組織偏差値70超え企業:組織状態をオープンにすることで組織の求心力が高まる。
株式会社ファインドスター

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「組織偏差値70の企業が実践するマネジメントの秘訣とは」というテーマで迎える次のゲストは、株式会社ファインドスターの渡邊氏。セオリーをはるかに超える20個の行動指針に、大胆な人事制度。すべてのセクションが、健全な競争関係のもとに組織改革を行うことで、会社全体としての求心力が高まる。その具体的取り組みに迫ります。

【イベント実施日】
2017年11月24日(金)

【プロフィール】
株式会社ファインドスター 代表取締役社長 渡邊 敦彦氏

モデレーター
株式会社リンクアンドモチベーション 
執行役員 麻野 耕司

組織の入り口に徹底的にこだわる。10年以上続く「価値観採用」

麻野耕司(以下、麻野)株式会社ビーボ武川さんのお話に続いては、株式会社ファインドスターから渡邊さんにご登場いただきます。

渡邊敦彦氏(以下、渡邊氏)株式会社ファインドスターの渡邊です。本日はよろしくお願いします。このエンゲージメントサーベイは、2017年の4月に初めて実施しまして、現在でまだ2回と回数は少ないんですが、すでに大きな変化が起きています。導入して本当に良かったと思っていますし、組織変革という意味においても、もっと様々な挑戦をしていこうと思います。ファインドスターは96年創業の会社です。05年にファインドスターに入社した後、08年に、グループ会社の株式会社ワンスターを創業しまして。その後、15年にファインドスターの代表取締役に就任しました。つまりは、僕は二代目の代表です。

事業内容は、ダイレクトマーケティングの支援をしています。事業会社のファインドスターの親会社としてホールディングスの機能であるファインドスターグループがあって、グループ経営をしているのですが、その特徴としては、創業者の内藤は遠心力経営がしたい・僕は求心力経営がしたいということで、それぞれに好きなやり方でやっているというところでしょうか。僕がやっている求心力経営の方は、このダイレクトマーケティングで、国内5社・海外に3社あります。

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ファインドスター単体としては、もうずっと印刷物を使ったマーケティングをやっていまして。世の中デジタル化していく中で、もちろんグループ内にもデジタルマーケティングの会社はあります。しかし、印刷物という手触り感のあるメディアの価値をもっと深堀って追求するマーケティング会社もあっていいんじゃないかということで、非常にレガシーなマーケットではあるのですが、ここで何か新しい価値を生み出そうと事業展開をしているところです。

麻野:ありがとうございます。ファインドスター社のスコアは、「71.6」です。ぜひ具体的な取り組みについてお聞かせください。

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渡邊氏:一番大事だと思っているのは、採用です。入り口を間違えると、その後にどんな手を打ったとしても、コストもかかるし時間もかかります。だからこそ、入り口が大事。弊社では価値観採用と呼んでいまして、働く上での価値観がマッチするかどうかを、時間をかけて見極めています。「良い奴らが”良い奴”を嗅ぎ分ける」と言って、価値観採用を始めたのが07年です。この頃は、大量に人材が抜けて、離職率がものすごく上がった時期なんです。原因を分析して反省もして、「働く価値観のミスマッチがそもそもあった」という結論に至りました。もちろん自分たちが改善することもあるんですが、辞めていった人たちのことを振り返ると、働く上での優先順位が違ったなと思いました。だからこそ、自分たちが働く上で大事にしているものは何かを明文化して、それをしっかりと伝えた上で、採用するのか・入社するのかを決めましょうと。

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この価値観採用を始めて10年以上になりますが、この間に入社してきてくれたメンバーたちは、ファインドスターが大事にする価値観をしっかりと理解・浸透している状態になっています。そしてそんな彼ら・彼女らが、採用面接に関わってくれていて「なんとなくうちじゃないきがする」という感覚も伝えてくれるんですが、これがすごく大事だなと思っています。複数人のメンバーがあってそれでも「この人はうちの文化には合わない」と言うなら、内定は出しません。価値観が合う人だけが面接が進み、最終的に僕が、5年後はどんな風に伸びるかというスキル面のチェックだけをするという採用のスタイルになっています。だから、「人的資源」の項目が強みに出ているんじゃないかなと思いますね。

