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【前編】三井物産における、女性活躍を後押しする育成手法 -役職にとらわれないリーダーシップ開発の秘訣-

「人の三井」と言われるほど、人間力や多様な個々人、一人ひとりが抱く想いを大切に考えている三井物産株式会社。この三井物産、およびグループ会社を対象に人材開発を提供しているプロフェショナル集団が三井物産人材開発株式会社です。

今回は、同社で人材開発部長を務める佐々木孝仁氏をお招きし、「三井物産が挑戦する女性の活躍・成長を後押しする新しい育成手法とは?」をテーマにオンラインセミナーを開催。自分を理解し、より良い形に自分を変革していける「自己変革リーダー」の育成など、実際に取り組んでいる人材育成手法・リーダーシップ開発手法について語っていただきました。

【セミナー実施日】
2021年6月22日

【スピーカープロフィール】
・三井物産人材開発株式会社 人材開発部長 佐々木孝仁 氏
・株式会社リンクアンドモチベーション 組織開発デザイン室 エグゼクティブディレクター 樫原洋平

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三井物産グループを支える人材育成・組織開発のプロフェッショナル集団

リンクアンドモチベーション 樫原:はじめに、三井物産人材開発様の会社紹介、事業紹介をお願いします。

三井物産人材開発 佐々木氏:三井物産人材開発株式会社は、三井物産の100%子会社で従業員45名の会社です。

三井物産の人事総務部と連携して三井物産グループに対して人材開発・組織開発を提供するほか、人材開発に関するコンサルティングや外国語翻訳、英文添削などの事業も展開しています。三井物産の人事総務部の一つの機能を担う子会社であるという点は、弊社のユニークなところだと思います。

三井物産人材開発株式会社が設立された背景として第一にあったのが、「人材開発に関する知的資産を蓄積・活用していきたい」という意図です。

人材開発・人材育成というのは息の長い取り組みであるにもかかわらず、三井物産やグループ会社の人事部門にはジョブローテーションがあり、数年おきに育成担当者が変わってしまうので、どうしてもナレッジが蓄積されていかないという課題がありました。

専門的な知見を蓄積し、長い目で人材開発・人材育成に取り組んでいくことが、我々が専門子会社として設立された大きな目的です。

もう一つの目的は、三井物産の社員だけでなく、三井物産グループ全体に対してもプロフェッショナルとして人材開発・組織開発を提供していくことです。三井物産の人事総務部と連携しながら、グループ全体の人事機能の一翼を担い、人材開発の専門性を高めているのが弊社の特徴です。

三井物産人材開発が掲げているのが、「サイエンスと思いやりで人の成長を支援する」いうスローガンです。

サイエンスというのは、理論やデータに基づいた人材育成という意味で、思いやりというのは、個別化・多様化が進む時代において、一人ひとりの成長に向き合って支援していくということです。

この2つを掛け合わせながら、三井物産および三井物産グループに適した人材開発を提供しています。

また、人材開発に関する専門性を強化するために学会で共同研究発表をおこなったり、蓄積した知見をnote (※) で社会に発信したりする活動もおこなっています。

※三井物産人材開発株式会社note:https://note.com/mitsui_hrd/

リーダーシップ開発は「なってから」では遅い

リンクアンドモチベーション 樫原:リーダーシップ開発について、どのような課題感をお持ちでしたか?

三井物産人材開発 佐々木氏:女性に限った話ではありませんが、リーダーシップ開発は「なってから」では遅いという問題意識がありました。

現状は「プレイヤーからマネジャーになったからリーダーシップを発揮しなきゃ」というように、リーダーシップが役割と紐づいているケースが多いと思います。それゆえ、その役割になったときにリーダーシップを学べばいいと考えられがちですが、それでは遅いんです。

リーダーになってからスキルを得て、リーダーシップを発揮していこうとしても、どうしても後手になってしまいます。

リーダーシップを「組織目標の達成に向けた他者への影響力」と定義するならば、役職や権限、責任にかかわらず誰でも発揮できるものであるはずです。なおかつ、そのようにマインドをチェンジしていかないと、いざリーダーシップが必要になったときに発揮できません。

マインドチェンジができていない人は、「リーダーの人がリーダーシップを発揮すればいいよね」というように、どうしても受け身の体質になってしまうんです。このような点は、非常に大きな課題だと捉えていました。

三井物産では全社的に「Mitsui Leadership in Action」というリーダーシップに関する行動基準を定めています。これは、「リーダーシップは役割を持っているマネジャーだけのものではなく、全員が発揮するものである」というパラダイムへのシフトを促すものです。

リンクアンドモチベーション 樫原:今回のセミナーが「女性の活躍・成長を後押しする育成手法」というテーマなのですが、そもそも三井物産が業務職の女性の活躍・成長を後押ししようと考えたのはなぜでしょうか?

三井物産人材開発 佐々木氏:三井物産の業務職というのは、スペシャリストとして貿易事務や関係会社管理の実務をおこなったりする職掌で、そのほとんどが女性です。

三井物産を取り巻く激しい環境変化に合わせ、過去20年間、業務職に関する人事制度は繰り返し改定されてきました。

業務職社員のなかには、「なぜ自分はこの仕事をしているのかわからない…」とモヤモヤしている方、変化に対応できず「これから自分はどうすればいいのだろうか」とモチベーションを維持できない方もいました。

これからの時代は、会社が求める役割に沿うだけでは変化に適応していくことはできません。そのため、業務職として、自らを主体的に変革していけるリーダーシップが必要なのではないかという結論に至りました。

役職にとらわれない、業務職向けのリーダーシップ研修の新設

リンクアンドモチベーション 樫原:業務職社員向けに、具体的にどのような施策をおこなったのでしょうか?

