
人事業務のAIの活用事例15選!メリット・デメリットから導入ステップまで徹底解説
人材獲得競争の激化や人事部門のリソース不足を背景に、人事業務におけるAI活用が進んでいます。応募書類の選考や従業員の勤怠管理などの定型業務をAIで効率化するのはもちろん、公正な評価や離職リスクの予兆検知、最適な配置、育成プランの立案など、AIが活用されるシーンは拡大しています。本記事では、人事領域におけるAI活用の現状からメリット・デメリット、具体的な活用事例、AI活用を成功させるポイントなどについて解説します。
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人事業務におけるAI導入の現状は?
近年、人事領域においてもAIの導入が加速しており、採用・配置・評価・労務管理・人材育成など幅広い業務でAIが活用されるようになっています。
AI技術の進化により、応募書類の選考や面接日程の調整、従業員の勤怠管理などの定型業務が自動化され、人事担当者の負担軽減や業務効率化を実現しています。また、AIを使って人事データを分析することで、たとえば候補者のマッチ度予測や離職リスクの早期検知など、意思決定の精度向上にもつながっています。
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従来型AIと生成AIの違いについて
人事業務で活用されるAIは、大きく「従来型AI」と「生成AI」の2つに分類できます。従来型AIは、蓄積された人事データをもとに予測、分類、スコアリングなどをおこなう技術です。応募書類のスクリーニング、離職リスクの予測、勤怠データの異常検知などに活用されており、業務効率化や客観的な意思決定の支援に強みがあります。
一方、生成AIは、テキストや画像などのコンテンツを自動生成する技術です。求人票やスカウトメールのドラフト作成、採用サイトの文章作成、面接質問集の作成、人事制度や社内規程の草案作成などに活用されており、業務効率化に加え、アウトプットの品質向上やコミュニケーション支援に強みがあります。
人事業務へのAI導入によるメリット
人事業務にAIを導入することで、採用・評価・配置・育成などのプロセスを効率化しつつ、公正性や精度も向上させることができます。こちらでは、人事業務にAIを導入する主なメリットを整理しています。
業務効率化・生産性向上につながる
人事業務にAIを導入する大きなメリットは、定型業務の自動化による生産性の向上です。AIを活用することで、これまで人事担当者が手作業でおこなっていた応募書類の選考、面接日程の調整、勤怠データの集計などの業務を自動化できます。
これらの人事業務を人が担う場合、情報の確認・精査や関係者とのメール対応に多くの時間・労力を要しますが、AIを活用すれば短時間で大量のデータを正確に処理でき、人的ミスの削減にもつながります。
その結果、人事担当者は日々のオペレーションに追われることなく、採用戦略のブラッシュアップ、従業員エンゲージメント施策の立案、タレントマネジメントなど、より付加価値の高い業務にリソースを集中させることができます。
公平性・客観性を担保した人事評価ができる
AIを人事評価に活用することで、評価の公平性と客観性を高めることができます。人が評価をおこなう場合、評価者の経験や価値観、相性といった無意識のバイアスが入り込みやすく、どうしても評価結果にバラつきが生じてしまいます。
AIを活用すれば、目標達成度や業績データ、行動ログ、360度フィードバックなどの定量・定性データを横断的に分析し、あらかじめ定義された基準に基づいて一貫した評価をすることが可能になります。
感覚や印象ではなく、事実に基づいた人事評価をしやすくなるのは、AIを活用する大きなメリットだと言えるでしょう。もちろん、最終的な評価は人が担うべきですが、AIを補助的なツールとして活用することで、より公平で透明性の高い人事評価を実現できます。
従業員の定着率向上につながる
