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メンタルヘルスとは?職場における意味や有効なメンタルヘルス対策について


目次[非表示]

  1. 1. メンタルヘルスの意味とは?
  2. 2. 企業においてメンタルヘルスが重要な理由
  3. 3.メンタルヘルスに起因する代表的な疾患
  4. 4.メンタルヘルスの不調が示すサイン
  5. 5. メンタルヘルスにおける段階
  6. 6.メンタルヘルスの「4つのケア」について
  7. 7.従業員のメンタルヘルスのセルフケア
  8. 8.職場での有効なメンタルヘルス対策
  9. 9.記事まとめ
  10. 10.メンタルヘルスに関するよくある質問


「健康経営」に欠かせないメンタルヘルス対策。昨今では、テレワークの普及によって新たなストレスに晒される従業員も増えており、メンタルヘルスへの注目がこれまで以上に集まっています。

過度のストレスは働く人のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすのみならず、生産性を低下させたり事故を引き起こしたりする危険性があり、職場におけるメンタルヘルス対策は大きな課題です。

今回は、なぜメンタルヘルスが重要視されているのか、また対策の基本的な考え方などをご紹介します。

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 メンタルヘルスの意味とは?

「メンタルヘルス」という言葉はよく耳にしますが、具体的にはどのように定義されているのでしょうか。

直訳すると「心の健康」となり、精神的、心理的健康状態を意味します。加えて精神的、心理的な健康の回復、維持や増進と、それらにまつわる状況を指すことが多いです。

心の健康状態は、自分では気付けないケースが多くあります。

そしてメンタルヘルスを損なうと、物事に集中できなくなる、決断力が鈍るなど、精神的な症状が表れ業務に支障をきたします。また、症状を放置しておくと「うつ病」などの疾病を発症することもあります。

このように、ストレスなどが原因となって無意識のうちに自分自身をコントロールできなくなってしまう状態が「メンタルヘルス不調」です。

心の問題は非常にデリケートなため、誤った対応方法を取るとかえって心にダメージを与えてしまい、余計に悪化させるリスクがあります。そうならないためにも、正しいケアの方法を学ばなければなりませんし、必要があれば専門医に見てもらうことが重要です。

 企業においてメンタルヘルスが重要な理由

近年、うつ病などの精神障害の労災請求および認定件数は増加傾向にあります。2020年度の精神障害の労災補償請求件数は請求件数は2,060件で前年度比240件の増となり、うち未遂を含む自殺件数は前年度比2件増の202件でした。

このような現状から、企業におけるメンタルヘルス対策の重要性が増しています。

※参考:厚生労働省 令和元年度「過労死等の労災補償状況」を公表します

 ■理由①生産性を左右する

従業員の心の健康状態は、組織全体の活力や生産性に影響を与えます。

なぜなら、メンタルヘルス不調になると脳の機能が低下し、集中力や判断力のほか、物事に対する意欲や好奇心も低下するためです。

職場にメンタルヘルス不調者が増え、個々の仕事の質が落ちれば、組織全体の活力が失われ、生産性は低下します。

 ■理由②業績低下のリスク

令和2年に厚生労働省が公表した「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレスと感じる事柄がある労働者の割合は 54.2%でした。

※参照:厚生労働省 令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況(PDF資料)

職場で半数の人が何らかのメンタルヘルス不調を抱えているということは、それだけ精神疾患による休職・離職につながる可能性があることを意味します。生産性が低下するのみならず、休職や離職は労働力不足となり、事業全体の業績低下にもつながりかねません。

これらのリスクを踏まえると、メンタルヘルス対策は従業員一人ひとりの心の健康状態にとどまらず、経営のリスクマネジメントの一種として捉えるべきでしょう。労働環境の改善も含め、企業側によるメンタルヘルス対策の積極的推進が重要です。

メンタルヘルスに起因する代表的な疾患

厚生労働省は、国民の健康を保持するために広く継続的な医療を提供すべき疾病として「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」に加え、2011年には「精神疾患」を加えて「5疾病」とし対策に力を入れています。

