catch-img

マネジメントとは? 定義や役割・必要なスキルを解説

皆さんは「マネジメント」と聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか?

どんな組織においても必要なスキルであることは間違いない一方で、その言葉の定義やそのスキルを向上させるために必要なポイントなどは、理解されていないことの方が多いかもしれません。

そこで、今回はマネジメントの歴史や定義とその目的やスキル向上の具体策についてお伝えします。

マネジメントとは

■マネジメント」の定義の歴史

マネジメントは、英単語を直訳すると「管理」や「経営」という意味を持ちます。現在では、経営、組織の管理や運営を示す言葉としてより広義に使用されています。

具体的には、組織の成果を上げるためにヒト・モノ・カネなどの経営資源を効率的、効果的に活用し、リスク管理も行いながら、あらかじめ設定した組織の目標やミッション達成を目指すことをいいます。

マネジメントという言葉の定義は様々ありますが、一般的に広く認識されている定義は、著名な経営学者として知られるP.F.ドラッカー(1909~2005、アメリカ)が刊行した「マネジメント」から生まれたとされています。

ドラッカーは起業コンサルタントや経済学者として活躍後、経営や経済に関する著作を数多く発表してきました。

「もしドラ」と聞けばピンと来る方も多いと思いますが、2009年に刊行された『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの”マネジメント”を読んだら』では、ドラッカーの「マネジメント」の内容が、初心者でも理解しやすくまとめられていることから人気を博し、現在でも影響を与え続けています。

■ドラッカーによるマネジメントの定義 

ドラッカーは著書の中で、「マネジメント」および「マネージャー」について、以下のように定義しています。

・マネジメント:組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関
・マネージャー:組織の成果に責任を持つ者

組織に成果を上げさせるための仕組みやツールをマネジメント、組織が成果を上げるように働きかけ、責任を持つ人をマネージャーと定義しています。

成果の責任者であるマネージャーには、組織の目標達成に向けたマネジメント力が求められるのです。

マネージャー(管理職)とは

ドラッカーは、マネージャーを「組織の成果に責任を持つ者」と定義しており、マネジメントに求められる役割について、以下のような考え方を提示しています。

1.組織が果たすべきミッションを達成する
組織がそれぞれ特有の果たすべきミッションを把握し、それを達成する必要があること

2.組織で働く人たちを活かす
組織はそこで働く人たちに自己実現できる場を与えて活かし、働く人たちはその中で自己実現をしていくこと

3.社会に貢献する
組織の果たすべきミッションを達成することは、最終的に社会へ貢献していなければならないこと。さらに、マネジメントには長期・短期の「時間軸での視点」で動くことも重要であること。

このように、組織としてのミッションを果たすべく、部下の動機付けやコミュニケーションをはかりながら、その部下たちを評価し、それを元に人材育成するという使命を持った役職です。

■マネジメントとリーダーシップの違い

マネジメントと同義で捉えらえやすい言葉に「リーダーシップ」がありますが、明確な違いがあります。

リーダーシップ:具体的な「方向性を示す」ことが目的
マネジメント:「設定した目標に沿って組織を運営する」ため手段を示すことが目的

たとえば「どんな事業やサービスをつくりたいか」を示すのがリーダーシップで、「その具体の事業やサービスの内容を考え、実行する」のがマネジメントです。

マネジメントに求められる役割

ドラッカーの定義をもとに、現在では「マネジメント」の役割は以下のように認識されています。

1.自らの組織に特有の使命を果たす
まずは、その組織の本業に向きあい、世間から求められている役割を果たすべきという事です。

当然の事かもしれませんが、実際には本業から逸れて様々な業種に手を出してしまい本業が何なのか分かりにくくなるケースもあります。

2.仕事を通じて働く人たちを生かす
次に、組織の有する人材における役割です。人は、働く上で何らかの組織に属し、その人生のほとんどを「組織」において過ごします。

そのため、企業側は組織で働く人材に対して、仕事を通じて「自己実現」できるような、組織づくりをする事が大切です。

これは、仕事を提供したり働きやすい環境を整える、のみならず、社員の特性を見極め、その特性にあった責任感ややりがいのある仕事を提供し、その成果に対しフィードバックしたり、継続学習の機会を与えるというものです。