人事業務にAIを活用することは、従業員の定着率向上にもつながります。従来は、人事や上司が日ごろの様子を観察したり面談で話を聞いたりして、従業員の不満や離職の兆しを把握してきましたが、「気づいたときには手遅れ」というケースも少なくありませんでした。
AIを活用すれば、エンゲージメントサーベイの結果、勤怠データ、業務負荷の変化などを横断的に分析し、離職リスクの高い従業員を早期に可視化できます。
これにより、フォロー面談の実施、配置転換や業務量の調整、キャリア支援など、一人ひとりの状況に応じたタイムリーなケアが可能になります。「辞めたい」と言われてから対応するのではなく、離職意向が顕在化する前に先回りして手を打てるのは、AIを活用する大きなメリットだと言えるでしょう。
人材配置や育成プランを最適化できる
人材配置や育成プランを最適化できる点も、人事業務にAIを活用するメリットの一つです。人が判断をする場合、上司の印象や人間関係といった主観的な要素に左右されやすく、「なんとなく合いそう」といった感覚的な配属や、年次別・職種別に一律で設計された育成プランに陥りがちです。
AIを活用すれば、従業員のスキル・経験、人事評価や適性検査の結果、キャリア志向など、多様なデータを横断的に分析し、より合理的で再現性の高い人材配置や育成プランを導き出すことができます。明確な根拠をもって「この人は営業職よりも企画職に適性がある」「この層にはマネジメント研修より専門スキルの強化が有効」といった示唆を得られるのは大きなメリットだと言えるでしょう。
人事業務へのAI導入のデメリットや課題
人事業務にAIを導入することで多くのメリットが期待できる一方で、判断プロセスのブラックボックス化、法的・倫理的リスクやセキュリティリスクなど、デメリットが存在するのも事実です。人事業務にAIを導入するデメリット・課題を押さえておきましょう。
AIシステムの導入・運用コストが発生する
人事業務にAIを導入する際には、一定のコスト負担が発生します。具体的には、AIシステムの初期構築費用やベンダーへのコンサルティング費用、導入後の運用・保守費用などが挙げられます。
加えて、人事担当者や現場社員に対する教育・トレーニングにもコストがかかります。特に導入初期は、効果が可視化される前に投資が先行しやすいため、最初は特定の業務に限定した小規模なトライアルから始め、効果を検証しながら段階的に導入範囲を拡大していくことをおすすめします。
AIのアウトプット・判断は絶対ではない
AIはあくまで過去のデータやアルゴリズムに基づいて結果を導き出す仕組みであり、学習データの偏りや設計上の仕様によっては、意図しない判断や誤った示唆をアウトプットする可能性があります。特に生成AIは、一見するともっともらしく整った文章や分析結果を提示しますが、その内容が必ずしも事実・正解とは限りません。人事評価や人材配置、制度設計といった重要な意思決定においてAIのアウトプットを鵜呑みにしてしまうと、思わぬリスクを招くおそれがあります。
H3:ブラックボックス化のリスクがある
AIを人事業務に活用する際の課題の一つが、「判断プロセスのブラックボックス化」です。近年、採用活動や人事評価、人材配置やリテンション対策にAIを活用する企業が増えていますが、AIの判断理由が分からないまま結果だけが提示されるケースも少なくありません。
たとえば、人事評価において「なぜこの従業員が高く評価されたのか」「なぜ評価が下がったのか」といった問いに対して人事担当者が明確に説明できない状態は、従業員の不信感や不満を招く原因になりかねません。
ブラックボックス化の具体例
従業員の離職リスク分析で「高リスク」とだけ判定され、その理由や影響要因(業務負荷なのか、人間関係なのか、評価なのか)が分からない状態はブラックボックス化の典型例です。これでは、現場で適切なフォローや対策を講じることができません。
法的・倫理的なリスクがある
