
男性の育休の義務化はいつから?制度の概要や給付金を徹底解説
2022年に「育児・介護休業法」が改正されたことで、男性の育児休業・育児休暇取得が注目されています。女性が子育てを行なって家庭を守り、男性は外に出て仕事をするといった概念が薄くなっている昨今では、男性が育休を取得して家庭の時間を増やすことへの意識が高まっています。一方で、様々な制度の改正や施行が行われている中では、男性育休についての誤解が多くなってくることが考えられます。本記事では、男性育休に対する正しい理解を深めるために、その概要やメリットなどについてご紹介します。
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男性育休とは?
男性育休とは、父親を対象とした育児休業や育児休暇のことを指します。これまでは、育休は母親である女性が取得するものであるといったイメージが強い傾向がありましたが、現在では両親がそれぞれ育休を取得することへの意識が高まっています。特に、男性が育休を取得することへのハードルが高い状態が続いている中で、法改正などの実施により育休を取得しやすくする取り組みが行われています。
育児休業制度について
育児休業制度とは、国が定めている休業制度です。男性は出産予定日から子どもが満1歳となる前日まで取得することができます。育児休業だけではなく、育休取得の支援を行う制度には様々なものがあります。ここでは、代表的な育児休業制度の種類や支援制度についてご紹介します。
(こちらもチェック:「育児休暇とは?育児休業との違いや期間や条件、企業の対応などを解説!」)
育児休業制度の種類や支援制度
①育児休業
育児休業とは、父母ともに取得することができる休業制度です。育児休業は国が定めている制度であり、子どもが満1歳になるまで休業取得を行うことができます。申し出によっては最長で満2歳に達するまで利用することができます。
②産後パパ育休(出生児育児休業)
産後パパ育休とは、出生児育児休業とも呼ばれており、こちらも父母共に取得することができる休業制度です。子どもが産まれた後の8週間以内に、4週間まで休業取得を行うことができます。連続で休業するだけでなく、最大2回に分割して取得することができます。また、労使協定を締結している場合には、休業中に就業することも可能です。
④子の看護休暇制度
子の看護休暇制度は、看護のために休暇を取得することができる制度です。小学校に入る前の子どもがいる場合には、看護のための休暇を取得できます。子どもが1人である場合は年5日、2人以上である場合は年10日の取得が可能であり、時間単位での取得をすることもできます。
⑤時間外労働の制限
時間外労働の制限とは、子育てのために労働時間を制約することができる制度です。小学校に入る前の子供がいる労働者が請求した場合には、1ヶ月で24時間、1年で150時間を超える時間外労働を制限することができます。
⑥転勤についての配慮
転勤についての配慮は、企業に対して、労働者の転勤について子どもがいる場合には配慮を行うことを求めることを指します。労働者の育児の状況について、企業はその把握を行い、状況に応じて転勤の際に配慮を行う必要があります。
⑦所定外労働(残業)の制限
所定外労働の制限は、子どもがいる労働者は企業から残業時間の制限を受けることができる制度です。満3歳に達するまでの子どもがいる労働者に関しては、請求を行った場合には所定外労働について制限した就業を行うことができます。
⑧不利益取扱いの禁止
不利益取扱いの禁止とは、育児休業の取得などにあたって労働者が不利益な扱いを受けることを禁止した制度です。育児休業や育児休暇を申し出・取得した際に、それを理由に解雇をしたり、職場で不当な扱いを受けたりといったことが禁止されています。
⑨深夜業の制限
深夜業の制限とは、子どもがいる労働者に対して午後10時から午前5時まで(特定の地域または期間においては午後11時から午前6時まで)の間における業務を制限する制度です。小学校に入る前の子どもがいる労働者が請求した場合、深夜業を制限することができます。
⑩育児休業等に関するハラスメントの防止措置
育児休業等に関するハラスメントの防止措置とは、育児休業を取得する労働者に対して発生するハラスメントを防止する措置をとることを企業に求めることを指します。労働者が育児休業の申し出や取得をする際に、周囲からハラスメントを受けることがないような措置が求められます。
育休制度の通知・取得促進の義務化について
育休制度は法改正が行われており、2022年から企業に対する通知や取得促進の義務化などが実施されています。ここでは、育休制度の改正についての概要をご紹介します。
育児休業制度の法改正の概要
2022年に育児休業制度の改定が行われ、企業に対する義務や労働者が取得できる休業の内容などが変更されました。
