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「一緒なら続けられる」 株式会社メディプラスが実践する個人と会社が成長し続ける組織づくり

「組織偏差値70の企業が実践するマネジメントの秘訣とは」というテーマで迎えるゲストは、株式会社メディプラスの恒吉氏。友達だけでつくられた組織から脱皮し、「ずっと続いていく会社」になるために、挑戦し続ける理由に迫ります。

リンクアンドモチベーション麻野が思わず唸った、「ずっと一緒に」という言葉と同社のオリジナル社員手帳(ポラリス)についても紐解きます。

【イベント実施日】
2017年12月20日(水)

【プロフィール】
株式会社メディプラス 代表取締役 恒吉 明美氏

コメンテーター
株式会社リンクアンドモチベーション  執行役員 麻野 耕司

司会
株式会社リンクアンドモチベーション 山中 麻衣

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社長が産休中にもかかわらず、次世代メンバーで紡ぎ出された「74.6/Aランク」という驚異的な結果。

山中 麻衣(以下、山中):「組織偏差値70の企業が実践するマネジメントの秘訣」というテーマでお迎えするゲストは、株式会社メディプラス代表の恒吉様です。

恒吉 明美氏(以下、恒吉氏):皆さま、本日はどうぞよろしくお願い致します。もう本当にハチャメチャな起業をし、経営をして来たんですが、何とかここまでこれました。今日は、失敗談も含めお伝えができたらと思っています。

山中:具体的な取り組み内容をおうかがいするにあたり、事業内容の理解が重要だと思いますので、事業のご紹介からお願いできますでしょうか。

恒吉氏:株式会社メディプラスは、スキンケアのダイレクト通販を行っている、40名ほどの会社です。理念は「今より、もっと。もっとより、ずっと。」で、「ONなオンナをOFFにする。」という使命を掲げています。

オールインワンゲルという化粧水・乳液・美容液・クリームがひとつになったスキンケア商品を、紙の広告や新聞・テレビなどを通じて、通信販売をしています。もともとは資金も知識もゼロ・会社勤めもしたことのない私が、美容外科の口コミ情報サイトをつくることからスタートしまして。

その資金を基に、自分自身が悩んでいたアトピーを改善するためのスキンケア商品をつくったことがはじまりです。

山中:早速どのような変革を行っていかれたのかをおうかがいしたいのですが、その前に、メディプラス社のサーベイ結果についてご説明していきます。メディプラス社でも実施いただいているエンゲージメントサーベイは、期待度と満足度の2軸でサーベイの設問項目を構成しています。

期待度が高く満足度が高い項目(赤色)が多ければ多いほど良いと言える一方で、期待度が高く満足度が低い項目(青色)に入ってくると、エンゲージメント度合いが良くないと言えます。

尚、ここの部分が多くなってくると、退職率が向上したり生産性が悪化したり、また顧客満足度の低下や戦略の不実行など、組織運営における不都合が出てきます。

メディプラス社の場合は、「内部統合」「理念戦略」「組織風土」が強みです。そして、これまで2度サーベイを実施されていますが、初回のスコアが「71.5」で、直近2回目のスコアが「74.6」。いずれも出現率が3%ほどの、Aランクの中でポイントを上げられています。

恒吉氏:私は最近出産をしまして、今日は久しぶりに世の中に出てきたような感覚でいます(笑)。経営をしていると、ずっとその人が社長を務めるのかというと、そうでないこともあると思うんです。

私の場合は出産を機に、次の世代のリーダーたちにどのようにバトンを渡していくのかを、非常に大事に考えるようになりました。もともと弊社の組織というのは、仲間が集まってできたような組織だったんです。

友達、友達の友達が集まる中で、10億まで売り上げが伸びて、またそこから友達を集めることで、何十億へと更に売り上げが伸びていきました。

ただし、このやり方は再現性がない。いつまでも友達だけでやっているわけにもいかないですしね。

じゃあ、今のこの組織の何が強くて弱いのか。一度レントゲンを取ってみようということで、モチベーションクラウド(※従業員エンゲージメントを測定し、組織改善に活用できるクラウドサービス)の導入を決定しました。

