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【前編】メルカリ×ヤッホーブルーイング ”バリュー”が誰にも真似できない会社をつくる

日本最大のフリマアプリ「メルカリ」を運営する、時価総額が1,000億円を超えるユニコーン企業である株式会社メルカリ。

「よなよなエール」「水曜日のネコ」をはじめとしたクラフトビールを製造・販売し、日本全国にクラフトビール文化を根付かせたと言っても過言ではない株式会社ヤッホーブルーイング。

顧客から圧倒的な支持を受ける両社の組織づくりの共通項は、こだわり抜かれたバリューだった。ヤッホーブルーイング社のビールを片手に、リラックスした雰囲気の中で行われた「ビアトーク」。

モデレーターは、メルカリ社への組織開発支援だけではなく、小泉氏とも親交の深いリンクアンドモチベーションの麻野が務めた。

【イベント実施日】
2017年5月11日(木)

【イベント名】
「メルカリ×ヤッホーブルーイング ビアトーク ~”バリュー”が誰にも真似できない会社をつくる〜」

【登壇者】
株式会社メルカリ 取締役社長兼COO 小泉 文明氏
株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役社長 井手 直行氏
株式会社リンクアンドモチベーション 執行役員 麻野 耕司

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会社設立から約10年を経てつくられた、はじめての経営理念。

麻野 耕司(以下、麻野)メルカリさんもヤッホーブルーイングさんも、両社ともに独自の組織文化があることから、メディアに取り上げられることも多いと思います。ヤッホーブルーイングさんは、Great Place to Work(働きがいのある会社ランキング)でベストカンパニーに輝かれましたし、メルカリさんは弊社のモチベーションクラウドを使っていただいているのですが、非公表ながら非常に高いモチベーションスコアが出ています。

本日は、バリューをどのように経営に活用しているのかという点をおうかがいしていきたいと思っています。会場の皆さまから事前に質問をいただいているので、質問に沿って進めていきましょう。それでは最初の質問。「両社のバリューは、いつどんな方法でつくったのですか」。

井手 直行氏(以下、井手氏):まず、我々の会社における考え方としては、ピラミッド状に上からミッション、そしてビジョンがあり、その下に並列でガッホー文化・価値観・ヤッホーバリューが並ぶのですが、そのヤッホーバリューである「1.革新的行動、2.顔が見える、3.個性的な味」についてですね。

実は、弊社のミッションは、創業してからずっと存在しませんでした。私は2008年に社長に就任したのですが、その前年頃にようやく、経営理念が必要だと思うようになったんです。

私自身が気ままに生きてきたので、経営に何が必要かということもわからずにいましたが、スタッフたちが同じ方向を見ていないことの苦労を感じて、経営理念は必要だな、と。

具体的には富士山を登ろうと思っている人もいれば、近場の山を登るつもりの人もいる。きちんと整理しないとダメだと思いました。優秀な方々は起業するタイミングで経営理念をつくるんでしょうけれど、我々は必要に応じて作っていったイメージですね。

ファンから愛される理由を追求して、ヤッホーバリューが完成した。

麻野:ちなみに、両社ともにバリューは3つずつです。大事にしたいことは色々と出てきて、絞ることは難しいと思いますが、どのように3つに絞ったのでしょうか。

井手氏:3つのバリューには「クラフトビールの定義とは一線を画し、ヤッホーがファンに支持されている価値。」という意味があります。会社が成長するにつれて出てきた、我々はどうして支持されているんだろうという疑問や不安を解消するために「ファンがなぜ我々のことを好きなのか」をできる限り洗い出して仕分けしたんですね。

そして、クラフトビールの先進事例であるアメリカについても取り上げました。クラフトビールでありながら拡大し、全米に勢力を持つような会社の中でも、支持されている会社とそうでない会社の差はなんなのかを、現地のメンバーに調べてもらったりもしました。それらを参考にしながら、絞りに絞って残ったのがこの3つ「1.革新的行動、2.顔が見える、3.個性的な味」でした。

麻野:顧客という視点で、顧客から選ばれている理由と、他社を参考にしたということですね。非常によくわかりました。メルカリはどうでしょうか。

経営者としての最初の仕事が、ミッションとバリューをつくること。

小泉 文明氏(以下、小泉氏):私はメルカリの創業メンバーではなく、少し遅れて入っているのですが、当時のメルカリのミッションは「インターネットで世界を変える」的なもので、バリューはありませんでした。

いわゆる、ふわっとしたミッションで、中長期的に考えると、何をやっているのかわからない会社になってしまうなと感じました。というのも、過去にミクシィという会社を経営していて反省した経験があるからです。

mixiという強いプロダクトがあれば、経営側が何もしなくても会社のカルチャーはできるもので、実際にミクシィは優しい・明るいイメージがあり、サービスの成長と共に、そのイメージに勝手に求心力がついてきて、会社はまとまっていました。

ただ、会社の業績が好調なときはいいのですが、プロダクトのライフサイクルが進み、良くないフェーズに入ってくると、会社の求心力が落ちてきてしまうもの。ミクシィも難しい時期に入ると共に、社員それぞれが好き勝手に、自分のミクシィ像というものを発言するようになりました。

ミクシィにおいて、自分自身が経営メンバーとしてミッションやバリューを浸透させるという点で、手抜きをしたなという反省がありました。ですので、メルカリに入社したときに、同じ失敗を繰り返す可能性があるぞと考え、最初の仕事として、ミッションとバリューをつくることに取り掛かったんですね。

「メルカリのミッションを達成するためにメンバーはどういう行動をすればいいのか」を、経営陣でひたすら付箋に書き出し、グルーピングして、議論を重ねました。また、個人的に人間は4つ以上のものを覚えられないと思っているので、バリューは3つ以内にしようと考えました。

3つ以内に絞るにあたっての基準は、事業との関係性ですね。メルカリのビジネスは、C2Cのマーケットプレイスでグローバルに展開しています。

そして非常に競争が激しい。そういった特徴の中で考えると、リスクを取らなければという思いがあったので、ひとつ目の「Go Bold」が決まりました。それ以外のバリューは「All for One」「Be Professional」です。

麻野:事業が伸びているときは意外と、理念などなくても社員は束ねられていたりします。ですが、事業が苦しい状況になったときに、事業成長ありきで束ねられていた場合は、気持ちが離れていく人がいたりもします。事業ではなく理念で束ねられていれば、厳しい状況であっても、踏ん張れるところはありますよね。

小泉氏:メルカリの場合、会社と事業を分けたことが特徴だと思っています。強いプロダクトがあればあるほど、会社と事業は近くなってしまい、オーバーラップしてきてしまう。

今は意識的に、メルカリという会社とサービスを分けて、発信しています。この点、グーグルが非常に上手いと思います。グーグルという検索エンジンと、グーグラーというグーグルで働く社員を分けていますよね。

麻野:メルカリは、バリューをつくる上ではミッションから遡ることと、事業環境を踏まえて落とし込んだということですね。バリューが上手く機能している企業の特徴は、ビジネスを踏まえて、ビジネスを成功させるためにどういうバリューを置くべきかということがリンクしていることと言えそうです。

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※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

 

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