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【男性育休】義務化の概要やメリット、育児休業制度について解説

2022年に「育児・介護休業法」が改正されたことで、男性の育児休業・育児休暇取得が注目されています。女性が子育てを行なって家庭を守り、男性は外に出て仕事をするといった概念が薄くなっている昨今では、男性が育休を取得して家庭の時間を増やすことへの意識が高まっています。一方で、様々な制度の改正や施行が行われている中では、男性育休についての誤解が多くなってくることが考えられます。本記事では、男性育休に対する正しい理解を深めるために、その概要やメリットなどについてご紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.男性育休とは?
  2. 2.育児休業制度について
  3. 3.育休制度の通知・取得促進の義務化について
  4. 4.男性育休の通知・取得促進が義務化された背景
  5. 5.男性の育児休業取得制度の特徴
  6. 6.従業員が男性育休を取得するメリット
  7. 7.企業が男性育休の取得を促進するメリット
  8. 8.より根源的なモチベーション・マネジメント
  9. 9.企業が進めるべき育休制度の法改正の対応策
  10. 10.育児休業給付金の活用も
  11. 11.組織改善のことならリンクアンドモチベーション
  12. 12.まとめ
  13. 13.男性育休に関するよくある質問

男性育休とは?

男性育休とは、父親を対象とした育児休業や育児休暇のことを指します。これまでは、育休は母親である女性が取得するものであるといったイメージが強い傾向がありましたが、現在では両親がそれぞれ育休を取得することへの意識が高まっています。特に、男性が育休を取得することへのハードルが高い状態が続いている中で、法改正などの実施により育休を取得しやすくする取り組みが行われています。


育児休業制度について

育児休業制度とは、国が定めている休業制度です。男性は出産予定日から子どもが満1歳となる前日まで取得することができます。育児休業だけではなく、育休取得の支援を行う制度には様々なものがあります。ここでは、代表的な育児休業制度の種類や支援制度についてご紹介します。

(こちらもチェック:「育児休暇とは?育児休業との違いや期間や条件、企業の対応などを解説!」)


育児休業制度の種類や支援制度

①育児休業

育児休業とは、父母ともに取得することができる休業制度です。育児休業は国が定めている制度であり、子どもが満1歳になるまで休業取得を行うことができます。申し出によっては最長で満2歳に達するまで利用することができます。


②産後パパ育休(出生児育児休業)

産後パパ育休とは、出生児育児休業とも呼ばれており、こちらも父母共に取得することができる休業制度です。子どもが産まれた後の8週間以内に、4週間まで休業取得を行うことができます。連続で休業するだけでなく、最大2回に分割して取得することができます。また、労使協定を締結している場合には、休業中に就業することも可能です。


④子の看護休暇制度

子の看護休暇制度は、看護のために休暇を取得することができる制度です。小学校に入る前の子どもがいる場合には、看護のための休暇を取得できます。子どもが1人である場合は年5日、2人以上である場合は年10日の取得が可能であり、時間単位での取得をすることもできます。


⑤時間外労働の制限

時間外労働の制限とは、子育てのために労働時間を制約することができる制度です。小学校に入る前の子供がいる労働者が請求した場合には、1ヶ月で24時間、1年で150時間を超える時間外労働を制限することができます。


⑥転勤についての配慮

転勤についての配慮は、企業に対して、労働者の転勤について子どもがいる場合には配慮を行うことを求めることを指します。労働者の育児の状況について、企業はその把握を行い、状況に応じて転勤の際に配慮を行う必要があります。


⑦所定外労働(残業)の制限

所定外労働の制限は、子どもがいる労働者は企業から残業時間の制限を受けることができる制度です。満3歳に達するまでの子どもがいる労働者に関しては、請求を行った場合には所定外労働について制限した就業を行うことができます。


⑧不利益取扱いの禁止

不利益取扱いの禁止とは、育児休業の取得などにあたって労働者が不利益な扱いを受けることを禁止した制度です。育児休業や育児休暇を申し出・取得した際に、それを理由に解雇をしたり、職場で不当な扱いを受けたりといったことが禁止されています。


⑨深夜業の制限

深夜業の制限とは、子どもがいる労働者に対して午後10時から午前5時まで(特定の地域または期間においては午後11時から午前6時まで)の間における業務を制限する制度です。小学校に入る前の子どもがいる労働者が請求した場合、深夜業を制限することができます。


