
KPIとは?意味やKGIとの違い、設定方法をわかりやすく解説!
KPIとは、目標の達成度を評価するための「重要業績評価指標」のことです。KPIを設定することで、プロジェクトの最終目標を達成するまでのプロセスが可視化されるほか、進捗状況を定量的に把握できるようになります。
今回はKPIにフォーカスし、設定するメリットや手順、KPIマネジメントのコツなどについて解説していきます。
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KPIとは?
KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、「重要業績評価指標」と訳されます。
事業やプロジェクトの最終ゴールに向かうプロセスにおいて、その達成度を評価する指標がKPIで、いわば「中間目標」と言えるものです。KPIを理解するためには、前提として「KGI」や「KFS」について理解しておく必要があります
■KGIとKPIの違いは?
KGIとは「Key Goal Indicator」の略で、「重要目標達成指標」と訳されます。事業やプロジェクトの最終目標を評価する指標がKGIで、「いつまでに」「何を」「どれだけ」実現するのかという目標を数値で設定します。企業の場合、売上や利益などがKGIとして設定されるのが一般的です。
最終目標であるKGIは遠いものに感じられるため、達成までのプロセスや、達成するためのアクションをイメージできないケースも少なくありません。
そこで、活用されるのがKPIです。中間目標であるKPIを設定することで達成に向けた方向性が明確になり、具体的なアクションに移しやすくなります。KGIが「最終目標」「ゴール」であるのに対し、KPIは「中間目標」「プロセス」という位置付けです。
■KFSとは?
KPIに類似する指標として、KFS(Key Factor for Success)、別名CSF(Critical Success Factor)という「重要成功要因」があります。
KGI・KPIが「指標」であるのに対し、KFSは「要因」を表します。そして、このKFSを指標化し、目標設定したものがKPIにあたります。
■OKRとは?
OKRとは「Objectives and Key Results」の略で、「目標と主要な結果」と訳されます。
「一人ひとりの従業員が小さな目標を達成することで、企業全体の大きな目標が達成される」という考え方から生まれた目標管理手法がOKRです。
企業と従業員の目標を一致させる目標管理手法であり、企業のビジョンに基づいて具体的な数値目標を設定し、一丸となって目標達成に向けた取り組みを進めていきます。
OKRの大きな目的は、目標を明確にすることで組織の生産性を高めることです。
一方、KPIの目的は、事業・プロジェクトの目標を達成することです。また、OKRは少し頑張れば達成できそうな目標ではなく、挑戦的な目標を掲げるのが特徴であり、達成基準は60~70%に設定されます。一方、KPIはプロジェクトの最終目標を達成することが目的なので、達成基準は100%で設定されます。
KPIを設定するメリット
KPIを設定するメリットとしてよく言われるのが以下の点です。
■KPI設定のメリット① 目標達成に向けてやるべきことが明確になる
KPIを設定することで最終目標を達成するまでのプロセスが可視化されるため、実行すべきアクションが明確になります。たとえば、「今年度の売上5,000万円」というKGIがあるだけでは、「そのために何をすべきか?」が分からない従業員もいるはずです。
しかし、「1週間の訪問件数10件」「1ヶ月の成約件数5件」といったKPIを設定することで、KGI達成のためにやるべきことが明確になります。従業員は迷いなく目標に向かうことができるため、結果的に目標達成の可能性も高まります。
■KPI設定のメリット② 従業員のモチベーションが高まる
KPIの設定によって、最終目標達成のためにやるべきアクションが明確になると、一人ひとりの従業員の目的意識やモチベーションが高まります。
「KPIを達成するためには、どんなスキルが必要なのか?」「KPIに取り組むうえで、自分に足りないものは何なのか?」といった思考にもつながり、従業員の成長が促されます。
また、組織全体として進むべき方向性が明確になることで、従業員同士の一体感や結束力も高まっていくでしょう。
■KPI設定のメリット③ 軌道修正や改善を図りやすい
KPIは目標達成までのプロセスを数値に変換したものなので、KPIを設定することで最終目標達成までの進捗を管理しやすくなります。
KPIを設定していないと、「どんな施策が効いているのか?」「なぜ、思うように進捗しないのか?」といったことが分かりにくいため、当然、改善施策も打ちにくくなります。
しかし、KPIを設定していればアクションの結果が数値で表れるため、進捗状況が思わしくない場合も問題の所在を特定しやすく、早い段階で軌道修正を図ることが可能です。
■KPI設定のメリット④ 客観的で公正な評価ができる
KPIは定量的な数値で設定されるため、その結果を根拠にして客観的な評価をすることができます。
たとえば、ある営業組織が「一人あたり月間10件の訪問営業」というKPIを設定していた場合、10件以上の訪問営業をした人は目標達成となりますし、10件未満の人は目標未達成となります。
このように客観的な基準で評価できるため、評価の公平性が担保され、評価に対する不満も生まれにくくなります。
KPIを設定する手順
一般的に、KPIは以下のような手順で設定していきます。
