規ビジネスを立ち上げる人・立ち上がったビジネスを成長させている人、それぞれに適材は異なりますし、それぞれにマッチする一つの人事制度を作ることは不可能です。

そう考えると、様々な人事制度に対応できる仕組みを持って、人事はその仕組みを柔軟に活用していくようになるのではないかと思います。

表氏:私は、2人くらいの役員とAIくんが話をして相談をしているくらいのことは起こるのではないかと思っています。

ちなみに、前職の金融業界では、AI的な、アルゴリズムのトレーディングは1990年あたりから非常に盛んに行われていました。データが蓄積しやすい金融業界と比較すると、人事の領域は、データはあるものの使いきれていない・整理されていない現状があります。

だからこそ、これからやることがたくさんあって、面白い変化が起こっていくフロンティアになるだろうと思います。 

麻野:私自身としては、皆さんと10年後の人事をつくっていきたいと思っています。1回目の授業でもお話しさせてもらいましたが「日本の最大・最強の資源は人材である」ということは疑う余地がないことだと思います。

広大な国土があるわけでもなく、豊富な天然資源があるわけでもないこの国において、人こそがこの国の財産。しかし、人材の戦略的な活用において海外に遅れを取っています。この状況を何とかしなければいけません。

日本は、ものづくりで成長してきた国ですが、これからは、人づくりで先んじる国にしていかなければいけません。

様々なゲストをお迎えしたこのシリーズでしたが、皆さん熱い気持ちを持った開拓者ばかりですし、皆さんとHRTechを普及・啓蒙していきたいと改めて感じています。

まずは私自身がモチベーションクラウドで日本企業の組織に新たな可能性を示せるように取り組んでいきたいと思います。

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※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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