サイバーエージェント事業責任者が直面した経営と現場の壁。〜モチベーションクラウド実践ドキュメンタリー〜
「21世紀を代表する会社を創る」をビジョンに掲げ、「Ameba」をはじめとするメディア事業、投資育成事業、ゲーム事業など、インターネット領域にて環境変化に柔軟に対応しながら、拡大を続けてきたサイバーエージェントグループ。
同社の中でも組織構成が違う4つの部署に、モチベーションクラウドを導入してからおよそ半年が経過。モチベーションクラウドの導入で組織はどう変わったのか。
4部署の中でも従業員エンゲージメントのスコアが大きな伸びを見せた部署にフォーカスし、その半年の軌跡を振り返ったドキュメンタリー番組を、HR2048独自編集でお届けします。
【プロフィール】
株式会社グレンジ 取締役 関根 悠二 氏
株式会社グレンジ カスタマーサポート チームリーダー 山本 愛実 氏
株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括 曽山 哲人 氏
株式会社リンクアンドモチベーション モチベーションクラウド事業責任者 近藤 俊弥
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組織を可視化することで明確になった「チームの一体感の無さ」
-はじめに、自己紹介をお願いいたします。
関根悠氏(以下、関根氏二):サイバーエージェントグループの中でスマートフォンゲームアプリの開発をメインの事業とする子会社の一つ「グレンジ」にて取締役を務めています。中でも、弊社の主力アプリのプロデューサーを担当しています。
組織構成としては、ほとんど内製でプロダクトを作っているため、アニメーションを作る者だったり、イラストを描く者だったり、クリエイティブ系のメンバーが多いです。
そのほかの職種としては、エンジニア、企画職であるプランナー、プロデューサー、ディレクターという構成で、全体で数十人規模のプロジェクトを担当しております。
-モチベーションクラウドの導入前、自分の組織について何を感じていましたか。
関根氏:モチベーションクラウドの導入は2018年1月でしたが、前年12月のクリスマスに大きくプロモーションを打つタイミングだったこともあって、かなり準備が忙しかった時期でした。
メンバーにも負担がかかっており、「今後こういう方針でやっていこう」というメッセージが浸透しづらい状態でした。また、日々ちょっとした問題やトラブルが発生している状況で、上司と部下の間のコミュニケーションや、チームの一体感に課題があるんだろうと思っていました。
モチベーションクラウドはそれを実際に可視化できるツールということで、是非やってみたいと思いました。
言いたいのに、言えない環境。
-当時の状況について、(カスタマーサポートでチームリーダーを務める)山本さんはどのように感じていましたか。
山本愛実氏(以下、山本氏):リーダー層で話していることがメンバーになかなか共有されないことがあって、メンバーからすると「今後どうなっていくのか」とか「心配です」という声が多かったです。
雰囲気としては「チームなんだけどチームじゃない」。「みんなで頑張ってこうしていこう」という雰囲気は、あまり感じられなかった印象です。
例えば大きく仕様の変更をするという方針を出した時に「いや、それはやめたほうがいいんじゃないか」と陰で言っている。風通しが良くなかったというか、「言いたいのに言えない」という状況は多かったと思います。
-2018年1月11日の初回サーベイ。結果は要改善のD+。このスコアを関根さんはどう受け止めましたか。
関根氏:「おお、結構低いな」という印象でした。
これは真摯に受け止めないといけないというところと、ショックだったので、改めてそこで課題として出た「階層間の意思疎通」、上司と部下・リーダーとメンバーの対話やコミュニケーションが生みづらいという組織になっているということを、特に解決したいと思いました。
※関根チームの初回サーベイ結果(実際のモチベーションクラウド結果画面)
サーベイ結果は、強みも弱みも感覚と一致。
-このサーベイ結果は現場の山本さんから見ていかがでしたか。
山本氏:人に魅力がある、という強みはその通りだなと思いました。
弱みとしては、階層間の意思疎通が良くないというのがデータに出ていて、リーダーとメンバーとの間でうまくコミュニケーションが取れていないというのは何となく感じていたので、そこも予想通り低かったなというのはありました。
-サーベイ結果を受けて(モチベーションクラウドの事業責任者である)近藤さんはどのようなアクションを実施しましたか。
近藤俊弥(以下、近藤):モチベーションクラウドで測れるエンゲージメントスコア(企業と従業員の相互理解・相思相愛度合い)のランクには、A から E まであります。
Aが「何も言わなくてもやるよ」という状態、 B が「打てば響く」という状態 、C は「何とか言ったらやるよ」という状態、D以下になると「言ってもやらない」という状態です。
この時のアプローチとしては、組織を変えるために3つのステップを踏みます。①アンフリーズ(解凍)、②チェンジ(変化)、③リフリーズ(再凍結)という3ステップです。
まずは解凍、溶かすというのがアンフリーズで、チェンジが変化を加える、リフリーズが再凍結をする、という事です。
まず気持ちを溶かすところからスタートしないといきなり変化というのは見込めないでしょうということで、全社の皆様に集まっていただいて、サーベイ結果の共有会(キックオフミーティング)を実施しました。
関根氏:客観的な数字であるエンゲージメントスコアが低い、それを責任者である私が変えていきたい、ということをきちんと伝えられる場を作りたいというのがありました。
第三者のリンクアンドモチベーションのコンサルタントである近藤さんに入っていただいて、「責任者が変えたいだけだと変われない」というメッセージ、「組織はみんなで創る作品です」ということをしっかり打ち出して、