精神疾患とはストレスなどによって引き起こされる心の病気です。ここでは代表的な5つの疾患について記載します。

■うつ病

【症状】

気分の落ち込み、好きだったことが楽しめない、イライラするといったネガティブな感情が大きくなる抑うつ状態が続くほか、不眠やぼんやりすることが増え、集中力の欠如などの症状があります。

精神的な症状のみならず、めまいや頭痛、耳鳴り、動悸、食欲や性欲の減退といった身体的な症状もあり、このような症状が2週間以上続く場合は要注意です。

【原因】

特定の原因によって発症するのではなく、複数の要因が積み重なって発症するといわれています。環境や性格、服用している薬、遺伝、神経伝達物質のバランスの乱れなど、さまざまな要因が考えられます。

【主な治療方法】

症状や発症要因によって異なりますが、休養や環境調整、薬物治療、精神療法などを組み合わせて治療を進めます。

■パニック障害・不安障害

【症状】

突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作(パニック発作)を起こし、そのために生活に支障が出ている状態です。

予期せずこのような発作が起こるため、「また発作が起こるのではないか」という不安により一層精神的に不安定になり、引きこもりやすくなるのが特徴です。

【原因】

こちらも、はっきりとは解明されていませんが、心理的な原因のほかに、脳神経機能の異常も関わっているといわれています。

また過労、睡眠不足、ストレス、風邪など環境や心身の不調がパニック発作の引き金になる要因としてあげられ、家族歴があると発症リスクが高まると言われています。

【主な治療方法】

薬物療法と精神療法的アプローチを併用して治療を行います。 再発する可能性がある疾患のため、症状が改善しても半年から1年くらいは薬を飲み続け、様子を見る必要があります。

また本人の不安に対する姿勢を変化させるような精神療法が重要なため、周囲の人たちもゆっくり見守る協力があるとよいとされています。

■適応障害

【症状】

抑うつ気分や不安感、怒り、神経過敏、めまいや発汗のほか、無断欠勤や危険運転、けんか、暴飲暴食など行動面における症状も見られることがあります。 精神的な症状が似ているため、うつ病と間違われやすいですが、適応障害は原因から遠ざかることで症状が落ち着きます。

【原因】

生活や環境の変化、特定の出来事をストレスに感じることで発症します。ストレスとは外からの刺激に対して緊張した状態を指します。

外からの刺激は、天気や騒音、気温などの環境による刺激。また病気や疲労、睡眠不足などの身体が受けた影響、恐怖や不安、悩みなどの心の中で受けている影響、人間関係や、仕事の繁忙期などの社会生活による刺激などがあり、生活の中で起こるさまざまな変化がストレスを引き起こします。

【主な治療方法】

ストレスの原因となっている状況や出来事を明らかにし、そこから離れることが、一番の治療方法です。

■睡眠障害

【症状】

不眠や日中の眠気、睡眠中の病的な行動など、睡眠に関わる病気の総称です。寝つきが悪い、十分な睡眠時間を取っているのに寝足りないと感じる、夜中に何度も目が覚める、いびきをよくかくといった問題が1カ月以上続く時は睡眠障害の可能性があります。

睡眠障害が続くと、身体的な健康を損なったり別の精神疾患につながったりする恐れがあるため、早めに医師に相談しましょう。

【原因】

生活習慣の乱れや精神疾患、薬の副作用など原因はさまざまです。また、いくつかの要因が絡んでいる場合もあります。

【主な治療方法】

症状によって異なるので、専門医による診察や検査によって原因を特定することが重要です。軽度な不眠であれば、運動や生活習慣の改善で効果が見られるケースもあります。

■依存症

【症状】

アルコールや薬物に代表される精神疾患で、特定の物質や行為について「やめたくてもやめられない」という自己コントロールを失った状態をいいます。

医学的定義では、ある特定の物質や行為について「やめたくてもやめられない」状態に陥る状態を依存症と呼びますが、日常的な会話では、人間関係なども含めた何らかの対象に執着することも、医学的診断の有無に関係なく、広い意味で「依存症」と表現することがあります。