3.社会の問題について貢献する
最後は、社会貢献。ドラッカーの考え方によれば、会社は経営者や株主のものではなく「社会のためにある」ものです。会社は、社会から人材や資源を預かって運営しているものなので、その社会から求められるものを提供する役割があるという考え方です。

これは、一般的に言われる社会貢献活動とは異なります。元は利益追求のために始めたサービスであっても、結果的にそれが社会から求められているものであれば「社会貢献」できているという事になるのです。

上記を記載することは容易ですが、実際に行うことは非常に難しいのがマネジメントです。これらはメンバーとの間で信頼関係を築けているかが最も大事であり、信頼関係がない中では、上記を果たすことはほとんど不可能だと言えます。

マネジメントで行う仕事の具体的内容

それでは上記の責任を果たすために、具体的にはどんな事が必要となるのでしょうか。
リンクアンドモチベーションでは、社会システム論を背景に下記の4つの領域、8つの機能を定義しています。

①情報提供
・戦略情報の提供:業界動向や顧客ニーズという社外情報と、自社の戦略やその具体策の提示が必要となります。
・役割情報の提供:自部署における使命や目標、部署内の役割責任を明示する必要があります。

②情報収集
・役割情報の収集:職場内や関連部署との連携状況や部下の強み・弱みの把握、上位役職者からの要望把握なども含みます
・進捗状況の収集:顧客評価や業務の進捗度、トラブル状況や部下の成果について収集する必要があります。

③判断行動
・基準提示と人事評価:行動指針や考え方を提示したり、評価基準を明確にして即時でのフィードバックも必要です。
・意思決定と率先垂範:率先垂範の行動を見せるほかに、対立時の葛藤解消や必要に応じた役割変更なども時には必要です。

④支援行動
・人材開発と業務支援:業務ノウハウの伝授や部下への学習機会、挑戦機会の提供が求められます。
・動機形成と意欲喚起:業務の背景や意義を提示したり、個人成果の賞賛なども必要です。

マネジメントに必要なスキル

ここまで具体的な仕事内容について触れてきましたが、マネジメントを実行するために必要なスキルとはどんなものがあるのでしょうか?

ドラッカーはそのマネジメントに必要なスキルとして、次の4つを提示しています。

①意思決定のスキル
②コミュニケーションのスキル
③管理のスキル
④分析のスキル

ひとつひとつ見ていきましょう。

①意思決定のスキル

先の具体的な仕事内容でも触れた通り、マネージャーは仕事をする上で、何かを判断しなければならない場面は多々訪れます。

その際、マネジメントにおける「意思決定」を行う場合は、必ずしも全会一致が良いとは限りません。

より良い決断には、異なる意見が出たり時にその見解が対立したり、さまざまな案が挙げられたりする中で選び抜いた意思決定が求められます。

多様な意見や見解、複数の選択肢が出てこないときは、意思決定自体を見送る決断も必要です。またマネージャーには、組織の目標に沿った明確なビジョンが求められます。

判断がブレれば部下に不信感を与え、組織を統率する力も弱まってしまうことでしょう。

②コミュニケーションのスキル

複数人が働く組織で仕事をするため、意思の疎通は不可欠。同じ目標に向かって仕事を進めるには、チーム内の認識をひとつにして束ねる必要があり、その際に必要なのがコミュニケーションスキルです。

マネージャーは組織全体の目標を掲げ、そこに向かうための方法を示し、受け手である部下に自分の考えを理解してもらわなければなりません。

また、コミュニケーションは一方的なものではなく双方向に形成されるもの。相手の意見を傾聴し、相手の考えを理解・受容した上で、情報を伝えるといったように、相互理解を進めることが重要なのです。