■①KGIを設定する
まずは、事業・プロジェクトの最終目標であるKGIを設定します。たとえば、飲食店であれば「月間売上1,000万円」といった形で設定します。
■②KGIを達成するためのカギとなる要因(KFS)を洗い出す
KGI設定後、達成の鍵となる要因(KFS)を洗い出す際には、KPIツリーを作成して要因を視覚化することが効果的です。これにより、各要因がKGIにどのように影響するかを把握しやすくなります。
■③KPIを設定する
KFSを洗い出したら、それぞれのKFSに定量的な数値を落とし込み、KPIを設定していきます。
「月間売上1,000万円」というKGIを達成するために、「顧客単価」と「顧客数」をKFSとした場合、たとえば、顧客単価2,000円 × 顧客数5,000人 = 売上1,000万円というシミュレーションができます。月間の営業日数が30日だとすると、月間顧客数5,000人を実現するためには、1日あたり167人を集客する必要があります。そう考えると、「1日の顧客数167人」というのは一つのKPIになり得ます。
現在の1日あたりの平均顧客数が147人だとすると、あと20人増やすことができればKGIの達成に近付くはずです。
■④KPIを達成するための行動計画を立てる
KPIを設定したら、具体的に「どんな行動をすればKPIを達成できるのか?」を考えていきます。上述の例で言えば、「1日の顧客数を20人増やすために何をすべきか?」という行動計画を立てるわけです。
KPIを設定する際のポイント
KPIを設定する際は、「SMARTの法則」を用いるのが有効だとされています。SMARTの法則は、KPIに限らず様々な目標を効果的に設定するために用いられるフレームワークです。「SMART」は、以下の5つの要素の頭文字から構成されています。
■S(Specific 明確である)
KPIは、組織全体でKGIの達成を目指す際の指標になるものです。そのため、KPIは従業員にとって分かりやすく、明確な指標でなければいけません。具体的でないKPIや人によって解釈が異なるようなKPIは、KPIとして不適切です。
■M(Measurable 測定できる)
KPIマネジメントでは、定期的に目標の達成度合いをモニタリングしていきます。このとき、KPIが測定できないものだと進捗確認ができず、課題の特定・解決が難しくなってしまいます。
KPIは必ず、測定可能な指標で設定しなければいけません。たとえば、「お客様満足度」は測定しにくい指標ですが、アンケート調査を導入するなり、クレーム件数を測るなりして定量化することが重要です。
■A(Achievable 達成可能である)
KPIは、達成可能な数値で設定しなければいけません。達成の可能性があまりにも低いKPIを設定すると、従業員がモチベーションを失い、逆に達成可能性が下がってしまいます。
妥当なKPIを設定するためには、現状分析が不可欠です。自社の現状や外部環境を正確に把握したうえで、達成できる見込みのあるKPIを設定するようにしましょう。
■R(Relevant 関連性がある)
KPIはKGIと関連性のあるものでなければいけません。KPIを達成したのにKGIの達成に至らないのであれば、そもそもKPIの設定が適切でなかったということになります。
KGIと関連性のないKPIを設定するということは、意味のない中間目標に力を注ぐことに他ならず、KGIの達成を阻害する原因にもなります。
■T(Time-bounded 期限がある)
KPIは数値で示すものですが、その数値をいつまでに、あるいはどの期間で実現するのかという「期限」を設けることも重要です。誰でも期限のない目標は優先順位を下げるので、結果的にKGIの達成が遠のいてしまいます。すべてのKPIに必ず期限を設けるようにしましょう。
KPIの具体的な設定事例
KPIの具体的な設定事例をご紹介します。
■製造業におけるKPIの例
製造業で設定されることが多いKPIの例は以下のとおりです。
総合設備効率、ライン編成効率、時間稼働率、原価率、不良率、事故発生件数、生産リードタイム(短縮日数) など
■営業におけるKPIの例
営業組織において設定されることが多いKPIの例は以下のとおりです。
新規売上、新規顧客数、新規リード獲得数、見込み顧客数、平均顧客単価、商談数、受注数、受注率、架電数、通話時間 など
■採用活動におけるKPIの例
採用活動において設定されることが多いKPIの例は以下のとおりです。
応募人数、面接設定率、一次面接・最終面接の人数、説明会・インターンの参加人数、書類選考数、内定率、内定承諾率、採用に要した1名あたりのコスト、採用後の定着率、◯年以内の離職率 など
■WebマーケティングにおけるKPIの例
Webマーケティングで設定されることが多いKPIの例は以下のとおりです。
PV数、UU数、セッション数、回遊率、直帰率、CVR(コンバージョン率)、CPA(顧客獲得単価)、顧客単価、問い合わせ数、リピート率、SNSのエンゲージメント率 など
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まとめ
KPIマネジメントは、目標達成に向け、従業員が効果的な行動をとれるように導くマネジメント手法です。KPIマネジメントはもう古いと言われることもありますが、多くの企業がKPIマネジメントによって大きな成果を上げています。
組織全体が一丸となって取り組めるKPIを設定し、全員で目標達成へと向かっていきましょう。
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