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パルスサーベイとは?実施する意味やメリット・具体的な事例まで徹底解説!

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目次[非表示]

  1. 1.パルスサーベイとは
  2. 2.パルスサーベイ導入のメリット5選
  3. 3.パルスサーベイの使用シーン
  4. 4.パルスサーベイの質問例
  5. 5.パルスサーベイの実施ステップ
  6. 6.パルスサーベイの注意点
  7. 7.パルスサーベイを実施している会社事例
  8. 8.記事まとめ
  9. 9.パルスサーベイに関するよくある質問

皆さんは「パルスサーベイ」という言葉をご存知でしょうか?定期的に会社から回答を求められる、従業員調査やアンケートのようなものの種類の一つに「パルスサーベイ」というものがあります。

パルスサーベイは、手軽に実施できるというメリットがあるため導入する企業が増えています。この記事では、パルスサーベイの概要、メリット・デメリットなどの基本的なところから、導入に向けた手順やポイントをご紹介していきます。

パルスサーベイを使って、組織状態をリアルタイムに掴んでいきましょう。

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パルスサーベイとは

パルスサーベイとは、社員の満足度や心の健康度を把握するための調査です。短期間に頻繁に行われることで、絶え間なく変化する社員や現場の状況を迅速にキャッチできます。これにより、社員の満足度向上や組織全体の成長に寄与することが期待されます。 

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■従業員の状況をこまめな確認が可能

パルスサーベイの特徴として、簡易的な調査を、短いスパンで繰り返し実施することができるので、従業員の状況をこまめに確認することができる点が挙げられます。

また、簡易的な調査であるために一回あたりのコストを抑えることもでき、設問数が少ないため、調査実施から集計、分析までを短期間に行うことができます。

サイクリックにパルスサーベイを実施することで、従業員と組織の状態をタイムリーに把握し、解決のためのヒントにすることができます。

従業員の感情は刻一刻と変わるものです。職場でのトラブルや家庭内での出来事で従業員のコンディションは変わりうるため、こまめな調査が有効なのです。

参考:FUTURE STRIDE「なぜ、ソフトバンクの人事本部はゼロからパルスサーベイを開発したのか?

■従業員のエンゲージメントの打ち手の効果をこまめに確認が可能

パルスサーベイは従業員と組織のエンゲージメントを高める上でも効果を発揮します。エンゲージメント向上のために改善活動を行っている際、パルスサーベイを定期的に実施することによって、取り組んでいる改善活動の効果を確認することができるからです。

エンゲージメント向上のための打ち手は、組織や従業員の特性や状態によって様々です。こまめに組織状態を把握し続けることで、短期間でPDCAを回し、効果的な取り組みを行うことができるでしょう。

▼サーベイに関する記事はこちら
サーベイとは?リサーチとの違いや種類、メリットを紹介!

パルスサーベイとセンサスの違い

センサスとは年に1~2回のペースでおこなうサーベイのことで、パルスサーベイに比べて実施頻度が少ないのが特徴です。また、センサスはパルスサーベイより設問数が多く、100問を超えるものも少なくありません。従業員の満足度やエンゲージメントを把握できるだけでなく、組織課題を抽出したり、部署や役職、年次や性別で傾向を抽出したりできるのがセンサスのメリットです。

一方で、センサスは設問数が多く、回答する従業員に負担がかかるため、回答率が低くなりがちです。調査結果を分析するのにも時間がかかるので、実施する事務局側の負担も大きくなります。また、一度に数多くの課題が抽出されるため、対策が追いつかなくなる企業もあるようです。

従業員が気軽に回答でき、課題が大きくなる前に発見したいという場合はパルスサーベイのほうが向いているでしょう。ただ、パルスサーベイとセンサスはそれぞれ良し悪しがあるため、両方を使い分けている企業もあります。

パルスサーベイとモラールサーベイとの違い

従業員の労働意欲を客観的に調査する方法として、モラールサーベイがあります。モラールサーベイは、従業員が「組織や職場のどのような点にどのくらい満足しているのか?」「どのような問題意識を持っているのか?」といったことを、産業心理学や統計学を応用して科学的に調査するサーベイで、「士気調査」や「従業員意識調査」とも呼ばれます。