③管理のスキル

仕事で成果を上げるために必要とされる管理のスキルには、以下の3つが挙げられます。

・目標の達成に向けて、組織を適切に機能させること
・生産性を高めるために、適切な事柄を適切に実施すること
・仕事の基準を高め、組織が成す仕事の精度を上げていくこと


これらを実現するためには「評価測定」が重要です。

一人ひとりに適切な役割・仕事を割り当て、それぞれが得意な分野で力を発揮することで成果は上がります。定期的に評価・フィードバックして仕事に活用することが求められます。

④分析のスキル

この世界には単体だけで存在しているものは何ひとつありません。組織の未来を創造していくには、経験値や勘に頼って対応するのではなく、客観的な視点から検証し、アクションを起こしていかなければなりません。

そこで重要になるのが分析のスキルです。組織の目標を達成し、成果を上げるには4大経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報、これまで蓄積されてきた知恵や知識、技術などの資産や資源、リスクの分析および管理などが必要です。

マネジメントの種類

また、マネジメントは役割によって、以下の3つに分けられ、その階層毎に求められることも異なります。

①トップマネジメント(最高経営者層)

トップマネジメントとは組織の最高経営者陣のことで、該当するのは、会長、社長、副社長、常務、専務など取締役会のメンバーや、組織の各部門を取り仕切る執行役員などを指します。

トップマネジメントには、組織の基本的な方針を決定し経営計画を立てたり、組織の運営方針を決めるなど、経営に関する総合的な意思決定と同時に、最終的な責任を担う役割があります。強力なリーダーシップが求められる層です。

②ミドルマネジメント(中間管理者層)

ミドルマネジメントとは、部門的経営管理を担うトップマネジメントと現場の作業管理者であるローアーマネジメントの中間に位置する存在で、該当するのは、支店長、工場長、本部長、部長、課長、係長、マネージャーなどの管理職です。

中間管理者には、トップマネジメントをサポートし、戦略的判断、指示・命令、組織の運営方針などを下層部へ正しく伝えることが求められます。

またローアーマネジメント層を指揮監督し、ボトムの意見を吸い上げる役割も担います。中間管理者は経営陣と現場の社員をつなぐ結節点であり、意思疎通が必要な組織運営において欠かせないポジションなので、組織が大きくなるほど重視されます。

③ローアーマネジメント(監督者層)

ローアーマネジメントとは、3つの中で最下層に位置する存在で、該当するのは係長や主任、現場リーダー、チーフなどがそれに当たります。下級管理者層や監督者層とも呼ばれます。

ローアーマネジメントは、直接末端の業務遂行を指揮・統制し、組織戦略や施策を現場の活動へ反映させながら、上層部が描いたビジョンの実現を目指す役割を担います。

記事まとめ

いかがでしたでしょうか。「マネジメント」と一言で言っても、その定義や役割・必要なスキルは多岐に渡り、容易ではないことがお分かりいただけたでしょうか。

また今後のマネジメントは、市場のグローバル化やコロナ禍における多様な働き方等も鑑みて、個人のキャリアも意識した対応が求められていきます。

マネジメントの軸となるこれらの目的と役割、必要となるスキルを理解した上で、時代の流れに沿った要素を加えていくことが大切かもしれません。

【出典】
・P.F.ドラッカー「明日を支配するもの 21世紀のマネジメント革命」(1999年、ダイヤモンド社)
・P.F.ドラッカー「マネジメント【エッセンシャル版】基本と原則」(2001年、ダイヤモンド社)

野々山 果純
野々山 果純

【プロフィール】 リンクアンドモチベーション入社。 秘書、社内広報、PRなどに従事した後 部門人事にて育成体系の構築を進めると共に中途採用責任者を歴任。 現在は、モチベーションクラウドのカスタマーサポート部門の責任者として プロダクトやサービス改善に努める。

