IT業界注目の「エバンジェリスト」とは?メリットや育成方法について
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「エバンジェリスト」という言葉をご存知でしょうか。昨今、IT業界において新しい職種として登場したエバンジェリストが注目を集めています。
本記事では、エバンジェリストの正しい意味、役割、登用することのメリットや必要な能力についてご紹介していきます。
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エバンジェリストとはどんな役職か
まずはエバンジェリストとは何なのか、概要を理解していきましょう。
「エバンジェリスト」とは、IT業界における職種の一つで、複雑で馴染みのないIT技術やプロダクトの価値をユーザーに分かりやすくプロモーションする役割のことを指します。
エバンジェリストの言葉のもともとの意味は、英語で「Evangelist=伝道者」です。キリスト教で用いられてきた言葉で、キリスト教の教えを人々に説き、信仰を広める人のことを指します。
例えば、宗教革命の中心人物として知られる神学者マルティン・ルターは、キリストの教えに回帰することを説く自身のことを「エバァンゲリスト」と呼びました。この言葉をIT業界に置き換えて、「IT技術を社内外に広く布教する」という意味合いで使われています。
■エバンジェリストが登場した背景
今でこそエバンジェリストのポストを設置する企業が増えてきていますが、エバンジェリストが登場した背景は何だったのでしょうか。
エバンジェリストを一番最初に起用したと言われているのは、今なおIT業界を牽引するアップル社です。1984年に、当時は一般的ではなかったパソコンを自宅で使うことの必要性や、自社の競合他社との優位性を、消費者達に説くことを目的としてエバンジェリストというポストが生まれました。
その後、アップル社に続き、マイクロソフト社もエバンジェリストを設置したことで、徐々にIT業界の中でエバンジェリストという役割が広まって行きました。
世界でも有名なビジネスパーソンとして知られるアップル社のスティーブ・ジョブズ、マイクロソフト社のビル・ゲイツも、エバンジェリストのひとりです。
■エバンジェリストの役割・重要性
エバンジェリストの役割は、「ITの技術的な内容を分かりやすく説明し、その重要性や有用性をユーザーたちに説くこと」です。
この役割が重要であり、注目されている背景には、IT業界の特徴があります。IT業界は、エバンジェリストの登場から絶え間なく技術が進化し続けている業界です。その進歩の速さゆえ、IT技術の内容を理解すること、キャッチアップし続けることは簡単ではなくなっています。
そのためIT業界では、消費者や交渉相手にプロダクトやサービスの価値を理解してもらうためには、難解なIT技術を分かりやすく説明する力が求められており、新たなビジネスチャンスを生み出すために必要不可欠な活動なのです。
エバンジェリストの仕事・活動内容
続いては、エバンジェリストの具体的な仕事内容・活動内容について理解していきましょう。
先程もご説明したように、エバンジェリストのミッションは、一般的には難しいIT技術の話題を分かりやすく説明し、その重要性や価値をユーザーに伝えることです。そのような目的を果たすためにエバンジェリスト達が担っている仕事内容を例として3つ紹介します。
仕事内容①プレゼンテーション
エバンジェリストたちにとって、イベント等でのプレゼンテーションは、彼らのミッションを達成するために最も根幹的な仕事です。TECHイベントや採用イベント等でプレゼンテーションを行い、自社の商品サービス、IT技術について説明をします。
ここでのポイントは、プレゼンテーションの目的は「相手の行動を引き出すこと」という点です。エバンジェリストはただサービス内容を説明するだけでなく、プレゼンテーションを聞いた相手がその価値や商品に共感し、購買などの行動を起こすことまでをゴールとしています。
仕事内容②プリセールスエンジニア
エバンジェリストの活動の2つ目として挙げられるのが、プリセールスエンジニアとしての活動です。
プリセールスエンジニアとは、顧客がサービスを導入する前や導入初期に、顧客に対して個別にデモンストレーションを行うなどして、サービスの機能や技術を説明し、提案を行う役割のことです。
エバンジェリストとして、サービスや技術の説明だけでなく、相手の共感や行動を引き出すために、ユーザー企業の課題や願望に合わせたサービスの提案をする必要もあります。
仕事内容③インナーマーケティング
エバンジェリストの役割として、インナーマーケティングをすることも重要です。先に説明した2つの活動は、主に社外に対して啓蒙活動をするものでしたが、エバンジェリストが啓蒙をする相手は社内にもいます。
