尖った優秀な若者をどう採用し、いかに育てるか
書籍『エッジソン・マネジメント』
出版記念インタビュー

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日本の名だたるリーディングカンパニーの採用・育成コンサルティングや、複数大学で産学連携の教育プログラム開発に従事してきた株式会社リンクアンドモチベーション エグゼクティブディレクター 樫原洋平。著作『エッジソン・マネジメント』が2020年7月31日に発売されました。今回は、本書の出版を記念して、本書を書くに至った背景や、本書のポイントについて聞きました。

【スピーカープロフィール】
株式会社リンクアンドモチベーション 組織開発デザイン室 エグゼクティブディレクター 樫原洋平

【インタビュー】
株式会社リンクアンドモチベーション マーケティンググループ 沖田慧祐

【ライター】
株式会社リンクアンドモチベーション マーケティンググループ 小笠原有希

書籍「エッジソン・マネジメント」とは、どのような本なのか

沖田:この度は書籍出版、おめでとうございます。本書の内容をまずは教えていただけますでしょうか。

樫原:私はこれまで15年以上にわたって、日本企業、特に大企業の新卒採用及び若手育成の現場を見てきました。そして、クライアント企業の未来を担う「優秀な人財」を採用・育成できるよう、各企業のサポートをしてきました。そこで感じたのは、「このままではいけない」という大きな危機感です。日本はエネルギー資源などには恵まれておらず、最大の資源は「人」だと言われています。しかし、その大切な「人」を本当に育てることができているのでしょうか。日本の若い人たちは自らの潜在能力を大いに発揮できているでしょうか。海外の若者に比べて、同等か、それ以上の大きな成長を遂げているでしょうか。私は、この点について、15年以上の経験から大いに疑問を持っているのです。

「人」を育てるためには、勿論本人の努力は必要ですが、それ以上に「大人の対応」と「育つための環境整備」が大事になると私は考えています。特に私は、「鉄は熱いうちに打て」という言葉があるように、若いうちに良い刺激を与えることが、その後の大きな成長につながると思っています。

しかし、その若い人の成長の障害になっている“4つの分断”が存在しているのです。4つの分断とは、①高校と大学の分断、②大学と企業の分断、③採用と育成の分断、④人事と職場の分断です。詳細は書籍を読んでいただければと思いますが、これらの分断を適切につなぐことが、日本という国の最大の資源である「人」を活かす上で、最も大切なことだと考えています。この分断をつなぐにはどうすればよいか、そのために私が考えたコンセプトが、本書で中心的に述べている、「ゴールデンセブン」と「エッジソン」なのです。

沖田:ありがとうございます。「ゴールデンセブン」と「エッジソン」とは何なのでしょうか?

樫原:「ゴールデンセブン」とは、大学の4年間と企業入社後の3年間の合計7年間を、人財育成における非常に重要な黄金の7年間という意味でつけた名前です。ゴールデンセブンの最適化こそが、上記の4つの分断を乗り越え、人財を大きく飛躍させていく鍵となるのです。ただ、ゴールデンセブンの最適化はあくまで手段であり、「どのような人財を育てるのか」という目的も非常に重要なポイントです。

先程もお伝えしたとおり、私はこれまでに数多くの企業との議論を通じて、「重要度が高く、不可欠だけど、不足している、採用できていない人財」というものがだんだんと見えてきました。

企業ではこのタイプの人財を「変革人財」「タレント人財」「幹部候補人財」などと様々な言い方をしていますが、私の結論を一言で言うと、「トガッた人財」です。大事なポイントは、「何にトガッて(尖って)いるのか」です。一般的なイメージは、論理的思考やプログラミングスキルなど一芸に秀でた専門性を持った人財ですが、現場で感じる私の認識は異なります。

本当に世界で勝負するような企業で求められているのは、「目的」にトガッた人財なのです。つまり、「実現したいこと=目的」があり、その実現に向けて、多種多様な関係者を巻き込み、組織の力を最大限発揮して、成果を創出できるような人財です。そのような人財を、私は「エッジソン=目的にトガッた人財」と呼んでいます。

少し長くなりましたが、本書「エッジソン・マネジメント」では、①産学連携でエッジソンをどう育んでいけばよいか、②どうすれば企業はエッジソンを採用できるのか、③企業は内定後から配属までで何を大切にすればよいか、④エッジソンが活躍できる職場はどうつくればよいか、について、私がこれまで実際に取組んできたことと共に述べています。

