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楠木建教授登壇「資本」の意味を理解できているか? 企業価値につながる「人的資本経営」の本質論

2022年5月には、経済産業省より人的資本経営の実践について言及する「人材版伊藤レポート2.0」が公表され、8月には、内閣官房より「人的資本可視化指針」が公表されるなど、人的資本経営の実践やその情報開示への注目は増々高まっています。

今回は、30万部突破のベストセラー『ストーリーとしての競争戦略』の著者であり、一橋ビジネススクール教授の楠木建氏をお招きし、「人的資本経営を企業価値創造につなげる」というテーマでセミナーを開催。「資本」という概念を正しく理解することから、人的資本経営でやるべきこと・やるべきでないことを明確にしていきます。

【イベント実施日】
2022年11月21日

【スピーカー】
・一橋ビジネススクール 教授 楠木 建 氏
・株式会社リンクアンドモチベーション 常務執行役員 川内 正直

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商品市場、労働市場、資本市場の変化に対応するための人的資本経営

川内:本日は、一橋ビジネススクール教授の楠木建先生にお越しいただき、「人的資本経営を企業価値創造につなげる」というテーマでセミナーを開催してまいります。前提として私から、人的資本経営の重要性が高まっている現状についてお話しします。

企業を取り巻く市場は、「商品市場」「労働市場」「資本市場」の3つがあります。企業経営は、消費者、投資家、さらには従業員や応募者から選ばれ続けることが重要です。

まず、商品市場ですが、昨今のキーワードとして「ソフト化」と「短サイクル化」が挙げられるでしょう。以前は、大きな資本やインフラを持っている企業が強かったのですが、今は、価値の源泉がどんどんソフト化しています。このソフトを生み出していくのは誰なのか?と言えば、当然、人であるという結論になります。

また、以前であれば、ヒット商品を生み出した企業は、一定期間はそのメリットを享受できましたが、今はその期間が短くなっています。これが「短サイクル化」ということです。ということは、企業には次々と新しいものを生み出していくことが求められます。新しいものを生み出していくのは誰なのか?と言えば、やはり、人であるという結論になります。

次に、労働市場に目を向けると、昨今は「流動化」と「多様化」がキーワードになっています。人材の流動化が起こっており、働く人の価値観や働き方が多様化しているのは、みなさんご存知のとおりです。同じ世代でも人それぞれ価値観が違う昨今は、以前に比べ労働市場に適応する難易度は相当高くなっていると言えるでしょう。

最後に資本市場ですが、資本市場でも人への関心が高まっており、企業に対して人的資本開示の要請が強くなっています。政府は、2023年度から大手企業に非財務情報の可視化を義務付けると表明していますし、投資家からも、人的資本指標をもっとIR情報に組み込んでほしいという要請が高まっています。

この3つの市場の変化に対応していくために、企業に人的資本経営が求められるようになっているというのが大まかな流れです。以上、前置きをさせていただいたうえで、楠木先生にお伺いしたいのが、「企業はどのように人的資本経営をおこなうべきか?」ということです。それでは、楠木先生、よろしくお願いします。

人的資本とは、将来、その人が生み出してくれる価値

楠木氏:はい、本日はよろしくお願いします。人的資本を考えるうえでは、僕は、何よりもまず本質を押さえることが大切だと思っています。ですから、はじめにお考えいただきたいのが、「資本って何だろう?」ということです。

僕は、「対概念がない概念はない」と思っています。つまり、「資本とは何か?」と「資本でないものは何か?」を対にして考えると、人的資本の意味合いがはっきりしてくると思います。では、資本の対概念は何でしょうか? 僕が考える資本の対概念は「富」です。「wealth」ですね。

分かりやすい例を挙げましょう。ナポレオンはヨーロッパで連戦連勝して凱旋帰国したとき、ものすごい量の金銀財宝、つまり「富」を持っていました。しかし、この時点でナポレオンの「資本」はゼロなんです。富というのは、「今、いくらお金持ってるの?」という話であり、資本というのは、「将来、それがいくら生み出すの?」という、将来の価値を基準にした考え方です。

