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【後編】サービス業界のリーディングカンパニー ”理念経営”生活の木 「トップと社員の“経営視界”が重なった日」

従業員のモチベーションが高い企業をランキング形式で表彰する、モチベーションカンパニーアワード。そのトップ10常連である株式会社生活の木をゲストに迎えて送る、リンクアンドモチベーション主催の経営者セミナー。

3ヶ月毎に、他社の事例から学ぶという趣旨で実施されている。株式会社生活の木からは代表取締役の重永忠氏、モデレーターとして、重永氏と旧知の間柄であるリンクアンドモチベーションの麻野と近藤が登壇し、まさにここでしか聞けないクローズドトークとなった。

【登壇者】
株式会社生活の木 代表取締役 重永 忠氏
株式会社リンクアンドモチベーション 執行役員 麻野 耕司 
株式会社リンクアンドモチベーション マネジャー 近藤 俊弥 

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内定辞退者ゼロの理由

近藤俊弥(以下、近藤):エリアマネージャー制を辞めるというエピソード以外に驚いたのは、2009年から本格的に新卒採用を始められて、1名も内定辞退者が出てないことです。これは、本当にすごいことですよね。

重永忠氏(以下、重永氏):改めてそう言われるとそうですよね。内定を出して、内定受諾した人たちへの次のステップが、4日間の山奥での合宿です。

ここでは、肉体的にも精神的にも尋常じゃない環境下に置かれます。理念浸透・チームビルディング・仕事とは何ぞやということ。頭で理解するだけではなくて、身体を酷使する競技を用いて、その意味を染み込ませていきます。

そして夜は、ワークを通じて分かった、お互いの良いところと悪いところを、本音で夜通し語り合う流れですね。相当きつい経験だと思いますが、これまで、内定辞退どころか「やっぱり生活の木を辞めます」という相談すらなかったですね。

4日間共に過ごすことで、全部さらけ出して、生活の木の家族の一員となっているんですね。そして、私も人事もその全てに立ち会っています。

近藤:それから、内定者をお客様扱いしていないと感じます。

重永氏:入社を志望してくれる人たちの多くは、商品のファンつまりはお客様なんですよ。提供される側から提供する側になりたいと、志望してくれる人が多いからこそ、理念教育をやっています。

また、好きだけで入社してしまうと、中途半端な気持ちになるんですよね。見た目が華やかだったり、癒されるような仕事だと思われがちなんですが、当然ながら仕事は結構大変です。

なので、採用選考のタイミングからきちんと伝えていく。ギャップを感じる方もいると思いますが、だったらそれは仕方がないと思っています。

これまでは内定辞退する人はいませんでしたが、これからは出て来るかもしれないと思っています。ただ大切なのは、内定辞退者を出さないということではなく、覚悟が決まってる人とだけ一緒に仕事をやっていく、という選択をし続けるということです。

管理しない管理制度

近藤:生活の木さまの管理制度についても聞かせてください。

重永氏:そもそも、管理制度という呼び方はしないですね。そのネーミングが好きじゃないんです。要するに「自分のことと会社のことが一体になるための制度」という考え方が前提です。

経営計画は自分たちで作り、自分たちで約束して宣言したことは、自分ごととしてやろうということですよね。押し付けられたものは「上が言うから、本当は無理だけどやらなくちゃ仕方がない」という風になります。「これだけはやりたい」とか「今年中にこれをやりたい」ということが計画になることが、実は経営で最も大切なことです。

任せるということは、自主性を持たせるということであり、自主性を持たせるということは、自分たちで目標を作る・自分たちで理想を掲げるということ。

それから、出た結果に対してどうするかです。これは生活の木独自のことかもしれないですが、みんなで頑張って上げた利益は、みんなで分かち合おうという考えに基づいて、実際に年度で出る営業利益の3分の1は、3回目の賞与として分配しています。

利益をどうするかは非常に重要で、幾ら利益が上がるかということよりも、上がった利益をどうするかを明確にすることが大事だと考えています。業績・利益が自分に返ってくる。

