
ピーターの法則とは?原因や対策方法をわかりやすく解説
皆様は、「ピーターの法則」をご存知でしょうか?ピーターの法則とは「活躍が認められて昇進したものの、次の役割では期待された活躍が出来ていない」状況を説明した内容です。
このような状況をそのままにしておくと、本人や周囲の人材のエンゲージメント低下、最悪の場合は企業の競争力低下・人材の流出などの結果に繋がってしまいます。
この記事では、「ピーターの法則」が発生する要因や回避方法を紹介していきますので、ぜひ皆様の組織マネジメントに活用してください。
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ピーターの法則とは何か
■ピーターの法則とは
ピーターの法則は、企業を始めとする組織集団における法則です。ピーターの法則の主張は以下になります。
・組織の中で、人は自身の能力の限界まで昇進する
・昇進した人材は高いレベルの仕事に従事することで、能力を無能化していく
・最終的には、組織全体が無能な人材集団と化してしまう
このように、ピーターの法則は従業員の昇進や昇進後におけるパフォーマンスについて述べています。
実際に企業活動においても、昇進後に期待されているようなパフォーマンスが出ず、組織全体が沈静化している状況は枚挙に暇がありません。
ですので、この法則の内容や対応策を理解することはとても重要です。
■ピーターの法則の特徴・創造的無能とは
この法則はアメリカの教育学者ローレンス・J・ピーターが提唱しました。
・無能な人は、今のポジションのままで留まる
・有能な人は、昇進後の高いレベルの仕事に従事する中で無能な人になる
上記のように、時間軸を長く見ると「組織の人間は全て無能になる」という理論です。
更には、組織はまだ無能化(能力の限界に到達)していない人たちによって進められ、機能していくという主張が述べられています。
では企業活動において昇進することで「無能になる」というのはどういう事でしょうか?それには幾つかのパターンがあります。例えば、プレイヤーで優秀な能力を示した人間が管理職になった場合、求められる能力が異なるために無力化すること。
また、仕事内容が同一だとしても求められる基準が引き上がり、活躍しなくなることもあるでしょう。仮に昇進後の立場で活躍したとしても、更に昇進すればいつかは活躍できない領域に到達します。
このように、「組織は最終的に無能化する」というのがピーターの法則の主張です。
ここからは、ピーターの法則が生じてしまう3つの原因と、その対策について詳しく説明していきます。
ピーターの法則が生じる条件
たとえば、昇進するために頑張ってきた人がいざ昇進すると、そこが「ゴール」になってしまい、それ以上の努力をしたり、成果を上げたりしなくなってしまうことがあります。
これは、ピーターの法則の分かりやすい例だと言えるでしょう。また、有能な人でも自己主張が強いなど、尖ったところがあると組織のなかでなかなか評価されないことがあります。それよりも、組織の規律を守り、上司には意見せず、無難に仕事をこなしている人のほうが評価されやすい場合があります。後者の人材が昇進して無能状態で落ち着くというのも、ピーターの法則が生じる一つのパターンです。
ピーターの法則が生じてしまう原因
それでは、ピーターの法則はなぜ生じてしまうのでしょうか?従業員の昇進や昇進後におけるパフォーマンスは個々人のモチベーションと強く相関しているため、その主な原因をモチベーションの公式(WILL×MUST×CAN)に当てはめ、一緒に見ていきましょう。
※モチベーションは「WILL=やりたいこと」「MUST=やるべきこと」「CAN=やれること」の3つの輪の掛け合わせによって高めることができます。
■昇進後の「キャリアビジョン」が言語化されていない(WILL)
まず1つ目は、昇進後の「キャリアビジョン」が言語化されていない場合です。
前提として、「昇進さえすれば自然と本人の意志も強くなり、やる気も上がる」という考え方は実は現実的ではありません。
本人のキャリアビジョンが明確になっていて、その実現の過程の中の昇進という意味付けがなされる必要があります。もし意味付けがないまま昇進した場合、何かあったときにはすぐにできない理由を考え、提案ではなく批判を口にし、ピーターの法則に該当してしまうことになるでしょう。
■「降格制度」が用意されていない(MUST)
