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介護休暇とは?介護休業との違いや条件は?給付金についても解説!


目次[非表示]

  1. 1.介護休暇と介護休業の違いは?
  2. 2.介護休暇とは?
  3. 3.介護休業とは?
  4. 4.介護休業給付金制度も重要
  5. 5.介護休暇・介護休業を運用する企業側のポイント
  6. 6.記事まとめ


昨今、「育児休暇」と並べて挙げられる休暇として、「介護休暇」というものがあります。

親をはじめとした家族に介護が必要になった時、仕事と介護を両立するために活用できるのが、「介護休暇」と「介護休業」です。

この記事では、「介護休暇」「介護休業」の概要、その違いや、実際に取得をするにあたって知っておくべき、「介護休業給付金」についても解説していきます。

この記事を読むことで、仕事を諦めずに、介護との両立を図るための制度「介護休暇」「介護休業」「介護休業給付金」を理解していただけるでしょう。

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介護休暇と介護休業の違いは?

「介護休暇」と「介護休業」は、どちらも要介護状態の家族を介護するために休みを取得できる制度のことです。

「介護休暇」と「介護休業」は、労働者の権利として育児・介護休業法で定められているものです。この制度を活用することで、労働者が仕事と介護の両立する際の手助けになります。

ここでいう要介護状態とは、「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間に渡り常時介護を必要とする状態」のことです。

詳しくは、厚生労働省のサイトをご確認ください。
※参考:厚生労働省 常時介護を必要とする状態に関する判断基準

介護休暇と介護休業の異なる点は、大きく4つあります。

・取得できる日数
・賃金・給付金の有無
・申請方法
・制度を利用できる対象者

介護休暇とは?

まずは、介護休暇について解説していきます。

■介護休暇の日数

介護休暇は、要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族の介護や世話をするための休暇です。

取得できるに日数は、対象家族1人の場合1年度に5日まで2人以上の場合は10日まで取得ができます。取得ができる単位は、1日、または時間単位で取得ができるように、令和3年から変更されました。

ここで言われている「介護」とは、食事介助や排泄介助などの直接的な介護だけではありません。通院の付添や、介護保険の手続ケアマネジャーとの面談などの間接的な介護も対象となるので覚えておくとよいでしょう。

■介護休暇の中の給与(賃金)はどうなる?

労働者は介護休暇期間中に労務を提供しないので、会社側に給与を支払う義務はなく、原則として無給となります。

ただし、会社によっては制度が整備されており、給与が支給される場合もありますので、就業規則を確認しましょう。

■介護休暇の申請方法は?

介護休暇の申請方法は、書面の提出は限定されておらず、当日、口頭でも申請可能とされています。

しかし、会社によっては申請書が用意されていることもあるようです。また、診断書などの書類が必要な場合もあります。介護休暇は会社に対して行うため、会社のルールに従って申請しましょう。

■介護休暇の取得条件

介護休暇を取得するためには、条件を満たしている必要があります。

その条件をみていきましょう。

介護休暇を取得することができる対象者は、「要介護状態の対象家族を介護する、雇用期間が6ヶ月以上の全従業員」です。正社員、パート、アルバイト、契約社員、など雇用形態は関係なく取得することができます。

では、「要介護状態」とは、どのような状態のことなのでしょうか。

一般的に要介護状態とは、「身体上・精神上の障害や病気などによって、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態」とされています。

さらに「常時介護を必要とする状態」については、以下の(1)(2)のいずれかの状態であることが必要です。表を参照しつつ、判断していきます。

(1)介護保険制度の要介護状態区分において要介護2 以上であること。

(2)状態①~⑫のうち、2 が2 つ以上又は3 が1 つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。

ただし、注意すべきことは、この基準に厳密に従うことにとらわれて労働者の介護休業の取得が制限されてしまうことです。介護をしている労働者の個々の事情にあわせて、なるべく労働者が仕事と介護を両立できるよう、事業主は柔軟に運用することが必要です。

基準の詳細については、下記の厚生労働省サイトをご確認ください。
※参考:厚生労働省 常時介護を必要とする状態に関する判断基準

また、介護休暇を取得することができない場合もあります。主なケースは以下のとおりです。

・取得する本人が、日雇い労働者である場合
・以下1~3のような労働者について、労使協定で対象外としている場合
① 雇用期間が6ヶ月未満の場合
② 1週間の所定労働日数が2日以下の場合
半日単位で介護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する場合

■介護休暇の対象となる範囲について 

介護休暇を取得するためには、介護をする相手が、対象となる家族の範囲内である必要があります。

配偶者(事実婚の場合を含む)
父母(養父母含む)
子(養子を含む)
配偶者の父母(養父母含む)
祖父母

兄弟姉妹

介護休業とは?