AIを人事業務に活用する際には、法的・倫理的なリスクへの配慮が欠かせません。たとえば、学習データやアルゴリズムの偏りによって、特定の属性を不利に扱う差別的な選考・評価がおこなわれてしまうリスクがあります。また、従業員の同意を得ないまま人事データを二次利用することは、倫理的な問題にとどまらず、法令違反につながる可能性もあります。
情報セキュリティ面でのリスクがある
AIを人事業務に導入する際に注意すべきなのが、情報セキュリティリスクです。採用履歴や人事評価、給与情報など、人事データは極めて機密性が高く、ひとたび漏えいすれば、法的責任を問われるだけでなく、企業ブランドの毀損にもつながります。
特に、クラウド型AIシステムの利用や外部ツールとの連携においては、常にサイバー攻撃やアカウント乗っ取りなどのリスクが伴います。また、生成AIに氏名や社名、具体的な案件情報をそのまま入力した場合、ベンダー側で学習データとして保存・二次利用され、意図せぬ情報拡散を招く可能性も否定できません。
こうしたリスクを低減するためには、システム選定時におけるセキュリティ要件や契約条件の確認、適切なアクセス権限管理、ログ監査の実施が不可欠です。加えて、現場の従業員に対するセキュリティリテラシー教育など、総合的な対策が求められます。
AIに関する知識を持つ人材を育成する必要がある
人事業務でAI活用するには、ツールを使える人材の育成だけでなく、仕組みやリスクを正しく理解した担当者の育成が不可欠です。AIリテラシーが不十分なまま導入を進めると、「現場で活用されない」「誤った使い方をされる」「ブラックボックス化する」といった問題が生じるおそれがあります。研修や勉強会を通して、AIの基礎知識や実務での活用スキルを高めていくことが重要です。
人事業務におけるAIの活用事例
人事業務におけるAI活用は、採用・評価・配置・育成・労務管理など、ほぼすべてのプロセスに広がりつつあります。人事業務におけるAIの具体的な活用事例を見ていきましょう。
採用に関する業務でのAI活用例
・応募書類のスクリーニング
AIを活用することで、応募書類(履歴書・職務経歴書・エントリーシートなど)を解析し、スキルや経験、キーワードなどの一致度に基づいて適合度をスコアリングできます。これにより、応募者の一次スクリーニングを効率的に進めることが可能です。人が目視で確認する場合に比べ、短時間で大量の応募書類を処理できるだけでなく、見落としなどのリスクも低減できます。
・求人票・スカウトメールの自動生成
生成AIを活用すれば、求人票やスカウトメールの文面を効率的に生成できます。職種や求めるスキル、訴求ポイントなどの条件を入力するだけで、複数パターンの草案を作成できるため、手作業で一から文面を考える負担を大幅に削減できます。反応率の高い文面をブラッシュアップしていくことで、応募数や返信率の向上にもつながります。
・Webテスト・適性検査の結果分析
AIを活用すれば、Webテストや適性検査の結果を自動で集計・分析できます。さらに、活躍している従業員のデータと照合することで、候補者の適合度や強み・弱みをスコアリングすることも可能です。人が分析・評価する場合に比べ、より客観性・一貫性のある判断ができ、合否判定にとどまらず、入社後の配属先検討や育成方針の策定にも活用できます。
評価・配置に関するAI活用例
・人事評価の支援
AIによって、業務実績や行動データ、360度評価などの情報を自動で集計・分析することで、人事評価を効率的に支援できます。評価者の主観に左右されやすかった従来の評価に比べ、客観性と一貫性のある評価が可能です。また、評価結果の根拠を可視化できるため、従業員の納得感向上や評価制度の透明性確保にもつながります。
・昇進・昇格候補者の抽出
AIによって過去の評価結果や業績データ、保有スキル、異動履歴などを横断的に分析することで、将来の管理職候補やハイポテンシャル人材を効率的に抽出することができます。従来の候補者選定は上司や人事の主観に依存しがちでしたが、AIを活用すれば客観性が担保され、抜擢の抜け漏れや属人的な判断を抑制できます。
・人材配置の最適化