企業はフィロソフィーを明確にせよ

沖田:本メディアの記事は、主に企業で働く方や、組織に悩む経営者の方に多く読んでいただいています。企業で働く方、経営者の方が自社で「エッジソン」を採用・育成していきたいと考えたときには、どのようにすればよいのでしょうか。

樫原:採用については、まず企業のフィロソフィー (理念・目的) と個人の志、目的のマッチング、すり合わせが重要です。「会社に個人を入れる」のではなく、「個人に会社を入れる」という考え方です。「エッジソン」を採用しようとするのであれば、選ばれたいと考える企業側もその存在する目的を明確にしなければいけません。

また、採用担当者が内定者期間から配属まで見る必要があると思っています。新規入社者のゴールは“内定”ではなく、“入社”だと捉え直すことが重要です。「採って終わり」という狩猟的な考え方ではなく、「育む」という視点に立って、学生との接触から入社後の配属までに学生を育てていく必要があります。

沖田:リンクアンドモチベーションでは、人が組織に帰属する要因を4つのP、Philosophy(理念)、Profession(仕事)、People(人)、Privilege(名誉・待遇)に分けていますが、その中でも特にPhilosophyの部分が大事だということですね。

育てるな。育つための環境をつくれ。

沖田:育成の部分はいかがでしょうか。

樫原:育成段階、特にOJTでは、まずそもそも「育ててあげよう」と思わないことです。「エッジソン」の定着及び活躍を阻害する「落とし穴」が2つあります。第一の落とし穴は「育ててやろうという力みによる不和」です。メンターや上司は良かれと思って関わりますが、「エッジソン」に対しては不適切なケースが多いのです。その最大の理由は主体性や自主性が奪われることにあり、結果的にモチベーションが下がってしまう、場合によっては離職につながることもあります。第二の落とし穴は「育てないという割り切りによる不和」です。エッジソンは、資質は持っていたとしても、社会経験の乏しい若手社員です。高い期待から、逆に任せすぎてしまい、上司やメンターが関わらないことで成果が出ず、自由があったとしても刺激や成長がないためモチベーションが下がるということがあります。

つまり、「育てよう」「自由に任せよう」この2つのいずれでもなく、エッジソンの可能性を信じ、「育つための環境」を整えることが重要です。

育つための環境として大事なことはいくつかありますが、なによりもエッジソンに関わる大人が、背中で示すことが大事です。人は失敗して育っていきます。上司やリーダーが自ら挑戦し、ときに失敗する姿を若手社員に見せることが、環境づくりには非常に重要なポイントです。そして、メンバーにエッジソンであることを求めるのであれば、上司もエッジソンである必要があります。エッジソンであることを示すなら、「志」を語らなければいけません。大人が若い人に想いを語らないと、働くことへの期待値が上がりません。私は大人が照れずに志を語り、ワクワクしている世の中にしたいと思っています。若者は大人をうつす鏡です。大人がチャレンジしたり、ワクワクしたりしないと、若者もしません。いかに大人が言行一致でやれるかが結局大切なのです。

日本は「人を磨き、活かす」という原点に戻るべき

沖田:ここまで大変興味深い話、ありがとうございました。最後に是非未来についてお伺いさせてください。樫原さんは、この本を通して、どのような社会をつくりたいと考えているのでしょうか。

樫原:私は元々、教育がやりたくてリンクアンドモチベーションに入りました。学生時代に塾講師をやっていたのですが、どうしても成績が上がらない中学二年生がいました。聞いたみたら、「先生、僕は将来に夢や希望はないんです」と言うのです。その時に、どんなにいい教材があり、いい教師がいようとも、内発的な動機付けがなくては外発的なアプローチに意味はないと気付いたのです。その時から、個人の心の中にある内発的な動機づけをどうしたら最大化できるのか、その方法を探してきました。

世界で初めてモチベーションをテーマにしたコンサルティング会社であるリンクアンドモチベーションに入り、ビジネスとして教育事業の立ち上げや採用コンサルティング、西日本組織人事コンサルティング事業の責任者を務め、パナソニック、トヨタ、電通、みずほフィナンシャルグループ、オリエンタルランドなど、日本のリーディングカンパニーと産学連携プロジェクトを進めました。そしてその一方で、大学教育にも深く関わりたいと思い、大阪大学、早稲田大学、同志社大学などと一緒にプロジェクトを進めてきました。