自社の社員に対して、自社サービスのブランドイメージ、提供したい価値、事業としてのビジョンやミッションといった内容を説明し共通認識を持つことが、サービスに関わる社員のモチベーション向上や、業務クオリティの向上につながるのです。
ここまで説明をしてきたように、エバンジェリストとしての活動は様々です。しかし、一貫して言えるのは、アプローチする対象は社内外問わず、「サービスのビジョンやミッションを説く伝道師であること」だと言えるのではないでしょうか。
商品サービスの目指すビジョンやミッションを説き、社内外の人間をビジョンやミッションの実現に向けて巻き込んでいくという意味で言えば、エバンジェリストは「ビジョンマネジメント」を行う人物といってもいいかもしれません。
エバンジェリストと営業の違い
「商品サービスの価値を説明し、相手の購買行動を引き出す」という意味では、エバンジェリストは営業と同じなのではないかと考えられがちです。
しかし、エバンジェリストと営業には、「ターゲット」と「ターゲットとの関わり方」において違いがあります。それぞれについて説明をしていきます。
■ターゲットの違い
一般的に営業のターゲットは、自社の商品サービスの取引先や購入を考えている「顧客」で、彼らの購買活動を引き出すことがミッションとなります。
一方でエバンジェリストのターゲットは、「不特定多数の人々」である場合がほとんどです。主な活動場所が、セミナーやイベント、ソーシャルメディアなどであることがその違いを生んでいます。
■ターゲットとの関わり方の違い
ターゲットが異なっていることで、ターゲットとの関わり方にも違いがあります。
営業は「顧客」に対して、最初の接触から受注までを一貫してフォローをすることが一般的です。ひとりひとりの「顧客」の課題や願望を丁寧にヒアリングし、最適な提案をすることが営業の役割になります。
それに伴い、営業は担当できる顧客の数が比較的少なくなるという特徴があります。
一方、エバンジェリストは不特定多数の顧客をターゲットとします。商品サービスについての説明や技術的説明を求める人が集まる場所へ出向き、大衆へのプレゼンテーションを繰り返していくことによって、業界全体の課題や願望を把握し、その実現に向けて商品サービスの価値を伝えていきます。
その他の役職との違い
エバンジェリストは、特定の技術や製品、思想を熱心に広める役割を担い、企業や業界内でその使命感を持って活動します。彼らは、新しいアイデアや技術の導入を推進し、広範なコミュニティや顧客との強い関係を築くことを目的としています。
広報との違い
広報(PR)担当者は、企業のイメージやブランドを管理し、公衆との関係を維持することが主な役割です。広報は一般的にメディアを通じて企業のニュースや情報を広めることに重点を置き、企業の公式見解や危機管理を担当します。
一方、エバンジェリストは製品やサービスの特定の側面に焦点を当て、その魅力や利点を情熱的に伝えることで、直接的に顧客や利用者の支持を集めることを目指します。彼らはしばしば非公式な環境で活動し、対話やデモンストレーションを通じて関心を喚起します。
アンバサダーとの違い
アンバサダーは、ブランドや組織の代表者として、そのイメージを正の方向に導く役割を持ちます。しばしば著名人やインフルエンサーがこの役割を担い、彼らの個人的な影響力を使って製品やサービスを推奨します。
エバンジェリストと異なり、アンバサダーの活動はしばしばマーケティング戦略と密接に関連しており、契約に基づいて特定のブランドを宣伝することが多いです。一方、エバンジェリストはその分野に深い知識を持ち、技術や製品の深い理解に基づいて情報を提供します。
KOL・KOCとの違い
KOL(Key Opinion Leader)は特定分野の専門家であり、その意見が広範囲にわたる影響を持ちます。彼らはしばしば学術的または専門的な背景を持ち、その意見が業界内で広く尊重されています。KOC(Key Opinion Consumer)は消費者の中で影響力を持ち、他の消費者に対して意見を共有することで製品選択に影響を与えます。
エバンジェリストとは異なり、KOLやKOCは一般に独立した立場から意見を提供し、特定の製品や技術を盲目的に推進するよりも、客観的な評価を行うことが期待されます。
エバンジェリストに必要なスキル
エバンジェリストに必要なスキルは様々です。ITに関する専門知識はもちろんのこと、知識を継続的に学び続ける探求力や、対人コミュニケーション能力も求められます。
ここでは、エバンジェリストを「商品サービスのビジョンやミッションを説く伝道師」であると定義し、伝道師として商品サービスのビジョン・ミッションを語る際に重要なプレゼンテーション能力のポイントについて解説をしていきます。