みんなでもっと働きやすい環境、成果が出る環境に、プロジェクトをしていこうというのを、メンバーにも前向きに捉えてもらえる形でできないかというところを考えました。
結果として、最初にキックオフミーティングを行い、近藤さんに来ていただいて、率直にサーベイ結果のフィードバックと組織状態を、メンバーに伝えていただきました。
みんなで最高の作品を創る、という視点。
-キックオフミーティングの様子はいかがでしたか。
近藤:一番最初にやったのは関根さんが見ているメンバー全員の方に集まっていただいて、サーベイ結果を報告しますよ、という形でした。
社員(メンバー)の方の参加の仕方としては「サーベイとったはいいけど、じゃあ関根さんどうしてくれるんですか」という感じですね。何かをしてもらう前提というのがあります。最初はそういうところからスタートした記憶がありますね。
エンゲージメントスコアが D とネガティブになる状態になっているのは、人と人との間の問題なんですよ。関根さんは素晴らしい人ですし、社員の方一人一人を見ても素敵な方が多いんですけれども、何か擦り合わないということが起こっていました。
関根さんはまず一歩手を差し伸べようとされているんですけれども、社員の方はまだそういう状態ではない。そのため、エンゲージメントスコア が高い会社の共通点である「みんなで最高の作品を創るんだ」という視点を作らないといけませんでした。
「皆さんは受け身でなく積極的にこの会社づくりに携わってくださいね、そうでないと変わらないですよね」という話をした時に、皆さんそうだよねと合意をいただいたので、それがまず一歩大きかったかなという感じですね。「俺たちも悪かったよ」という感じです。
関根氏:モチベーションクラウドによって組織の課題が明確になったので、それを一つ一つ全体の戦略共有の場でフィードバックしていったり、メンバーとの面談を一人ひとり丁寧に行ったりしました。
面談は目からうろこでしたね。メンバーがこんなことを考えていたんだ、という発見がかなりありました。
トップの自己開示によって、経営と現場との距離が縮まっていった
-モチベーションクラウドの導入後、どんな変化がありましたか。
山本氏:関根さんのスケジュールが面談で一気に毎日埋まっていって、最初は1人15分から30分くらいだったのですが終わらなくて。長い人だと1時間とか1時間半とか面談している方もいました。
普段関根さんと二人で話す機会は正直ないので、自分が考えていることや、不安に思っていることなど、いろんなことを吐き出せたので、そういう意味で雰囲気が軽くなったと思います。
関根氏:面談をするにあたって最初に自己開示と言うか、「どういう仕事の仕方をしてきて、どういうところが自分としても課題に思っているという所をまずは開示する、弱みを見せるとメンバーは話しやすくなるよ」と近藤さんにアドバイスを頂いたので、
一人一人の対話の中で効果的に聞くことができたのかなと思います。プロジェクトの成果も少しずつ実ってきていたタイミングでしたので、雰囲気としては以前より明るくなりました。
-2018年4月、モチベーションクラウド運用開始から3ヶ月が経ち、改めてサーベイを実施すると、結果は最高ランクのAまで改善をしていたと言います。この結果について、どのように感じましたか。
※関根チームの第2回目サーベイ結果(実際のモチベーションクラウド結果画面)
関根氏:エンゲージメントスコアが大きく上昇できたというところはメンバーの頑張りだったと思います。すごく嬉しかったというのが正直なところです。
組織・プロジェクトというのは、事業の状況も変わるのでそれに耐え得るチームじゃないといけないと思っています。
良い状態でチームが一枚岩になり続けられるかどうか、体制を変更してもその変化に耐えられるかというところがすごく大事だと思っていますので、今回スコアが上がったというのは良かったこととして受け止めつつ、今後も続けていけるかというのを肝に銘じて行こうと思っております。
宣言からコミットメントが生まれ、業績も向上した。
-今回の結果は(グループ全体の人事を統括する)曽山さんと近藤さんから見ていかがでしたか。
曽山哲人氏(以下、曽山氏):今回関根がすごく良かったなと思うのはデータの公開というところです。一番最初にモチベーションクラウドで出た数値の結果。
これを自分のチーム全員に集まってもらって共有した。共有した上で自分は必ず改善していくよと明言したことで、本人のコミットメントも出たんじゃないかと思っています。
実際に関根のチームは業績が上がったという報告も受けておりますので、その部分についても、とても良かったんじゃないかというふうに思います。
近藤:1つ目はファーストアプローチが良かったというのがあります。
「こうやっていくから」と全体の共有会のタイミングでメンバーの皆さんに指示的に入っていたら、多分寒い空気になっていたかもしれない。受容的にやったというのは良かったです。2つ目はやはり関根さん自身の実行力ですね。
D ぐらいだとためらいもあるんですよ。「多分みんな求めてないだろうな」とか。そこを頑張って頂いて一歩踏み出していただいたのは非常に素晴らしかったなと思います。
-最後に、改めて今回の感想を伺えますか。
関根氏:モチベーションクラウドを導入したことによって、組織の状態を数値化できたのはすごく大きかったです。数字になるとそれに向けてアクションが打てるということは明確にありました。
低い数値が出たらやっぱり上げたい。数値化することで、組織を変えていくきっかけになりますし、メンバーも理解がしやすいというのがありますので、組織の状態を改善していくにあたって有効なツールなのかなと思います。
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※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。
※本記事はサイバーエージェントグループである株式会社CyberQが制作したドキュメンタリー番組を元に制作しています。