【原因】

依存している物を摂取したり、依存している行為を行ったりすると、快楽をつかさどる神経伝達物質ドーパミンが脳の中で分泌され、快感や喜びを感じます。

それを繰り返していると、得られる快感や喜びの程度が低くなるため、依存している物をより多く求めるようになり、依存が止められない悪循環に陥ります。

【主な治療方法】

本人の意志だけで依存している物などを絶つのは難しいため、専門機関による入院治療や依存症と闘う人たちとの共同生活などによって克服します。依存症も、なるべく早く治療を始めることが重要です。

メンタルヘルスの不調が示すサイン

メンタルヘルスが悪化した従業員は、心身の不調から様々な変化が見られるようになります。以下のような変化はメンタルヘルスが悪化しているサインだと考えられるため、早めに対策を講じるようにしましょう。

■遅刻・早退など出退勤の変化

従業員のメンタルヘルスが悪化すると、出退勤に様々な変化が起こるようになります。もっとも多いのは、遅刻や早退が増えることです。これは、メンタルヘルスが悪化すると朝起きられなくなったり、仕事に行きたくないと感じたりするようになるからです。また、勤務中の離席が増えたり、有給休暇の取得や無断欠勤が増えたりする場合もメンタルヘルスの不調が疑われます。従業員がうつ病やパニック障害、適応障害などで苦しんでいる可能性もあるので、早急な対処が必要です。

■パフォーマンス・生産性の変化

従業員のメンタルヘルスが悪化すると、普段の仕事に様々な悪影響が及ぶようになります。メンタルヘルスに不調をきたすと仕事に対するモチベーションが低下し、気力が失われていきます。また、過度なストレスや不安から集中力を保てなくなったり、思考力や決断力が低下したりします。そうなるとミスが増えたり、仕事のスピードが遅くなったり、パフォーマンスが低下したりします。以前に比べて生産性が低下したり、ミスが増えたり、業務負荷が大きいわけではないのに仕事の進捗が滞ったりしている従業員がいたら、メンタルヘルスの不調を疑わなければいけません。

また、メンタルヘルスの不調に陥っている従業員はコミュニケーションにも変化が現れます。周囲と積極的にコミュニケーションをとらなくなったり、報連相をしなくなったり、話しかけても上の空になっていたり、会議や打ち合わせでまったく発言しなくなったりしているようであれば、メンタルヘルス不調の可能性が疑われます。

■行動や身だしなみの変化

従業員のメンタルヘルスが悪化すると、普段の行動や身だしなみにも変化が現れるようになります。自己管理ができなくなり、髪型や服装などの身だしなみが乱れるのはよく見られる傾向です。過度な不安やストレスから自分のことで精一杯になってしまい、周囲の人と挨拶をしなくなったり、コミュニケーションを避けたりするようになることもあります。このように、社交性が失われている場合もメンタルヘルス不調を疑うべきでしょう。また、業務中の独り言が増えたり、人によっては業務中に突然泣き出したりすることもあります。このような場合は、早急な対処が求められます。

■様々な体調の変化

従業員のメンタルヘルスが悪化すると、食事や睡眠のリズムが乱れがちになります。食事や睡眠をきちんととれなくなると体調面で様々な不調が現れるようになります。また、過度なストレスや不安を抱えていると疲労感やだるさが増すほか、不眠や睡眠障害に陥ることもあります。食事面では、ストレスから食欲不振を招く人もいますが、逆にストレスが原因で過食になる人もおり、甘いものや高カロリーの食べ物に走ることで肥満につながるケースも見られます。

その他、頭痛や胃痛、微熱、吐き気、肩こり、背中や腰の痛みなども、メンタルヘルス不調によって引き起こされる症状です。耳鳴りや動悸などがある場合は、その原因がメンタルヘルス不調とは限らず、深刻な疾患が隠れている可能性もあるため、早急に医療機関を受診させるようにしましょう。

 メンタルヘルスにおける段階

メンタルヘルスにおける「3つの段階」とは、ストレスに対して、どの段階で予防・対処するのかという考えに基づいた枠組みで、1次予防・2次予防・3次予防に分かれます。ここでは、各段階の考え方をご紹介します。