2つ目は、昇格した後に「降格」をする制度運用が出来ていない場合です。昇格した人が能力限界を迎えて無能化した場合、「人材を降格・排除するシステム」が必要になります。
降格により自身が能力発揮出来る役割に戻れば、その人間は有能な状態に戻ります。だからこそ、「降格がない」という状況は無能化の悪循環を加速させます。その場合は「無能な上司」はいつまでも現在の立場に居座り、組織に悪影響を及ぼします。
■役職ごとの要件定義がされていない(MUST)
3つ目は、「役職に求められる能力要件」が定義されてないが故に、不適切な昇進が生じてしまう事です。
役職別に「部長に必要な保有能力」「課長に必要なマインド内容」「役職に上がる際の目安となる実績」などが定義されていなければ、能力不足の人材を昇進させるリスクが高まるでしょう。そもそも、昇進させる人間の目利きは非常に難易度が高いものです。
参考までに、以下は評価者がよく陥る「評価の落とし穴一覧」です。
ピーターの法則が生じてしまう原因
それでは、ピーターの法則はなぜ生じてしまうのでしょうか?従業員の昇進や昇進後におけるパフォーマンスは個々人のモチベーションと強く相関しているため、その主な原因をモチベーションの公式(WILL×MUST×CAN)に当てはめ、一緒に見ていきましょう。
※モチベーションは「WILL=やりたいこと」「MUST=やるべきこと」「CAN=やれること」の3つの輪の掛け合わせによって高めることができます。
■昇進後の「キャリアビジョン」が言語化されていない(WILL)
まず1つ目は、昇進後の「キャリアビジョン」が言語化されていない場合です。
前提として、「昇進さえすれば自然と本人の意志も強くなり、やる気も上がる」という考え方は実は現実的ではありません。
本人のキャリアビジョンが明確になっていて、その実現の過程の中の昇進という意味付けがなされる必要があります。もし意味付けがないまま昇進した場合、何かあったときにはすぐにできない理由を考え、提案ではなく批判を口にし、ピーターの法則に該当してしまうことになるでしょう。
■「降格制度」が用意されていない(MUST)
2つ目は、昇格した後に「降格」をする制度運用が出来ていない場合です。昇格した人が能力限界を迎えて無能化した場合、「人材を降格・排除するシステム」が必要になります。
降格により自身が能力発揮出来る役割に戻れば、その人間は有能な状態に戻ります。だからこそ、「降格がない」という状況は無能化の悪循環を加速させます。その場合は「無能な上司」はいつまでも現在の立場に居座り、組織に悪影響を及ぼします。
■役職ごとの要件定義がされていない(MUST)
3つ目は、「役職に求められる能力要件」が定義されてないが故に、不適切な昇進が生じてしまう事です。
役職別に「部長に必要な保有能力」「課長に必要なマインド内容」「役職に上がる際の目安となる実績」などが定義されていなければ、能力不足の人材を昇進させるリスクが高まるでしょう。
そもそも、昇進させる人間の目利きは非常に難易度が高いものです。
参考までに、以下は評価者がよく陥る「評価の落とし穴一覧」です。
「ハロー効果」「期末評価」「論理的誤認」「自己尺度評価」「中心化傾向」「寛大化/厳格化傾向」という6つのエラーが評価者には陥りやすいことを示したものです。人が人を評価することがいかに難しいかが分かるかと思います。
人間が人間を評価する以上、どれだけ注意しても昇進の際にエラーが生じる事はあり得ます。それを最小限に留める為にも、「役職ごとの人材要件」を明記する事で適切ではない昇進を最小限に留める事が大切です。
■育成の機会が提供されていない(CAN)
4つ目に、仮に昇進後に無能化したとしたとしても、次の役割に必要な能力を獲得する事が出来れば無能な人材は「有能化」することになります。だからこそ、新たな役割に必要な能力向上の機会を提供する事が大切です。
役割に求められる観点の提供はもちろんの事、能力向上を行う為の研修の設置がこれにあたります。特に、マネジメントに関する能力は昇進によって初めて求められる場合も多いため、組織側が事前に学ぶ機会を用意することが重要となります。
加えて、その1つ上の役割の人材が能力獲得に向けてフォローをするなど、常日頃から能力向上に向けたサポート体制が構築されているかどうかはチェックしてみると良いでしょう。
■無能化した管理職に評価されている(CAN)