続いて、介護休業について解説していきます。

■介護休業の日数

介護休業は、介護休暇よりも長く取得することができます。

対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業することが可能です。

下記の図の例1のように、介護休業を3回に分けて合計93日となるよう取得することも可能ですし、例2のように一度に93日分取得することも可能です。

ご自身の状況にあわせ、適切な取得日数を計算して取りましょう。

※参考:厚生労働省 「介護休業」を活用し、仕事と介護を両立できる体制を整えましょう。

■介護休業の中の給与(賃金)はどうなる?

介護休業についても、賃金に関しては、法的な定めはありません。介護休暇と同様で無給の場合もあります。

しかし、雇用保険の「介護休業給付」の制度を利用すれば、給付金を受けることができます。一定の要件を満たせば、介護休業期間中に休業開始時賃金月額の67%の介護休業給付金を受け取ることが可能です。この介護休業給付金については、後ほど詳しく説明します。

■介護休業の申請方法は?

介護休業は、介護休暇と違い、当日申請はできません。

休業開始予定日の2週間前までに、書面等で事業主に申し出ることが必要です。

介護休業の日数や内容は労働者と事業主でよく話し合って決める必要があります。

育児・介護休業法には、介護休業開始日の繰上げ・繰下げ変更の定めがなく、労働者の申出だけでは変更できません。

休業開始日の変更を認める場合は、変更できる旨の取決めやその手続等をあらかじめ就業規則等で明記しておくことが望ましいでしょう。

手続きにおける注意点について、労働者の方、事業主の方向けに分けて紹介します。

<労働者の注意事項>

・希望通りの取得日で介護休業を取得するには、休業開始予定日の2週間前までに、事業主に書面で 申し出ましょう。

・休業予定日の2週間前までに申し出ていれば、一回の申し出につき、1回に限り理由を問わず休業予定日を繰り下げ変更することができます。

・申請の際は、社内で規定されている書面がある場合は、その社内様式に従いましょう。社内に規定の様式がない場合は、厚生労働省のサイトに申請時の様式例が紹介されています。参考にしてみてください。
※参考:厚生労働省 「介護休業」を活用し、仕事と介護を両立できる体制を整えましょう。

<事業主の注意事項>

・事業主は、介護休業の申出がなされた場合、介護休業開始予定日及び介護休業終了予定日等を労働者に速やかに書面等で通知しましょう。

・通知書の法定様式は決まっていません。これから社内様式を作成されるの場合は、厚生労働省のサイトにて、様式例が紹介されていますので、参考にしてみてください。
※参考:厚生労働省 「介護休業」を活用し、仕事と介護を両立できる体制を整えましょう。

■介護休業の取得条件

介護休業を取ることができるのは、要介護状態の対象家族を介護する労働者です。ただし、日雇い労働者は介護休業を取ることができません。

また、パートやアルバイトなど、期間を定めて雇用されている方は申出時点で次の要件を満たすことが必要です。

入社後一年以上経過していること

・休業取得予定日から起算して、93日を経過する日から、6ヶ月経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが決まっていないこと。

さらに、労使協定を締結している場合は、以下の場合は休業取得の対象外となります。

・入社1年未満の労働者

・申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者

・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

労使協定とは、事業所ごとに労働者の過半数で組織する労働組合のことです。労働者の過半数で組織する労働組合がない時は、労働者の過半数を代表する者と事業主との書面による協定のことを指します。

■介護休業の対象となる範囲について

介護休業を取得するためには、介護をする相手が、対象となる家族の範囲内である必要があります。

配偶者(事実婚の場合を含む)
父母(養父母含む)
子(養子を含む)
配偶者の父母(養父母含む)
祖父母

兄弟姉妹

介護休業給付金制度も重要

介護休業期間は原則無給ですが、条件を満たせば雇用保険から給付金を受け取ることができます。仕事と介護を両立するためにも、ぜひ利用したい給付金ですが、その条件や受け取ることができる金額についてご紹介していきます。

■介護休業給付金を受け取る条件

介護給付金を受け取るためには、以下の条件を満たしている必要があります。

・介護休業を取得した、雇用保険の受給資格者

・介護休業の開始日の前の2年間に、雇用保険に12か月以上加入していること

※介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月ない場合でも、当該期間中に本人の疾病等がある場合は、受給要件が緩和され、受給要件を満たす場合があります。

パートやアルバイトなどの有期雇用労働者は、上記の要件に加え、介護休業開始時において、同一の事業主の下で1年以上雇用が継続しており、かつ、介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでないことが必要となります。

■給付金額

受け取ることができる給付金の目安は、要介護状態の同一対象家族について、93日を限度に3回までに限り、賃金月額の67%となります。

介護休業給付金の計算式は以下の通りです。

【休業開始時賃金日額×支給日数×67%】

また、介護給付金は非課税となるため、無休であれば、所得税や雇用保険料も控除されません。

※参考:厚生労働省 Q&A~介護休業給付~

■申請方法と申請するタイミング 

介護給付金を申請するためには、下記の書類を、在籍中に事業所を管轄するハローワークへ申請することが必要です。

【受給資格確認に必要な書類】

1.雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書

2.賃金台帳、出勤簿又はタイムカード

(1.に記載した賃金の額及び賃金の支払い状況を証明することができる書類)