パルスサーベイも従業員の満足度や問題意識を調査するものですが、その実施頻度に特徴があります。パルスサーベイは短期間で繰り返しサーベイを実施する手法のことで、PDCAサイクルを素早く回すことを主眼に置いています。設問数は10問程度と少なく、所要時間2~3分で回答できるものがほとんどです。

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パルスサーベイ導入のメリット5選

メリット①従業員の状況がタイムリーに把握できる

パルスサーベイはセンサスサーベイと比較して、短スパンで調査を実施するのが特徴であるため、従業員の状況をタイムリーに把握できることが一番のメリットです。

半年から1年間の期間が空けば、定量的に従業員の状態を可視化することはできませんが、パルスサーベイを活用することで、問題が発生した場合にはタイムリーに解決に向け動くことができます。

一方で目的なくパルスサーベイを取り続けた場合、いくら簡易的な調査とは言えども「サーベイ疲れ」が起きる可能性がありますので、頻度や時期は慎重に決定することが重要です。

メリット②サーベイ担当者・回答者双方の負担が少ない

パルスサーベイは設問項目が絞られており、センサスサーベイと比較して事前の設計や実施後の分析にそれほど工数がかからないため、担当者の工数がそれほどかからないこともメリットの1つです。

また回答者としても、設問が少ないため回答に割く時間はそれほど要しません。

サーベイを運用する担当者・回答者ともに負担が少ないことはメリットと言えるでしょう。

メリット③施策の効果検証に有効

メリット①に重なる部分もありますが、社内で行っている施策の効果検証としてもパルスサーベイは有効です。施策を行っている中で、短スパンで効果の定点観測を行うことで柔軟に軌道修正を行うことができます。パルスサーベイについては「変化」が起きる前後で活用することを推奨しており、組織改編や人事制度の変更など、変化がある前後に実施することがポイントです。

またパルスサーベイについてはツールを活用した場合、設問項目がランダムで選択されるものと、設問項目を指定できるタイプの2パターンが存在しますが、設問を指定して行うとより高い効果が期待できます。

特定の項目についてアンケートを行うということは、その項目が重要であるという会社からのメッセージとも言い換えることができます。回答する従業員にとっても定期的に同じ項目のアンケートに回答することで、その項目が重要であるという認識を持つことができます。


参考:組織フェーズに応じたパルスサーベイ運用

参考として組織フェーズに応じたパルスサーベイの運用についてご紹介します。前提として、リンクアンドモチベーションでは企業組織を下記の通り、3つのステージに分類しています。

  • 拡大モード:ニーズの急増に対応するため一気に事業規模を拡大するモード
  • 多角モード:新市場の進出や新商品の提供を行い派生事業で多角化するモード
  • 再生モード:市場の成熟を受けて旧事業のリフォームを行う再生モード

この中でも拡大モードは事業・組織ともに拡大していくフェーズですので、人員の急拡大や組織編成の頻繁な変更など「変化」に数多く直面します。こうしたケースでは、人員の定着度合いや組織状態の把握のために、頻度を高めにパルスサーベイを取ることが有効です。

特に意図なくサーベイを行うことは回答者側の疲弊を招きますので、検証したい仮説を持った上でパルスサーベイは実施することがポイントです。

メリット④エンゲージメントが向上する

パルスサーベイをおこなうことで、従業員のエンゲージメント向上が期待できます。もちろん、パルスサーベイを実施するだけでは意味がありませんが、その結果を受けて会社側が課題改善に乗り出せば、「自分たちの意見を反映しようとしてくれている」というように従業員の信頼を獲得することができます。従業員の声にしっかりと耳を傾け、課題や不満に対して適切な対応をすることでエンゲージメントが向上し、会社に対して愛着を持ってもらえるようになるはずです。実際に課題が改善されれば仕事に対するモチベーションが上がり、生産性も向上するという好循環を生み出すことができるでしょう。

