
パルスサーベイとは?実施する意味・事例を徹底解説!
皆さんは「パルスサーベイ」という言葉をご存知でしょうか?定期的に会社から回答を求められる、従業員調査やアンケートのようなものの種類の一つに「パルスサーベイ」というものがあります。
パルスサーベイは、手軽に実施できるというメリットがあるため導入する企業が増えています。この記事では、パルスサーベイの概要、メリット・デメリットなどの基本的なところから、導入に向けた手順やポイントをご紹介していきます。
パルスサーベイを使って、組織状態をリアルタイムに掴んでいきましょう。
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パルスサーベイとは
パルスサーベイとは、従業員に対するサーベイ調査の一種のことです。簡易的な調査を、短期間の間に繰り返すものを指しており、主に従業員の満足度調査やエンゲージメント調査に用いられることが多くあります。
「パルス(pulse)」というのは、日本語で「脈拍」のことで、まるで脈拍を測るかのように、組織と個人の関係性を測ることが目的です。
一方でパルスサーベイの逆のものとして、年に一回など、時間を行う調査は「センサス(Census)」があります。これは、全国調査や国勢調査などの意味を持つことから、パルスサーベイとの違いをイメージしていただけたらと思います。
■従業員の状況をこまめな確認が可能
パルスサーベイの特徴として、簡易的な調査を、短いスパンで繰り返し実施することができるので、従業員の状況をこまめに確認することができる点が挙げられます。
また、簡易的な調査であるために一回あたりのコストを抑えることもでき、設問数が少ないため、調査実施から集計、分析までを短期間に行うことができます。
サイクリックにパルスサーベイを実施することで、従業員と組織の状態をタイムリーに把握し、解決のためのヒントにすることができます。
従業員の感情は刻一刻と変わるものです。職場でのトラブルや家庭内での出来事で従業員のコンディションは変わりうるため、こまめな調査が有効なのです。
参考:FUTURE STRIDE「なぜ、ソフトバンクの人事本部はゼロからパルスサーベイを開発したのか?」
■従業員のエンゲージメントの打ち手の効果をこまめに確認が可能
パルスサーベイは従業員と組織のエンゲージメントを高める上でも効果を発揮します。エンゲージメント向上のために改善活動を行っている際、パルスサーベイを定期的に実施することによって、取り組んでいる改善活動の効果を確認することができるからです。
エンゲージメント向上のための打ち手は、組織や従業員の特性や状態によって様々です。こまめに組織状態を把握し続けることで、短期間でPDCAを回し、効果的な取り組みを行うことができるでしょう。
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サーベイとは?リサーチとの違いや種類、メリットを紹介!
パルスサーベイの使用シーン
短期反復型のパルスサーベイはどんな場面で活用することができるのでしょうか。ここではその例を3つご紹介します。
■使用シーン①入社後間もない人のオンボーディング
パルスサーベイは、新入社員や新しく組織にジョインしたメンバーの状態を把握する際に役立ちます。入社間もない社員は、新しい環境に慣れることができず、ストレスを感じやすい状態です。
きちんと職場の仲間と関係構築ができているか、組織に対しての理解を進められているかをこまめに把握することで、新入社員への教育もしやすくなります。特に注意したいのは、新入社員に対してのコミュニケーションが業務の内容ばかりに偏らないことです。
新しい業務を覚えること、教えることに集中してしまいがちな新入社員の受け入れですが、パルスサーベイを使って、普段なかなか直接聞くことのできないメンタル面や組織への理解について把握することが重要です。
■使用シーン②従業員の簡易メンタル・ヘルスチェック
パルスサーベイを従業員へのメンタルヘルスチェックに活用することも多くあるケースでしょう。短期間にパルスサーベイを繰り返すことで、継続的に従業員のストレスと定点観測することで、不調を早期発見し、早い段階で対処することができます。
メンタルヘルスは、仕事からの影響だけでなく、プライベートからの影響も受ける、複雑なものです。組織としてのストレス指数をチェックしておきましょう。
■使用シーン③人事施策の効果検証
パルスサーベイは、人事施策の効果検証にも活用できます。新たな人事制度の導入や、従業員研修の実施後での効果検証は、数値的な効果が見えにくい人事施策にとって重要なポイントです。
施策を実施する前後にパルスサーベイを行うことで、施策の前後でどんな変化があったのかを把握し、効果を確かめることができます。
パルスサーベイの実施ステップ
ここでは、実際にパルスサーベイを実施する際のステップの一例をご紹介します。
■①質問項目の設定
ステップ1では、パルスサーベイを実施する目的に合わせて、質問項目を設定します。例えば、幸福度、経営者に対する感情、仕事量、職場環境、ストレスなど、様々な観点から、仕事や職場に関する従業員の意識を把握するための設問を設定します。
■②調査の実施
ステップ2では、実際に調査を実施します。まずは実施日の数日前に、サーベイの実施を告知しましょう。日々の業務で忙しい回答者ですから、回答期間、回答方法、所要時間など、回答者が回答するときに迷わないよう、丁寧に周知をすることが大切です。