■聞き手の態度変容を促す3ステップ「Unfreeze → Change → Refreeze」
エバンジェリストとして、難しいIT技術の話題を分かりやすく説明し、聞き手の共感や聞き手に対してエバンジェリスト側の意図した行動を引き出すためには「Unfreeze→ Change → Refreeze」というプレゼンテーションの構成を意識することがポイントです。
Unfreeze(解凍):時間軸や空間軸という観点で、相手の認識を相対化する
Change(変化):目標の魅力や考えうるリスクに対する安心感を与え、聞き手の共感を得る
Refreeze(再凍結):集団の力や習慣の力を利用して、聞き手の実際の行動を促す
「Unfreeze→ Change → Refreeze」は、心理学者のクルト・レヴィンが提唱した考え方に基づいています。
例えば、四角い氷を丸い氷に変えたいと思ったとき、四角い氷にいきなりアイスピックでChange(変化)させようとすると、割れてしまいます。割れなかったとしても、きれいな丸い氷には程遠いでしょう。ではどうするか。四角い氷を一度解凍して水に戻し、丸い型に水を流し込み、そして再凍結で凍らせる。そうすると、四角い氷がきれいな丸い形に変わります。
つまり、いきなり商品や技術の素晴らしさ(=Change)を伝えたとしても、聞き手が「これから将来のことを考えると、こういう技術/商品が今求められているんだな。従来の商品を見てもこういう技術はまだ世の中にないな。」とその商品や技術の素晴らしさを理解できる土台/前提が整っていなければ、伝えたいはずのメッセージが届かなかったり、意図しない誤ったかたちで伝わってしまったりします。
また、人間は過去慣性がある生き物なので、一度その商品や技術の素晴らしさを理解できたとしても、実際にそれを手にして使ってみることまで行動をすぐに変えることができる人は多くありません。そこで集団の力や習慣の力を利用して実際の行動を促すような内容をプレゼンテーションに入れ込むことがポイントです。
■ビジョン・ミッションを魅力的に語るフレーム「STORY」
エバンジェリストとして商品サービスのビジョン・ミッションを多くの人々に魅力的に説明するには、「STORY」という5つの観点を意識することがポイントです。
- Score(数値):客観的な数値を使って語る
- Time(時間):過去や未来の出来事を用いて語る
- Other Words(比喩):異分野の話に例えて語る
- Relation(対比・アンチテーゼ):アンチテーゼを明確にして語る
- Youth Youth Experience(過去の原体験):自分の経験から感じたことを赤裸々に語る
上記のポイントを抑えることで、IT技術という一見難しい内容でも、一般的な事柄に例えながら、分かりやすく印象に残るプレゼンテーションをすることができます。
■例:モチベーションクラウドのミッションを語る場合
・Score(数値):客観的な数値を使って語る
100年前、世界の平均寿命は「37歳」でした。
時は流れ、現在の世界の平均寿命は「70歳」にまで伸びています。
この劇的な変化は、何によってもたらされたか分かりますか?・・・
・Time(時間):過去や未来の出来事を用いて語る
組織の問題は、これまでの歴史でも多くの人を悩ませてきました。
遡ればエジプトのピラミッドを建築する際にクフ王は奴隷の扱い方に頭を悩ませていたはずです。
そして時は流れ現在。老若男女誰もが、一度は組織との関わり方に頭を悩ませたことがあるでしょう。
恐らく100年後も、人は組織の関わり方に苦しんでいるんじゃないでしょうか。
・Other Words(比喩):異分野の話に例えて語る
この100年で人類の寿命は劇的に延びました。その理由の一つに「医療」の進歩が挙げられます。
ペニシリンによる「抗生物質」の発見やレントゲンによる「X線」の発見は
人類と病との戦いに大きな進展をもたらしました。
しかし、こと「組織」の問題においては、画期的な技術はまだ確立されていません。
・Relation(対比・アンチテーゼ):アンチテーゼを明確にして語る
個々人が組織との一体感を感じている時には、組織は人に至上の喜びをもたらします。
しかし、個々人が組織との心理的距離を感じてしまっている時、組織は最大の悩みの種となるでしょう。
世の中の殆どは、組織と個人の関係に対して明確な打ち手を持っていません。
だからこそ、組織の個人の関係を紐解き、組織がもたらす喜び最大化するための技術が求められているのです。
・Youth Youth Experience(過去の原体験):自分の経験から感じたことを赤裸々に語る