メリット⑤内省の習慣が身に付く

従業員が成長するためには、日々「内省」できるかどうかが重要だと言われます。その意味で、パルスサーベイは従業員に内省を促すきっかけになるものだと言えるでしょう。パルスサーベイは比較的短期間で繰り返すサーベイなので、それだけ内省の機会も多くなります。また、サーベイに回答するときだけでなく、上司からフィードバックを受けるときも内省の機会になるので、うまく運用することで従業員の内省を習慣化することができ、成長スピードを早めることができるでしょう。

パルスサーベイの使用シーン

短期反復型のパルスサーベイはどんな場面で活用することができるのでしょうか。ここではその例を3つご紹介します。

■使用シーン①入社後間もない人のオンボーディング

パルスサーベイは、新入社員や新しく組織にジョインしたメンバーの状態を把握する際に役立ちます。入社間もない社員は、新しい環境に慣れることができず、ストレスを感じやすい状態です。

きちんと職場の仲間と関係構築ができているか、組織に対しての理解を進められているかをこまめに把握することで、新入社員への教育もしやすくなります。特に注意したいのは、新入社員に対してのコミュニケーションが業務の内容ばかりに偏らないことです。

新しい業務を覚えること、教えることに集中してしまいがちな新入社員の受け入れですが、パルスサーベイを使って、普段なかなか直接聞くことのできないメンタル面や組織への理解について把握することが重要です。

■使用シーン②従業員の簡易メンタル・ヘルスチェック

パルスサーベイを従業員へのメンタルヘルスチェックに活用することも多くあるケースでしょう。短期間にパルスサーベイを繰り返すことで、継続的に従業員のストレスと定点観測することで、不調を早期発見し、早い段階で対処することができます。

メンタルヘルスは、仕事からの影響だけでなく、プライベートからの影響も受ける、複雑なものです。組織としてのストレス指数をチェックしておきましょう。

■使用シーン③人事施策の効果検証

パルスサーベイは、人事施策の効果検証にも活用できます。新たな人事制度の導入や、従業員研修の実施後での効果検証は、数値的な効果が見えにくい人事施策にとって重要なポイントです。

施策を実施する前後にパルスサーベイを行うことで、施策の前後でどんな変化があったのかを把握し、効果を確かめることができます。

■使用シーン④人事異動にともなうフォロー

人事異動があると従業員の心が揺れ動きがちになります。人事異動によってモチベーションが高まるケースもありますが、逆に人事異動によって不満やストレスを抱える従業員もいます。人事異動による環境変化に適応できているかどうかを把握するためには、パルスサーベイをおこなうのが効果的です。人事異動をした従業員の状態を把握できれば、早く適応するためのフォローをしやすくなります。うまくフォローしていくことで従業員のモチベーションが回復し、期待するパフォーマンスを発揮してもらえるようになるでしょう。

■使用シーン⑤新しい制度・施策導入時の意見調査

新しい制度や施策を導入しようとするときは、緊急性がある場合を除き、トップダウンで一方的に決めてしまうと従業員の反発を招くことがあります。現場のリアルな意見を取り入れるためには、パルスサーベイをおこなうのがおすすめです。パルスサーベイによって従業員が期待していることを把握できれば、従業員のニーズにマッチした制度・施策を検討することができます。現場の声を反映した制度・施策を導入することができれば、モチベーションやエンゲージメントの向上につながるなど、組織に好循環がもたらされるでしょう。

パルスサーベイの質問例

パルスサーベイの項目、質問例についてご紹介します。

■一般的なパルスサーベイの質問例

<従業員満足度に関する項目>

・業務を通じて何かを学び、自己成長ができていると感じられていますか?
・社内で自分の意見が軽んじられず、尊重されていると感じられていますか?
・社内に仲の良い人、信頼できる人はいますか?

<経営理念の浸透度に関する項目>

・会社/部署のビジョンを理解できていますか?
・経営陣による意思決定は、経営理念や事業方針に即して適切になされていると実感していますか?

<業務に関する項目>

・ワークライフバランスは保てていますか?
・業務を進める上で、自分が期待されていることを理解できていますか?