自社の組織に、一体感はあるという自信はありました。新しいパートナーさんたちが会社にいらっしゃる度に「みなさん、キラキラ・イキイキしていますね」というお言葉をいただいていましたし、その実感がありました。

そしてサーベイを取ってみたら実際に、これだけ高い数値が出たことは本当に有難く嬉しい気持ちでした。

これは自慢なんですけど(笑)、私の出産が8月なので、このサーベイの数値は次世代のリーダーたちがつくってきた数字なんです。

これまでの良い部分は、何が良かったのか・何の仕組みが効いていたのかを明確にして残すことができましたし、弱みに対してはしっかり向き合っていくことができたので、スコアがぐっと(3.5ポイント)上がったのだと思います。

笑顔で一緒に成長するために、欠かせない3要素「主体性」「休息」「グルーミング」。

取り組みの中身に入る前に、会社の特徴だけ少しお話しできればと思うんですが、私たちは会社を学校に例えています。上半期・下半期ではなくて、一学期・二学期・三学期と呼んでいますし、チャイムも鳴らすんですよ。

もともと友達だけでつくってきたこの風土を、そうでない人も一緒になって継続していくために、どうしたらいいかと考えて、学校の雰囲気をつくろうと思ったんですね。チャイムを鳴らすのも、そういう時計があるんです。

セットして置いておけば時間毎に鳴るので、今が何の時間か意識できる。とにかく、お金と手間がかからずにできることを実行しています。

とは言え、失敗もしてきました。初めて、友達以外のメンバーを採用したとき、すごく時間がかかった割にすぐに辞めてしまって、社員の間にも「この時間無駄だったよね」という雰囲気が出てきてしまったんです。

また、外部コンサルタントの方に事業面でサポートしていただいたんですが、その際には、「このコミュニケーションにかけている時間が無駄だ、御社に足りないのはむしろ競争意識だ」と言われたことで、社内が分裂したこともあります。

それにより、相手のことを知ろうとしなくなって、意思疎通がしづらくなってしまって。

私たちの会社も、営業や企画、バックオフィス様々な職種があるのですが、それぞれの間に溝ができて、皆自分の仕事しかしなくなったんですね。新しい取り組みには誰も協力しないし、自分の仕事以外は全て他人事になっていってしまって。まさに当事者意識ですよね。

全てを自分事にできなければ、人のコストは何倍にもなってしまうということに、気がついた瞬間でした。なので私たちはコミュニケーションに対して時間をかけています。

当事者意識があるメンバーで仕事ができたら、社員数を2倍・3倍にしなくても、同じ結果が出せると信じているからです。

瞬間的に売上をぐっと上げるだけであれば、コミュニケーションは要らない。でも、「今より、もっと。もっとより、ずっと。」を続けていくためには、自分たちがどういう方向に向かっているのか、一人ひとりがどうあったらいいのか、そしてお互いに認め合う気持ちが必要です。

だから、理念に立ち返る度にいつも、コミュニケーションに力を入れようと思うんです。笑顔で一緒に成長していく状態のことを、「自転成長」と呼んでいるんですが、社長が無理に引っ張るのではなく、笑顔で自転する組織をつくりたいと考えています。

自転組織を実現するために必要なことは「主体性」「休息」「グルーミング(=居場所づくり)」です。この3点全てが出来るようになって初めて、自転成長する組織が出来ると考えているので、それぞれに対して施策を実行しています。

一番人気のある「ファミラブ」という制度はグルーミングに該当します。これは、ファミリーをラブしなさいということで、休みを少し多く付与して、家族のために何かをする時間にしてもらっています。

また、ファミラブを、フォーミーラブと読み替えて、家族もしくは自分のために時間を使うことを推奨していますね。

また、主体性を促す施策としてはポラリス(社員手帳)があります。学校で言うところの生徒手帳ですね。理念や事業内容が書かれているこの手帳をつくっているのは、社員たちで構成される「制作委員会」です。