三井物産人材開発 佐々木氏:業務職向けのリーダーシップ研修を新設しました。三井物産の業務職はラインマネジメントに携わる職掌ではありませんが、リーダーシップをテーマにした研修を設けたんです。

この研修の目的は、「自己変革リーダー」になるために必要な知識・マインドを習得し、業務職における「強い個」のロールモデルとなるというものでした。

誰かがロールモデルになってリーダーシップを発揮していくことで、その人の影響を受け、他の人も「私もやってみよう」という雰囲気が生まれることを期待しました。

「自己変革リーダー」というのは、組織にアプローチする前に自分自身をしっかりと理解し、自分の強み・弱みを認識したうえで、より良い形に自分を変革していける人という意味合いです。ひと言で言えば、マインドセットを自ら変革してリーダーシップを発揮できる人ですね。

このリーダーシップ研修を通して身に付けて欲しい能力が3つありました。「変化対応力」「主体的挑戦力」「リーダーシップ」の3つです。

変化対応力は、激しい変化に対応していく力、自ら変化を捉えて動いていく力です。主体的挑戦力というのは、誰に言われるでもなく自ら課題を設定し、自分で挑戦していく力です。リーダーシップは先ほど申し上げたと おり、「リーダーシップはリーダーだけのものじゃない。じゃあ、自分は何ができる?」ということを考え、実践していく力です。

半年にわたる研修で「自己変革リーダー」を目指す

リンクアンドモチベーション 樫原:業務職向けリーダーシップ研修の全体像を教えていただけますか?

三井物産人材開発 佐々木氏:業務職向けリーダーシップ研修は約半年にわたる研修で、大きく「リーダーシップ養成講座」「業務職向けケーススタディ」「授業構築ワークショップ」「メンタリングセッション」という4つのメニューを提供するものです。

リーダーシップ養成講座は「リーダーシップとは」に始まり、「伝える力」「チームワーク力」「やりきる力」などの要素を学んでいきます。

業務職向けケーススタディは、我々が業務職の方を主人公としたケースを用意して、その実例に基づいてリーダーシップを発揮する方法を学んでいくものです。授業構築ワークショップは、「働くとは?」をテーマにした授業を大学生に向けておこなうワークショップです。

様々なスキルやケーススタディ、ワークショップなどを有機的につなげながらリーダーシップを深く考察し、自分に必要なリーダーシップを学んでいく構成になっています。

リンクアンドモチベーション 樫原:業務職向けリーダーシップ研修の参加者はどのように募ったのでしょうか?

三井物産人材開発 佐々木氏:意欲のある方からの自由応募で申し込んでいただきました。その際に「どのように成長し、どのように会社に貢献したいか。そのために研修に何を期待するか」という1200字程度のレポートをお願いしました。三井物産の業務職は全体で1,200人ほどいるのですが、今回の研修に参加したのは女性18名です。

「なぜ私は働くのか?」を大学生に伝えるために内省し、自己理解を深める

リンクアンドモチベーション 樫原:業務職向けリーダーシップ研修のなかでも、特にユニークな取り組みが「授業構築ワークショップ」だと思います。このワークショップについて詳しく教えていただけますか?

三井物産人材開発 佐々木氏:授業構築ワークショップは、まず「授業構築セッション」をおこない、その後「大学生向け授業」を実施します。

授業構築セッションの目的は、自分自身を見つめ直し、より深い自己理解を促すことです。自己理解がリーダーシップの一丁目一番地と言われますので、まずはリーダーシップのベースになる自分らしさを探求していただこうというセッションになります。

参加者のみなさんに「自分の原点」「自分の歴史」「やりがい」を探求していただいたうえで、「未来を引き寄せる」ということで今後どうありたいのかを考えてもらいます。

最後のステップである「伝える相手とスキルを知る」では、リンクアンドモチベーションさんにご協力いただき、伝えるための方法論を教えていただきました。

その後、授業構築セッションの流れでできたコンテンツを基にして、「働くとは」をテーマに大学生向けに20分の授業をおこなっていただきます。

大学生、特に就活と関係のない1-2年生は忖度がないと言うか、どこかから借りてきた言葉や、どこかで聞いたことあるようなメッセージだと全然伝わらないんです。

自分らしさを深く内省し、その上で、「自分はこの会社で何をしたかったのか」「なぜ私はこの職場で働くのか?」ということと時間をかけて向き合った上でのエピソードや言葉によって授業を構築しなければ響きません。

こうした、彼らに響く授業を構築するプロセスで深く自分のキャリアについて内省し、自分の言葉で語ることこそがリーダーシップのベースになっていくと考えています。

授業構築ワークショップの際は、18名の参加者を3人ずつのグループに分けました。3人が時間をかけて話し合い、過去・現在・未来を共有し、それを大学生に伝えるために何度もリハーサルをおこないます。

この3人グループというのが重要で、自分では気付けない視点を他の2人に気付かせてもらうこともありますし、仲間意識の醸成にもつながります。当日は、他のメンバーがおこなう授業を「頑張って」と念じながら見守るような雰囲気も感じられましたね。

※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等はイベント実施当時のものです。

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