ですから、「労働力」と言ったら「今、うちの会社は従業員が何人います」というような話になりますし、「人的資源」と言ったら、「うちの会社には、こういうスキルを持った人が何人います」というような話になります。いずれも、その企業が今持っているもの、つまり「富」のことを言っているんですね。

一方で、「人的資本」は富とは対になるもので、投資の対象になるものです。「将来、その人が生み出してくれる価値を増大させられるように投資しましょう」というのが人的資本経営です。その意味で、時間的な奥行きがあるものだと言えるでしょう。

「富と人的資本」に近い対比が、「会計とファイナンス」です。会計的な考え方では、キャッシュがいちばん偉くて、流動比率でもキャッシュが多いほうが良いとされます。一方、ファイナンスの視点から見ると、いちばん偉くないのがキャッシュです。「どうしてキャッシュで持っているの?」「将来の価値のために投資しないの?」という見方に変わってきます。

「労働力」や「人材」「人的資源」というのは、どちらかと言えば、会計的な見方です。これに対して「人的資本」は、よりファイナンス的な見方だと言えるでしょう。


 

投資をして将来の価値を高めるという観点がなければ、「人的資本」ではない

楠木氏:人的資本は、ヨーロッパの産業革命の時代に成立した概念です。資本という概念への理解を深めるためには当時に立ち戻るのが良いと思いますので、少し当時のお話をさせていただきます。

おそらく紀元0年くらいから18世紀の終わりまで、人間の豊かさはあまり変わっていません。印刷機が発明されたり、航海術が発展したり、ずっと技術革新が起こっているのにもかかわらず、人間が豊かになれないのはなぜなのか? この問に対して、マルサスという経済学者が立てた説得力のある仮説が「貧困の罠」というものです。貧困の罠とは、こういうことです。

技術革新が起きると生産性が向上し、一人あたりの分け前が増えます。たとえば、肥料が発明されれば食物が増え、一人あたりの分け前が増えますよね。ところが、そうすると必ず人口が増えて、一人あたりの分け前が元に戻るんです。人は、余裕ができると子どもをつくります。これは、子どもが労働力になるからです。食わせることができるのであれば、労働力が増えたほうが良いという考えから、子どもをたくさん生むわけです。そうすると人口が増えるので、元の木阿弥になります。人間はこれをずっと繰り返しているから豊かになれないというのが、マルサスの言う貧困の罠です。

皮肉なことに、マルサスがこの仮説を唱えた直後に産業革命が起きました。そして、普通の人々が工場で働くようになりました。工場での仕事はオペレーションスキルが重要ですが、スキルを身に付けるためには一定の熟練が必要です。そうなると、教育訓練に投資しようという考え方が生まれてきます。教育訓練を受けた人が工場でうまくオペレーションをしてくれれば、結果的に企業にとってプラスになります。こうしてはじめて、働く人が「頭数」や「労働力」ではなく、「人的な資本なんだ」という考え方が経営側に生まれたのです。

当時の話でもう一つおもしろいのが、イギリスの工場法です。イギリスの工場法では、児童労働が禁止されていました。今の考え方だと、「いくら儲けたいからといって、子どもを働かせるのは社会的に良くないことだからダメですよ」という話になると思いますが、イギリスで児童労働の禁止を推進したのは工場を持っている資本家でした。

彼らは、子どもを働かせるより、初等教育を与えたほうがペイできると考えました。つまり、人的資本という概念が成立しているんです。一方で、家庭では何が起きたかと言うと、子どもの数が減りました。子どもが少ないほうが一人あたりに投資できる教育額が増えるからです。ここでも、人的資本の概念が成立しています。

資本という概念が理解できたでしょうか。人的資本経営でもまったく同じ考え方をします。これまでは人を「労働力」、つまり生産に必要な「材料」と同じように捉えてきました。材料は購入・調達はしますが、投資はしませんよね。投資することによって将来の価値が大きくなるという観点がなければ、それは「人材」であって「人的資本」ではありません。