立候補者か推薦された若手社員が多いのですが、彼らには「会社の理念から見直してもいいよ」と伝えています。手帳を更新する毎年二学期のタイミングで、現行の理念が合わなくなっていると感じるならば、制作委員で変えて良いよ、と。

それは何故なら、会社というのは、社長が立ち上げたものをただ引き継いで運用するのではなく、自分たちが新しくしていくものなのだという意識を持たせるためです。その上で、社員に実行させるだけではなくて、経営者がコミットすることが必要だと思っています。

それから、事ある毎に「一緒なら」という言葉を使っています。「誰かと一緒だったら出来るよね」という意味なんですが、私たちは優秀な集団ではない。でも誰かと一緒だったら出来る。

相手を知ることで愛着を感じ「誰か」が「仲間」になる、仲間としてチームワークが高まることで、他人事にせず仕事が出来る。そうすれば、時間の質、タイムパフォーマンスが上がるんです。

「一緒なら」という言葉が、モチベーションとエンゲージメントを高める

麻野:ありがとうございます。初めてこのポラリス(社員手帳)を見せていただいたんですが、素晴らしいですね。120ページほどあって、前半の60ページはずっと経営方針が書いてある。イラストなんかも入っているので分かりやすいものです。

理念から始まって、2050年ビジョンまで描かれている上に、例えば、2016年を振り返ると何が課題だったのか、そして商品ひとつひとつがどんなコンセプトでつくられているのか、組織施策の背景までも記載されています。

手帳の最後にカレンダーがあって、「このビジョン実現に向けてあなたは今月何をしますか?」という、アクションプランにまで落とし込まれるという。これはすごいですね。

先ほどのお話からすると、この手帳を毎年つくっているということですよね。

恒吉氏:そうです。毎年別の人間がつくっています。

麻野:これまで様々な会社さんの様々なツールを見てきましたが、一番すごいと思いました。皆さんご関心の高い働き方改革は、個人の自由を求めるようなものだとも思うんですが、それと同時に組織の成果を求めなければバラバラになってしまうと考えています。

メディプラス社は、会社の理念を実現するためにも、業績を上げなければいけない、そのために行動しなければいけないということが非常に明確。一方で、個人の健康や休暇も大事にしている。両極端なこのふたつの要素は、同時に成り立つということを、お話を聞きながら確信しました。

手帳をつくるにしても、このレベルでやらなければ、会社の戦略や目標なんて伝わらないのだと、改めて思いましたね。

それから僕も是非使わせてもらいたいと思ったのが、「一緒なら続けられる」です。社員が退職するときの理由のひとつは、自己効力感がないこと。つまり、自分が役に立っている感覚が持てないことだったりします。

そしてもうひとつは、この会社ではやり尽くした・他の会社の方が挑戦できそうという、物足りなさなんです。褒めたら褒めたで物足りなくなるし、詰めたら詰めたで効力感がなくなるので、このバランスが難しいと思っていましたが、「一緒なら続けられる」というのは両方のニュアンスが含まれていて素晴らしいですね。

「足りてないよ」とも伝えているし、でも「助かってるよ」とも伝えている。ひとつの言葉で同時に表現できているので、エンゲージメントやモチベーションの観点で見ると、良い言葉です。

恒吉氏:ありがとうございます。「一緒なら」というのは、子育てでも同じなんです。「やりなさい」じゃなくて「一緒にやろう」の方が、子どものモチベーションは上がりますから。

今後の展開ということでお話すると、実は、2017年に商品の定価を下げたんです。なので売り上げはガクッと下がるはずなので、そのときに社員皆で、「一緒なら乗り越えられる」と思えるのか。

そこを乗り越えなければ、私たちはいつまで経っても、いち通販会社であり次のステージには進めず、私の代で終わる会社になるでしょう。

次世代のメンバーたちがこの苦しみを超えて行くためにも、パートナー企業様たちに「一緒なら」って思っていただくためにも、より一層コミュニケーションが大事になってくると思っています。

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※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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