最後に、ピーターの法則が生じる一つの原因として、無能な管理職に評価されているケースが挙げられます。
無能な管理職は、部下を正しく評価することができないので、ポストにふさわしくない人材を昇進させたり、優れたスキルを持つ人材を飼い殺しにしたりします。このような無能な管理職が幅を利かせている組織では、永遠に役職にふさわしくない人材が昇進し続けるということが起きるでしょう。
このような状態が続くと、無能な管理職の下で働く部下たちは、やがてその管理職の顔色を伺って仕事をするようになり、組織全体に悪影響を及ぼすことにもなりかねません。
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ピーターの法則を回避するための対策方法
それでは、ピーターの法則が顕在化してしまった、即ち「無能力化」した人材が現れた場合はどうすれば良いでしょうか?その場合は、先程の原因に即した以下の対応を行う事が有効です。それぞれ見ていきましょう。
■再度「キャリアビジョン」を言語化する(WILL)
「自分はどんなキャリアを歩みたいのか?(=To Be)」「そのためにはどんな能力やスキルが必要なのか?(=To Have)」「その能力やスキルを身につけるためにはどんな役割や仕事内容を任される必要があるのか?(To Do)」をもう一度言語化する必要があります。
そして自分が昇進することによって得られる意味を理解し、また得たいという願望を醸成することから始める必要があります。
再度キャリアビジョンを言語化した際、別のステップアップの道が見えてきた場合には、言わずもがな方向転換することも必要です。
■一度降格させる(MUST)
そもそも無能化の可能性の高い人材を昇進させている場合、評価体制や降格条件の見直しが必要になります。「降格条件」を定めた上での昇進であれば、もし昇進後に期待したパフォーマンスが発揮されない場合は前の役割からやり直す事が可能です。
もちろん新たな役割に慣れるまでは、昇進後にパフォーマンスを出せない期間もあるでしょう。自社内でどの程度の期間まで「猶予期間」とすべきか、その目安を持つ事も大切です。
仮に猶予期間を経ても無能化が続いている場合、降格を検討する事になります。
その際には、先んじて本人に降格のリスクを周知する事が大切です。急遽降格を言い渡されるとモチベーションダウンになりますが、猶予期間を設定し、それでも成果が出ない場合は、降格を実行するという合意を取ると良いでしょう。
また仮に降格を実行した場合、今後のキャリアプランや役割復帰の条件を併せて提示する事が重要です。仮にマネジメント適正のないプレイヤーであれば、スペシャリストとしてのキャリアパスを用意するのも1つの手段となります。
■役割ごとの人材要件を定義する(MUST)
新たな役割に求められる要素や基準が明確でない場合、役割ごとに求められる要件を明確にする事が有効です。
以下の図はリンクアンドモチベーションが「マネジメント」に求められる要素を可視化したものになります。この図では、マネジメントに求められる要素を大きく4つに分類しています。
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ビジョンマネジメント
経営×組織に関するマネジメント領域です。ビジョンの策定と浸透を行います。
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戦略マネジメント
経営×事業に関するマネジメント領域です。全社戦略や事業戦略の立案を行います。
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PDCAマネジメント
現場×事業に関するマネジメント領域です。業務計画の策定や職場の問題解決を行います。
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メンバーマネジメント
現場×組織に関するマネジメント領域です。メンバーの能力、意欲の向上を行います。
例えばマネジメントを担う役割に昇進させる際には、役割ごとに「どのマネジメント能力が必要か?」「どの程度の実績が必要か?」など観点と基準を明確にする事が大切です。それにより、そもそも昇進させるべき状態なのかが精緻に判断できるようになります。