上記は、一般的なパルスサーベイの質問例です。

質問数は、回答者の負担を鑑みつつ、正確な回答を得るためにも、多くても10~15問程度で設定するのがよいでしょう。また、パルスサーベイの実施頻度も、高すぎると運用担当者へも、回答者へも負担があるため、バランスを見ながら設定しましょう。

パルスサーベイのの目的をしっかりと周知すること、効果的な運用をするために、ブラッシュアップができる部分が素早く対処していくことも重要です。「やらされ感」ではなく、「組織目的のためにみんなで実施する」パルスサーベイを目指しましょう。

■具体例①:eNPS(SM)(ベイン・アンド・カンパニー)

eNPS(SM)とはは、アメリカのコンサルティングファームであるベイン・アンド・カンパニーが顧客ロイヤルティの測定のために開発したNPS(SM)(ネット・プロモーター・スコア)を社内調査向けに改変した指標のことです。従業員ロイヤルティ(自社に対する愛着・信頼度)を測定できるとされています。

eNPS(SM)を算出するには、「On a scale of zero to ten, how likely is it you would recommend this company as a place to work?」と質問し、0~10点の間で、自社に対する意見を回答してもらうというケースが多くあります。

参考:https://www.netpromotersystem.com/about/employee-nps

■具体例②:Q12(ギャラップ社)

Q12というのは、アメリカの調査会社であるギャラップ社が開発したエンゲージメントに関する12の項目です。以下の12のを計測することで、エンゲージメントを診断できるとされています。

12の項目は、「Basic Needs」「Individual」「Teamwork」「Growth」の4テーマに分けることができます。

<Basic Needs>
Q01.I know what is expected of me at work.
Q02.I have the materials and equipment I need to do my work right.

<Individual>
Q03.At work, I have the opportunity to do what I do best every day.
Q04.In the last seven days, I have received recognition or praise for doing good work.
Q05.My supervisor, or someone at work, seems to care about me as a person.
Q06.There is someone at work who encourages my development.

<Teamwork>
Q07.At work, my opinions seem to count.
Q08.The mission or purpose of my company makes me feel my job is important.
Q09.My associates or fellow employees are committed to doing quality work.
Q10.I have a best friend at work.

<Growth>
Q11.In the last six months, someone at work has talked to me about my progress.
Q12.This last year, I have had opportunities at work to learn and grow.

参考:https://www.gallup.com/workplace/266822/engaged-employees-differently.aspx

パルスサーベイの実施ステップ

ここでは、実際にパルスサーベイを実施する際のステップの一例をご紹介します。

■①質問項目の設定

ステップ1では、パルスサーベイを実施する目的に合わせて、質問項目を設定します。例えば、幸福度、経営者に対する感情、仕事量、職場環境、ストレスなど、様々な観点から、仕事や職場に関する従業員の意識を把握するための設問を設定します。

■②調査の実施

ステップ2では、実際に調査を実施します。まずは実施日の数日前に、サーベイの実施を告知しましょう。日々の業務で忙しい回答者ですから、回答期間、回答方法、所要時間など、回答者が回答するときに迷わないよう、丁寧に周知をすることが大切です。

また、回答率を上げるためにも、リマインドメールを業務開始や昼休みの時間に合わせて配信したり、大きな会議の中で回答をする時間をとるなど、工夫をすることもポイントです。

■③調査結果の集計・分析

サーベイ実施後は、回答の集計作業と分析を行います。ここでのポイントは、結果を出すまでをスピーディーに行うことです。

サーベイの結果を用いて、組織改善の取り組みや、個別のフォローなどを実施していくことになりますが、サーベイの実施からできるだけ期間を開けずに対応をすることで、従業員にとっては「会社はきちんと向き合ってくれている」という感覚になり、信頼関係を気づくことにも繋がります。

■④課題に対しての打ち手の立案、実施

パルスサーベイの結果を用いて、打ち手の立案、実施を行います。分析の結果出てきた良かった点は伸ばし、悪かった点は改善をするための施策を考え、実施していきましょう。

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パルスサーベイの注意点

組織状態をリアルタイムで把握することができるパルスサーベイの注意点についてご紹介します。

■注意点①運用コストがかかる

パルスサーベイは簡易的な調査であるため、一回あたりの実施コストは小さく済みます。しかし、繰り返し実施することが前提であるため、高頻度で実施をした場合には、運用担当者の負担は大きくなってしまうこともあります。

