社是とは?経営理念や社訓との違いや事例について解説!
目次[非表示]
- 1.社是とは?
- 2.社是と似ている用語との違い
- 3.社是の事例を紹介
- 4.社是を作成する際のポイント
- 5.社是を浸透させるための取り組み
- 6.組織改善のことならモチベーションクラウド
- 7.まとめ
- 8.社是に関するよくある質問
社是とは、企業経営をしていくうえでの基本方針のこと。「是」=「正しい」という意味から、会社が「正しい」と考える在り方を言葉にしたものだと言えます。
社是に似た言葉として「経営理念」や「社訓」「ミッションステートメント」などがありますが、明確に違いを理解できていない方も多いのではないでしょうか。
今回は、社是と他の用語との違いや、社是の事例、また社是の作り方などについて解説していきます。
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社是とは?
社是とは、企業経営をしていくうえでの基本方針をあらわすものです。「是」という言葉には、「正しい」や「道理にかなっている」という意味があります。つまり、社是はその会社が「正しい」と考える在り方を言葉にしたものだと言えます。
社是は従業員の精神的な拠りどころになるものですが、社内だけでなく、顧客や株主など社外に向けてのメッセージにもなるものです。
社是と似ている用語との違い
社是に似た言葉として「経営理念」や「社訓」「ミッションステートメント」「クレド」「ビジョン」などがありますが、明確に違いを理解できている方は少ないかもしれません。それぞれの言葉の意味やニュアンスの違いを把握しておきましょう。
■経営理念との違い
経営理念は、企業経営における基本的な価値観や信念、使命や存在意義などを示すものです。「何のために会社を経営しているのか?」という創業者や経営者の考え方を表現するもので、一般的には以下のような要素が含まれます。
- 企業経営や事業活動における基本的な「考え方」や「姿勢」
- 従業員にとっての「働きがい」や「判断基準」
- 顧客にとっての「企業からの約束事」や「提供価値」
社是と経営理念は近しいものであり、同じものとして捉えている会社もありますが、経営理念の上位概念として社是であり、社是を具現化するための考え方として経営理念を策定している会社もあります。このように両者の線引きは曖昧で、各企業の捉え方によるのが現状です。
▼経営理念については以下の記事も参考にしてください。
理念とは?意味や浸透させることの効果、経営理念と企業理念、ビジョンやミッションの違いなどを解説!
理念経営とは?経営理念の意味や目的、メリットから作り方、企業事例まで
■社訓との違い
社訓とは、すべての従業員が守るべき理念や心構えを示すものです。社是との大きな違いは、その対象です。社訓は会社に所属する従業員の対してのみ示されるものですが、社是は従業員だけでなく顧客や取引先、株主など外部に向けてのメッセージにもなり得るものです。
■ミッションステートメントとの違い
ミッションステートメントは、日本語で「行動指針」を意味します。抽象的な表現で策定された社是や経営理念を実行に移すための行動を示すものであり、従業員が行動に迷ったときの「羅針盤」のような役割を果たします。
■スローガンとの違い
スローガン(英語:Slogan)とは、企業や団体の理念や運動の目的を簡潔に言い表した語句・標語のことです。一方、社是は、企業経営をしていくうえでの基本方針のことを言います。社是もスローガンも会社の理念を示すために掲げられますが、スローガンはブランドやキャンペーンのコンセプトを表すキャッチコピーとしても使われるなど、より幅広いシーンで使われる言葉だと言えます。
■クレドとの違い
クレドとは、ラテン語で「信条」「約束」という意味があり、従業員が心がけるべき行動を示すものです。ミッションステートメント(行動指針)と同様の意味を持っていますが、クレドのほうが最近になって使われるようになった新しい言葉です。クレドを記載した「クレドカード」を作成し、従業員に携帯させる会社も少なくありません。
■ビジョンとの違い
ビジョンとは、社是や企業理念を基盤にして策定する「目標」や「将来の在りたい姿」のことです。事業を通して将来的に成し遂げたいことや成し遂げたい状態を示すもので、一般的には時間軸を入れて策定し、時代に合わせて変えていきます。
社是の事例を紹介
社是は企業によって様々で、長文や四字熟語、箇条書きや英語など多様なパターンがあります。以下では、様々なパターンの社是の事例をピックアップしています。
■京セラの社是
敬天愛人
常に公明正大 謙虚な心で 仕事にあたり
天を敬い 人を愛し 仕事を愛し
会社を愛し 国を愛する心
参考
■HONDAの社是
わたしたちは、地球的視野に立ち、世界中の顧客の満足のために、
質の高い商品を適正な価格で供給することに全力を尽くす。
参考
■セブン&アイ・ホールディングスの社是
私たちは、お客様に信頼される、誠実な企業でありたい。
私たちは、取引先、株主、地域社会に信頼される、誠実な企業でありたい。
私たちは、社員に信頼される、誠実な企業でありたい。
参考
■東武鉄道の社是
奉仕 進取 和親
参考
■ぼんちの社是
創る
参考
社是を作成する際のポイント
上述のように社是は様々なパターンがありますが、従業員にとって覚えやすく、顧客や取引先から見ても印象に残るものが理想的です。社是を作成する際に大事だと言われるポイントをご紹介します。
■社是は分かりやすさ重視で
どれだけ崇高な社是でも、従業員や顧客など理解してもらいたい対象に伝わりにくいものでは意味がありません。社是を作成する際は、誰が見ても理解できるような分かりやすさを意識しましょう。
