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週休3日制とは?メリット・デメリットは?導入方法や企業事例も紹介


目次[非表示]

  1. 1.週休3日制とは?定義や注目される理由は?
  2. 2.週休3日制のメリット
  3. 3.週休3日制のデメリット
  4. 4.週休3日制のパターン
  5. 5.週休3日制を取り入れた企業事例
  6. 6.週休3日制を導入・検討するときのポイント
  7. 7.記事まとめ


近年一部の企業で先行的に導入が始まり、注目を集めている週休3日制。

本記事ではなぜいま週休3日制が注目されているのか、そのメリット・デメリット、導入時に押さえておくべきポイントなどを事例を踏まえご説明していきます。

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週休3日制とは?定義や注目される理由は?

■週休3日制とは?

週休3日制とは多くの企業などが採用している週休2日に加え、週内の休日をさらに1日追加し週休を3日とする制度のことです。近年では一部の企業が先行的に導入を進めるなど、注目を集めています。

■週休3日制が注目される背景

週休3日制が注目されるようになった背景の一つに、2021年6月に閣議決定された政府の「骨太の方針」に選択的週休3日制が盛り込まれたことが挙げられます。

2021年6月以前も自民党内の会議で議論がなされ注目を集めていましたが、「骨太の方針」に盛り込まれたことで週休3日制が現実味を帯び大きな注目を浴びています。

日本では終身雇用が崩壊し、非正規雇用割合の増加・人材の流動化が進んでいるため、企業単体での人材育成は難しくなってきています。また長寿化に伴い、働く年数も長くなっていますが、変化の大きい中では絶えず能力開発を行いスキルアップを行っていく必要があります。

この観点から政府はリカレント教育(学び直し)の強化を重要視しており、大学などの教育機関での学び直しや、副業・兼業の推進を通じた能力開発を推し進めようとしています。

ただ現状の週休2日のフルタイム勤務でリカレント教育を推進することは、時間の制約上難しく、また健康面での負荷がかかってしまうため、選択的週休3日制という選択肢を用意しリカレント教育を推進しようとしているのです。

■参考:組織変革の観点から見る週休3日制

週休3日制を組織変革の観点からも見てみましょう。週休3日制はリカレント教育推進の文脈とは別で、労働生産性向上を促す施策として政府が推進しているとも解釈することができます。その中でも特に再生モードの企業の労働生産性向上に寄与する施策としても捉えることができます。

前提の話となりますが、リンクアンドモチベーションでは企業のモードを下記3つに分類しています。企業は規模・業種に関わらず同じ成長の軌跡を辿り、それぞれのモードで乗り超えるべきハードルには一定の共通点があります。

拡大モード:ニーズの急増に対応するため一気に事業規模を拡大するモード

多角モード:新市場の進出や新商品の提供を行い派生事業で多角化するモード

再生モード:市場の成熟を受けて旧事業のリフォームを行う再生モード

再生モードの企業における組織変革のセオリーの一つに、評価制度や報酬制度等の管理制度の変更が挙げられます。具体的には「時間によるペイ=Pay for time」から「成果によるペイ=Pay for performance」とし成果主義の要素を盛り込んだ制度へ変更を行うケースが多いです。

一般的に組織変革を行う上で管理制度の変更から着手するのは稀です。一方で組織を過去慣性から大きく引き離して改革を推し進めたい場合は、管理制度から変更を行うケースがあります。

管理制度は従業員の行動を規定するルールであるため、人材育成や人材配置よりもドラスティックな変化が起きやすいからです。

今後の労働人口減少が目前に迫り、労働生産性向上は喫緊の課題と言えます。日本に根強く残る「Pay for time」という労働観を「Pay for performance」へと変えるため、政府があえて管理制度から変革を主導しているという見方もできるでしょう。

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週休3日制のメリット

ここまでは週休3日制の定義と注目を集める背景をご説明しました。続いて週休3日制がもたらすメリットについてご説明します。

■イノベーションが促進される可能性がある

週休3日制が導入され休日が1日増えることにより、意欲的な従業員は自己研鑽に充てる時間を増やすことができます。大学や専門学校等の教育機関での学び直しや、副業・兼業を行うことを通じて自身のスキルアップを図ることができます。

会社側としても従業員が本業以外の時間を使い能力開発を行うことで、これまでとは違った視点でのアイデアが生まれたりイノベーションの創出につながったりする可能性があります。