 ■1次予防【未然に防ぐ】

ストレスによってメンタルヘルス不調をきたすことを未然に防ぐ段階です。

セルフモチベーションコントロール研修やストレスチェック制度の導入などにより、労働者一人ひとりのメンタルヘルスに対する意識を高めていきます。

身体の健康状態と比較し、精神的な不調は自分では気付きにくいため、まず自分のストレス状況に気付くことが大切です。

それにより、休養やセルフケアなどでストレスに対処し、メンタルヘルス不調になることを防ぎます。

また、企業側が労働者の職場環境を改善し、ストレスが発生しにくいような状態となれば、必然的にメンタルヘルス不調に陥る人の数を減らすことができます。

職場環境に関する記事はこちら
働きやすい職場環境とは?特徴や作るためのポイント、成功企業事例をご紹介

■2次予防【早期発見】

2次予防では、メンタルヘルスに不調があらわれた労働者を早めに発見して適切な対応を行う段階です。

一口にメンタルヘルス不調と言ってもさまざまな状態があります。労働者が自分で対処することにより比較的早期に回復することのできる状態や、精神科医やその他の専門家の助けがなければ回復しないほど深刻な状態などです。

メンタルヘルス不調に陥った人に対しては、できるだけ早い段階で支援を行い、深刻な状態にならぬよう対策を講じることが大切です。仕事でのストレスによりメンタルヘルス不調に陥ってしまった場合は、産業医等の適切なアドバイスに基づくケアにより健康な状態へ回復することもあります。

また、場合によっては配置転換など、就業上の措置と組み合わせた対応により回復することもあります。いずれにせよ、本格的なメンタルヘルス不調に陥る前に適切な対応をとることができれば、早期に回復する可能性は高いでしょう。

■3次予防【職場復帰支援】

メンタルヘルス不調により、休職した労働者の職場復帰をサポートする段階です。休職による不安や焦りを緩和させるための精神的なフォローや、復帰後に無理をさせないような仕事面のケアや、職場環境の整備などを行います。

この3次予防を疎かにすると、再発や離職につながるため、慎重かつ丁寧なフォローが求められます。

メンタルヘルスの「4つのケア」について

先述の「3つの段階」で教育研修や制度の導入、情報提供、職場環境の改善に取り組みながら、これから紹介する「4つのケア」を、継続的かつ計画的に行うことが重要です。

この「4つのケア」は、厚生労働省が2015年に公表した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(改正)で示されたものです。

※参考:労働者の心の健康の保持増進のための指針

 ■セルフケア

セルフケアは労働者自身でストレスを予防し、気づいた際に適切に対処することです。セルフケアは正しい知識がなければ、うまく対応できないため、事業者は労働者への情報提供や教育研修によりサポートします。

また社内で相談体制の整備を図り、労働者自身が管理監督者や産業保健スタッフ等に自発的に相談しやすい環境を整える事も大切です。

また、ストレスへの気づきを促すためには、ストレスチェックの実施も有効です。

■ラインによるケア

ラインによるケアは、管理監督者が職場のストレス要因を把握し、改善することです。管理監督者は部下である労働者の相談に乗り、必要に応じて労働環境等の改善を行うなど対策を講じます。

また、企業は、管理監督者に対して、ラインによるケアが適切に行われるような教育研修、情報提供を行う必要があります。

また、業務を一時的なプロジェクト体制で実施する等、通常のラインによるケアが困難な業務形態の場合は、実務において指揮命令系統の上位にいる者等により、ケアが行われる体制を整えるなど、ラインによるケアと同等のケアが確実に実施される事が重要です。

 ■事業場内の産業保健スタッフ等によるケア

事業場内の産業保健スタッフ等によるケアは、産業医や衛生管理者など、産業保健スタッフ等による支援です。セルフケアおよびラインによるケアの実施サポートを行います。

個々のケースを支援するのみならず、メンタルヘルス関連の教育研修の企画・実施や労働者からの相談等を受けることができる制度及び体制を整えます。

 ■事業場外資源によるケア

事業場外資源によるケアは、メンタルヘルスケアの専門知識を有する外部の機関やサービスを活用したケアのことです。事業場内での相談を希望しない労働者のケアや、企業が抱えるメンタルヘルスの課題を、外部の専門的な知識を有する資源の支援により解決したい場合などに有効です。

