働きやすい職場環境とは?
特徴や対策ポイント、成功企業事例あり

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昨今、「働きやすい職場づくり」ということがよく叫ばれています。働きやすい職場とは労働時間が短い職場でしょうか?有給が取りやすい職場でしょうか?上司が優しい職場でしょうか?人によって定義は様々だと思います。本記事では、働きやすい職場環境について、特徴や対策ポイント、成功企業事例をご紹介します。

働きやすい職場をつくるメリットは?

「働きやすい職場とは何か?」を考える前に、まずは「そもそも、なぜ働きやすい職場が求められているのか?」、言い換えると「働きやすい職場をつくるメリットは?」ということを整理したいと思います。

企業を取り巻く環境は大きく変化しています。「商品市場」と「労働市場」という2つの市場で大きな変化が訪れています。

①「商品市場」における変化

まず、商品市場では、商品寿命の短サイクル化が起きています。以前なら、一度ヒット商品を生み出せば、それから数年間は食べていくことができました。一つのビジネスモデルの「耐用年数」が長かったとも言えます。しかし現在は、ヒット商品を生み出しても、すぐに類似商品が多数発売されます。新しいビジネスモデルを生み出してもすぐに模倣されます。あるいは、技術革新によってすぐに陳腐化してしまうことも多いです。競争が激しくなり、商品のライフサイクルが短くなってしまったのです。そうなると、商品そのものの価値よりも、変化に素早く対応できる組織力やアイデアにあふれる人材力が重要性を増します。アイデアやホスピタリティ、モチベーションといった、ハードではなくソフトの部分に価値の源泉が移ってきています。これが「ソフト化」という現象です。商品市場では、商品といったハードよりも、人材のソフトの部分に価値が移行するという大きな変化が起きています。したがって、商品市場で企業が生き残るためには、今後、ソフトである人や組織への投資が非常に重要になってきます。

②「労働市場」における変化

次に、労働市場の変化を見たいと思います。労働市場では、海外と比べればまだまだですが、以前と比べれば明らかに人材の流動化が進んでいます。一度入社した企業で働き続けるのが当たり前だった時代は終了し、転職という言葉がとても身近なものになりました。キャリアアップを目指し複数回、転職する個人も増えてきました。人材の流動化が当たり前の社会では、働く個人から選ばれる企業と選ばれない企業に二極化が進みます。一方で、働く一人ひとりが価値の源泉となり、極端に言えば個人でもヒット商品を生み出すことができるようになりました。そのため、個人も、選ばれる個人と選ばれない個人に二極化します。選ばれる個人が在籍している企業は、そうした人材に去られないように、つなぎとめる努力が必要となる。以前であれば、つなぎとめる要素はお金やポストであった。だが、今は個人の働く目的、個人のワークモチベーションが多様化しています。「お金を稼ぎたい」「成長したい」「社会貢献したい」といった形です。つまり、これまで以上に労働市場の変化に適応するということが求められています。言い換えると、多様化するワークモチベーションに応えるように、それぞれに対して「働きやすい職場」を作ることが、企業にとって優秀な人材を惹きつける切り札になります。

 

働きやすい職場環境とは?1

まとめますと「働きやすい職場」のメリットは、「優秀な人材を確保することによって、業績を伸ばすことができること」と言えると思います。

働きやすい職場とは何か

結論から言うと、全ての人にとって「働きやすい職場」はありません。なぜなら、上記の通りワークモチベーションが多様化しているためです。言い換えると、人によって職場に求める要素は異なるため、十人十色の「働きやすい職場」があるとも言えます。それでは、働く上で人が求める要素というのは具体的に何があるのでしょうか。私達は大きく「会社」「直属上司」「職場職場」という3つの観点があると考えています。

