ボーナスは何か月分?平均支給額や手取り額の計算方法をご紹介
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企業を選ぶとき、「ボーナスが何か月分か」を気にする人は少なくないでしょう。ただし、ボーナスは必ずしも「何か月分」というように計算されるわけではなく、企業によっては違った計算方法で金額を決定している場合もあります。
今回は、ボーナスの種類や計算方法、平均支給額などについて解説していきます。
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組織を捉える枠組み「5M」について
ボーナスに関する解説の前に、「5M」という考え方について紹介します。「5M」とは、組織を捉える際に活用する考え方であり、Mを頭文字とする5つのキーワード(Message、Motivation、Membering、Mission、Monitoring)で構成されております。詳細は下記をご覧ください。
上記の通り、企業は「事業」と「組織」をリンクさせることによって、商品市場や労働市場で選ばれ続ける存在になります。その実現の為には、下位水準の3つのMであるMembering(人材開発)、Mission(役割設計)、Monitoring(管理制度)を操作変数として扱う必要がございます。
したがって、ボーナスとは5MのMonitoring(管理制度)の中に含まれる「報酬制度」を指し、企業が各市場で競争力を発揮する為の1つの操作変数として認識することができます。
ボーナスとは?
ボーナスとは5MのMonitoringに含まれる「報酬制度」の1つとして、基本給と別に企業が従業員に支払う追加の給料のことです。「ボーナス」という呼び方が一般的ですが、「賞与」や「特別手当」などの呼称が使われるケースもあります。
ボーナスと給与の違いとして、給与は従業員に支払う義務がある一方で、ボーナスは必ずしも支払い義務があるわけではないという点が挙げられます。つまり、ボーナスを支給するもしないも各企業に委ねられているということです。ただし、企業がボーナスを支払うことに決め、従業員との間で交わす契約書にその旨が記載されている場合、企業にはボーナスを支払う義務が生じます。
なお、日本企業の場合、夏と冬にボーナスが支給されるのが一般的ですが、支払時期や回数について規定があるわけではありません。年に1回の企業もあれば、年に3回の企業もあります。
「事業」と「組織」をリンクさせるために、操作変数の1つとしてボーナスを決定していくことがポイントです。
ボーナスに関する従業員への伝達方法について
企業がボーナスを5MのMonitoring(管理制度)の1つである「報酬制度」として捉えると、「従業員への支給額」だけでなく、「従業員への伝達方法」の工夫により、従業員の納得感を醸成することがポイントになります。従業員への伝達方法につきまして、リンクアンドモチベーションの取り組み事例を交えて解説します。
リンクアンドモチベーションでは、5MのMission(役割設計)に含まれる「理念浸透」の施策を通じて、報酬制度への従業員の納得感を醸成しています。全社の理念浸透施策である「LM六法(社内の規則やルールが記載されたもの)」や「DNAbook(社内の共通言語や共通の思考フレームワークが記載されたもの)」といった取り組みを通じて、報酬額・給付頻度・報酬額の算出ロジック等だけでなく、その意図背景なども含めて従業員に伝達することで、「事業」と「組織」をリンクさせています。
■ボーナスの種類
ボーナスは、以下のように「基本給連動型賞与」「業績連動型賞与」「決算賞与」の3種類に分けられます。
基本給連動型賞与 |
業績連動型賞与 |
決算賞与 |
残業代・諸手当を除く「基本給」をベースとしたボーナスです。企業にもよりますが、「基本給 × ◯か月分」で金額が算出されるケースが多くなります。 |
基本給とは関係なく、業務で何らかの成果を出した従業員に対して支払うボーナスです。個人単位で支給するか組織単位で支給するかは企業によって異なります。 |
企業の1年間の業績によって、支払われる可能性があるボーナスです。企業の業績が悪い場合は、ボーナスが支給されないケースもあります。 |
ボーナスの平均支給額の目安
■業種別ボーナスの平均支給額
厚生労働省が発表している業種別の夏季賞与(令和2年)は、電気・ガス業界がもっとも高額になっています。
業種 |
平均ボーナス支給額 |
鉱業・採石業等 |
483,785円 |
建設業 |
512,328円 |
製造業 |
491,999円 |
電気・ガス業 |
778,997円 |
情報通信業 |
671,221円 |
運輸業・郵便業 |
339,235円 |
卸売業・小売業 |
345,445円 |
金融業・保険業 |
635,558円 |
不動産・物品賃貸業 |
447,592円 |
学術研究等 |
643,092円 |
飲食サービス業等 |
55,296円 |
生活関連サービス業等 |
162,270円 |
教育・学習支援業 |
518,523円 |
医療・福祉 |
284,697円 |
複合サービス事業 |
434,922円 |
その他のサービス業 |
211,166円 |
※参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査-令和2年の夏季賞与(令和2年6月~令和2年8月)」
■年齢別ボーナスの平均支給額
厚生労働省による年齢別のボーナス平均支給額調査によると、年齢に応じてボーナス支給額も高くなることが分かります。ただし、定年が近づく55~59歳になると支給額がやや減少する傾向にあります。
年齢 |
平均ボーナス支給額 |
25~29歳 |
64.7万円 |
30~34歳 |
77.0万円 |
35~39歳 |
92.1万円 |
40~44歳 |
102.6万円 |
45~49歳 |
111.8万円 |
50~54歳 |
119.2万円 |
55~59歳 |
117.3万円 |
※参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
■男女別ボーナスの平均支給額
厚生労働省の調査によると、女性のボーナス支給額は男性の3分の2程度になっています。
性別 |
平均ボーナス支給額 |
男性 |