これはどういうことかと言うと、やればやるだけ報われる報酬制度なんです。幾ら利益を上げたとしても何も変わらない会社なのか、利益を上げるほどにリターンとして返ってくる仕組みがあるのか。

ちなみに8月末が決算なんですが、8月の上旬になると、ガラス張りで開けっ放しの社長室に「幾らぐらい利益出そうですか」ってみんなが聞きに来ますよ。会社の業績が自分ごとになっている証拠だと思います。

自分ごとと会社ごとが一体になるということを望むのならば、仕事を求めるだけではなくて、社員にリターンが返ってくる仕組みを同時に作っておかないといけません。最も良くないのは、利益を上げても全部株主配当で吸い取られることです。

利益は内部留保にも使い、新しいことを始めるための原資にもします。工場を作りたい、店舗も作りたい、こんな商品開発をしたい・・・それぞれにやりたいことがあるはずで、それを実現するためには利益が必要だということを、みんな良く分かっています。だから「利益を上げなさい」なんてことを言わなくても、利益を上げるためにはどうしたら良いかなと、当たり前のように考えているんですよね。

近藤:目標設定やそこに対する責任など、現場が経営と同じ目線になることはなかなか難しいと思うんですが。

重永氏:15年ぐらい前は、みんなが出してくる予算目標と、トップである僕が描く理想には結構な乖離があったんですが、不思議なもので息が合ってくるんですよね。ここ5〜6年は、ほぼ全部門の上げてきた予算目標と売上・経費と、私がこのくらいやれたら良いなと思っている数字が、非常に近い。

当然、すぐに近くはならないけれど、やっている内に腹づもりが合ってくるんです。これは、私とみんなの経営の息が合ってきたということなんですよね。これはやり続けていないと分からないですよね。腹の探り合いとかじゃないんです。

しかも、年数を経たから自然に合ってきたということではなく、日々のコミュニケーションであったり、研修であったりを通じて得られるヒントが多くなればなるほど、合ってくるに決まっているんです。何かしらの目標を決めたのに、その後結果検証するコミュニケーションがない会社は、どうしたって息は合ってこないはずです。

経営は「我慢とロマンと時間と自慢」

近藤:それでは、ここからは会場からのご質問をお受けしたいと思います。

質問者:まだ何も知らない若者がどんどん実力をつけて、社会の役に立って、報酬を得て、自信をつけていくということに、生きがいを感じております。どうしても社員一人ひとりへの思いが強くなりすぎて、のめり込んでしまうんです。

先日も「社長、もう少し子離れ(社員離れ)した方がいいです」と言われてしまいまして。我慢が必要だなと思ってはいるのですが。重永社長なりの我慢の仕方・成長理論を教えていただけたらと思います。

重永氏:人に入り込みすぎてしまうというのは、悪いことではなく、むしろ素晴らしい経営者でいらっしゃると思ってお聞きしていました。相手もきっと、照れながら嬉しいんじゃないですかね。

だから、そのままお節介を継続されていくべきだし、その思いが伝わる相手こそが、会社の中軸として今後良い働きをされていくのだと思います。

我慢は仕方がないですよね。経営って我慢です。言ったことが明日から忠実に実行されていくなんてことがあれば簡単で、そんなことはあり得ない。経営って、まずロマンがなくてはいけない。自分の事業をこうしていきたいというロマンですね。

ですが、ロマンだけでは立ち行かなくて、時間がかかります。時間がかかるっていうことはやっぱり、我慢しないといけない。でも基本は、誰にでも自慢できる会社にしていくということです。つまりは、我慢をするのが経営者の仕事であり役割だと思いましょうということでしょうか。

近藤:なるほど。経営は「我慢とロマンと時間と自慢」。質疑応答を通じて、素晴らしいお話をいただきまして、ありがとうございました。

【前編】サービス業界のリーディングカンパニー ”理念経営”生活の木 「理念経営企業生活の木が誕生するまで」はこちら

【中編】サービス業界のリーディングカンパニー ”理念経営”生活の木 「社員の成長が会社の運命を決める」はこちら

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※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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