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産業医面談とは?種類ごとの目的や企業が注意すべき対応とは?


目次[非表示]

  1. 1.産業医面談とは?
  2. 2.産業医の「守秘義務」と「報告義務」
  3. 3.産業医面談の実施は義務ではない
  4. 4.【場面別】産業医面談の目的
  5. 5.産業医面談の実施による効果
  6. 6.産業医と従業員が話す内容とは
  7. 7.産業医面談で企業側が配慮すべきこと
  8. 8.記事まとめ
  9. 9.産業医面談に関するよくある質問


ワークライフバランスや働き方の変化に注目が集まる昨今、身体的な健康のみではなく精神的な健康が重要視されてきています。

企業においても従業員の心身の健康に責任を求められ、それが成されない場合従業員の不幸と共に大きなブランドイメージや利益の損失に繋がります。

本記事では「産業医面談」にフォーカスし、どのような内容か、どう導入・運用すれば従業員の心身の健康に繋がるのかをご紹介します。

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産業医面談とは?

産業医面談は、健康診断やストレスチェックの後のフォロー・状況把握や休復職の際の判断など様々なタイミングで行なわれます。ただ、大きな目的としては専門知識を持った産業医が第三者として従業員のメンタルヘルスをサポートして適切な対応を促す事に変わりはありません。

ここで大切なのは産業医という、いわゆる企業の内部にいながら中立な立場が効果的だということです。そもそも人間はそれぞれ価値観や個性が異なり、同じものごとを同じように感じることは稀です。

特に企業内においては立場の違いで下記図のように考える対象や、考える時間の長さの違いが宿命的に生じるものです。

例:組織における視界の個別性

そのため、組織内での「間」に認識のズレや問題が生じます。当事者同士で気づいて改善できれば良いのですが、現実的には中々難しいのが実情です。

場合によっては「自分が悪い」「相手が悪いのに何も変えてくれない」といった一方に偏った考え方で苦しんでしまう事態になってしまいます。

その際には第三者的な立場で相談や解決案を促してくれる存在が重要になり、産業医面談もそのような意味でも大切な仕組みになってきます。

企業と契約してはいますが、あくまで組織全体が効果的に機能する事が目的ですので産業医は中立の立場にあります。産業医の持つ義務や内容、導入の仕方を学ぶ事で最適な組織運営の方法を模索していきましょう。

産業医面談は対面・オンラインで実施可能

従来、産業医面談をおこなう方式は対面のみとされていましたが、2020年の労働安全衛生法の改正によってオンラインでの実施も可能になりました。ただし、オンラインで産業医面談をおこなうためには、産業医面談に用いる情報通信機器が以下の3つの要件を満たしている必要があります。

  • 産業医面談をおこなう医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるものであって、映像と音声の送受信が常時安定しかつ円滑であること
  • 情報セキュリティ(外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止)が確保されること
  • 労働者が産業医面談を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑・難解なものでなく、容易に利用できること

また、オンラインで産業医面談をする際の実施方法などについて、以下の2つの要件を満たしている必要があります。

  • 情報通信機器を用いた産業医面談の実施方法について、衛生委員会などで調査審議をおこなったうえで、事前に労働者に周知していること
  • 情報通信機器を用いて実施する場合は、産業医面談の内容が第三者に知られることがないような環境を整備するなど、労働者のプライバシーに配慮していること

※参考:情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/000536457.pdf?_fsi=yP1HT8NW

産業医の「守秘義務」と「報告義務」

「産業医面談で話した事が上司に漏らされるのではないか」「愚痴を言ってしまうと会社に知られてしまうのか」といった懸念から産業医面談を受けない場合も多くあります。

しかし、産業医には「報告義務」と共に「守秘義務」があり、「報告義務」も一般的に懸念されているような内容ではありません。

まず、「守秘義務」について、産業医は労働安全衛生法第105条で

「健康診断、面接指導、検査又は面接指導の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た労働者の秘密を漏らしてはならない。」

という義務を課されています。

また、医師としても刑法134条(秘密漏示)第1項で

「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、・・・の職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」

と記されています。

法律で「産業医は本人の希望や了承無しに他者に内容を漏らしてはならない」と明記されているため、まず守秘義務が優先されるものである事を認知しましょう。

一方で「報告義務」は「企業が従業員が安全かつ健康に労働できるようにする安全配慮義務を果たす必要がある」場合に発生します。

例えば、産業医面談の中で従業員の健康が著しく害されており適切な医療機関の受診や事業者への労働環境の改善を指摘する必要がある場合はそれを企業へ報告・指摘を行います。

つまり、「企業のための報告」はあくまで「従業員の健康を守る必要が生じた場合」に実施されるということです。

産業医面談の実施は義務ではない

産業医面談における義務、法律の内容についてご紹介しました。では、「産業医面談の実施」自体は企業に義務付けられているのでしょうか?