■社是はできるだけ短文で
長文の社是を採用している会社もありますが、あまりに長い社是は従業員が本質を理解できず、ブレが生じたり、組織に浸透しにくくなったりするおそれがあります。社是はできるだけ短い語句・フレーズでまとめるのが理想的です。
■社是は外部への発信も意識して
社是はどちらかと言えば、自社の従業員に向けて作成するものですが、顧客や取引先、株主など対外的にも意味を持つものです。
外部にも会社の存在意義や使命を明示することで、ブランディング効果の向上も期待できます。社是を作成する際は、社外のステークホルダーに与える印象も意識するようにしましょう。
なお、社是は一度決めたら変更できないものだと考えられがちですが、必ずしもそうではありません。
たとえば、3代前の創業者が掲げた社是は、時代の流れや会社の現状との間にギャップが生まれ、形骸化しているかもしれません。実際に、周年記念や組織改革に取り組むタイミングで社是を見直す企業もあります。
社是を浸透させるための取り組み
どれだけ立派な社是を掲げても、従業員に浸透しなければ意味がありません。社是を従業員に浸透させるための取り組みをいくつかご紹介します。
社是を浸透させるには、3つのポイントが重要です。
■必要性
理屈でのアプローチに陥ることで、理論的な説明が主体であり、頭では理解しているが納得しにくくなる。また、事務局が一方的に伝達することで、参加者は受動態に陥る。
■具体性
抽象度が高く、概念的な意味合いが多くなるため、日常業務との接続が促されない。また、具体的な行動レベルでミッション・スタイルを体現している状態がイメージできない。
■継続性
「その場では良かった」と暫定的になり、1回きりで終わってしまう。また、施策の効果検証をせず、盲目的な状態で施策を進めてしまう。
上記3つのポイントについて、具体的なアクションの例を紹介します。
■【必要性の訴求】冊子・カードなどを配布する
オフィスの壁やホームページに社是を掲げるだけで、従業員に浸透させるのは難しいかもしれません。社是を浸透させるためには、従業員がいつでも意識できるよう、手元に置いておける冊子やカードを配布するのがおすすめです。
社是は抽象的な言葉で表現されることも多いため、その真意を分かりやすく解説したパンフレットを作成するのも良いでしょう。
■【具体性の訴求】社員総会などのイベントで発表する
社員総会など、社内イベントの開催も社是の浸透に役立ちます。特に、新しく社是を掲げたタイミングでそれをお披露目するイベントは効果的です。従業員が社是を好意的に理解してくれると同時に、会社が変わることに対する期待感を持ってもらえるでしょう。
また、理念の意味・解釈や実践行動を理解するための理念研修の実施、具体的な行動イメージの湧く理念ブック・ムービーの導入、周囲の理念実践の認識をすり合わせるメッセージ交換会をすることが有効です。
■【継続性の訴求】既存の制度を見直す
たとえば、「従業員が伸び伸びと働ける会社」という社是を掲げているにもかかわらず、評価制度では厳しい成果主義が採用されていたら従業員はどう感じるでしょうか?
従業員に「言っていることとやっていることが違う」と思われてしまうと、社是の浸透は難しくなります。既存の制度が社是とマッチしないものになっているのなら、制度の見直しを図らなければいけません。
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まとめ
社是を浸透させることで、従業員が迷いなく仕事に取り組めるようになり、組織としての一体感が向上します。対外的にもブランディング効果の向上が期待できます。
安定した経営をしている企業には骨太な社是があり、それが従業員に浸透しているものです。他社の事例も参考にしながら、ぜひ自社に合った社是を策定してください。
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社是に関するよくある質問
「社是」の読み方と意味は?
社是(しゃぜ)と読みます。社是の「是」には道理にかなっていること、正しいことという意味があります。つまり社是とは、企業が正しいと定める経営上の方針のことです
社是の具体例は?
日本企業の社是で有名なものとしては、以下のような例が挙げられます。
・京セラ株式会社 「敬天愛人」
・丸紅株式会社 「正・新・和」
・キユーピー株式会社 「楽業偕悦」
・株式会社 日本経済新聞社 「中正公平、わが国民生活の基礎たる経済の平和的民主的発展を期す」
※参考:
https://www.kyocera.co.jp/company/summary/philosophy.html
https://www.marubeni.com/jp/company/policy/
https://www.kewpie.com/company/policy/philosophy/
https://www.nikkei.co.jp/nikkeiinfo/about/brandidentity/
社是とクレドの違いは?
社是は企業の基本的な理念・ビジョンを表すものであり、企業の社会的な存在意義や方向性を示します。その企業の経営の指針となるもので、顧客や株主、従業員などあらゆるステークホルダーに向けて伝えられるものです。一方、クレドは企業が守るべき価値観や行動原則を示すものです。従業員が業務を遂行する際に基準・指針とすべきものであり、より具体的で詳細な内容を含んでいます。このような特徴から、クレドは主に従業員に向けて伝えられます。