また、昇進の際は「卒業形式(今の役割が出来ている場合、次のステージに上げる)」ではなく「入学形式(昇進後の役割を担える能力が身に付いた場合、次のステージに上げる)」を採択する事で、無能力化を予防する事に繋がります。
(参考)マネジメントとは?定義や役割・今後必要なスキルを解説
■能力向上の機会を提供する(CAN)
役割定義が定まった後には、「役職ごとのスキルアップ」の機会を提供することが大切です。仕事内容に対する教育制度を整えることで、試行錯誤をして成果が出ないという事態を防ぐことが出来るでしょう。
また、人材が無能化に至る背景には昇進意欲の低下も一因になりえます。「学習性無力感」と言い、活躍できていない状態が継続すると、人は新たな目標への挑戦を避ける傾向にあります。
そのような人材の意欲を高め、有能化への一歩を踏み出すためにも企業側が能力向上や課題解決の支援をする機会を提供し、キャリアの停滞期を短縮することが大切です。
■昇進する前に訓練をおこなう(CAN)
ピーターの法則を回避するためには、昇進する前に訓練をおこなうのも効果的です。特定の人材の昇進を検討する際、昇進する役職にふさわしいスキルや知見を習得できるよう、教育や研修の場を設けるようにしましょう。昇進する前から十分なスキルを備えている人材は少ないので、昇進前にトレーニングの期間を設けてスキル向上を図ることは重要です。
有能な人材が無能化しないための防止策
ピーターの法則を提唱するローレンス・J・ピーター氏は、有能な人材が無能にならないための4つの方策を示しています。それが、「ピーターの予防薬」「ピーターの痛み止め」「ピーターの気休め薬」「ピーターの処方薬」です。
■ピーターの予防薬
ピーターの予防薬とは、昇進による無能化を防ぐために、従業員にマイナス思考を持たせる方法です。「もし自分が出世したら?」という問いに対して、様々なデメリットを思いつかせることで、現在のポジションに満足させるように仕向けます。たとえば、「今のポジションだから自分は活躍できるんだ」「昇進したらきっと無理が生じるだろう」といった具合です。昇進へのモチベーションを低下させ、実際に昇進しなければ、現在のポジションで有能性を維持できるでしょう。
■ピーターの痛み止め
昇進したことで能力の限界を迎え、無能化してしまうのはピーターの法則でよく見られるパターンです。このような場合に役立つのがピーターの痛み止めです。ピーターの痛み止めとは、無能レベルに達しても幸せを維持する方法です。たとえば、研修を受講させてスキルを伸ばしたり、再び同じ課題を与えたりすることで、無能状態から脱出できる可能性があります。また、部署異動や配置転換などをおこない、仕事に対するまんねりや慣れ合いを防止することができれば、新しい可能性ややりがいの発見につながることもあります。
■ピーターの気休め薬
能力が限界を迎えてしまった従業員は、「終点到達症候群」という状態に陥ることがあります。ピーター氏は、それ以上の昇進が見込めないポストに就くことで、仕事の成果を上げることができない自分に直面し、劣等感に悩む状態を終点到達症候群と名付けています。終点到達症候群に陥ったときに有効なのが、ピーターの気休め薬です。たとえば、昇進だけに注力するのをやめて働く意味を考えるようにしたり、自分の仕事の尊さを再認識したりすることで、終点到達症候群の症状を和らげることができます。
■ ピーターの処方薬
上述した「ピーターの予防薬」「ピーターの痛み止め」「ピーターの気休め薬」の3つをすべて実行に移すことにより、無能化への到達を防ぐ方法が「ピーターの処方薬」です。従業員に、昇進することが幸せとは限らず、生活の質を向上させることが幸せなのではないかと気付かせます。従業員が昇進にこだわらず、日々の生活に幸せを感じるようになれば、会社でのパフォーマンスアップも期待できるようになるでしょう。
ピーターの法則と関連する法則
社会学にはピーターの法則と関連する法則が幾つかありますので、紹介します。
■ディルバートの法則
この法則はアメリカの漫画家であるスコット・アダムズが描いた「ディルバート」という漫画のキャラクターにちなみ、命名されています。
ディルバートの法則は「組織の損害を最小限にするため、あえて無能な人材を昇進させる」というものです。組織の運営を担っているのは組織の下部層の人材であり、上層部は生産性に関わらないからというのが主張です。