産業医面談の実施自体には「法的な拘束」はありません。本人の希望無しに面談を強制する事はできませんし、企業側にその義務もありません。

しかし、従業員の心身の健康が害された場合は業務との関連性が厳しく問われ、企業側が事前に予防措置となる行動を取っていたかはその後の判断に大きく影響します。

一方で先述したように従業員側も産業医面談に対してネガティブでデメリットのあるイメージを持っている場合もあります。「会社に情報が筒抜けになるのは怖い」「人事評価に影響するかもしれない」といった不安の中で結局体調を崩してしまう前に、

  • 産業医面談は企業のためだけではなく、従業員が心身共に健康に働けるためにあるもの
  • 情報は本人が希望しない限り法律で漏洩が禁じられている事
  • しっかり自分の人生を大切にするために産業医のアドバイスを聞く事も有用な事

など、しっかりと内容や目的を伝えることで産業医面談を遠くて怖いものではなく、近くてありがたいものであるという認識を作ることが大切です。

産業医面談の実施に法的な拘束はないものの、後に企業や従業員双方に大きな損失が生じることを防ぐために積極的に仕組みとして活用すると良いでしょう。

ここからは、産業医面談の目的とそれがどのように従業員の高パフォーマンスに繋がるのかについて詳しく解説していきます。

【場面別】産業医面談の目的

産業医面談は様々な場面で実施されることは冒頭触れましたが、代表的な場面ごとの目的や必要な対応についてご紹介していきます。

ただ最初に面談をする事自体の効果について触れていきたいと思います。下図はアメリカのJoseph Luft と Harry Inghamという心理学者がつくったもので、二人の名前をとってThe Johari Window(ジョハリの窓)と呼ばれているものです。

縦軸は「他者の認識」で横軸は「自分の認識」で整理されています。それぞれ「知っている」「知らない」の区分けがされており、例えば

他者:知っていることー自分:知っていること

だと「開かれた窓」になります。これは自他共に知っており、相互理解ができている部分になります。

ここで大切なのは、「自分」だけでは知らない、「気づきの窓」や、「他者」は知らない「隠された窓」がある事です。普段の自分では意識していない、言葉にしていない事を対話の中で言語化・整理する事で適切に自分の状態や、周囲との関係の状態を知る事ができます。

参考:ジョハリの窓

産業医面談についてもそれぞれの場面で「気づかない窓」や「隠された窓」を開いていく事で適切な対応方法を検討することができます。

産業医面談の実施による効果

上述のとおり、産業医には守秘義務があるため、産業医面談における相談内容が従業員本人の同意なくして企業側に提供されることはありません。そのため、「上司からハラスメントを受けている」など、社内の人には話しにくい悩みでも相談することができます。また、プライベートな悩みを産業医に相談することも可能です。夫婦間の問題や育児のストレスなど、家庭生活がうまくいっていないために仕事に対する意欲が減退しているといった悩みを打ち明けても構いません。もちろん簡単には解決に至らないケースもありますが、一人で抱え込んでいるより、中立の第三者である産業医に話を聞いてもらうことで気持ちが楽になるケースは少なくないはずです。

当然、産業医面談は企業側にもメリットをもたらします。産業医は従業員から受けた相談を踏まえ、職場環境に問題があると判断すれば、企業に対して改善策などのアドバイスをおこないます。専門的な知見に基づいた施策によって職場環境を改善することができれば、従業員のモチベーションアップや離職率低減、生産性向上などの効果が見込めるでしょう。

産業医と従業員が話す内容とは

では、産業医は従業員と何を話しているのでしょうか。

産業医は主治医のように「診察」ではなく「把握」を行い、従業員の業務状況や公私共にストレスとなっている事の原因についての相談に乗っています。

時間はおよそ15分~30分程度で、面談対象者の状態に合わせて時間は変動できます。職場における人間関係についてや、食事・睡眠・運動など生活リズムに関する事や体調の相談などを受けた上で適切な医療機関への受診促進も行います。

場合によっては、職場や仕事への愚痴や退職の意向が出てくる時もありますが守秘義務に基づいて緊急性や重要性がない場合は企業側へ情報や言ったことが漏れることはありません。