これらのように、「3つの段階」の取り組みと「4つのケア」を継続的かつ計画的に実施できれば、労働者のメンタルヘルス不調を防ぎ、発生時も適切に対応できるでしょう。

従業員のメンタルヘルスのセルフケア

従業員がメンタルヘルスを守れるようにするためには、日頃からストレス解消に努めたり、会社として気軽に相談できる体制を整えたりすることが大切です。メンタルヘルスのセルフケアを促す方法についてご説明します。

■良質な睡眠

睡眠不足はストレスや不安を増大させる要因になるため、良質な睡眠をとることは、メンタルヘルスケアのなかでも非常に重要です。睡眠を十分にとることで脳がリフレッシュされ、ストレスや不安を軽減することができます。また、十分な睡眠をとることで脳の機能が向上し、集中力や判断力が高まります。睡眠不足はやる気を低下させる原因になりますが、良質な睡眠をとることができれば、仕事に対するモチベーションを維持することができるでしょう。

■適度な運動・生活習慣の改善

メンタルヘルスケアの一つとして適度な運動をすることは重要です。運動をすることで脳内にエンドルフィンと呼ばれる物質が分泌されますが、エンドルフィンにはストレスや不安を軽減する効果があります。また、運動をすることで睡眠の質が向上するため、睡眠障害の改善にも役立ちます。

生活習慣の改善もメンタルヘルスにプラスの影響をもたらします。規則正しい生活リズムをつくることで睡眠の質が向上し、疲れがとれてリフレッシュすることができます。また、バランスの良い食事は身体の健康維持につながるだけでなく、脳機能にも良い影響を与えることが分かっています。

■上司・窓口への相談

従業員がメンタルヘルス不調から脱するためには、自分が抱えている問題を上司などに相談できる機会があることが大切です。悩みを相談することで、自分の気持ちや状況を客観的に見つめ直すことができるので、メンタルヘルス不調から回復できる可能性も高くなります。話を聞いた上司が部署異動や仕事量の調整などをすることで、メンタルヘルスが安定するケースもあります。なお、直属の上司には相談しにくいケースも考えられるため、社内外に相談窓口を設けることも重要です。

■医療機関の受診

メンタルヘルス不調が長期化すると、症状が重度化することがあります。そのため、メンタルヘルス不調に陥っている従業員がいるのであれば、様子を見るのではなく、早期に医療機関を受診させるようにしましょう。専門医の診察・カウンセリングや治療を受けることで、症状の改善や回復につながるケースも多々あります。従業員は自分の状況や悩みを専門医に打ち明けることができるので一人で抱え込むことがなくなり、精神的な安心感が得られます。

職場での有効なメンタルヘルス対策

メンタルヘルス対策にはさまざまな選択肢があります。

そんな中、厚生労働省は、2015年の「労働者の心の健康の保持増進のための指針(改正)」においてメンタルヘルスケア(労働者の心の健康の保持増進のための措置)の基本的考え方を公表しました。

その中で、推奨されている4つの取り組みを紹介します。

※参照:厚生労働省 2015年「労働者の心の健康の保持増進のための指針(改正)」

■(対策例)ストレスチェック制度

ストレスチェック及びその結果に基づく面談指導の実施、集団ごとの集計・分析等、事業場における一連の取り組みです。その中心になるストレスチェックは、労働者のストレスレベルを判定するアンケート形式の検査です。

このストレスチェックの実施により、労働者自身のストレスへの気づきを促し、メンタルヘルス不調の予防を図ります。検査結果は本人に通知され、自身によるストレス緩和につなげるほか、職場全体のデータを分析し労働環境の改善に役立てます。

▼ストレスチェックに関するに関する記事はこちら
ストレスチェックに意味はない?原因と改善方法を紹介!