働きやすい職場環境とは?2

①「会社」について

以下の8つの要素です。
「会社基盤」「理念戦略」「事業内容」「仕事内容」「組織風土」「人的資源」「施設環境」「制度待遇」

「会社基盤」・・・顧客基盤が安定しているか、話題性や知名度があるか等
「理念戦略」・・・企業の理念を発信できているか、戦略目的に対して納得感があるか等
「事業内容」・・・社会的意義や貢献感があるか、事業の成長性や将来性があるか等
「仕事内容」・・・自分に裁量があるか、専門能力を獲得できるか等
「組織風土」・・・会社として連帯感があるか、階層間の意思疎通ができているか等
「人的資源」・・・経営者を信頼できるか、魅力的な人材がいるか等
「施設環境」・・・業務環境が十分に整っているか、勤務場所はどうか等
「制度待遇」・・・評価の仕組みは妥当か、休日の取り方はどうか等

②「直属上司」

以下の4つの要素です。
「情報提供」「情報収集」「判断行動」「支援行動」
「情報提供」・・・上司が戦略を伝えているか、役割分担や責任を明確にしているか等
「情報収集」・・・上司が部下の強みや持ち味を分かっているか、状況を把握しているか等
「判断行動」・・・上司が判断してくれるか、毅然とした態度を示しているか等
「支援行動」・・・上司が支援してくれているか、傾聴姿勢を持っているか等

③「職場環境」

以下の4つの要素です。
「外部適応」「内部統合」「変革活動」「継承活動」
「外部適応」・・・職場として、顧客に優れた提案ができているか、ニーズを理解しているか等
「内部統合」・・・職場として、一体感があるか、業務連携が取れているか等
「変革活動」・・・職場として、環境変化を把握しているか、未来に向けてチャレンジしているか等
「継承活動」・・・職場として、事例を共有できているか、歴史や経緯を知っているか等

このように合計16個の要素が「働きやすい職場」を構成する要素になります。

働きやすい職場を作るためのポイントは何か

上記の通り、合計16個の要素が「働きやすい職場」を構成する要素になります。

では、16個の要素をすべて満たせば「働きやすい職場」になるのかということになりますが、それは現実的には難しいです。なぜなら、企業のリソースには限りがあるため全てを等しく満たすということはできないからです。働きやすい職場を作るためのポイントは、一言でいうと「従業員の期待を正しく把握し、それに応えること」です。

私達は働きやすい職場づくりをご支援する際に、それぞれの要素に対してあなたはどれくらい期待していますかという「期待度」と、どれくらい満足していますかという「満足度」の2つの軸で把握することが大事だと考えています。これを私達は「4eyes Windows」と呼んでいますが、マトリクスは「期待度が高く満足度も高い」「期待度が高くて満足度は低い」「期待度は低くて満足度が高い」「期待度が低く満足度も低い」という四象限に分かれます。

「期待度が高く満足度も高い」要素は、その要素によって職場が働きやすくなっています。その要素が職場の強みになります。
「期待度が高くて満足度は低い」要素は、その職場の課題です。職場の働きやすさを下げている要因になります。
「期待度は低くて満足度が高い」要素は、それほど従業員から期待されていないためその要素に注力しても、働きやすさはあまり向上しません。
「期待度が低く満足度も低い」要素は、現状では従業員からは無関心とされているため、手を付ける必要性は低いと考えられます。

働きやすい職場環境とは?

大事なことは
【「期待度が高くて満足度は低い」要素=弱み】と【「期待度は低くて満足度が高い」要素=充足】を減らし、
【「期待度が高く満足度も高い」要素=強み】と【「期待度が低く満足度も低い」要素=無関心】
を増やすことです。

そのためには、まずは従業員の期待を正しく把握し、手を打つべき優先順位を明確にする必要があります。

働きやすい職場を作れた成功企業事例

最後に、働きやすい職場を作れた成功企業の具体的な取り組み例をお伝えしたいと思います。

①物流業A社(従業員数100名程度)

「1on1面談を通じた要望のすり合わせ」

A社では課長とメンバー間で、毎週30分必ず1on1面談を実施しています。目的は「メンバーの期待の把握」と「困りごとの解消」です。毎週必ず実施することによって、頻度高くメンバーの期待を把握することができ、結果として「働きやすい職場づくり」を実現できている好事例です。

※一般的に1on1面談の手法は様々なものがありますが、その中の1つとしてA社のやり方があるとご理解いただければと思います。

1on1面談を実施する際、下記のようなステップで面談を実施しています。
「信頼」⇒「安心」⇒「約束」というステップです。

働きやすい職場環境とは?