■健康診断

健康診断の結果、従業員に異常の所見がある場合には3ヶ月以内に当該従業員の就業内容について医師の判断を受けなければいけません。そしてその結果に応じて、就業環境や労働時間、内容などを見直す必要があります

産業医は健康診断の結果を確認した上で該当する従業員と面談を行います。生活習慣や就業方法へのアドバイスを行う他、その状態に応じて企業側に

通常業務:アドバイスした事や健康に意識は向けつつ、通常通りの業務を行う
就業制限:就業内容や就業時間に制限を設けた働き方にする
要休業:一定期間の休養を行う

といった意見を提言します。

・必要なものや対応

企業:従業員の健康診断結果
従業員:必要に応じた問診票
産業医:面談結果における企業側への意見書

■ストレスチェック

企業の実施するストレスチェックの結果、「高ストレスである」という判定がされた従業員に対して行う場合もあります。

基本的にストレスチェックの際に、「面談希望の有無」を確認されて「面談を希望する」という従業員に対して実施されます。

この場合、厚生労働省は企業に対して従業員の状態を把握するためにストレスチェックの結果を企業側に開示する事に本人が同意したと判断して構わないという方針を出しています。

この際に従業員と情報開示の判断について「開示に同意していない」という認識の齟齬が生じる場合もあるため、開示の目的と内容については事前に説明・告知をしておくとスムーズでしょう。

産業医は面談で従業員の話を聞いた上で、対応の緊急度や必要度が高いと判断した際には企業側にその情報を共有します。これは先述した「従業員の心身の健康を守るための報告義務」にあたりますが、産業医ならびに企業側はここで得た情報を従業員に不利益になる使い方をする事は禁じられています。

その上で、従業員にアドバイスを行うと共に企業側へも労働環境の改善を助言します。

・必要なものや対応

企業:産業医の助言に伴った労働環境・条件の見直し
従業員:必要に応じた問診票
産業医:「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書様式」

■長時間労働

2019年4月に施行された働き方改革に関連する法律により、「時間外・休日労働時間が1ヶ月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる」従業員は「長時間労働者」として面談の対象になります。

2019年3月以前と比べて対象範囲が拡大しているため、自社の従業員が該当していないかはしっかりと確認しておく必要があります。

産業医は面談対象に対して長時間労働における疲労の蓄積やそれに伴う健康障害のリスクに対するアドバイスを行います。必要に応じて就業内容・時間の変更やその他の必要な処置について企業側に意見書を作成します。

基本的には長時間労働者にはしっかりと業務の整理や役割分担の見直しを行うと共に面談を実施することが望ましいのですが、法的に要請されたものではなく面談の実施は企業側での義務ではありません。

・必要なものや対応

企業:従業員の氏名や役職、職務内容等の情報、直近1ヶ月の勤怠表、健康診断結果
従業員:必要に応じた問診票
産業医:企業側への意見書

■メンタルヘルス相談

ストレスチェックや健康診断、普段の業務状態から心身の不良や精神的な疾患を抱えている可能性がある従業員に対しても産業医面談を実施する事ができます。

メンタルヘルスの要因は様々ですが、早期に相談の機会をつくり対応する事で問題を早急に発見して対処への動きを取る事ができます。

産業医は面談を実施したのちに必要に応じて従業員に医療機関の受診を勧めたり、企業側に対して就業環境や働き方への意見を行ったりと必要な措置を行います。

▶関連リンク:メンタルヘルスとは?職場における意味や有効なメンタルヘルス対策について
https://www.motivation-cloud.com/hr2048/c256

・必要なものや対応

企業:従業員の氏名や役職、職務内容等の情報、直近1ヶ月の勤怠表、健康診断結果
従業員:必要に応じた問診票
産業医:企業側への意見書

■休職

休職の願いがあった従業員や、休職指示を検討している従業員と行う面談です。基本的には本人の回復・寛解を目的として産業医が主治医の診断書や、心身の状態の評価、休職の原因などを基にして企業側へ意見書を作成します。

休職の前後は従業員側も自己判断が難しく、周囲も関わり方で悩んでしまう場合が多いものです。しっかり専門家であり、第三者が介入できる仕組みを活用してできる限り双方のストレスを低減できるようにしましょう。

・必要なものや対応

企業:従業員の氏名や役職、職務内容等の情報、直近1ヶ月の勤怠表、健康診断結果、就業規則や 人事制度等復職基準が記載されているもの
従業員:主治医の診断書
産業医:企業側への意見書