企業については、2022年4月から育休制度の通知・取得促進が義務化されました。妊娠・出産の申し出をしたすべての労働者に対して、企業は育児休業や出生時育児休業などの制度についてやその申し出先、給付金や社会保険料の取扱いなどについて周知する必要があります。また、申し出が円滑に行われるために研修の実施や相談窓口の設置といった措置を行うことも求められます。
労働者については、2022年10月から産後休業をしていない労働者に対して産後パパ育休(出生時育児休業)の適用が始まりました。この改正により、両親それぞれがより柔軟な休業・休暇の取得を行うことができるようになっています。
(出典:厚生労働省「育児・介護休業法令和3年(2021年)改正内容の解説」)
育児休暇制度の通知・取得促進を義務化する理由
育児休暇制度の通知や取得の促進が義務化される理由として、男女ともに育休を取りにくい雰囲気があったことがあります。「周りが取っていないから取りづらい」「自分が休むことで迷惑をかけてしまう」といった考え方が多くあることで、意向はあるものの実際に育休を取得する人は増えづらいという状況がありました。その中で、育休制度について企業から通知や取得促進を行うことで、そのようなイメージを打破することが期待されています。
通常育休に関する法改正について
育児休暇制度の通知・取得促進の義務化や、産後パパ育休制度の適用に加えて、育休を取得しやすくするために通常育休に関する法改正が行われています。通常育休に関する法改正の内容については、以下のようなものがあります。
■有期雇用者の育休取得
これまでは、有期雇用者に対しては育児休業の取得が認められていませんでした。しかし、昨今の働き方の多様化に対応するために、2022年4月から有期雇用者についても労働契約が継続することが分かっている場合には育児休業を取得することができるようになりました。
■育児休業の分割
これまでは分割して取得することができなかった育児休業を、2022年10月から最大2回まで分割して取得することが可能となりました。産後パパ育休と併せて利用することで、最大4回の分割取得が可能となります。
男性育休の通知・取得促進が義務化された背景
男性の労働者に対しても、育休の通知や取得促進が義務化されています。日本においては、育児は基本的に女性がやるものであり、男性は外で仕事をするといった固定観念やイメージが強くありました。そのため、男性が育休を取得しにくい雰囲気が強い職場が多いのに加えて、男性が育休を取得することに対するハラスメントが発生することがありました。
企業の努力によっては、職場の風土や文化を変革することは可能ですが、法律や制度の面から男性の育休を支援することができない場合は男性育休は普及しづらいものです。そのため、今回の法改正により男性育休の通知・取得促進の義務化が行われたことで、男性育休に対するイメージの変化や取得に対するハードルを下げることなどが期待されています。
男性の育児休業取得制度の特徴
父母ともに育児休業取得可能期間が延長される
父母がともに育児休業を取得する場合には、育児休業を取得できる期間が延長されます。基本的に満1歳までの育児休業の期間を、子どもが1歳2ヶ月に達するまでの間で1年間の取得をすることが可能です。
子どもが産まれて8週間以内の育児休業取得が促進される
子どもが満1歳になるまでの育児休業とは別に、子どもが産まれて8週間以内に最大4週間の産後パパ育休を取得することができます。申し出を行うことによって、連続ではなく2回に分割して取得することが可能です。
配偶者が専業主婦(夫)である場合も取得が可能
配偶者が専業主婦(夫)である場合にも、育児休業を取得することができます。企業は、「配偶者が仕事がなく常に育児をできる状態である」といった理由をつけて育児休業の申し出や取得を拒否することはできません。
従業員が男性育休を取得するメリット
従業員は男性育休を取得することで、様々なメリットを得ることができます。
子どもと過ごす時間を増やすことができる
男性育休を取得することで、子どもと過ごす時間を増やすことができます。従来は父親は仕事を優先して、育児に割くことができる時間が少なくなる傾向がありました。しかし、子どもとの関係性を深めるために大切な産後〜幼少期で一緒に過ごす時間を長くすることは、時には仕事よりも優先するべきことです。
男性育休を取得することで、子どもの成長を見守ったり支援をしたりといった機会を増やすことができます。その中で、子どもとより深い信頼関係を築くことができるでしょう。
パートナーを支えることができる
男性育休を取得するメリットとして、パートナーを支える機会を増やすことも挙げられます。特に産後は母体のダメージは大きく、体調が優れないことも多くなることがあります。その際に男性が育休を取得して、生活や育児をサポートすることでより良い家庭づくりを行うことができます。
育児を通じてパートナー同士のコミュニケーションも増えるため、よりお互いへの理解や絆が深まると考えられます。その結果、その後の生活の中でも協力しながら歩んでいくことができるでしょう。
給付金を受給することができる