また自己研鑽のみならず、休日を利用してリフレッシュし業務にモチベーション高く向き合うことで、生産性が高まる可能性もあります。

■多様な働き方を選択できるようになる

週休3日制を導入することにより、これまで子育てや介護によりフルタイムで働くことが難しかった人材にも柔軟な働き方を提供することができます。

従業員にとっては短時間でも働ける環境を用意されることで仕事を継続しやすくなり、会社側にとっても子育てや介護を理由に離職することを防ぐことができます。

週休3日制のデメリット

■ビジネスチャンスが減る可能性がある

現状日本において週休3日制を導入している会社は少数派のため、休業日が多いことにより顧客とのコミュニケーションにタイムラグが生じる可能性があります。

アポイントが自身の休業日と被ってしまい実施できず、その間に競合に顧客を奪われてしまうというケースも大いに考えられます。

また顧客とのコミュニケーションに限らず、社内の部署間でコミュニケーション不足が発生すると、業務が停滞しスピード感ある事業運営の妨げになる可能性があります。

■導入に際しては周辺制度の整備が必要になる

仮に選択制週休3日を導入した場合、週休2日の社員と週休3日の社員が混在することになり、勤怠管理が複雑化し、勤怠管理部門の担当者に大きな負担がかかる可能性があります。

就業規則の見直しや副業・兼業の可否の判断含め、導入に際しては周辺制度の整備が必要となるためその工数の大きさはデメリットの一つといえるでしょう。

週休3日制のパターン

ここまでは週休3日制のメリット・デメリットをお伝えしてきました。ここからは週休3日制のパターンについてご説明します。週休3日制には大きく分けて下記3つのパターンがあります。

■パターン1:給与減額型

労働時間が減り、その分給与も減少するパターンです。

・給与減額型の運用例

1日あたりの労働時間はこれまでの8時で変更なく、給与は勤務日が週5日から4日に減る分、基本給も2割減るパターンが一例として挙げられます。

■パターン2:労働時間維持型

1日あたりの労働時間を増やすことで、給与はそのままで休日を増やすパターンです。

・労働時間維持型の運用例

1日あたりの労働時間を8時間から10時間に増やして週あたりの労働時間は同じにし、給与は変動がないパターンが一例として挙げられます。

■パターン3:給与維持型

労働時間を減らし、給与もそのままのパターンです。

・給与維持型の運用例

給与は据え置きですが、労働時間が純減するため生産性向上施策を並行して運用するのが一例として挙げられます。会議の短時間化等の取り組みとセットで行われることが多いです。

週休3日制を取り入れた企業事例

■みずほフィナンシャルグループ

みずほフィナンシャルグループは労働時間を減らし、その分給与も減少する「給与減額型」の選択制週休3日を導入しています。週休3日を選択した場合、給与は従来の8割、週休4日を選択した場合は従来の6割となるそうです。

昨今の銀行が直面している状況の厳しさから、人件費の削減施策として取り沙汰されるケースもありますが、本来の狙いとしては休日が増えた分、学び直しや資格取得などでスキルアップを図り、2019年に解禁した副業と併せて今後の業務の充実やセカンドキャリア形成につなげることを後押しする狙いがあります。

■リクルート

リクルートは労働時間を7.5時間から8時間に延長し、年間の総労働時間と給与の変動がない「労働時間維持型」の週休3日を導入しています。

リクルートは、増加した分の休日の使い方は社員に任せており副業や自己成長、子育てや介護など、自身のライフプランの都合に合わせて使用してほしいと狙いを明かしています。

一人一人の自主性に任せていくリクルートの組織風土を表す人事制度だということができるでしょう。

■日本マイクロソフト

日本マイクロソフトは労働時間を減らし、給与は変わらない「給与維持型」の週休3日を2019年実験的に試行していました。同社の取り組みでは労働時間が純減となるため、労働生産性を上げる取り組みを複数行いました。

会議時間を1時間から30分に短縮する試みや、会議の参加者を最大5名にすることを推奨するなど、複数の労働生産性向上の取り組みを行い、社員からは取り組みを評価する声が大半を占める結果となりました。