そしてそんな私が今、たどり着いた一つの答えが、目的としての「エッジソン」と手段としての「ゴールデンセブンの最適化」です。私が15年以上考え続けてきたことが、ようやく形になり始めました。

日本の大企業の歴史を紐解くと、どこも人づくりに終着します。トヨタは「モノづくりは人づくり」と言いますし、松下幸之助も「物をつくるまえに人をつくる」と言っています。日本の大企業の共通点は、人を磨き、活かすことです。日本は苦しい時にこそ、人を磨いてきました。日本の発展は人を磨き、活かしてきた歴史です。私はこの本『エッジソン・マネジメント』を通して、産学官で連携し、日本を、世界で最も若者が育つ社会にしたいと思っています。

『エッジソン・マネジメント~尖った優秀な若者をどう採用し、いかに育てるか~』
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www.amazon.co.jp/dp/456984541X

書籍『エッジソン・マネジメント』が2020年7月31日に発売開始

数多くのリーディングカンパニーを支援する樫原の新書籍!
「エッジソン・マネジメント」が7月31日に発売開始
~日本企業に必要な“エッジソン”はどのように採用し、育成するべきなのか~

■転換期を迎える日本企業
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、リーマンショック以来の大不況が日本企業に襲いかかろうとしています。これにより、企業は存続をかけた新たな事業戦略の立案に加え、リモートワークの導入や評価制度の見直しといった新たな働き方が求められるなど、日本企業は今、大きな転換期を迎えています。

■変革の希望である「エッジソン」の機能不全
そんな日本企業において必要なのは、高い志を持ち、自ら未来を切り拓いていく「尖った人材(本書では『エッジソン』と呼ぶ)」の存在です。しかし、現在の日本には、人財育成において非常に重要な7年間(大学の4年間と入社後の3年間)に様々な課題が潜んでおり、「エッジソン」が育ちにくい環境を生んでしまっていると著者は危惧しています。

■本書で伝えたいこと
著者は、日本の名だたるリーディングカンパニーの採用・育成コンサルティングや、複数大学で産学連携の教育プログラム開発に従事してきた株式会社リンクアンドモチベーションの樫原洋平。資源の少ない日本においては、「人こそが最大・最強の資源」であり、「人財」の可能性をさらに高めていきたいとの想いから、本書の執筆にいたりました。
本書は、著者である樫原が実際に携わった、パナソニック(株)やトヨタ自動車(株)をはじめとする13のリーディングカンパニーと、早稲田大学など3つの大学の事例を交えながらお伝えしています。
今の日本企業に必要な「尖った若手=エッジソン」をどのように採用し、育成すべきなのか。エッジソンとして、日本企業を変革したいと思う学生・若手社員、エッジソンを育てたいと思う人事担当者にとって必読の書です。

■書籍情報

『エッジソン・マネジメント~尖った優秀な若者をどう採用し、いかに育てるか~』
著者:樫原 洋平(株式会社リンクアンドモチベーション 組織開発デザイン室 エグゼクティブディレクター)
発売:2020年7月31日(金)
定価:1,500円+税
単行本(ソフトカバー): 240ページ
出版社: PHP研究所
ISBN-10: 456984541X
ISBN-13: 978-4569845418

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www.amazon.co.jp/dp/456984541X

■著者プロフィール

樫原 洋平(かしはら ようへい)
株式会社リンクアンドモチベーション
組織開発デザイン室 エグゼクティブディレクター

2003年一橋大学卒業後、新卒でリンクアンドモチベーション入社。
入社以来、メガバンク、総合商社、グローバルメーカー、インフラなど、あらゆる業界のリーディングカンパニー100社以上の採用コンサルティングに従事。
また、大学教育事業の立ち上げにも従事し、産学連携での教育プログラムを開発・実行。
2014年から2017年末までは、執行役員として西日本の組織人事コンサルティング事業の責任者を務め、採用のみならず若手の育成・活用を含めたトータルソリューションを提供。
2018年より現職。早稲田大学・同志社大学では非常勤講師を務め、産学連携でキャリア教育プログラムを提供している。
専門は若手の採用・活用・育成。

<著者へのご取材も可能です>
著者の樫原や当社へのご取材も是非ご検討いただけますと幸いです。ニューノーマル時代に必要な「エッジソン=尖った人材」の採用・育成について、事例を用いてお話することが可能です。

公開日:2020.07.31

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