僕が違和感を持つ言葉に、人材の「材」を「財」と書く「人財」があります。「人は大切です、財産です」「うちには優秀な人財がいます」と言う経営者がいますが、結局これも、会計的な発想で「富」だと捉えている表現だと思います。

人的資本経営は、人を単なる労働力だと捉えず、投資をすることで価値が増えるものだと捉えます。この本質を押さえていれば、おのずと、どのような経営をすべきなのかは明らかになってくるでしょう。


働いたことに対してお金を払うのは、投資と真逆の考え方

楠木氏:投資という行為は、成果が出る前に投資をする側が評価をするものです。株式投資でも、「将来、良いことが起きるだろう」と評価して、株を買うわけです。人的資本投資もまったく同じで、経営側が「この人は、こういうことができそうだ」と評価して、「だから、あなたにこれだけ投資します」という意思決定をします。この順番が大切です。

「あなたが1ヶ月働いて稼いだ売上の10%を報酬として支払います」というように、仕事をしてくれたらお金を払うのは投資とは真逆の考え方で、結果に対して対価を払う「買い物」です。人材を買っているだけで、そこに資本という概念はありません。

人的資本に対する「投資」である以上、まず何らかの評価をして、先にお金を払います。これは給料に限らず、教育や各種の支援かもしれませんが、とにかく経営側がその人に対して先に出すということです。「気前の良さ」と言い換えることができるかもしれません。ですから、今の損得だけを考えていたら投資はできないですよ。今すぐに良いことがあるわけではないですからね。「将来、良いことが起きる」という評価をして、先に突っ込むのが投資です。

まず、経営者が「儲け話」を考えます。僕は「戦略のストーリー」と呼んでいるのですが、この戦略のストーリーを実現するためにはこういう人が必要だと考えて投資をします。この人は、将来きっとこういう役割を果たしてくれるだろうと評価して採用し、能力を発揮できるように継続的に投資し続けるという関係です。

これが、単なる雇用関係の場合は、「今月は20日間働き、残業が30時間でした。給料と残業代を合わせていくら払いますね」となります。これは、人を労働力として見ているということです。どちらもお金を払うことに違いはありませんが、その意味がまったく異なります。

「戦略のストーリー」というのは、「どのように価値を作って、長期利益を実現していくのか?」、つまり「どうやって儲けていくのか?」というストーリーのことですが、戦略のストーリーなしに、設備投資をすることはできないはずです。「この機械、何か良さそうだから買っておくか」とはなりませんよね。戦略のストーリーがなければ設備投資ができないのと同じで、戦略のストーリーなくして人的資本への投資はできません。


一人ひとりの従業員を深く知らなければ、人的資本投資はできない

川内:戦略のストーリーを描くのが難しいと感じている方もいるかもしれませんが、どのようなことを意識するのが良いのでしょうか?

楠木氏:戦略のストーリーは、部門で作るようなものではありません。少なくともストーリーの大元は、一人で考えるべきものであり、その一人というのは経営者です。ですから、「戦略のストーリーを描くことができない」という経営者は正直、経営に向いていません。

ただ、幸いなことに戦略のストーリーを考える人は一人いれば良いんです。みんな、できるようになる必要はありません。その意味で、やはり誰が経営者になるのかは、ものすごく重要なことだと思います。

川内:本日のセミナーは、人事部門の方も多くご覧になっていると思いますが、そういった方々が人的資本経営をしていくなかで意識すべきポイントはどんなところですか?

楠木氏:一つひとつの判断を経営者一人でできるわけではありません。経営者は戦略のストーリーを描き、ストーリー実現のために人的資本投資が重要になるのだとしたら、そこは人事部、HRの人たちの仕事になってくるでしょう。繰り返しになりますが、大切なのは「投資である」「資本である」と考えることです。

実際に、人的資本に対する投資の意思決定をするときは、投資の対象である一人ひとりについて評価をします。ただ、価値観も人生観も、好き嫌いもキャリア志向も一人ひとりでまったく異なります。工業製品ではありませんので、一人ひとりを深く知らなければいけません。