国は法改正による育休取得の促進に加えて、育休中の生活を支援する給付金支給についても行っています。限度額はあるものの、育児休業を開始してから180日までは給与額面の67%が支給されます。180日を経過した後についても、給与額面の50%が支給されます。
また、社会保険料についても育児休業中はその納付を免除することができます。これらの制度を活用することで、給付金を受給しながら安定的な育児を行うことができるでしょう。
キャリアに対する新たな視点と成長が得られる
育児休業を取得し、仕事から離れて子育てに専念する期間は、従業員にとってキャリアに対する新たな視点と成長の機会となります。育児という予期せぬ出来事への対応や、限られた時間の中で効率的に家事や育児を行う経験は、問題解決能力や時間管理能力を飛躍的に向上させます。
また、パートナーとのコミュニケーションを通じて協調性を高めたり、家族という小さな組織をマネジメントする能力が磨かれたりします。これらの経験は、職場復帰後、従来の業務やマネジメントにおいて、より多角的な視点と高いスキルを発揮することにつながります。
職場復帰後のエンゲージメント向上に寄与する
男性従業員が育児休業を取得しやすい企業文化は、従業員の企業に対する信頼感と愛着を深め、職場復帰後のエンゲージメント向上に大きく貢献します。育児という人生の重要な局面において、会社が制度的な面だけでなく文化的な面からも支援してくれたという経験は、従業員のロイヤルティを高めます。
これにより、従業員は「この会社のために貢献したい」という意欲を強め、結果として離職率の低下や生産性の向上という形で企業に還元されます。仕事と育児の両立がしやすいという認識は、長期的なキャリア形成を見据える上で、従業員にとって重要な安心材料となります。
企業が男性育休の取得を促進するメリット
男性育休の取得は、従業員だけではなく企業にとってもメリットがあることです。
働きやすい職場をつくることができる
男性育休の取得を促進することで、企業は働きやすい職場をつくることができるようになります。現在は多様な働き方への価値観がある時代であり、画一的な勤務体系による生産性の向上や労働環境の改善が難しくなってきているタイミングです。
様々な組織体制の変革や制度の改善などに取り組んでいますが、その改善の1つとして男性育休の取得促進は大きなテーマとなります。特に、2023年4月からは育児休業取得状況の公表が義務化されることもあり、対外的なイメージを形成するためにも重要なものとなっています。
助成金が支給される
国は労働者に対する給付金に加えて、育休取得を促進する企業に対する助成金も支給しています。仕事と家庭の両立を支援する「両立支援等助成金」の中に、「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」といったものがあり、労働者の育児休業を支援する企業をサポートする制度を整えています。
この助成金を活用することで、男性労働者が育休を取得しやすくなるための施策の実施や制度の設計などを行うことができます。
より根源的なモチベーション・マネジメント
「育休制度を導入すれば、従業員は働きやすくなる」という考え方のもと、制度設計や子育てで業務を離れる従業員のマネジメントを行うと、失敗に終わるケースがございます。その為、固定観念にとらわれずに、人が感じる「根源的なモチベーション」に目を向けることが重要です。
例えば、人は「お金やポスト」「制度や福利厚生」以外にも、
- 貢献欲求:誰かの役に立ちたい
- 承認欲求:成果や行動を認められたい
- 親和欲求:組織やチームと良好な関係を持ちたい
- 成長欲求:自身の目指す姿に近づきたい
といった「感情報酬」を無意識のうちに重要視しています。

(参考:リンクアンドモチベーションの考え方)
制度を構築するだけでなく、上記のような感情報酬も同時に提供していくことで、子育てで業務を離れる従業員の働きやすさや会社へのロイヤリティも増していくでしょう。
企業が進めるべき育休制度の法改正の対応策
ここまで、国が実施している育休制度の法改正や男性育休取得のメリットについてご紹介してきました。一方で、企業には法改正に対する対応を行うことが求められます。法改正にどのように対応し、自社での男性育休取得促進を行うのかについて、そのポイントをご紹介します。
①配偶者の妊娠に関する申告・届出ができるシステムを整備する
育休制度に関する法改正に対応して、育休の通知・取得促進をスムーズに行うためには、従業員の状況・情報をしっかりと収集できる仕組みを整えておくことが大切です。現在も配偶者の出産に際して、労働者が提出する育児休業予定届がありますが、これだけでは「周知」や「取得促進」を効果的に行うことは難しいでしょう。
そのため、企業側も従業員側も積極的に情報の交換ができる機会をつくることがポイントとなります。そのための施策として、「配偶者の妊娠に関する申告・届出ができるシステム」の導入・整備が挙げられます。人事システムの中に配偶者の妊娠に関する申告や届出ができる機能を搭載することで、男性は配偶者が安定期に入った後すみやかに申告を行うことができます。