⑩育児休業等に関するハラスメントの防止措置

育児休業等に関するハラスメントの防止措置とは、育児休業を取得する労働者に対して発生するハラスメントを防止する措置をとることを企業に求めることを指します。労働者が育児休業の申し出や取得をする際に、周囲からハラスメントを受けることがないような措置が求められます。


育休制度の通知・取得促進の義務化について

育休制度は法改正が行われており、2022年から企業に対する通知や取得促進の義務化などが実施されています。ここでは、育休制度の改正についての概要をご紹介します。


育児休業制度の法改正の概要

2022年に育児休業制度の改定が行われ、企業に対する義務や労働者が取得できる休業の内容などが変更されました。

企業については、2022年4月から育休制度の通知・取得促進が義務化されました。妊娠・出産の申し出をしたすべての労働者に対して、企業は育児休業や出生時育児休業などの制度についてやその申し出先、給付金や社会保険料の取扱いなどについて周知する必要があります。また、申し出が円滑に行われるために研修の実施や相談窓口の設置といった措置を行うことも求められます。

労働者については、2022年10月から産後休業をしていない労働者に対して産後パパ育休(出生時育児休業)の適用が始まりました。この改正により、両親それぞれがより柔軟な休業・休暇の取得を行うことができるようになっています。

(出典:厚生労働省「育児・介護休業法令和3年(2021年)改正内容の解説」)


育児休暇制度の通知・取得促進を義務化する理由

育児休暇制度の通知や取得の促進が義務化される理由として、男女ともに育休を取りにくい雰囲気があったことがあります。「周りが取っていないから取りづらい」「自分が休むことで迷惑をかけてしまう」といった考え方が多くあることで、意向はあるものの実際に育休を取得する人は増えづらいという状況がありました。その中で、育休制度について企業から通知や取得促進を行うことで、そのようなイメージを打破することが期待されています。


通常育休に関する法改正について

育児休暇制度の通知・取得促進の義務化や、産後パパ育休制度の適用に加えて、育休を取得しやすくするために通常育休に関する法改正が行われています。通常育休に関する法改正の内容については、以下のようなものがあります。

■有期雇用者の育休取得

これまでは、有期雇用者に対しては育児休業の取得が認められていませんでした。しかし、昨今の働き方の多様化に対応するために、2022年4月から有期雇用者についても労働契約が継続することが分かっている場合には育児休業を取得することができるようになりました。

■育児休業の分割

これまでは分割して取得することができなかった育児休業を、2022年10月から最大2回まで分割して取得することが可能となりました。産後パパ育休と併せて利用することで、最大4回の分割取得が可能となります。


男性育休の通知・取得促進が義務化された背景

男性の労働者に対しても、育休の通知や取得促進が義務化されています。日本においては、育児は基本的に女性がやるものであり、男性は外で仕事をするといった固定観念やイメージが強くありました。そのため、男性が育休を取得しにくい雰囲気が強い職場が多いのに加えて、男性が育休を取得することに対するハラスメントが発生することがありました。

企業の努力によっては、職場の風土や文化を変革することは可能ですが、法律や制度の面から男性の育休を支援することができない場合は男性育休は普及しづらいものです。そのため、今回の法改正により男性育休の通知・取得促進の義務化が行われたことで、男性育休に対するイメージの変化や取得に対するハードルを下げることなどが期待されています。

男性の育児休業取得制度の特徴

父母ともに育児休業取得可能期間が延長される

父母がともに育児休業を取得する場合には、育児休業を取得できる期間が延長されます。基本的に満1歳までの育児休業の期間を、子どもが1歳2ヶ月に達するまでの間で1年間の取得をすることが可能です。

子どもが産まれて8週間以内の育児休業取得が促進される

子どもが満1歳になるまでの育児休業とは別に、子どもが産まれて8週間以内に最大4週間の産後パパ育休を取得することができます。申し出を行うことによって、連続ではなく2回に分割して取得することが可能です。

配偶者が専業主婦(夫)である場合も取得が可能

配偶者が専業主婦(夫)である場合にも、育児休業を取得することができます。企業は、「配偶者が仕事がなく常に育児をできる状態である」といった理由をつけて育児休業の申し出や取得を拒否することはできません。


従業員が男性育休を取得するメリット

従業員は男性育休を取得することで、様々なメリットを得ることができます。

子どもと過ごす時間を増やすことができる

男性育休を取得することで、子どもと過ごす時間を増やすことができます。従来は父親は仕事を優先して、育児に割くことができる時間が少なくなる傾向がありました。しかし、子どもとの関係性を深めるために大切な産後〜幼少期で一緒に過ごす時間を長くすることは、時には仕事よりも優先するべきことです。