(生産性に寄与しない)無能な人材を管理職に就けることで、生産性を上げる他の社員の邪魔にならず、サービス品質の低下、顧客満足度の低下、周囲への悪影響などの害悪が少なくなるという話です。
有能な人材が昇進して無能になる「ピーターの法則」とは異なり、始めから無能であると評価されている人間を昇進させる(結果として無能化している)という所に違いがあります。
■パーキンソンの法則
こちらの法則は、政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンが提唱したものです。以下2つの法則がその内容になります。
第1の法則:仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
第2の法則:支出の額は、収入の額に達するまで膨張する
第1の法則は、仕事の量が増えていないにもかかわらず、英国の役人の数が一定割合で増加していることから導き出された法則です。仮に役人の人数が増えても何かしらの仕事が新たに創りだされ、一人当たりの仕事量の減少に繋がらなかったことが分かっています。
第2の法則は、予算財源を常に使い切り、税負担が増加し続ける国家財政状況から導き出された法則です。「人は時間やお金などの資源を、使い切るまで使ってしまう」ことを意味しています。
自分の能力の限界まで出世を続けるピーターの法則と、時間や収入の限界まで使い切ってしまうパーキンソンの法則は、切り口が違えど、人間の共通の性質を示していると言えるでしょう。
ピーターの法則についてわかる本
ピーターの法則に関する書籍をご紹介します。
■【新装版】ピーターの法則――「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由
ピーターの法則の提唱者であるローレンス・J・ピーター氏の著作。──なぜあの人は、昇進した途端ダメになった?ピーター博士の鋭い観察眼と深い洞察で組織にまつわる普遍の真実が明らかに!(「BOOK」データベースより)
■ピーターの法則 創造的無能のすすめ
ピーターの法則の提唱者であるローレンス・J・ピーター氏の著作。──階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する。ピーターの必然―やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる。仕事は、まだ無能レベルに達していない人間によって行なわれている。禁断の真実を暴く“階層社会学”の奇書。(「BOOK」データベースより)
記事まとめ
いかがでしたでしょうか?「人は能力の限界まで昇進を続け、最終的には組織全体が無能力化する」というピーターの法則の原因と対策を理解した上で対策を練り、無能力化の回避を行うことが大切です。
昇進して影響力を発揮する立場になるからこそ、昇進準備や能力開発の機会提供、学習意欲の向上などあらゆる手を打つこと。
そのような仕組みの強化がピーターの法則を打ち破り、組織エンゲージメントを下支えすることに繋がります。この記事が、皆様の会社運営の参考になったのであれば幸いです。
ピーターの法則に関するよくある質問
Q:ピーターの法則が組織に及ぼす影響とは?
「優秀な営業マンは営業マネジャーとしても優れているに違いない」という思い込みがあります。
このような思い込みを根拠に昇進させてしまうと、マネジャーのポジションで無能化し、成果を上げることができない営業組織が生まれます。このように、組織にピーターの法則が生じることで生産性の低下や業績の低迷を招くおそれがあります。
また、このようにして様々なポストが無能化した人材で埋まっていくと、若手の活躍の場が奪われることになります。その結果、有能な若手のモチベーション低下や離職も懸念されるようになるでしょう。
Q:ピーターの法則を防ぐため、降格人事をする際の注意点は?
ピーターの法則を防ぐ対策として降格人事は有効ですが、諸刃の剣でもあります。
降格人事は降格者のモチベーションを著しく低下させ、離職に至る可能性も少なくありません。それだけでなく、降格が不当だと訴訟を起こされるリスクもあります。降格人事をおこなうためには就業規則に規定があることが前提になりますが、規定があるからといってどんな降格人事でも有効になるわけではありません。
懲戒権の濫用だとみなされるケースもあるため、慎重な判断が求められます。