AIを活用することで、従業員のスキルや経験、適性やキャリア志向に加え、各部署の業務量や課題などを踏まえた人材配置のシミュレーションが可能になります。「誰をどのポジションに配置すればパフォーマンスが最大化されるか?」をデータにもとづいて検討できるのがメリットです。人の感覚に頼った配置とは異なり、複数パターンを比較しながら最適な人材配置を導き出すことができます。
人材教育に関する業務でのAI活用例
・研修プランの自動作成
AIを活用することで、スキルや経験、人事評価の結果やキャリア志向、業務内容や研修の受講履歴などを総合的に分析し、一人ひとりに最適化された研修プランを自動で作成できます。年次別・階層別など、一律の研修ではカバーできなかった個々の課題・ニーズに対応できるのが大きなメリットです。結果として学習効果が向上し、パフォーマンスアップにつながります。
・教材・講座の自動レコメンド
AIを活用することで、従業員の研修受講履歴やテスト結果、日々の業務データを分析し、一人ひとりに最適な教材や講座、eラーニングコンテンツを自動でレコメンドすることができます。理解度や不足しているスキルに応じた学習内容が提示されるため、「何から学ぶべきか分からない」といった迷いを防ぎ、従業員の主体的かつ継続的な学びを後押しできます。
・社内学習チャットボット
生成AIを活用した社内学習チャットボットを導入することで、従業員は業務の手順やノウハウについて、いつでも気軽に質問できるようになります。マニュアルや資料を探す手間が省け、疑問をその場で解消できるため、理解促進だけでなく業務効率化にもつながります。また、チャットボットの利用ログを分析することで、研修内容の見直しやマニュアル改善にも活かすことができます。
労務に関する業務でのAI活用例
・勤怠データの自動チェック
勤怠データのチェックにAIを活用することで、打刻漏れや残業時間などをリアルタイムで把握できるようになります。Excelを目視で確認・集計する場合と比べ、作業工数を大幅に削減できるだけでなく、確認漏れや見落としのリスクも低減できます。その結果、労働時間の適正管理や過重労働の早期発見につながり、労務リスクを未然に防ぐことができます。
・メンタル不調の予兆検知
AIを活用して、残業時間や深夜労働、有給休暇の取得状況、異動履歴などを横断的に分析することで、従業員のメンタル不調の予兆を早期に把握できます。たとえば、長時間労働が常態化している従業員や、有休を十分に取得できていない従業員を自動で抽出し、人事や上長へアラートを出すことで、業務量の調整や配置転換、産業医との面談といった適切なフォローをしやすくなり、メンタル不調の未然防止に役立ちます。
組織マネジメント・組織開発へのAI活用例
・組織課題の可視化・改善
AIを活用すれば、エンゲージメントサーベイや社員アンケートの結果を自動で分析し、組織ごとの課題を可視化できます。人が手作業でアンケートを読み込んだり、サーベイ結果を分析したりする場合に比べ、短時間で傾向を把握できるのがメリットです。優先的に改善すべき課題を明確にできるため、施策の精度・スピードの向上にもつながります。
・キーパーソンや分断エリアの特定
AIにメールやチャット、会議参加状況などのコミュニケーションデータを分析させることで、社内でハブとして機能している「キーパーソン」や、部門間のやり取りが少ない「分断エリア」を可視化できます。社内の人脈構造や連携不足の箇所を客観的に把握できれば、組織改編やタレントマネジメント、越境施策の検討に活かせます。
文書・管理業務でのAI活用例
・社内規程・人事制度文書のドラフト生成
生成AIを活用することで、就業規則や人事評価制度、報酬制度などの社内規程・人事制度のドラフトを短時間で作成できます。策定・改定の目的や方針、求めるトーンを指示するだけで草案を自動生成できるため、ゼロから文章を考える負担を大幅に削減可能です。そのうえで、人事や法務が自社の実情に合わせて調整・編集することで、スピード感のある制度設計を実現できます。
・人事書類の入力補助・チェック自動化