男性育休を取得することで、子どもの成長を見守ったり支援をしたりといった機会を増やすことができます。その中で、子どもとより深い信頼関係を築くことができるでしょう。

パートナーを支えることができる

男性育休を取得するメリットとして、パートナーを支える機会を増やすことも挙げられます。特に産後は母体のダメージは大きく、体調が優れないことも多くなることがあります。その際に男性が育休を取得して、生活や育児をサポートすることでより良い家庭づくりを行うことができます。

育児を通じてパートナー同士のコミュニケーションも増えるため、よりお互いへの理解や絆が深まると考えられます。その結果、その後の生活の中でも協力しながら歩んでいくことができるでしょう。

給付金を受給することができる

国は法改正による育休取得の促進に加えて、育休中の生活を支援する給付金支給についても行っています。限度額はあるものの、育児休業を開始してから180日までは給与額面の67%が支給されます。180日を経過した後についても、給与額面の50%が支給されます。

また、社会保険料についても育児休業中はその納付を免除することができます。これらの制度を活用することで、給付金を受給しながら安定的な育児を行うことができるでしょう。


企業が男性育休の取得を促進するメリット

男性育休の取得は、従業員だけではなく企業にとってもメリットがあることです。

働きやすい職場をつくることができる

男性育休の取得を促進することで、企業は働きやすい職場をつくることができるようになります。現在は多様な働き方への価値観がある時代であり、画一的な勤務体系による生産性の向上や労働環境の改善が難しくなってきているタイミングです。

様々な組織体制の変革や制度の改善などに取り組んでいますが、その改善の1つとして男性育休の取得促進は大きなテーマとなります。特に、2023年4月からは育児休業取得状況の公表が義務化されることもあり、対外的なイメージを形成するためにも重要なものとなっています。

助成金が支給される

国は労働者に対する給付金に加えて、育休取得を促進する企業に対する助成金も支給しています。仕事と家庭の両立を支援する「両立支援等助成金」の中に、「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」といったものがあり、労働者の育児休業を支援する企業をサポートする制度を整えています。

この助成金を活用することで、男性労働者が育休を取得しやすくなるための施策の実施や制度の設計などを行うことができます。

より根源的なモチベーション・マネジメント

「育休制度を導入すれば、従業員は働きやすくなる」という考え方のもと、制度設計や子育てで業務を離れる従業員のマネジメントを行うと、失敗に終わるケースがございます。その為、固定観念にとらわれずに、人が感じる「根源的なモチベーション」に目を向けることが重要です。

例えば、人は「お金やポスト」「制度や福利厚生」以外にも、

  • 貢献欲求:誰かの役に立ちたい
  • 承認欲求:成果や行動を認められたい
  • 親和欲求:組織やチームと良好な関係を持ちたい
  • 成長欲求:自身の目指す姿に近づきたい

といった「感情報酬」を無意識のうちに重要視しています。

男性育休


(参考:リンクアンドモチベーションの考え方


制度を構築するだけでなく、上記のような感情報酬も同時に提供していくことで、子育てで業務を離れる従業員の働きやすさや会社へのロイヤリティも増していくでしょう。


企業が進めるべき育休制度の法改正の対応策

ここまで、国が実施している育休制度の法改正や男性育休取得のメリットについてご紹介してきました。一方で、企業には法改正に対する対応を行うことが求められます。法改正にどのように対応し、自社での男性育休取得促進を行うのかについて、そのポイントをご紹介します。

①配偶者の妊娠に関する申告・届出ができるシステムを整備する

育休制度に関する法改正に対応して、育休の通知・取得促進をスムーズに行うためには、従業員の状況・情報をしっかりと収集できる仕組みを整えておくことが大切です。現在も配偶者の出産に際して、労働者が提出する育児休業予定届がありますが、これだけでは「周知」や「取得促進」を効果的に行うことは難しいでしょう。

そのため、企業側も従業員側も積極的に情報の交換ができる機会をつくることがポイントとなります。そのための施策として、「配偶者の妊娠に関する申告・届出ができるシステム」の導入・整備が挙げられます。人事システムの中に配偶者の妊娠に関する申告や届出ができる機能を搭載することで、男性は配偶者が安定期に入った後すみやかに申告を行うことができます。