資本市場での投資に例えると分かりやすいと思います。たとえば、「パナソニックって知ってる?」と聞いたら、誰もが「知ってるよ」と言うでしょう。「こういう事業をしていて、従業員が何人ぐらいいて、こういう会社だよね」と答えられるでしょう。ですが、「パナソニックの株、買う?」と聞かれたらどうでしょう。もっと深くパナソニックのことを知って、将来の価値を評価しなければ、株は買えませんよね。

人的資本投資も同じです。これまでも人事のみなさんは、一人ひとりの従業員のことを知ってきたと思いますが、人的資本経営では、今までとはまったく質的に違う理解が必要になってくるはずです。一人ひとりのパフォーマンスであったり、得意不得意であったり、つぶさに把握していくことが大切で、そのためには様々なツールや仕組みも必要になってくるでしょう。そういったものへの投資も含めて、人的資本への投資になるのだと思います。


人的資本投資は「ローリスクハイリターン」の稀な投資

川内:投資はよく「トレードオフ」だと言われますが、そこはどのような判断軸を持って考えるのが良いでしょうか?

楠木氏:人的資本への投資は、他のものに対する投資と違う点が大きく2つあると思っています。第一に、ものすごく「足が長い」ということです。一つの事業の寿命より人間の寿命のほうが長いですし、労働人口が減って人手不足に陥っている今、会社としてもなるべく長く働いてもらい、価値を創出してほしいと思っているはずです。

投資というのは単なる支出と違って、時間的な奥行きがあるものだと申し上げましたが、この時間が著しく長いのが人的資本投資です。機械設備に対する投資などと比べても、時間的にすごく長期に及びます。だからこそ、投資をする際は、かなり先のことまで考えなければいけません。

第二に、「ローリスクハイリターン」の投資だということです。たとえば、生産設備などでは、どんなにうまくオペレーションをしても生産性が倍になることはほとんどないと思います。20%、30%は上がっても、倍になることはないでしょう。ところが、人的資本が創出する価値は、やりようによっては5倍、10倍にもなります。

株式投資の場合、グロース銘柄で10倍のリターンを狙うようなハイリスクハイリターンの投資をする人もいます。こういった投資は、確かにリスクとリターンがトレードオフになるでしょう。一方で、人的資本投資は5倍、10倍のリターンが得られるにもかかわらず、それほどリスクはありません。ローリスクハイリターンという、非常に稀な投資対象だと考えています。

ただし、株式投資のように意思決定をして、お金を振り込むだけというわけにはいきません。投資と言ってもお金を払うだけではなく、仕事を割り振ったり、評価基準を決めたりと、とにかく手がかかります。ですが、手をかければかけるほどリターンを期待できる投資なので、手をかける価値はあるでしょう。

川内:視聴者の方から、「お金をかけて育成した従業員が転職してしまうのはリスクではないですか?」という質問が来ています。楠木先生、いかがでしょうか。

楠木氏:それは、経営に問題があると思います。働く側からしても、「自分という人的資本をどの会社に投入するべきか?」という投資になっているわけです。ですから、経営者は従業員に「この会社で働いていれば、将来きっと良いことが起きるだろう」と思わせられるかどうかが大切です。転職するということは、それができなかったということです。人的資本は、設備機械と違って意思がありますからね。

ただ、ずっと一つの会社で働き続けてくれるという前提も違うと思います。たとえば、商品市場で、あるお客さんが自社の商品を選んで買ってくれたとします。ですが、次にもう一回買ってくれるかどうかは、まったく確かなことではありません。だからこそ、もう一度買ってくれるように、企業は様々な努力を投入するわけですよね。対従業員もこれと同じことが言えると思います。

川内:ありがとうございます。リンクアンドモチベーションでは、従業員エンゲージメントを起点とした「人的資本経営」が必要だと考えています。企業と従業員が互いに選び・選ばれる関係の中で、従業員エンゲージメントを高め、結びついていることがポイントになってくると思います。「ローリスクハイリターン」というお話がありましたが、リターンを得られるかどうかは従業員エンゲージメントが前提となってくるのではないでしょうか。