人事書類の申請・承認にAIを活用することは、申請者と人事の双方にメリットをもたらします。申請者は、住所や氏名、部署名などの定型項目が自動で補完されたり、ミスが起こりやすい箇所にサジェストが示されたりするため、差し戻しが減り、スムーズに手続きを進められます。一方、人事側もチェック作業をAIに任せることで工数を削減でき、申請・承認フロー全体のスピードアップにつながります。
人事業務にAIを導入する際のポイント
人事業務でAIを有効活用するためには、単にAIシステム・ツールを導入するだけでなく、目的やKPIの設定、データ整備、ルールづくりなどの準備が欠かせません。こちらでは、人事業務にAIを導入するためのポイントについてご説明します。
目的・KPIを明確にする
AIを人事業務に導入する際は、最初に「何のために導入するのか?」をできるだけ具体的に言語化することが重要です。採用工数の削減や評価のバラつき解消、離職率の低下など、解決したい人事課題を明確にしたうえで、達成状況を測るKPIを設定しましょう。たとえば、「書類選考にかかる時間を〇%削減」「一次面接までのリードタイムを〇日短縮」「離職率を〇ポイント改善」といったKPIが考えられるでしょう。
目的やKPIが曖昧なままAIを導入すると、現場の混乱を招き、システム・ツールが定着しなかったり、想定と異なる使われ方をしたりするおそれがあります。導入前に経営・人事・現場で目的とKPIを共有することが、AI活用を成功させるための第一歩です。
小さく試して検証する
AIを人事業務に導入する際は、いきなり全社・全プロセスへ展開するのではなく、「小さく試して検証する」アプローチが成功の鍵となります。たとえば、採用であれば特定職種の書類選考のみ、人事評価であれば一部の部門に限定するなど、対象業務や範囲を絞って試験運用をおこないます。
その過程で、「どの程度の工数削減につながったか」「アウトプットの精度に問題はないか」「想定外のエラーやリスクは発生していないか」といった点を検証します。検証結果を踏まえて運用ルールや社内ガイドラインをブラッシュアップし、段階的に導入範囲を拡大していくのが現実的です。こうした進め方により、現場の不安や抵抗を抑えながら、スムーズな定着を図ることができます。
データの整備・品質管理をする
AIを人事業務で活用するうえで重要なポイントになるのが、データの整備と品質管理です。AIのアウトプット精度は、学習に用いるデータの質に大きく左右されます。たとえば、評価基準が部門ごとに異なっていたり、職種名や部署名に表記揺れがあったり、欠損値や誤入力が放置されていたりすると、どれだけ高度なAIを導入しても信頼性の高い結果は得られません。
AI導入の前提として、人事データの項目定義や入力ルールの統一、マスタデータの整理、過去データのクレンジングなど、適切なデータ基盤を整えることが不可欠です。さらに、AI導入後も定期的にデータ品質をチェックし、誤りや偏りがあれば修正・フィードバックする仕組みを構築することが重要です。
法律・倫理・セキュリティの観点を押さえる
AIを人事業務で活用する際は、法律・倫理・セキュリティの観点を十分に押さえておくことが重要です。個人情報保護法や労働関連法令に抵触しないよう、データの利用目的を明確にするとともに、必要に応じて、本人同意の取得、データの保存期間、閲覧権限、第三者提供の方針などを事前に定義する必要があります。また、学習データの偏りによって差別的な判断や不当な選考・評価が生じないよう、運用時のチェック体制も整備する必要があります。
クラウド型のAIシステムを導入する場合は、アクセス権限の管理、通信・データの暗号化、ログの取得・監査、ベンダーのセキュリティ体制の確認といったセキュリティ対策が求められます。これらを踏まえて適切なガバナンス体制を構築することで、リスクを抑えたAI活用が可能になります。
人事業務にAIを導入する際の手順
人事業務におけるAI活用を成功させるためには、人事業務の洗い出しや業務フローの確認をしたうえで最適なシステム・ツールを選定し、入念に導入計画を策定する必要があります。人事業務にAIを導入する際の手順とポイントを見ていきましょう。