高頻度で行うことだけが正解ではありませんので、パルスサーベイの目的に合わせて、運用コストを検討することが必要です。

■注意点②回を重ねるごとに、惰性で回答をする回答者が増える

パルスサーベイは回答者にとっても負担となるケースがあります。何度も似たような質問項目について答えるため、マンネリを感じて、惰性で回答をされてしまうことがあります。

パルスサーベイにきちんと回答してもらうためには、回答の負担を減らすことだけではなく、サーベイの目的や結果をきちんとフィードバックすることが重要です。

パルスサーベイの実施目的や活用方法が不明瞭だと従業員の不信感を招き、誠実な回答を得られにくくなってしまいます。不誠実で雑な回答が増えてしまうと、データの信憑性が損なわれ、分析する意味もなくなってしまいます。

サーベイをとって企業がどのような対応をするのか、どのように自分たちの働き方や職場が変わるのかを伝え、回答をすると自分たちにもメリットが有るということを理解して貰う必要があります。

■注意点③実施自体が目的化する

パルスサーベイを実施していると、だんだんと実施をすること自体が目的化してしまうことがあります。これは、先述したマンネリ化にも繋がり、せっかく回答を集めても効果的な回答が得られない事も出てきてしまいます。

あくまでパルスサーベイは手段の一つです。作りたい組織の理想像に向けて、課題の発見や、組織状態の把握をして、対策を打っていくことが本来の目的です。目的にあった設問を設定し、分析、対策を実施していきましょう。

■注意点④目的やゴールを明確化する

パルスサーベイを効果的なものにするためには、目的・ゴールを明確にすることが重要です。目的があいまいなまま導入すると、「パルスサーベイを実施すること」が目的になってしまい、労力やコストが無駄になってしまいます。「経営層に勧められたから」「競合もサーベイを導入しているから」といった曖昧な理由ではなく、1年後、3年後、5年後の組織の姿を思い描き、明確な目的を設定したうえで導入するようにしてください。

■注意点⑤目的を従業員に共有する

パルスサーベイの導入時は明確な目的を設定することが重要ですが、事務局側で目的を設定するだけではいけません。従業員にも導入の意図や目的を共有するようにしましょう。従業員が目的を理解していれば、協力を得られやすくなるだけでなく、回答するにあたっての責任感や誠実さが変わってくるため、より精度の高いデータを得られるでしょう。

■注意点⑥共有方法・範囲を事前に知らせる

パルスサーベイに初めて取り組むとき、従業員は「本当に本音で回答して良いのだろうか?」「人事評価に影響があるのではないか?」「誰がこのデータを見るのだろう?」など、様々な不安を感じるものです。このような不安から、従業員が忖度をした回答をしたら、パルスサーベイを導入した意味がなくなってしまいます。そのため、パルスサーベイを実施するにあたっては、個人が特定されないことや人事評価に影響がないことを説明したうえで、結果の共有方法や共有範囲を伝えておくことが大切です。

それでは、以上の注意点を踏まえたうえで、実際のパルスサーベイ活用事例をみていきましょう。

パルスサーベイを実施している会社事例

■ソフトバンクの事例

ソフトバンクでは2004年から毎年、従業員調査を実施し、組織状態を可視化していました。

しかし、ソフトバンク社長の宮内氏から、「従業員の “最新”かつ“一人一人”の状態を可視化できるようにしてほしい」という要望を受け、自社独自のパルスサーベイ開発に取り組みはじめました。

2018年から開発をはじめ、同社内でのトライアルを重ねて、ソフトバンクの全社員を対象にリリースをしました。

パルスサーベイの内容は、「Work(仕事)」「Life(生活)」「Health(健康)」のカテゴリーに分類される12の設問に、総合設問をプラスした「13の設問」によって構成されておいます。回答者は設問ごとに「7つの段階」から適切な答えを選択します。

毎月末、全社員に向けてメールでURLが送信され、PCやスマートフォンなど各自の端末からアクセスして回答します。所要時間はわずか1〜2分程度で月末の2営業日後には、結果を閲覧できる仕組みとなっています。