■(対策例)産業医や産業保健の専門スタッフとの連携

労働者の健康管理を担う産業医や産業保健スタッフとの連携も効果的です。

労働安全衛生法では、労働者が50人以上いる事業場に産業医を選任することが義務づけられており、50人未満の場合は努力義務となっています。

産業医の主な役割は、健康診断の実施・結果への対処、長時間労働者の面接指導やストレスチェックの実施などがあります。

病気の診断や薬の処方等はせず、適切な医療機関の紹介や休職者の復職判断などにより労働者の心身の健康をサポートします。

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 ■(対策例)従業員支援プログラム(EAP)

従業員支援プログラム(EAP:Employee Assistance Program)は、企業のメンタルヘルスケアをサポートするサービスです。

産業医や産業保健スタッフのように企業に常駐する「内部EAP」に対し、企業連携し、対策を行う外部機関やサービスを「外部EAP」と呼びます。外部EAPはストレスチェックの実施や復職支援プログラムなどの幅広い専門サービスを提供し、メンタルヘルスケアを推進していきます。

 ■(対策例)ストレスマネジメント研修などの教育活動

ストレスマネジメント研修などの教育活動は、小規模事業場でも導入しやすい取り組みです。メンタルヘルスの重要性や基礎知識を、労働者及び管理監督者に教育し、意識向上やメンタルヘルス不調の予防につなげることができます。

また、外部の専門機関うあサービスにアウトソーソシングすることも効果的でしょう。

ストレスマネジメントに関する記事はこちら
ストレスマネジメントとは?対処方法や効果を解説

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記事まとめ

ここまでメンタルヘルス対策の基本知識や企業に及ぼす影響、対策のフェーズなどについてご紹介しました。メンタルヘルス不調は誰しもなり得る可能性がある現代の大きな課題のひとつです。今後、事業運営するにあたり、メンタルヘルス対策への積極的な取り組みは必要不可欠です。

メンタルヘルス対策は、従業員の働きやすい環境整備はもちろんのこと、企業の生産性や企業価値を向上させるという意味においても多くのメリットがあります。

まずは基本を徹底することで労働者一人ひとりの心の健康を考えることが、健康経営の第一歩です。労働者の健全な肉体と精神という土台を作り、健全な組織運営・生産性の高い組織を目指しましょう。

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メンタルヘルスに関するよくある質問

Q:メンタルヘルスとは?

メンタルヘルスとは精神面における健康のことで、日本語では「精神的健康」や「心の健康」と呼ばれるのが一般的です。

※参考:メンタルヘルス | e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-086.html

また、メンタルヘルス不調とは、厚生労働省の「労働者の心の健康保持増進のための指針」によると、「精神及び行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活及び生活の質に影響を与える可能性のある精神的及び行動上の問題を幅広く含むもの」と定義されています。

※参考:こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
​​​​​​​https://kokoro.mhlw.go.jp/

Q:メンタルヘルス不調のサインは?

従業員のメンタルヘルス不調のサインとして、よく言われるのが以下のようなものです。このようなサインが見られた場合は、早期に適切なケアを受けることが重要です。

  • 気分が落ち込み、不安感が増加する
  • 疲れやすくなり、体調不良が続く
  • 睡眠障害や食欲不振に陥る
  • 仕事に対する意欲が低下し、業務のパフォーマンスが低下する
  • 時間管理がうまくできなくなり、仕事が遅れがちになる
  • 感情的に不安定になり、怒りやイライラが増える
  • 社交性が失われ、コミュニケーションを避けるようになる

Q:企業ができるメンタルヘルス対策は?

企業は、従業員のメンタルヘルスを定期的にチェックすることが重要です。メンタルヘルス不調に陥る前の早期発見・早期対応を心がけましょう。

また、職場のコミュニケーションを促進することも重要です。従業員同士や上司とのコミュニケーションを促進することで、ストレスや不安の解消につながります。その他、ワークライフバランスを支援することも、従業員のメンタルヘルスを守ることにつながります。

執筆者:野々山 果純
執筆者:野々山 果純
【プロフィール】 リンクアンドモチベーション入社。 秘書、社内広報、PRなどに従事した後 部門人事にて育成体系の構築を進めると共に中途採用責任者を歴任。 現在は、モチベーションクラウドのカスタマーサポート部門の責任者として プロダクトやサービス改善に努める。

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