①人事業務の洗い出し
AI導入の第一歩は、すべての人事業務を洗い出し、全体像を把握することです。採用、評価・配置、教育、労務といった各業務について、年間スケジュールや関与部門、担当者、処理件数、所要時間、使用しているツールなどを整理します。全体像を把握することで、「どこからAIを導入すれば効果が大きいか?」「どの業務からAIを活用すれば現場に受け入れられやすいか?」といった観点で、優先順位をつけやすくなります。
②業務フローの詳細を確認
AIを導入すべき業務を絞り込めたら、次にその業務フローを詳細に確認します。「どのような情報を入力しているのか」「どのタイミングで誰がどのような判断をしているのか」「どんなツールを使っているのか」といった点を整理します。あわせて、判断基準やルールが明文化されている部分と、担当者の経験や勘に依存している部分を切り分けておくことで、「どの部分をAIで自動化できるか」「どの領域を人が担うべきか」を明確にできます。
③AIシステム・ツールの選定
AIを導入する業務を決定したら、実際に導入するAIシステム・ツールを選定します。まずは、汎用型のAIシステムを活用するのか、採用・評価・労務管理など人事業務に特化したAIツールを採用するのかを検討します。既存の人事システムや勤怠管理システム、Excelとの連携が必要かどうかも重要な確認ポイントです。
そのうえで、操作性や画面の分かりやすさ、業務に合わせたカスタマイズ性などを確認します。人事データを扱う以上、セキュリティ性のチェックも欠かせません。加えて、初期費用や月額料金などのコスト、サポート体制や導入後のトレーニング支援の有無なども比較検討します。
④導入計画の策定
AIシステム・ツールを選定したら、次に具体的な導入計画を策定します。まずは「いつまでに」「どの業務で」「どこまでAIを活用できる状態にするのか」といったゴールを明確にします。そのうえで、トライアル運用、本番移行、効果検証といったフェーズごとにスケジュールとマイルストーンを設定します。
あわせて、人事、現場、情報システム部門、ベンダーなど関係者の役割分担や、必要な教育・トレーニング内容を整理します。また、評価指標(工数削減、プロセスの短縮、エラー件数の減少など)や、本番展開をするための判断基準を定めておくことで、次のステップへの移行がスムーズになります。
さらに、AIのアウトプットの精度不足やトラブル発生なども想定し、エスカレーションフローや代替手段を計画に組み込んでおくことも重要です。これらの導入計画を文書化し、経営層や関係部門に共有することで、組織全体で足並みを揃えたAI導入・運用が可能になります。
⑤運用・評価
AIシステム・ツールは導入して終わりではなく、運用を通して効果検証と改善を繰り返すことが重要です。設定したKPIの達成度や現場の満足度、トラブル状況を定期的にレビューし、ルールや運用方法を見直しながら精度を高め、活用範囲を広げていきます。
組織変革のことならモチベーションクラウド
リンクアンドモチベーションが提供する「モチベーションクラウド」は、従業員エンゲージメントを可視化し、組織改善を支援するクラウドサービス。国内最大級のデータベースを元にしたエンゲージメントスコア(ES)によって人材力と組織力を診断します。32項目のサーベイ調査結果をAIが即座に分析し、自組織の課題を特定。コンサルティングを通して採用・育成・制度・風土の課題を解決し、組織変革を実現します。
まとめ
人事業務におけるAI活用は、採用、評価、配置、育成、労務、組織マネジメント、文書管理など、あらゆる領域に広がりつつあります。AIを適切に活用することで、定型業務の効率化や担当者の負担軽減にとどまらず、データにもとづく客観的で精度の高い意思決定を実現できます。
AI導入を成功させるためには、目的とKPIを明確にし、スモールスタートで効果を検証しながら進めるのがポイントです。ぜひ、自社の人事業務の課題に合わせて、積極的にAIを活用していきましょう。