早いタイミングでの申告を受け取ることができれば、企業側も育休制度に対する説明や取得の促進をスムーズに行うことができます。そうすることで、育休の通知・取得促進の義務を果たしやすくなるだけではなく、より良い形での育休取得を行うための工夫や調整をすることができます。

届出のタイミングで面談での情報提供か書面での案内かといった、希望する説明方法についても確認しておくことで、従業員が望んだ形での情報提供を行うことが可能です。


②育休制度の周知・促進の対応も工夫する

従業員からの情報収集の方法とともに、育休制度の周知・促進の対応についても工夫が必要です。従業員が事前に妊娠の申告をしてくれたとしても、人事や企業側がそれに応じた説明や取得促進の対応が漏れていたり遅れたりすると、より良い形での育休取得が難しくなります。

そのため、企業側は情報を得たタイミングでスムーズに制度の説明に関する業務へと、一連の行動を繋げられる仕組みを整えておくことをおすすめします。例えば、従業員が妊娠の申告を行った際に企業側に届く通知の中に以下のような文章を入れておくことが対応として考えられます。

■育休制度に関する説明を行う必要がある旨を記載する

■育休制度の説明を行う日程を抑える必要がある旨を記載する

■説明や取得促進に必要な業務がわかるマニュアルを添付する、またはリンクを貼り付ける


育児休業給付金の活用も

先述したように、育児休業の期間中は働くことができない代わりに育児休業給付金を受け取ることができます。育児休業給付金は、一定の条件を満たす場合には男女問わず受給することができ、育児休業開始から180日までは給与額面の67%が支給されます。

また、育児休業給付金は非課税所得とされるため、所得税算出や住民税算定の対象となりません。加えて、育児休業の取得中は社会保険料の支払いも免除されます。育児休業給付金や社会保険料免除の制度を活用して、安心して育休を取得できるようにしましょう。


組織改善のことならリンクアンドモチベーション

当社は、独自の基幹技術「モチベーションエンジニアリング」を用いて、創業当初から多くの組織変革をサポートしてまいりました。「モチベーションエンジニアリング」は「診断技術」と「変革技術」で構成されており、創業時よりこの技術を磨き続け、「再現性」を高めています。

また、「顧客の変革を真に支援する」ために「実効性」にこだわっています。そんな私たちだからこそ、お客様が本当に「変わる」ためのご提案ができると考えていますので、「組織を変えたい」と思われた方はぜひお問い合わせよりご連絡ください。

まとめ

近年は働き方や生き方に対する価値観が変化してきており、男性についても育休を取得することを促進する流れができています。男性が育休を取得するハードルを下げるために、国は育児休暇に関する制度を整えています。労働者は育休を取得することで子どもやパートナーと過ごす時間が増え、より仕事と家庭を両立しやすくなります。企業にとっても男性育休の取得を促進することで、より良い職場づくりを行ったり、企業としてのブランドを高めることができます。

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男性育休に関するよくある質問

Q1:男性育休とは?

A1:男性育休とは、父親を対象とした育児休業や育児休暇のことを指します。これまでは、育休は母親である女性が取得するものであるといったイメージが強い傾向がありましたが、現在では両親がそれぞれ育休を取得することへの意識が高まっています。特に、男性が育休を取得することへのハードルが高い状態が続いている中で、法改正などの実施により育休を取得しやすくする取り組みが行われています。


Q2:男性育休のメリット・デメリットは?

A2:男性が育休を取得することで、仕事と家庭の両立が行いやすくなります。仕事を休んで家庭で過ごす時間を増やすことで、子どもの成長を見守り、パートナーを支えることができます。企業にとっても、男性育休の取得を促進することで、職場の働きやすさを改善することができるとともに、企業としてのイメージやブランドを向上することが期待できます。

一方で、男性育休に対する認識や意識が変わっていない場合には、男性従業員が育休を取得することでデメリットが生じることがあります。男性が育休を取得することに対するハラスメントの発生や、不当な扱いを受けることになる可能性があるため、企業は男性育休に対する理解の促進を行う必要があります。


Q3:企業が男性育休の取得促進のためにできることは?

A3:男性育休の取得を促進するために、企業は「情報のスムーズな受け渡し」を行える体制を整えることが大切です。配偶者の妊娠について、従業員が早いタイミングで申告ができるシステムを導入・整備するとともに、人事側の業務効率化を実現する工夫を行うことで、情報をスムーズに受け渡すことができます。

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