■復職

復職を希望している従業員に対して実施する面談です。産業医は主治医の復職についての診断書や従業員の生活リズムなどを参考にして、しっかりと復職して安定的に働き続けられるかを判断します。

復職への意欲があるかや、働き方の希望を聞いた上で復職後の就業制限の有無や配慮が必要なことについての意見を企業側に提示します。

・必要なものや対応

企業:従業員の氏名や役職、職務内容等の情報、休職前1ヶ月の勤怠表、健康診断結果、就業規則や人事制度等復職基準が記載されているもの
従業員:復職可能が記された主治医の診断書、必要に応じた生活リズムのわかる資料
産業医:企業側への意見書、休職に至るまでの経緯

■退職

産業医面談が退職相談の場になるケースもあります。従業員に退職の意向がある場合は、それを産業医に相談しても構いませんし、産業医が無理に引き止めることもありません。ただ、部署異動や役割の変更、業務内容の見直しなどによって健康的に勤務を続けられる可能性がある場合は、その方向で解決を図るケースもあります。

なお、産業医面談について企業が認識しておくべきなのが、「産業医面談における退職勧奨」は認められないということです。たとえば、メンタル不調が深刻で復職が難しい従業員や、復職後も欠勤を繰り返している従業員がいる場合、「退職してほしい」というのが企業側の本音かもしれませんが、産業医に依頼して退職勧奨をおこなってはいけません。産業医はあくまでも、中立な立場から従業員の健康管理のために助言や指導をおこなう存在であり、従業員本人が退職を希望していないのであれば、どのような状況でも健康的に働き続けられるように支援するのが産業医の役割です。

・必要なものや対応

企業:産業医に依頼して従業員に退職勧奨をしてはいけない
従業員:退職勧奨、もしくはそう受け取れる趣旨のことを言われても従う必要はない
産業医:退職を希望しない従業員に退職勧奨をしてはいけない

産業医面談で企業側が配慮すべきこと

企業側にとって産業医面談を有効に活用するために導入・運用の仕方で配慮するポイントがあります。

まず、いきなり「産業医面談を用意しました」と言われても従業員側もどう活用すればいいのか分からなくなってしまい、結果として「何も意味ないな」と活用されない状態になる可能性があります。

そうならないためにドイツの心理学者であるクルト・レヴィンが提唱した「態度変容の3ステップ」のフレームワークが参考になるでしょう。

レヴィンは態度変容を生み出すにあたっては、

「Unfreeze(解凍)」→「Change(変化)」→「Refreeze(再凍結)」

の順番で進めていくことが必要だと提唱しています。

具体例を交えてご説明します。

仮に「四角い氷を丸い形の氷に変えてほしい」と言われた場合、四角い氷をどのように丸い形に変えるでしょうか。

色々な方法がありますが、効果的な方法の1つは「氷を一度溶かし、丸い型にいれて再凍結する」ことです。

「アイスピックなどで角を削って丸い形に近づける」といった回答もあるかもしれませんが、アイスピックで四角い氷を削った場合、いびつな形になり、最悪の場合氷が割れてしまうかもしれません。

産業医面談のような仕組みが活用されるためには

①解凍(Unfreeze):目的の伝達・意識醸成
②変化(Change):安心と手軽さの提供
③再凍結(Refreeze):習慣化

がポイントです。このポイントに沿って導入~定着への方法をご紹介します。

■①目的の伝達・意識醸成:産業医面談開始の周知方法

まずはしっかりと産業医面談開始の周知を行いましょう。この場合で気を付ける事はただ「産業医面談の機会を用意したので活用してください」という事実のみ伝えるのではなく、「なぜ産業医面談を始めるのか」という目的や背景を伝えなければならないことです。

前者のみだと、先述したような産業医面談への不信感が生まれてしまい産業医面談を設定する人事や担当者も単に仕事が増やされたと感じてしまう可能性があります。

例えば、

「自社のポリシーに沿って、物心共に幸福になってもらうために産業医面談の機会を設ける事を決めました。皆さんの評価や関わり方を不当に扱う事はなく、悩みを解決できる場所なのでこの機会をぜひ活用してください。」

という様に目的やメリットをしっかりと伝えるようにしましょう。「誰でも受けられる権利であり、特別何かを抱えているから面談を受けるわけではない」という文化や意識を醸成できると従業員側から積極的に活用して問題解決に繋がるでしょう。