この中で特に重視していることは、「約束」フェーズにある下記2点です。

・次回の面談の場で返答すること(経営会議で話してみること)を約束できているか?
・「全て」要望を、「今すぐ」解決できるわけではないことを伝えているか?

部下から困りごとを上げたときに、必ず上司が何かしらアクションしてくれるという安心感は信頼につながります(そもそも、そういった困りごとを聞こうとしないと、それ自体が不満につながりやすいので注意が必要です)。

また、「全て」要望を、「今すぐ」解決できるわけではないことを伝えることも重要です。言い換えると、「期待度を下げる」ということになります。その場合のコミュニケーションとしては、今すぐに解決できるわけではないが、中長期的に解決しようとしていることが有効です。「要望を上げれば上司はそれを受け止めて動いてくれる」という信頼につながるためです。

このように、定例で部下との1on1面談を持つことは、働きやすい職場づくりにおいては効果的な手法であることが多いです。

 

②インターネット広告企業B社

「トップからのメッセージ発信による方針伝達」

B社では毎週、社長からメッセージを発信しています。目的は「その週意識してほしいことの伝達」「方針への納得感の醸成」です。

B社では以前、組織診断調査を行った際に「急な方針の変更が多く、現場に負担がかかっている」「売上目標が高く設定されすぎており、達成可能性が見えない」「そもそもの方針に納得感がない」等の課題意識があがっていました。逆に、施設環境や制度待遇面には満足していたのですが、方針が不明確で納得感が薄いことが、「働きやすさ」を低くしてしまっていたのです。

そこで、以下の内容で毎週社長からはメッセージを発信しています。

1.先週の方針に対しての振り返り
2.今週の方針
3.各事業部への期待

「なぜ、今週はこの方針なのか」ということをロジカルに伝え続けることによって、上記のような不満の声はかなり減ってきました。また、副次的な効果として、「経営と現場のすり合わせ機会」になっています。社長からのメッセージに対して社員は返信を行うことができる仕組みになっているのですが、社員の返信に対して社長は必ずコメントをしています。それによって解釈のズレが正されたり、社員からの要望を把握できたりという効果が得られました。その後の組織診断調査では不満の声がかなり解消されるような結果が出てきました。

 

③コンサルティング企業C社

「デザインアドレス」

C社では「デザインアドレス」という仕組みを導入しています。デザインアドレスとは部署ごとの座席エリアを緩やかに設定したうえで、その範囲の中で自由に席を選べる仕組みです。

働きやすい職場環境とは?

普段と違う人とのコミュニケーションを増やしていきたいという要望があり、一時はフリーアドレスを導入したこともありました。実際にコミュニケーションは増え、また書類などの保管スペースも限られるため、ペーパーレス化などのメリットが得られました。

一方、それ以上のデメリットもありました。「上司に相談したくても、どこにいるか分からない」「上司も部下に直接伝えたいことがあってもどこにいるか分からない」といった不満が噴出し、すぐに変更することになりました。

組織には必ず「組織図」があります。しかし、フリーアドレスにしてしまうと、組織図がない状態になってしまい、むしろ関係性やコミュニケーションに支障をきたします。そのため、部門ごとにエリアを決め、そのエリア内をフリーアドレスにするような「デザインアドレス」を導入しました。コミュニケーションの活性化に加え、座席エリアもシナジーを誘発させたいA部署とB部署を隣り合わせにすることで、事業上のリンケージも生み出されています。

おわりに

「働きやすい職場」は単純に制度や施設を改善すれば良いものではなく、そもそも何があれば「働きやすい」と感じられるのか、従業員は何を求めているのかという観点が重要です。どんな組織でも自分達の手で「働きやすい職場」は作れますので、是非参考にしてみてください。

公開日:2016.10.07

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