早いタイミングでの申告を受け取ることができれば、企業側も育休制度に対する説明や取得の促進をスムーズに行うことができます。そうすることで、育休の通知・取得促進の義務を果たしやすくなるだけではなく、より良い形での育休取得を行うための工夫や調整をすることができます。
届出のタイミングで面談での情報提供か書面での案内かといった、希望する説明方法についても確認しておくことで、従業員が望んだ形での情報提供を行うことが可能です。
②育休制度の周知・促進の対応も工夫する
従業員からの情報収集の方法とともに、育休制度の周知・促進の対応についても工夫が必要です。従業員が事前に妊娠の申告をしてくれたとしても、人事や企業側がそれに応じた説明や取得促進の対応が漏れていたり遅れたりすると、より良い形での育休取得が難しくなります。
そのため、企業側は情報を得たタイミングでスムーズに制度の説明に関する業務へと、一連の行動を繋げられる仕組みを整えておくことをおすすめします。例えば、従業員が妊娠の申告を行った際に企業側に届く通知の中に以下のような文章を入れておくことが対応として考えられます。
■育休制度に関する説明を行う必要がある旨を記載する
■育休制度の説明を行う日程を抑える必要がある旨を記載する
■説明や取得促進に必要な業務がわかるマニュアルを添付する、またはリンクを貼り付ける
③現場の状況と意識を改善する
男性の育児休業取得を推進するには、制度の整備だけでなく、現場レベルの状況と意識の改善が不可欠です。多くの男性従業員が育休取得をためらう背景には、「休むと業務が滞る」「同僚に迷惑がかかる」「昇進・昇格に影響する」といった現場への懸念や、職場の古い意識があります。
この課題を解決するため、まず管理職層に対して、男性育休の意義や制度の仕組み、取得推進の必要性について徹底した研修を実施し、育休取得を容認・推奨する意識を醸成する必要があります。次に、業務の属人化の解消を進め、誰かが休んでも業務が円滑に回るように、マニュアル化や多能工化を推進します。具体的には、育休取得予定者の業務をリストアップし、代替要員への引き継ぎを計画的に行う仕組みを構築します。
また、育休取得を人事評価でマイナスに扱わないことを明確にし、実際に取得した社員をポジティブに評価し、社内報などで事例として紹介することで、「休んでも大丈夫」という文化を根付かせることが、現場の意識を変える上で最も効果的です。さらに、休業期間中に連絡を過度に取らないルールを徹底するなど、休業者の権利保護と心理的な安全性を確保する必要があります。
④育休取得による問題を改善する
男性育休の取得が進むと、現場の業務負荷が増加する、あるいは従業員がキャリア上の不安を感じるなど、新たな問題が生じる可能性があります。これらの問題を未然に防ぎ、解消するための具体的な取り組みが必要です。
まず、育休取得によって業務が増加した残った従業員に対して、適切に業務手当を支給するなどの金銭的な補償や、評価上の配慮を行うことで、不公平感を解消します。また、恒常的に人手が不足している場合は、一時的な派遣社員の活用や業務プロセスの見直しによる効率化を行い、根本的な業務負担の軽減を図る必要があります。
育休から復帰する従業員に対しては、ブランクによる不安を解消するため、復帰前面談や短時間勤務制度の活用、最新情報の共有などを丁寧に行い、スムーズな職場復帰を支援する体制を整えます。これらの問題への迅速かつ公平な対応こそが、育休制度の持続可能性を高める鍵となります。
男性も受給可能な育児休業給付金の活用について
先述したように、育児休業の期間中は働くことができない代わりに育児休業給付金を受け取ることができます。育児休業給付金は、一定の条件を満たす場合には男女問わず受給することができ、育児休業開始から180日までは給与額面の67%が支給されます。
また、育児休業給付金は非課税所得とされるため、所得税算出や住民税算定の対象となりません。加えて、育児休業の取得中は社会保険料の支払いも免除されます。育児休業給付金や社会保険料免除の制度を活用して、安心して育休を取得できるようにしましょう。
男性も受給可能な育児休業給付金の活用について
男性従業員が育児休業を取得する期間中、企業には給与を支払う義務はありません。しかし、育児休業期間中の生活を支援するために、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。特に、2022年10月に創設された「出生時育児休業給付金」(通称「産後パパ育休」給付金)は、子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる出生時育児休業(産後パパ育休)を対象とした給付金です。
給付金の主な概要と要件は以下の通りです。
■給付対象期間
出生時育児休業(子の出生日または出産予定日から8週間以内)中に取得した休業期間(合計4週間、28日以内)が対象です。