【支給申請に必要な書類】

1.介護休業給付金支給申請書

  ※個人番号欄にマイナンバー(個人番号)を記載ください。

2.被保険者が事業主に提出した介護休業申出書

3.住民票記載事項証明書等(介護対象家族の方の氏名、申請者本人との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類)

4.出勤簿、タイムカード等(介護休業の開始日・終了日、介護休業期間中の休業日数の実績が確認できる書類)

5.賃金台帳等(1.の申請書に記載した支給対象期間中に支払われた賃金の額及び賃金の支払い状況、休業日数及び就労日数を確認できる書類)

※上記の他、対象介護休業期間中に対象家族が死亡した場合には、必要に応じて戸籍抄本、死亡診断書、医師の診断書などを添付してください。

申請のタイミングは、介護休業が終了してから行う必要があります。介護休業期間前や期間中には、給付金を受け取ることができません。

申請期間は、介護休業が終了した日から2ヶ月後の月末までとなっているので注意しましょう。

※参考:厚生労働省 Q&A~介護休業給付~

介護休暇・介護休業を運用する企業側のポイント

ここまでは、介護休暇や介護休業を利用する側である、労働者が知っておくべき知識や、ポイントについてお伝えしてきました。

一方で、介護休暇や介護休業を運用する、企業側へも制度 を運用する上で意識すべきポイントをお伝えしたいと思います。

ここでは少し抽象的な話になりますが、介護休暇や介護休業のような「制度」「ルール」を運用する際に、押さえておくべき考え方について、組織人事的な観点からお伝えしたいと思います。

■制度・ルールを運用する際のポイント

ここまでお伝えしてきた、介護休暇や介護休業を始めとしたルールは、企業の中に無数に存在しています。

業務管理制度、人事制度、福利厚生制度など、一連の明文化された制度だけではなく、明文化されていない組織内部の不文律なども含めれば、組織は「ルール」の集合体とも捉えることができます。

組織の中でルールを運用するに当たっては、それらを守らせるために、事細かにルールを定めたくなります。しかし、ルールを細かく決めることによる組織としてのデメリットも有るのです。それは、「ルール」というもののが持つ、宿命的な性質によって発生します。

・ルールの不透明性:

どんなに詳細に定めても、現実に発生するあらゆる事象を「透明」にすることはできない 

・ルールの非効率性:

不透明性をなくそうとすればするほどルールの複雑度が高まり、運用コストが高くなり過ぎてしまう

・ルールの硬直性:

ルールが一度定着するとルール自体が前提事項となり環境変化に遅れてしまう

こうしたルールを運用する際に重要なポイントは、「適度な精緻さによる設定」をすることです。

ルールの精緻さと、そもそもの目的であるルールによって組織としての複雑さを縮減できる度合いをグラフにすると、上の図のようになります。

つまり、適度な精緻さでとどめておかないと、かえってルールの運用そのものが複雑になったり、ルールを管理するコストが必要以上にかかることで、本来ルールを定めた目的が損なわれてしまうのです。

この適度な度合いを埋めるために必要なのが、組織の中の「信頼」です。「信頼」は、人と人とが関わり合って組織として活動するためには必要不可欠なものです。   

人は暗黙のうちに、「赤信号では車は停まってくれるはず」「今月も先月同様給料は25日に支払われるはず」「自分の机のものは勝手に持ち出されないはず」といったように、「相手はきっとこうしてくれるだろう」という「信頼の原則」に基づいて行動をしているのです。

この「信頼」が不足している組織では、ルールを事細かに作らねばならず、ルールが多すぎるが故にかえって組織の複雑性を増大させてしまいます。

組織を取り巻くルールを導入し、効果的に運用するためには、日頃から組織と従業員、従業員と従業員同士の「信頼」を形成しておくことが大切なのです。

記事まとめ

いかがでしたでしょうか。介護休暇や介護制度は、仕事と介護の両立を実現するために活用できる制度です。「今はまだ両親は元気だから、、、」と楽観視するのではなく、いずれ来るライフイベントとして備えておきましょう。

また、あなたの周りの同僚も、もしかしたら介護を必要とする家族を抱えているかもしれません。そんな仲間に対して、制度でも、職場の雰囲気としても手を差し伸べられるような組織を作って行けるといいですね。

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執筆者:N.E
執筆者:N.E
【プロフィール】 リンクアンドモチベーショングループ新卒入社。 以降、モチベーションクラウドのカスタマーサポートとして、 主に大手企業の支援に従事。

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