注目コラム

エンゲージメントとは? 意味やメリット、向上させる方法について

昨今「エンゲージメント」という言葉が多数聞かれるようになりました。しかし「エンゲージメント」と一言で言っても、その意味は広義に渡ります。…

従業員エンゲージメントとは? 測定方法や企業事例を紹介

昨今、多くの企業で「従業員エンゲージメント」を向上させるための取組みが進んでいます。企業と従業員がともに成長するために非常に重要な考え方ですが、…

エンゲージメントサーベイとは? 従業員満足度調査との違いや効果、具体的な活用方法

昨今、働き方改革の流れの中で、労働時間の削減といった量に関してのみならず、生産性向上といった質に関するテーマにも注目が集まっています。…

組織診断・組織サーベイとは何か

働き方改革やコロナ禍によるリモートワークなどの影響から職場のコミュニケーション不足やマネジメント不全が生じ、組織やマネジメントの「見える化」のための…

従業員満足度の重要性とは? 満足度を向上させる方法や事例を紹介

「ダイバーシティ経営の実現」「従業員ストレスチェックの義務化」など企業活動において、顧客満足度の追求のみならず、従業員に対する施策の実施も求められる…

マネジメントとは? 定義や役割・必要なスキルを解説

皆さんは「マネジメント」と聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか?どんな組織においても必要なスキルであることは間違いない一方で、その言葉の定義や…

新着記事

「持続的企業価値を創造する人的資本経営」 イベントレポート

激変する社会に、企業経営はどうあるべきか。これからの企業変革に求められるものは何か。 3月26日に開催されたオンラインセミナー「持続的企業価値を創造する人的資本経営」(主催:経済産業省/特別協賛:株式会社リンクアンドモチベーション)の概要をリポートする。 (登壇者の役職等は令和3年3月26日時点)

HR techとは?サービスを展開している企業について徹底解説!

HR Techという言葉、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。 HR Techとは、“HR (Human Resource) × Technology“を意味する造語です。クラウドやビッグデータ解析、人工知能(AI)など、最先端のIT関連技術を使って、採用・育成・評価・配置などの人事関連業務を行う手法のことを指します。 この新しいテクノロジーの到来は、採用やタレントマネジメント、リーダー育成、評価、給与計算、業務改善など幅広い領域に及び、人事業務のあり方を大きく変えると言われています。 本稿は、これらが企業活動に起こす具体的な変化から、国内外での代表的なサービス紹介まで幅広く解説しており、「HR Techとはなにか」を一通り把握できる記事となっています。

パルスサーベイとは?実施する意味・事例を徹底解説!

皆さんは「パルスサーベイ」という言葉をご存知でしょうか?定期的に会社から回答を求められる、従業員調査やアンケートのようなものの種類の一つに「パルスサーベイ」というものがあります。パルスサーベイは、手軽に実施できるというメリットがあるため導入する企業が増えています。この記事では、パルスサーベイの概要、メリット・デメリットなどの基本的なところから、導入に向けた手順やポイントをご紹介していきます。パルスサーベイを使って、組織状態をリアルタイムに掴んでいきましょう。

コーチングとは?仕事における意味や効果的なやり方などを解説

人材育成の手法として、コーチングに注目する企業が増えています。 今回は、コーチングとは何か、その定義や歴史、また活用する際のメリット・デメリットや、スキルアップ方法などをご紹介します。

この記事を読んだ人は、こんな記事にも興味を持っています

あなたの組織にも、課題はありませんか?

組織改善のお役立ち資料が無料ダウンロードできます

3分でわかる モチベーションクラウド

3分でわかるモチベーションクラウド

モチベーションクラウド 入門ガイド

モチベーションクラウド入門ガイド

日本一働きがいのある会社

日本一働きがいのある会社