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副業禁止の範囲は?企業が副業を禁止した場合のメリット・デメリットを解説


目次[非表示]

  1. 1.副業とは?どこまでが副業になる?
  2. 2.副業禁止は違法になる?
  3. 3.企業が社員の副業を禁止にする理由
  4. 4.副業による労働者側のデメリット
  5. 5.副業による企業側のデメリット
  6. 6.社員の副業を禁止にするデメリット
  7. 7.副業による労働者側のメリット
  8. 8.副業による企業側のメリット
  9. 9.副業を認める企業が増えている
  10. 10.副業を認める場合の注意点
  11. 11.記事まとめ

2018年1月に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成したことにより、副業・兼業の解禁が推奨されはじめました。また2020年のコロナウィルスの影響もあり、自宅待機やテレワークが増えたことで再び副業ブームが到来しています。

このような環境下の中で企業が副業を禁止にした場合のメリット・デメリットなどを解説していきたいと思います。

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▼ 人事が知っておくべき「働き方改革」の内容とは?その実現法についても独自の視点で解説!

副業とは?どこまでが副業になる?

副業に関して厳密な定義はありませんが、「本業以外で収入を得る仕事」を指すことが一般的です。労働の対価として賃金を得る仕事のほかに、株式投資やFX、賃貸不動産経営なども副業のひとつと考えられています。

副業で20万円以上の所得がある場合には、会社員でも確定申告が必要となります。副業の所得が20万円以下の場合には確定申告の必要はなく所得税もありませんが、住民税については納付が必要になります。確定申告をしないのであれば、別途、自治体に住民税の申告をしなければなりません。

■兼業や複業との違いについて

副業と似た言葉に「兼業」や「複業」があります。

厳密な定義はありませんが副業と兼業、複業の違い以下のようにまとめられます。

副業

かける時間や労力、収入が本業に比べて少ないものを指すことが多いです。

兼業

「本業以外に事業を持つこと」をいい、会社に勤務しながらその他に本格的にビジネスを行っている際に使われることが多いです。

複業

「複数の仕事を持つこと」をいい、複数の本業を持つイメージで使われることが多いです。
「複業家=パラレルワーカー」と呼ぶこともあります。

▼【パラレルキャリア】に関する記事はこちら
パラレルキャリアとは?企業のメリットや導入する方法について徹底解説

副業禁止は違法になる?

会社員の方は、法律上副業を禁止されていません。

企業は就業規則により独自のルールを作ることができますので、副業禁止あるいは副業を許可制にする企業もあります。しかし、企業による副業の禁止・制限は、必ずしも許されるわけではありません。

憲法第22条1項において職業選択の自由が保障されているため、基本的には就業時間外に労働者がどのような仕事をしても本人の自由となるからです。

副業は禁止・制限するべきではないとしながらも、以下のような弊害が生じる場合に副業の禁止・制限が許されることがあります。

  • 本業に支障がある場合
  • 業務上の秘密情報が漏洩する可能性がある場合
  • 自社の利益が害される場合
  • 自社の名誉や信用を損なう行為がある場合

■法律で副業が制限されるケース

実は副業ができない職業もあるのです。それは公務員になります。公務員の副業は法律で禁止されています。国家公務員法の第103条と第104条、地方公務員は地方公務員法の第38条で副業を禁じるということが定められています。

国家公務員は自ら営利企業を営むことや営利企業の役員、顧問の職につくことが禁止されています。

※引用:e-Gov法令検索 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)

企業が社員の副業を禁止にする理由

では、企業が就業規則を設けて社員の副業を禁止・制限するのはなぜでしょうか。その理由としては次のようなものがあります。

  • 労働時間の管理が難しいため
  • 企業のナレッジや技術、顧客資源の流出を防ぐため
  • 人材の流出を防ぐため
  • 会社に損失や損害を与えるリスクを抑えるため

です。

副業にはメリットも多い一方で労働者側と企業側にデメリットも存在します。それでは、副業のデメリットを見ていきましょう。

副業による労働者側のデメリット

■適切な稼働時間の管理や体調管理のリスク

長時間労働となり、稼働時間の管理や体調の管理が難しくなることがあります。

■雇用保険の適用外になるリスク

所定労働時間が短い業務を複数行う場合は、雇用保険が適用されない可能性があります。

■長期的な成長機会の喪失リスク

短期的な収入を優先することにより、長期的なキャリア構築の視点での成長機会や学習機会を失ってしまうリスクがあります。短期の視点と長期の視点をもって自分自身の時間の使い方を自己選択で意思決定していく必要があります。

副業による企業側のデメリット

■生産性の低下リスク

本業の仕事が終わった後や休日に副業を行う人が多いため、十分に休めないことで本業に支障をきたすケースがあります。

■離職の増加リスク

相対化の機会により優秀な人材が、本業を離れて副業の職場へ転職してしまう可能性があります。

■機密情報の流出リスク

会社の機密情報の取り扱いなどを適切に社員に共有できていない場合には、機密情報の情報漏洩や自社ナレッジや技術の流出が発生する可能性があります。

■エンゲージメントの低下リスク

本業では満たせないエンゲージメントの要素を副業に求める傾向があります。収入を目的とした副業が多いですが、仕事の面白さや成長機会、良好な人間関係を副業の職場に求めることもあり、職場への問題意識が共有されず、職場の改善活動が行われなくなってしまう可能性があります。

