「ソフトバンクー“超知性”の新時代を生き抜く大企業」ソフトバンク 採用・人材開発統括部長 源田泰之氏
Cutting Edgeな人やテーマを取り上げていく「Cutting Edge_HRTech」。
今回は「SoftBank BRAIN」や「感情エンジン」をはじめとして、未来のAIの可能性まで捉えている唯一の企業と言っても過言ではないソフトバンクより、採用・人材開発統括部長の源田泰之氏を迎えてお送りします。
新しい時代を迎えようとしている今、300年続く企業グループを標榜するソフトバンクグループは改めてどんな組織で戦おうとしているのか。HR領域を超えた社会の未来予測としても、刺激的な内容です。
【プロフィール】
ソフトバンク株式会社 採用・人材開発統括部長 源田 泰之 氏
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「人事」とは、事業と人をつなぐ存在である
–ソフトバンクで、人事に期待されている役割は具体的にはどういったものですか?
源田泰之氏(以下、源田氏):基本的に組織づくりは、現場の意向を強く反映し、人事は彼らと一緒に組織をつくっていくイメージです。組織づくりは、その事業のことを最も理解している事業責任者が担うことがベストだと考えています。
事業変化に応じて成功に導くために、どういうチームをつくるべきなのかは、事業責任者が一番わかっているはずなので、その想いを受けて、人事が一緒に設計・サポートしています。
ソフトバンクの人事は、あくまでもシンプルだという話をしてきましたが、それは、人事のミッションは「人事は、事業と人をつなぐ」ということに集約されているからだと思います。
まず事業があって、それを遂行するために必要なのは、どういう組織であり人材なのか。順番を間違ってはいけないということなんですよね。
また、事業と人をつなぐという観点から、人事の中に「未来探索室」を設置しており「今後、働き方はどう変わっていくのか」を最大のテーマとして活動しています。AI(人工知能)に取って代わる仕事が出てくるという話題も盛んにありますが、働き方がどう変わるかを考えて予測し、仕掛けていかなければと考えています。
人事という視点から「社員が考える幸せの概念は同じままなのか」や「ソフトバンク 新30年ビジョン(2010年に発表)で掲げたソフトバンクグループ企業5,000社規模が実現した時に、必要な人材とは何か」など、様々に考え続けている理由は、事業が動くタイミングで、動ける人事であるためです。
AIによってこれから最も大きな変化が起こるのは、HR領域
-AIのお話も出ましたが、ソフトバンクはどのようにAIにかかわっていきますか?
源田氏:ソフトバンクには、IBM社の「Watson」をベースに開発した、AIである「SoftBank BRAIN」があります。前提として、シンギュラリティ(Technological Singularity/技術的特異点)の時代が来ると考えています。AIが人間の知能を超えることでテクノロジーが急速に変化し、甚大な影響がもたらされ、人間の生活が変容するという未来予測のことです。
今後AIは、膨大な情報量を処理し、人間が勘や経験で判断するよりも適切な回答を導き出せるようになり、AIが自分で判断し物事を進めていくようになる時代がきます。人間の脳の構造や働きから考えて、それがコンピューターに置き換わる可能性があると考えています。
「SoftBank BRAIN」は、シンギュラリティの時代の手前の話ですが、生産性を上げて効率的に仕事をするための取り組みの一環として、実際に、法人事業やサポートセンターで活用が始まっています。
具体的には、法人事業においては、A社に対する提案資料をつくる際「誰に聞いた方がいいのか」「その担当者は、他にどこの代理店を担当しているのか」「その担当者の上長は誰か」といった情報が、法人のパターンと成約内容に応じて、レコメンドされるようなイメージです。提案力が向上することで、営業力も向上していくことが期待されています。
一方でサポートセンターにおいては、寄せられた質問の文章を解析した上で、カテゴリー分けし、社内で保有するコンテンツなどとマッチングさせて最適な回答を導き出すといった取り組みが、運用されています。
ソフトバンクグループの強さは、未来の変化を楽しめる6万人以上の存在
–「感情エンジン」についてもお聞かせください。
源田氏:感情エンジンとは、ソフトバンクグループが独自開発しているAI技術です。人間が五感から受け取る外部刺激に対して擬似的な脳内分泌を定義し、クラウドコンピューティングでつながったAI上で、感情を表現する技術です。人間の感情を可視化して、PCや機械に映し出すというと分かりやすいでしょうか。
今は、データサイエンティストが、データマインニングを駆使して人間にとって都合のいいデータの使い方をしようとしているような段階です。ですが、私たちは「将来的にディープラーニングで、人類では思いつかないような様々なことができるようになったときに、どう向き合っていくのか」をすでに考えていて、だからこそ、AIの感情に着目しているのです。
30年後には、AIとともに生きる「新しい時代」が来る可能性があります。それを遠い国で起きていること、よその会社がやっていることではなくて、これら全ては自分の世界で起こっていることだよということを、遠からず感じながら、未来の変化を楽しめる6万人以上の存在が、やはりソフトバンクグループの強さなのだと、改めて思いますね。
「ソフトバンクー変化し続ける組織体制が、圧倒的な事業成功を支える」ソフトバンク株式会社 採用・人材開発統括部長 源田泰之氏 はこちら
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※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。