■②安心と手軽さの提供:面談対象者への連絡方法

面談希望者に日程や方法を伝達する際には、できるだけ他者に分からないようにしましょう。特に導入当初や初めて利用する方にとっては多少の勇気と不安があるものです。

その出鼻をくじかない様に連絡方法にも配慮して安心して活用できるようにしましょう。

■②安心と手軽さの提供:社外相談窓口の設置

そして特にストレスの度合いが高い人や精神的に疾患・不調を抱えている人は社内の人間に知られたくないと思う事がほとんどです。どうしても会社への信用ができずに1人で苦しんでしまい、面談も希望できない場合もあります。

その場合面談や相談へのハードルを下げるためにも社外に相談窓口を設置したり匿名で相談ができるホットラインのようなものを設置する事も効果的です。

■③習慣化:定期的な調査の実施

最後に、せっかくつくり上げた文化や意識が逆戻りしないように「習慣化・仕組み化」する事が大切です。年に1回~2回はストレスチェックや調査を行う事で個人の状態、組織の状態を把握して産業医面談のような施策の検討に繋がる習慣をつくりましょう。

多くの調査方法がありますが、個人の感じている事、組織の関係性の中で起こっている事のどちらも見る事が効果的です。

【参考資料のご紹介】
エンゲージメント向上に成功した企業・部署のトップが実際に語った事例資料「日本一働きがいのある会社~部署が変われば企業が変わる~」はこちらからダウンロードいただけます。

■④適切な措置の検討

産業医面談をおこなって終わりではなく、従業員の経過を見守るとともに産業医の意見を聞き、適切な措置を検討することが大事です。必要に応じて、部署異動や役割変更、業務内容の見直し、労働時間の短縮などの措置をおこないましょう。

■⑤産業医との連携強化

産業医とコミュニケーションを図り、職場の特性や現状の課題、目指すべき組織の在り方などをしっかりと共有することが大切です。産業医に企業の内情を正確に伝えるとともに、理想とする組織像を共有できれば、同じベクトルで手を取り合いながら職場改善を図っていくことができるでしょう。

■⑥人事や上司は同席しない

産業医面談は原則として産業医と従業員がマンツーマンでおこなうものであり、人事担当者や上司が同席するのは避けるべきです。産業医面談を受ける従業員からしたら、社内の人が同席していたら、相談したいことも相談できなくなりますし、本心を口にするのも難しくなります。

ただし、復職に向けて具体的に会社の対応方法などを確認する必要がある場合などは、産業医面談に人事担当者や上司が同席するケースもあります。ただ、その場合も従業員にその旨を伝え、従業員の同意を得たうえで同席するのが通常です。

記事まとめ

産業医面談のような制度は従業員側の不幸を生み出さない予防になると共に、企業にとっても貴重な人材に最大限活躍してもらうきっかけづくりになります。

しっかり形だけではなく、その背景や効果的な運用方法を学んだ上で職場環境の改善や業務の見直しを行って企業と個人の成長に繋げましょう。

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産業医面談に関するよくある質問

Q:従業員が産業医面談を受けない場合の会社のリスクは?

産業医面談の実施に法的拘束力はないので、受けたくない従業員に無理に受けさせることはできません。しかし、そのまま産業医面談を実施できずにいると、従業員のコンディションがますます悪化して生産性が低下したり、休職や退職のリスクが高くなったりします。また、従業員の不調によって労災が発生した場合、事前に産業医面談を実施していないことで、企業が安全配慮義務を怠ったとみなされる可能性もあります。

Q:産業医面談を受けてくれない従業員に受けてもらうためには?

産業医面談を受けることに「意味がない」と考えている従業員には、メリットを説明するのが良いでしょう。また、「産業医は企業側の人間だから全部筒抜けなのでは?」という懸念から、産業医面談を受けない従業員もいます。このような従業員には、産業医には守秘義務があることを伝えましょう。正しい情報を提供し、デメリットがないことを理解してもらえれば、産業医面談を受けてもらいやすくなるはずです。

Q:産業医はどのように探す?

産業医を探す方法としては、産業医の派遣・紹介サービスを利用するのが一般的ですが、それ以外にもいくつかの方法があります。コストがかかっても確実に産業医を紹介してもらいたいなら、労働衛生コンサルタント事務所に相談するのが良いでしょう。また、地域の医師会や近隣の医療機関、定期健診を依頼している医療機関に相談することで産業医を紹介してもらえる可能性もあります。取引先など、すでに産業医を置いている会社に相談して紹介してもらうのも一つの手です。


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執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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