週休3日制を導入・検討するときのポイント

ここまでは週休3日制を導入する企業の事例をお伝えしてきました。ここからは週休3日制を導入・検討するときのポイントをお伝えします。

■導入にあたっての前提

導入・検討にあたってのポイントをお伝えする前に、「どのような手順で進めるとスムーズに導入が進むか」という前提をお伝えします。

制度の導入をどのような手順で進めるかについては、ドイツの心理学者であるクルト・レヴィンが提唱した「態度変容の3ステップ」のフレームワークが参考になるでしょう。

レヴィンは態度変容を生み出すにあたっては、

「Unfreeze(解凍)」→「Change(変化)」→「Refreeze(再凍結)」

の順番で進めていくことが必要だと提唱しています。

中でも今回の週休3日の導入にあたっては「Unfreeze(解凍)」のステップがより重要と言えるでしょう。

具体例を交えてご説明します。

仮にあなたが「四角い氷を丸い形の氷に変えてほしい」と言われた場合、四角い氷をどのように丸い形に変えるでしょうか。

回答の一例は「氷を一度溶かし、丸い型にいれて再凍結する」ことです。

一方で「アイスピックなどで角を削って丸い形に近づける」ことをイメージした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに後者も回答の一例ではありますが、アイスピックで四角い氷を削った場合、いびつな形になり、最悪の場合氷が割れてしまうケースも考えられます。

このように組織変革や制度導入においても変化から入ろうとするのではなく、それ以前に氷を溶かすステップと言える、変化に対する期待感の醸成や危機感の訴求が必要不可欠となります。

今回の週休3日制についても、制度を導入したことをただ共有するのではなく、導入の目的や従業員に制度をどう活用してほしいのかを丁寧に伝えることが非常に重要です。

せっかく意図を持って導入を決定したにも関わらず、「Unfreeze」のステップが抜け落ちてしまうと制度が活用されないなど、本来の狙いから外れてしまうことも往々にして起こり得るため、外せないポイントと言えるでしょう。

この前提をもとに、導入・検討時のポイントを具体的にお伝えしていきます。

■制度策定フェーズ

・導入目的の設定

週休3日制の導入を検討するにあたっては、まず導入の目的を整理することがファーストステップとなります。

子育てや介護を行う従業員のフォローのために導入を行うのか、それとも休暇を増やすことで従業員の学び直しを促進させたいのか、施策の導入を通じて得たい成果を明確にすることが重要となります。

・対象者の選定

目的が決定した後には対象者を選定していきます。導入目的によって対象となる従業員も異なるため、全社員に向けて適用するのか、希望する社員のみに適用するのか対象者を選定することが必要です。

・制度の詳細策定

目的と対象が決定した後は、制度の詳細を策定していきます。先程お伝えした週休3日の3パターンのうちどれを適用するのか、それとも会社事情に合わせてカスタマイズするのか決定する必要があります。

加えて副業・兼業の可否の決定や有給休暇の算定など、周辺制度の整備も同時に行うことが必要となります。

■運用フェーズ

制度について概要が策定できたら、従業員に対して丁寧に導入目的の説明や運用フォローを行うことが不可欠です。

現場の混乱や意図せぬ憶測が飛び交うなどかえって組織にとってマイナスに働くケースもありますので、丁寧に進めることが重要です。

■浸透・軌道修正フェーズ

導入すればそれで終了というわけではありません。随時、現場の声を聞きながら制度のメンテナンスを行っていくことが重要となってきます。

記事まとめ

今回は政府の「骨太の方針」にも盛り込まれ話題となっている「週休3日」をテーマに、その概要とメリット/デメリット、導入のポイントなどをお伝えしました。

週休3日制については導入についての議論が活発になっていますが、これは会社と個人の関係性が大きく変化している動きの中の一部と言えるでしょう。

終身雇用や年功序列制度に代表される、会社と個人がお互いを縛っていた「相互拘束関係」から、会社と個人がお互いを選びあう「相互選択関係」への変化が加速しています。

週休3日制の導入に際しては当然メリット/デメリットが存在するため、従業員から選ばれる会社であり続けるために導入が必要なのか、それとも現段階では自社には不要な制度なのかを慎重に見極める必要があります。

また一口に週休3日といっても複数のパターンに分かれているため、導入を通じて得たい成果から逆算して、制度の概要や対象者を選定し、運用を始めることが重要です。また導入後についても、従業員に導入の背景を丁寧に説明し導入を行うことがポイントです。

本記事が少しでも週休3日制の検討に参考になるのであれば幸いです。

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執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
理念・採用・風土・制度など組織人事のトレンドを発信しています。 基本的な用語解説から、多くの企業で陥っている実態、 弊社が培ってきた組織変革技術の知見を踏まえたポイント解説まで 皆様のお役に立ち情報をお届けします。

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