社員の副業を禁止にするデメリット

多くの企業で副業が解禁されている中で副業禁止・制限することは大きなデメリットをもたらすことがあります。その理由としては次のようなものがあります。

■優秀な人材を採用できない

多様な働き方への適応が遅れてしまい、優秀な人材から選ばれなくなるリスクがあります。

■優秀な人材の引き止めができない

エンゲージメントの低下している優秀な人材が満たされないエンゲージメントの要素を副業で補うという選択肢を残すことができなくなります。

■訴えられるリスクがある

企業は副業を禁止することはできません。労働契約は「就業時間内の拘束」のみに適用される為、帰宅後の制約や副業禁止をすることは個人の自由を侵害する行為とされ、違法行為とみなされることがあります。

副業により得られる労働者側と企業側のメリットが得られないこととも言い換えることができます。それでは、副業のメリットを見ていきましょう。

副業による労働者側のメリット

■収入の増加

多くの人が収入の増加を副業の目的としています。

■スキルや経験の習得

本業では得られないスキルや経験を習得することができます。本業での収入があることで、リスクを抑えながら新たな仕事へチャレンジでき、新たに身についた知識や経験によりキャリアアップにつながることが期待できます。

■多様な働き方への適応

個々人の働くモチベーションが多様化しており、ライフイベントに合わせ多様な働き方を選択できることは個々人の幸福度を向上させる一つの手段といえます。

■相対化の機会

副業を経験することで現在の職場や自分自身のスキルを客観的な視点で見る機会を手に入れることができます。

副業による企業側のメリット

■労働者のスキルアップ

副業を通して新たな知識や経験が身につき社員がスキルアップすることは、職場への新たな刺激となり職場の活性化につながることがあります。

■優秀な人材の定着

エンゲージメントの低下している優秀な人材が他社へ流出することを防ぐことが可能です。本質的なエンゲージメントの向上やキャリア構築の支援も必要ですが、満たせないエンゲージメントの要素を副業で補うという選択肢を残すことができます。

■他社ナレッジの獲得と活用

副業によって得た情報や人脈を本業に取り入れることで、新たなビジネスチャンスにつながる可能性があります。

副業を認める企業が増えている

副業を認める企業が増えてきていますがその背景には、政府が副業を推奨し始めたことと、企業側・従業員側のメリットに対して認識が広がっていることがあります。

■副業を解禁した企業の割合

マイナビのレポートに基づいた、副業を認めている会社の割合は49.6%になっています。「将来的に認める」または「拡充する」企業は57%にものぼります。過去と比較しても副業を認める企業の割合は増加傾向にあります。

※引用:マイナビ 働き方、副業・兼業に関するレポート(2020年)


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■副業を解禁した企業事例

副業を認めているのはベンチャー企業に限った話ではなく、近年では大手企業でも副業を解禁している企業が増えてきています。

いくつかの事例をご紹介します。

株式会社新生銀行

セキュリティの観点から難しいと言われてき金融機関での副業解禁の事例があります。「新生銀行」では、一人ひとりの強みや個性を活かした自律的なキャリア形成を目的に、雇用形態や年齢によらず誰でも副業制度を利用できます。

就業時間外の社員の活動は、自己責任の下で自由に行うべきという考え方で副業を解禁しています。

※引用:新生銀行 新生銀行の働き方改革

サイボウズ株式会社

従業員一人ひとりの個性が違うことを前提に、 それぞれが望む働き方や報酬が実現されればよい。 公平性よりも個性を重んじることで、一人ひとりの幸福を追求する。「100人いれば、100通りの人事制度があって良い」という考えから複業を解禁しています。

事業としても販売しているデジタルツールを社内でも活用し、情報共有を効率的に進め生産性の向上と労働力の創出を実現しようとしています。

※参考:サイボウズ株式会社 複業lab

副業を認める場合の注意点

企業が副業を認める場合、リスクを回避するために就業規則の副業規定では、下記の観点から社内ルールを設けると良いでしょう。留意すべき点は下記4点です。

■安全配慮義務

副業・兼業の職務内容や働き方を確認し、労働者の健康を害する可能性が高い場合は副業・兼業を禁止又は制限することができるようにしておくこと、労働者の健康状態に問題が認められた場合には適切な措置を講じられる様にしておくこと等の体制整備

■秘密保持義務

業務上の秘密が漏洩する可能性が高い場合には副業・兼業を禁止又は制限することができること、業務上の秘密となる情報の範囲や業務上の秘密を漏洩しないことについて注意喚起すること

■競業避止義務

競業により、自社の正当な利益を害する場合には副業・兼業を禁止又は制限すること、禁止される競業行為の範囲や自社の正当な利益を害しないことについて注意喚起すること

■誠実義務

自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合には、副業・兼業を禁止又は制限することができることとしておくこと

※引用:厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン

記事まとめ

副業は不確実性の高い時代に収入源のポートフォリオを広げ、またライフイベントに合わせた多様な働き方を実現できる素晴らしい選択肢だと思います。

しかし、副業は皆にとって最適な働き方という訳ではありません。個人のキャリアの観点から、中長期的なキャリアの視点も持ちながら意思決定していくことが求められます。

また企業へのエンゲージメントの観点から遠心力が働きやすいこの環境下で、何を求心力として惹きつけていくのかを明確にしていくことが求められてきます。唯一の正解はないからこそ企業側・従業員側の双方にとって幸せな働き方をこれからも模索し続けていく必要があるでしょう。

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執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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