給付額 休業開始前の賃金の67パーセント相当額が支給されます。
■主な給付要件
ア 雇用保険の被保険者であること。 イ 休業開始日を起算点として、過去2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あること。 ウ 休業期間中の就業日数が、休業期間の日数から所定労働日数を差し引いた日数の半分以下であること。
ただし、休業期間が28日(4週間)の場合は、就業日数が10日(10日を超える場合は就業時間が80時間)以下であること。 エ 休業期間中に企業から支払われる給与が、休業開始前の賃金の13パーセント以下であること(13パーセントを超え80パーセント未満の場合は、給付額が減額されます)。
この給付金は、短期間の休業に特化しているため、男性が育児休業を取得しやすい環境を経済的に後押しする役割を担っています。
男性育休の給付金を活用する際の注意点
厚生労働省が公表している情報に基づき、出生時育児休業給付金を活用する際の主な注意点を記載します。
休業の申し出期限の遵守 出生時育児休業の申し出は、原則として休業の2週間前までに行う必要があります。企業はこの期限を従業員に確実に周知し、スムーズな手続きをサポートすることが重要です。
■分割取得の要件
出生時育児休業は、2回に分けて分割取得することが可能ですが、この分割取得は、休業開始日と休業終了日をそれぞれ定めて、最初にまとめて申し出る必要があります。途中で変更することは原則としてできないため、事前に従業員と十分に調整することが求められます。
■休業中の就業に関する制限
出生時育児休業期間中に、労使協定の締結を前提として、従業員が一時的・臨時的に就業することが可能ですが、その就業日数や時間には厳格な上限が設けられています。規定日数や時間を超えて就業すると、給付金が支給されなくなる可能性があるため、企業側は就業の管理を徹底する必要があります。
■社会保険料免除との関係
育児休業期間中は、所定の要件を満たすことで社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が労使ともに免除されます。出生時育児休業の社会保険料免除の取り扱いについても、休業日数などの要件が定められているため、給付金申請と合わせて社会保険の手続きについても従業員をサポートし、給付金と社会保険料免除の両方のメリットを確実に享受できるよう配慮する必要があります。
▼出典:Q&A~育児休業等給付~|厚生労働省
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まとめ
近年は働き方や生き方に対する価値観が変化してきており、男性についても育休を取得することを促進する流れができています。男性が育休を取得するハードルを下げるために、国は育児休暇に関する制度を整えています。労働者は育休を取得することで子どもやパートナーと過ごす時間が増え、より仕事と家庭を両立しやすくなります。企業にとっても男性育休の取得を促進することで、より良い職場づくりを行ったり、企業としてのブランドを高めることができます。
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男性育休に関するよくある質問
Q1:男性育休とは?
A1:男性育休とは、父親を対象とした育児休業や育児休暇のことを指します。これまでは、育休は母親である女性が取得するものであるといったイメージが強い傾向がありましたが、現在では両親がそれぞれ育休を取得することへの意識が高まっています。特に、男性が育休を取得することへのハードルが高い状態が続いている中で、法改正などの実施により育休を取得しやすくする取り組みが行われています。
Q2:男性育休のメリット・デメリットは?
A2:男性が育休を取得することで、仕事と家庭の両立が行いやすくなります。仕事を休んで家庭で過ごす時間を増やすことで、子どもの成長を見守り、パートナーを支えることができます。企業にとっても、男性育休の取得を促進することで、職場の働きやすさを改善することができるとともに、企業としてのイメージやブランドを向上することが期待できます。
一方で、男性育休に対する認識や意識が変わっていない場合には、男性従業員が育休を取得することでデメリットが生じることがあります。男性が育休を取得することに対するハラスメントの発生や、不当な扱いを受けることになる可能性があるため、企業は男性育休に対する理解の促進を行う必要があります。
Q3:企業が男性育休の取得促進のためにできることは?
A3:男性育休の取得を促進するために、企業は「情報のスムーズな受け渡し」を行える体制を整えることが大切です。配偶者の妊娠について、従業員が早いタイミングで申告ができるシステムを導入・整備するとともに、人事側の業務効率化を実現する工夫を行うことで、情報をスムーズに受け渡すことができます。