「どのようにすれば業績が向上するのか」そればかり考えていた際に、ひとり、またひとりと仲間が組織を去っていく選択をしていきました。
その出来事があってから、まずは自組織に向き合うことにしたのです。
一人ひとりがなぜこの組織に属することを選び、日々何に喜びや苦しみを感じているのか。
それを理解するようにしてからは、少しずつ組織に活気が戻りました。
結果として、何をしても向上しなかった業績も、組織の活気と共に向上することになったのです。
エバンジェリストになるには
エバンジェリストには、特定のテーマ・分野について深くかつ幅広い知識が求められるため、関連情報も含め、最新のトレンドを常に学び続けなければいけません。たとえば、ITエバンジェリストになるなら、IT業界やITテクノロジーに関する専門性が不可欠です。また、自分の知見やアイデアを分かりやすく伝えるための高度なコミュニケーションスキルやプレゼンテーションスキル、発信力も求められます。
通常は、ITエンジニアやITコンサルタントなどの職種を長年経験した人が、キャリアアップしてITエバンジェリストになるのが一般的です。ITエバンジェリストとして活躍した人が、後に企業のCIO(最高情報責任者)として経営に携わるケースも少なくありません。
社内にエバンジェリストがいる場合のメリット
エバンジェリストを登用することのメリットはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは代表的なメリットを3つご紹介します。
メリット①製品やサービスの価値向上
エバンジェリストを登用することで、最新のIT技術や知識が社内に蓄積されます。これらの知識を自社の商品サービスに反映することで、商品サービスの付加価値向上や新規商品開発のチャンスも期待できます。 商品サービスの価値に磨きをかけることで、競合他社との差別化を図り、顧客からの信頼を構築していくことができるでしょう。
メリット②社員が成長しやすい
エバンジェリストがインナーマーケティングとして、社内への働きかけを行うことは、社員のIT技術に関する能力向上や意欲向上を期待することができます。一見とっつきにくいと思われがちな技術的な知識を社員が理解することで、社内の能力の底上げができるでしょう。 また、エバンジェリストが積極的に活動することで、普段は裏方として扱われがちな現場のエンジニアにスポットライトが当たりやすくなるため、エンジニアたちが自分たちの業務の価値を再確認し、彼らのモチベーション向上につながるとも考えられます。
メリット③企業認知度が高まる
エバンジェリストは社外に対して主にアプローチをするため、エバンジェリストが発信する商品サービスだけでなく、企業そのものの認知度も同時に上がることが期待できます。 エバンジェリストは不特定多数に対してアプローチをするため、これまで接触できなかった潜在的な顧客に対しても認知度を高められる可能性があります。また、企業ブランドが高まれば、業界内で確かなポジションを得ることができるでしょう。
【参考資料のご紹介】 エンゲージメント向上に成功した企業・部署のトップが実際に語った事例資料「日本一働きがいのある会社~部署が変われば企業が変わる~」はこちらからダウンロードいただけます。
社内でエバンジェリストを育成する際のポイントは?
エバンジェリストを効果的に育成するためには、特定のポイントに注意を払うことが重要です。ここでは、エバンジェリスト育成のための主要な三つのポイントを詳しく解説します。
適性人材の選出
エバンジェリストとして成功するためには、候補者が持つ適性が非常に重要です。選出する際には、情熱とエンゲージメントのレベルを評価する必要があります。エバンジェリストには、製品やサービスに深い愛着を持ち、それを外部の人々に伝えるためのコミュニケーションスキルと熱意が求められます。
また、彼らは自発的に学び、自分の知識を常に更新し続ける意欲も必要です。選出プロセスにおいては、これらの特性を持つ候補者を見極めることが肝心です。
経営方針やブランドに対する深い理解
エバンジェリストは企業の顔としての役割も担うため、経営方針やブランドの価値に対する深い理解が不可欠です。
彼らが企業のビジョンや使命を完全に理解し、それを自分の言葉で語れるようにするために、経営層は透明性を持って情報を共有し、定期的なトレーニングやワークショップを提供するべきです。この深い理解が、外部の人々との信頼関係を築く基盤となり、エバンジェリストの説得力を高めます。
育成プログラムの導入
効果的なエバンジェリストを育成するためには、専門的な育成プログラムの導入が効果的です。このプログラムは、製品知識、市場動向、競合分析、そしてプレゼンテーションやパブリックスピーキングなどのコミュニケーションスキルをカバーする内容で構成されるべきです。