また、回答率を上げるためにも、リマインドメールを業務開始や昼休みの時間に合わせて配信したり、大きな会議の中で回答をする時間をとるなど、工夫をすることもポイントです。
■③調査結果の集計・分析
サーベイ実施後は、回答の集計作業と分析を行います。ここでのポイントは、結果を出すまでをスピーディーに行うことです。
サーベイの結果を用いて、組織改善の取り組みや、個別のフォローなどを実施していくことになりますが、サーベイの実施からできるだけ期間を開けずに対応をすることで、従業員にとっては「会社はきちんと向き合ってくれている」という感覚になり、信頼関係を気づくことにも繋がります。
■④課題に対しての打ち手の立案、実施
パルスサーベイの結果を用いて、打ち手の立案、実施を行います。分析の結果出てきた良かった点は伸ばし、悪かった点は改善をするための施策を考え、実施していきましょう。
パルスサーベイの注意点
組織状態をリアルタイムで把握することができるパルスサーベイの注意点についてご紹介します。
■注意点①運用コストがかかる
パルスサーベイは簡易的な調査であるため、一回あたりの実施コストは小さく済みます。しかし、繰り返し実施することが前提であるため、高頻度で実施をした場合には、運用担当者の負担は大きくなってしまうこともあります。
高頻度で行うことだけが正解ではありませんので、パルスサーベイの目的に合わせて、運用コストを検討することが必要です。
■注意点②回を重ねるごとに、惰性で回答をする回答者が増える
パルスサーベイは回答者にとっても負担となるケースがあります。何度も似たような質問項目について答えるため、マンネリを感じて、惰性で回答をされてしまうことがあります。
パルスサーベイにきちんと回答してもらうためには、回答の負担を減らすことだけではなく、サーベイの目的や結果をきちんとフィードバックすることが重要です。
サーベイをとって企業がどのような対応をするのか、どのように自分たちの働き方や職場が変わるのかを伝え、回答をすると自分たちにもメリットが有るということを理解して貰う必要があります。
■注意点③実施自体が目的化する
パルスサーベイを実施していると、だんだんと実施をすること自体が目的化してしまうことがあります。これは、先述したマンネリ化にも繋がり、せっかく回答を集めても効果的な回答が得られない事も出てきてしまいます。
あくまでパルスサーベイは手段の一つです。作りたい組織の理想像に向けて、課題の発見や、組織状態の把握をして、対策を打っていくことが本来の目的です。目的にあった設問を設定し、分析、対策を実施していきましょう。
それでは、以上の注意点を踏まえたうえで、実際のパルスサーベイ活用事例をみていきましょう。
パルスサーベイを実施している会社事例
■ソフトバンクの事例
ソフトバンクでは2004年から毎年、従業員調査を実施し、組織状態を可視化していました。
しかし、ソフトバンク社長の宮内氏から、「従業員の “最新”かつ“一人一人”の状態を可視化できるようにしてほしい」という要望を受け、自社独自のパルスサーベイ開発に取り組みはじめました。
2018年から開発をはじめ、同社内でのトライアルを重ねて、ソフトバンクの全社員を対象にリリースをしました。
パルスサーベイの内容は、「Work(仕事)」「Life(生活)」「Health(健康)」のカテゴリーに分類される12の設問に、総合設問をプラスした「13の設問」によって構成されておいます。回答者は設問ごとに「7つの段階」から適切な答えを選択します。
毎月末、全社員に向けてメールでURLが送信され、PCやスマートフォンなど各自の端末からアクセスして回答します。所要時間はわずか1〜2分程度で月末の2営業日後には、結果を閲覧できる仕組みとなっています。
このサーベイの実施には、「上司と部下のコミュニケーションを活性化させる」という目的もあるそうです。従業員自身が同意すれば、人事だけではなく上司も部下の回答結果を閲覧することができるので、最新の状態を把握することができるのです。
■リンクアンドモチベーションの事例
リンクアンドモチベーションでは、自社サービスである「モチベーションクラウド」を組織の定点観測、エンゲージメント向上のために用いています。
モチベーションクラウドでは、組織と個人の信頼度合い、相思相愛度合いを測るため、組織行動論などの学術的背景に基づいて、132問のサーベイを実施することができます。
この132問のサーベイを基本的に半年に1回、年に2回のペースで実施し、サーベイの結果をもとに改善活動を各職場ごとに実施しています。
モチベーションクラウドには、パルスサーベイとして「フォーカスサーベイ」機能があります。半年に一回のサーベイと改善活動の中で、定期的にフォーカスサーベイを実施し、リアルタイムで組織状態を把握することができる機能です。
モチベーションクラウドでは、各項目に対して期待度と満足度を質問しているため、取り組んでいる改善活動が、従業員にとって求められているものなのか、効果が出ているかを把握することができるため、高速でPDCAを回すことができます。
記事まとめ
いかがでしたでしょうか。パルスサーベイは組織のエンゲージメントを向上させるために効果的なサーベイの種類です。
パルスサーベイには様々な種類やサービスがありますが、目的に応じてメリットとデメリットを検討し、最適な運用を行うことが重要です。
モチベーションクラウドの特徴や、組織診断・組織診断をより効果的に活用するにはどうしたら良いかについては、以下のお役立ち資料で詳しく解説しています。是非参考にしてみてください。