人的資本経営をするなら、年功序列や定年制はいらない

楠木氏:僕が非常におもしろいと思うのが、年功序列制です。戦後復興から高度成長期にかけて、日本の会社での評価は年功序列に依存してきました。年功序列は、おそらく20世紀最強の経営イノベーションだと思います。

年功序列には、何の論理もありません。「きみ、何年入社?」「まだ昇給は早いかな」というのは、あらゆる論理を飛び越していますよね。経営コストのなかでも、評価コストはもっとも大きいくらいのウエイトを占めますが、それがゼロまで削減されるのが年功序列です。評価する必要がなく、そのうえ非常に透明な仕組みです。

もし、経営側も働く側も合意できて、企業の成果を出すことにおいても合理的であれば、年功序列ほど素晴らしい仕組みはありません。ですが、何のロジックもないので、この前提が崩れたら最悪です。「あの人、何でこんなに給料もらってるの?」「もう30年勤めてるからね」といった話は、周囲の人のモチベーションを下げるはずです。

僕は、一つの提案として、年齢が分からないようにしてみたらどうかと言っています。もちろん会社の中には年齢のデータはあるにせよ、従業員には一切分からないようにするんです。そうすれば、年齢という代理変数に逃げられなくなるので、一人ひとりをちゃんと見るようになると思うんですけどね。

年功序列と同じで、定年制も人的資本経営という考え方からしたら愚策だと考えます。人的資本経営をしたいなら、廃止すべきだというのが僕の主張です。年齢に関わらず、その人が将来の価値を創造するのであれば、会社に居てもらえば良いじゃないですか。人的資本経営を推進していこうという企業であれば、年功序列も定年も必要ないと思っています。

「人的資本」という言葉の本質を捉える

楠木氏:会社が個人に提供できる働きがいは、金払いが良いことと、良い仕事をさせてくれること、この2つに尽きると思っています。金払いは量的に明確なので問題ないとして、難しいのは、その人にとって「良い仕事が何なのか?」ということです。ここが、やはり人的資本経営で手数をかけるべきポイントだと思いますね。

株式投資をする人が、株価の動きを知らないまま投資することはありませんよね。誰に頼まれなくても、ネットで株価をチェックしたり、チャートを見たり、その会社のホームページで決算資料を見たりと、手数をかけているはずです。なぜなら、将来の価値を知りたいと思っているからです。

人的資本もまったく同じだと思います。人に投資をしているのであれば、「今の仕事とうまくマッチングしているのか?」「エンゲージメント状態はどうか?」といったことが気にならないわけがありません。つまり、そこを気にしていないのは投資をしていないということで、単に労働の対価を払っているだけなんです。

従業員を資本だと思っていれば、おのずと「何をやるべきで、何をやるべきでないか?」は明らかになってきます。細かいToDoリストを見ている場合ではなくて、まずは資本という言葉の本質を知ること、これが本日の結論です。

川内:ありがとうございます。我々は、「人的資本経営」を実現する3つのステップとして、「診断」「変革」「公表」があると考えています。一貫してこのサイクルを回すことで、企業価値向上につながっていきます。「人的資本経営」というバズワードに流されるのではなく、本質を捉えて自社なりのストーリーを描き、それに合ったやり方を考えていくことが大切ですね。

最後に、視聴者のみなさまに向けてメッセージを頂戴できますか。

楠木氏:資本という概念は、動的な概念です。どういうことかと言うと、「複利」なんですね。ですから、うまく回り出すと、どんどん雪だるま的に価値が膨らんでいきます。人的資本経営も、複利であることを念頭に、時間を味方につけることが非常に重要になってくると思います。

従業員を単なる労働力として捉えるのか、人的資本として捉えるのかという、最初の構えが違うだけで行き先は大きく変わってきます。北陸新幹線も東北新幹線も、東京駅から出発したときの角度は少ししか違いません。ですが、2時間くらい乗っていると全然違うところにいますよね。

せっかく「人的資本」という言葉がいろんなところで使われるようになっていますので、今が良いチャンスです。「資本」という概念を正しく理解するところから、人的資本経営に取り組んでいただければと思います。

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