さらに、実践的なトレーニングを通じて、実際のシナリオでの対応能力を高めることも重要です。こうした継続的な教育と実践の機会を提供することで、エバンジェリストは自信を持って彼らの役割を果たすことができるようになります。
エバンジェリストを採用する際の注意点
エバンジェリストを採用する際の注意点についてご説明します。
役割・目的を明確にする
上述のとおり、エバンジェリストは商品・サービスの価値を分かりやすく説明するという意味で、営業と似た職種だと捉えられがちです。しかし、営業とは目的も役割も異なっています。
営業の目的は自社商品・サービスの購買・成約を促すことであり、そのために顧客に対して情報提供をおこないます。一方、エバンジェリストは特定分野の専門家として不特定多数に対して情報提供をおこないます。自社の商品・サービスに限定せず、他社商材や業界の動向も含めて情報提供をすることがエバンジェリストの役割であり、中立的な立場が求められます。エバンジェリストの採用を成功させるためには、目的や役割を明確にしたうえで採用活動をおこなうことが大前提になります。
どの分野のエバンジェリストを採用するかを明確にする
エバンジェリストは特定分野の専門家です。ひと言でITと言っても幅広いため、「どの分野のエバンジェリストを採用するのか?」を明確にしなければいけません。IoTやクラウド、AIやデータサイエンス、セキュリティやサイバーリスクマネジメントなど、得意分野や担当分野を分けて複数のエバンジェリストを配置している企業も少なくありません。どのような分野に、どの程度のレベルで精通したエバンジェリストを採用するのかを明確にしたうえで採用活動を進めることが重要です。
エバンジェリストの活用事例
エバンジェリストの活用事例についてご説明します。
日本マイクロソフト
エバンジェリストという言葉が浸透する前から、エバンジェリストを活用している先進的な企業が日本マイクロソフト社であり、同社のエバンジェリストとして有名なのが西脇資哲氏です。西脇氏は2009年に同社に入社後、マイクロソフト製品すべてを扱う唯一の日本人エバンジェリストとして活動しており、2014年より業務執行役員を務めています。日本でエバンジェリストという存在を確立させた立役者であり、多くの最新テクノロジーを伝え広めるカリスマエバンジェリストです。独自のプレゼンメソッドには定評があり、年間約250の講演・セミナーをおこなっています。
サイボウズ
サイボウズは「kintone エバンジェリスト」という制度を設けています。kintone エバンジェリストは、サイボウズが提供している業務アプリ構築クラウドサービス「kintone」に関する豊富な知識を持ち、かつkintoneに関する情報を発信し続けているエンジニアをサイボウズがエバンジェリストとして公認する制度です。上述の日本マイクロソフトが自社の社員(執行役員)をエバンジェリストとして活用しているのに対し、サイボウズは社外の人をエバンジェリストとして活用しており、どちらかと言えば「アンバサダー」としての色彩が強いエバンジェリストだと言えます。
組織の診断・改善のサイクルを回す、【モチベーションクラウド】がわかる動画はこちら
記事まとめ
いかがでしたでしょうか。エバンジェリストを登用することで、自社の商品サービスの魅力をより分かりやすく魅力的に伝えることができます。
そのためには、エバンジェリストの役割をきちんと理解し、適切なスキルを持った人材を登用することが必要です。この記事がエバンジェリスト登用のヒントになれば幸いです。
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エバンジェリストに関するよくある質問
Q:エバンジェリストとアンバサダーの違いは?
アンバサダーは「大使」という意味を持っており、ビジネスにおいては、ファンの代表として商品・サービスを広く普及する役割を担う人のことを指します。アンバサダーになるのは社外のユーザーであり、企業や自治体などから任命され、通常は無償で広報・宣伝活動をおこないます。エバンジェリストも同様に、商品・サービスを広く普及させる存在ですが、社内の従業員や役員がエバンジェリストとして活動するのが一般的です。
Q:エバンジェリストに求められる資格は?
エバンジェリストとして活動するために取得しなければいけない資格はありません。ですが、難易度の高いIT系資格を取得していれば、高度な専門性を有している証になります。プロジェクトマネージャーやITストラテジスト、システムアーキテクトなどの資格は保有していて損はないでしょう。また、ITテクノロジーに関する最新情報は英語で発信されるケースが多いため、英語力がある人のほうがエバンジェリストとして知識の幅が広がるでしょう。