90.7万円 |
女性 |
62.3万円 |
※参考:厚生労働省:「賃金構造基本統計調査」
■企業規模別ボーナスの平均支給額
厚生労働省の調査(令和2年の夏季賞与)によると、企業規模が大きいほどボーナスの平均支給額も増えることが分かります。
企業規模 |
平均ボーナス支給額 |
500人以上 |
633,853円 |
100~499人 |
418,274円 |
30~99人 |
335,961円 |
5~29人 |
274,523円 |
※参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査-令和2年の夏季賞与(令和2年6月~令和2年8月)」
■公務員のボーナス平均支給額
内閣人事局が令和2年6月30日に発表した報道資料によると、公務員の夏のボーナスの平均支給額は約680,100円という結果になっています。
■新卒のボーナス平均支給額
産労総合研究所が調査した2020年度の決定初任給調査によると、新卒の夏の平均ボーナスは以下のとおりです。
新卒 |
平均賞与額 |
大卒 |
96,735円 |
高卒 |
74,307円 |
※参考:産労総合研究所「2020年度 決定初任給調査の結果」
ボーナス支給額の決定方法
■定額方式
ボーナス支給額の決定方法のなかでも、「定額方式」は主に中小企業で採用される傾向にあります。ボーナスの金額を、役職などによって一定額で決定するのが特徴です。従業員数や役職の区分が比較的少なく、管理がしやすい企業に適した方式だと言えるでしょう。
■連動方式
ボーナス支給額の決定方法として、多くの企業が取り入れているのが「連動方式」です。連動方式では、基本給に支給率をかけることでボーナスの金額を割り出しますが、月数をかける「基本給連動方式」を採るか、業績・貢献度を評価する「業務連動方式」を採るかは企業によって異なります。
■利益配分方式
近年、採用する企業が増えているボーナス支給額の決定方法が「利益配分方式」です。企業の業績になどによって総支給額を決定する点は連動方式(業務連動方式)と同じですが、業務連動方式が固定給に近い扱いであるのに対し、利益配分方式は利益が出ていなければボーナスの支払いそのものがなくなる場合がある点で異なります。
ボーナスから税金・社会保険料を引いて手取り額を求める
■ボーナスに生じる税金・社会保険料
ボーナスも毎月の給料と同じで、額面と手取りで金額が異なります。これは、ボーナスにも税金や社会保険料が発生しており、その金額を差し引かれて支給されるからです。基本的に、ボーナスに対しては以下の税金・社会保険料が発生します。
- 所得税
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険料
- 介護保険料(対象年齢:40歳~64歳)
■手取り額の算出方法
ボーナスには様々な税金や社会保険料が生じるため、額面だけで判断するのはおすすめできません。実際の手取りがいくらくらいなのかを把握するため、例として、ボーナスの額面が「50万円」だった場合に差し引かれる金額を確認しておきましょう。
・健康保険料
健康保険料として差し引かれる金額は、自分の住む都道府県や、どのような組合に加入しているかによって変わってきます。たとえば、東京都に住み全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している場合、ボーナスに対する掛け率は「9.87%」です。健康保険料は企業と従業員が折半して負担するため、ボーナス支給時は保険料を折半した金額が差し引かれます。
50万円 × 9.87% ÷ 2 = 24,675円
・厚生年金保険料
厚生年金保険の掛け率は、基本的に「18.3%」です。厚生年金保険料も健康保険料と同様に企業と従業員が折半して負担するため、ボーナス支給時は保険料を折半した金額が差し引かれます。
50万円 × 18.3% ÷ 2 = 45,750円
・雇用保険料
雇用保険の労働者負担率は、基本的に「0.3%」です。ただし、農林水産業、清酒製造業、建築業などの場合には負担率が変化する場合があります。こちらでは、労働者負担率「0.3%」という前提で計算します。
50万円 × 0.3% = 1,500円
・所得税
所得税は扶養親族数次第で金額が変化しますが、仮に独身でボーナスが50万円、前月の給与が30万円だった場合、掛け率は「6.126%」となります。ボーナスの額面から上述した社会保険料を差し引いた金額にこの掛け率を乗じて所得税額を求めます。
(50万円 - 71,925円) × 6.126% = 26,223円
・ボーナスの手取り額
ボーナスの手取り額は、額面から社会保険料と所得税を差し引いた金額となります。
50万円 - (71,925円 + 26,223円) = 401,852円
※様々な条件によって計算方法や金額が変わってくるため、あくまでも目安としてお考えください。
平均何か月分?有名企業のボーナス支給額事例
Yahoo!しごとカタログで公開されている、有名企業のボーナス支給額事例をいくつかピックアップしてご紹介します。
■三菱商事株式会社
平均年収:1,410万円
平均ボーナス額:552万円/年
平均昇給頻度:2年に1回
■伊藤忠商事株式会社
平均年収:1,219万円
平均ボーナス額:351万円/年
平均昇給頻度:1年に1回
■アステラス製薬株式会社
平均年収:980万円
平均ボーナス額:306万円/年
平均昇給頻度:1年に1回
■任天堂株式会社
平均年収:853万円
平均ボーナス額:280万円/年
平均昇給頻度:1年に1回
■ファイザー株式会社
平均年収:975万円
平均ボーナス額:267万円/年
平均昇給頻度:2年に1回
※参考:従業員のボーナス額(賞与)が高い企業1087社ランキング【転職・就職で人気】|Yahoo!しごとカタログ
まとめ
ボーナスは基本給と違い、必ずしも支給する必要があるものではありません。しかし、日本企業の場合は夏と冬の年2回支給するのが一般的で、就職者・転職者もボーナスの支給回数・支給額に高い関心を持っています。
本記事でご説明したとおり、ボーナス支給額の決定方法もいくつかあるので、企業にとって最適な方法・金額を設定するようにしてください。
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