理念と行動指針の理解・浸透に、徹底的に注力する

渡邊氏:他には、理念も大事にしています。ファインドスターの理念は何かということを、新規入社者に対しては540分使って徹底的にインプットします(BeSTARという理念に基づいて、BeSTAR研修を実施)。既存社員であっても、毎月90分はこの時間に充てていますね。しかも、行動指針が20項目あるので、ともかく理解してもらうことが必要なんです。ベンチャー界隈では麻野さん理論で、行動指針は7つまでなんて言われていますが、それの倍以上あります。入社の段階で価値観はマッチしているとしても、詳細の部分まで理解してもらうことを徹底しています。

麻野:具体的にはBeSTAR研修では何をされているんでしょうか。

渡邊氏:20項目の行動指針の中から4〜5つをピックアップします。例えば「私たちは、スピードを持って行動します。」という項目がありますが、まず何でスピードを持った行動って大事なんだっけ?という議論から始めます。スピード対応をしたらお客様から信頼をしていただけたとか、具体的な体験を出し合うことで、改めて仕事におけるスピードって大事なんだなという共通認識を持つんです。なので、「最近奥さんと喧嘩した」というプライベートな話をした社員がいたら「それって、BeSTAR(=幸せになるの意味)にできてないんじゃいの?」という返事が返されるような、普段の会話にまで出てきてくれることが浸透のバロメーターかなと思って見ています。

次は「制度待遇」ですね。なんだかんだで、これは大事な要素です。改革の三本の矢ということで、「人事制度改革」「働き方改革」「給与改革」を掲げています。

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例えば「働き方改革」ですが、3年ほど前に初めて産休に入るメンバーが出てきたんです。これまでは該当者もいなかったために、産休に入った後復帰するまでの制度もきちんとつくっていませんでした。女性メンバーからも「今の状態だと将来が不安」「このままではファインドスターで働き続けられると思えない」という声も出まして。そこで、他の企業の状況を教えてもらって回ったりして勉強したんですが、うまく行っているところはほとんどなかったんです。子育てはもちろん介護など、仕事をする上で問題となることは実際にありますが、事象毎に制度をつくったらきりがないし間に合わないなと思いました。そこで、本質的には、働く時間に制限がかかるということだと捉えて、マネジャー以上に関しては、働く時間と場所を自由にしました。別に何時に出社してもいいし、何時に帰ってもいい。「幼稚園のお迎えが」とか「子供が急病で」とか申告する必要は無く、自由に働いてくださいというメッセージです。

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エンゲージメントサーベイは、臭いものにふたをさせない仕組み

渡邊氏:ちなみに、エンゲージメントサーベイを実施し、セクション毎のスコアが出るようになって1年弱になりますが、感じている最大のメリットは、各セクションのトップの成績表が出るということですね。例えば、事業部内の営業部長同士であれば、常日頃から競争状態にありますが、事業部長と管理部長が競い合うという発想は、それまではなくて。機能としては別なので、意識すらしない関係だったと思います。ですが、エンゲージメントスコアによって組織状態が比較できるようになったので、自分の部署が他の部署と比べてどうなのかということを意識できるようにと言うか、意識せざるを得なくなったんですね。

それから自分自身が感じたことは、サーベイ結果を見て、「そんなところがうちの課題だったんだ」と初めて気づくようなことはなかったということ。「あの部分が弱いだろう」「あそこは手を抜いてるんじゃないか」と心の中で思っていたことが、すべてスコアで明るみになるという感覚でした。結果はすべて社内でオープンにしているので、どこの部署・どの項目が低いのかは、周知の事ですし、期待度が高くて満足度が低い、つまり弱みとして出ている部分を放置したら、僕自身も信頼を失いますから。そういった意味では、自分の中で気付いている課題をスルーさせずに、臭いものにふたをさせない仕組みで、これからも活用させていただきたいなと思っています。

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麻野:「会社のことはだいたいわかっています」という経営者の方もいますが、わかっているという感覚を持つことと、実際に数字で見ることは、少し距離があることなのかなと思います。ダイエットなんかでも、太ってきたなとなんとなく思って日々を過ごすことと、太ってきたと思って毎日体重計に乗って事実を確認することは、違います。臭いものにふたをしない仕組みという表現は、まさに言い得て妙だなと思いました。具体的なお話、どうもありがとうございました。

組織の課題を
解決するために