このサーベイの実施には、「上司と部下のコミュニケーションを活性化させる」という目的もあるそうです。従業員自身が同意すれば、人事だけではなく上司も部下の回答結果を閲覧することができるので、最新の状態を把握することができるのです。

■リンクアンドモチベーションの事例

リンクアンドモチベーションでは、自社サービスである「モチベーションクラウド」を組織の定点観測、エンゲージメント向上のために用いています。

モチベーションクラウドでは、組織と個人の信頼度合い、相思相愛度合いを測るため、組織行動論などの学術的背景に基づいて、132問のサーベイを実施することができます。

この132問のサーベイを基本的に半年に1回、年に2回のペースで実施し、サーベイの結果をもとに改善活動を各職場ごとに実施しています。

モチベーションクラウドには、パルスサーベイとして「フォーカスサーベイ」機能があります。半年に一回のサーベイと改善活動の中で、定期的にフォーカスサーベイを実施し、リアルタイムで組織状態を把握することができる機能です。

モチベーションクラウドでは、各項目に対して期待度と満足度を質問しているため、取り組んでいる改善活動が、従業員にとって求められているものなのか、効果が出ているかを把握することができるため、高速でPDCAを回すことができます。

参考:フォーカスサーベイの特徴について

フォーカスサーベイはアンケート実施時に特定の設問項目を選択することが可能であり、この機能で特許を取得していることが、他組織診断サービスと違った特徴となっています。

本記事の中でもアンケート項目をランダムに選択するのではなく、特定の項目に絞って運用することが重要とお話しましたが、フォーカスサーベイではそれが可能です。

項目を明確に絞り改善を進めていくことがパルスサーベイ運用のポイントと言えるでしょう。

記事まとめ

パルスサーベイは、従業員の満足度や心の健康度を短期間に頻繁に測る調査方法です。これにより、従業員の状況やエンゲージメント施策の効果をタイムリーに把握し、組織全体の成長に貢献します。パルスサーベイと似た調査方法との違い、導入のメリット、使用シーン、質問例、実施ステップなどをしっかりと把握しておきましょう。パルスサーベイは、新しい制度や人事異動時のフォローなど様々なシーンで活用され、従業員のエンゲージメント向上や内省の習慣の促進に効果的です。

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パルスサーベイに関するよくある質問

Q:パルスサーベイの設問例は?

パルスサーベイの設問は、会社の理念やビジネスに関するもの、仕事のやりがいに関するもの、日々の仕事内容に関するものなどが一般的です。会社の理念やビジョンに関するものであれば、「友人や知人、家族にこの会社を勧めたいか」「理念・ビジョンに共感・魅力を覚えているか」といった設問が考えられるでしょう。仕事へのやりがいに関するものであれば「仕事をしていて自分の成長を実感できているか」「最近、仕事を通して嬉しいことはあったか」などの設問が、日々の仕事内容に関するものであれば、「仕事量は適切で偏りがないか」「自分の意見・アイデアが受け入れられていると感じるか」といった設問が考えられます。

Q:パルスサーベイを導入する目的で多いものは?

「日本の人事部」が、パルスサーベイを「おこなっている」「今後おこなう予定である」と回答した企業に対して実施した調査によると、パルスサーベイをおこなう理由としてもっとも多かったのが「従業員エンゲージメントの調査(78.9%)」でした。次いで、「従業員満足度の調査」(54.7%)、「組織風土改革のための調査」(41.1%)、「メンタルヘルスチェック」「社内コミュニケーションの活性化」「離職防止」(いずれも34.7%)、「経営理念の浸透度の測定」「簡易的なストレスチェック」(いずれも33.7%)、「人事関連施策の効果検証」(27.4%)、「研修受講者の効果検証」(13.7%)、「新入社員のサポート」(12.6%)、「異動者のサポート」(6.3%)という結果になっています。

※参考:パルスサーベイを「行っている」企業は約2割。調査の目的は「従業員エンゲージメントの調査」が約8割 | 『日本の人事部』

https://jinjibu.jp/article/detl/hakusho/2670/

執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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