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選ばれる組織へ~自治体の共通課題と解決策~ 自治体が「選ばれる」組織になるためには?

本連載の第1回でも紹介したように、かつて地方公務員は「安定」と「安心」の象徴であり、競争倍率が10倍を超えることもあるほど人気の職業であった。しかし、価値観の多様化と労働市場の変化により、自治体職場の魅力は相対的に低下しつつある。現在では、入庁希望者の減少に加え、若手職員の離職や休職といった課題が顕在化し、民間企業との人材獲得競争において後れを取っているのが実情である。こうした現状を踏まえ、自治体で働いた経験のない私が『選ばれない組織の自治体』という刺激的なタイトルで始めた本連載も、いよいよ本日が最終回となった。

■「職員の働きがい」だけでなく

本連載では自治体が「選ばれる職場」へと進化するために必要な視点を、採用や育成のあり方、職員同士の関係性づくり、現場マネジメント、部署を越えた協働の促進など、多角的な観点から考察してきた。これまでの記事では、自治体が抱える根深い課題に率直に切り込んできたため、不快に感じられた方もおられたかもしれない。この場を借りてお詫び申し上げたい。

私が自治体の支援に携わる理由は、ただ一つ。生まれ育った東京、そして日本を、世界中のどこよりも「生きがい」と「働きがい」に満ちた地域にしたいという想いである。正直に言えば、最初からそんな大義を抱いていたわけではなかった。転機となったのは、あるご支援先の首長からいただいた一言である。

「このプロジェクトは、職員の働きがいを高めるためだけのものではありません。この地域に暮らす市民の皆さんに、この街に住んでいてよかったと思っていただくための取り組みなんです。」

行政機関は、市民や国民の代表としてまちづくり・国づくりを担う意思決定機関である。その中で働く職員や組織が強くなければ、地域や国の活性化は望めない。

そう考えると、自治体を『選ばれない組織』のままにしておくわけにはいかない。これまで民間企業支援で培ってきた知見を、これからは自治体組織にも還元していくべきだ。そのような勝手な使命感が、今の私の原動力になっている。

本連載が、志を同じくする方々の知恵と勇気の一助となれば、これ以上の喜びはない。

※本稿は、『都政新報』2025年8月22日付「選ばれる組織へ 実践編 〜自治体の『人材確保・育成』改革〜」に寄稿した記事を再編集したものです。

※発行元の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。

執筆者:依光宏太
執筆者:依光宏太
【プロフィール】 2013年、新卒で株式会社リンクアンドモチベーションに入社。 中小・ベンチャー企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。 全社アワード受賞後、プロジェクトマネジャーとして顧客の上場支援や組織変革を担当。 2021年からは地方展開を担う部門を立ち上げ、現在は官公庁のエンゲージメント向上にも取り組む。
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