株式会社リンクアンドモチベーション(本社:東京都中央区、代表:小笹芳央、証券コード:2170)は、自治体における職員のエンゲージメントと退職率の関係性について、令和6年度上半期のデータを用いた調査を実施しましたので、その結果を報告いたします。
■ 調査の背景
自治体の人材確保はこれまでにない困難な状況に直面しています。たとえば、総務省の調査によれば、地方公務員の受験者数は過去10年で約28%減少しており、減少傾向が続いています(※1)。また、地方公務員(一般行政職)の退職者数は上昇傾向にあり、特に40歳未満の若手・中堅層において顕著に増加していることが明らかになっています(※2)。こうした状況から、自治体における人材の確保と定着は、喫緊の課題であるといえるでしょう。
このような課題認識を踏まえ、総務省が2023年に公表した「地方自治体における人材マネジメントと推進のためのガイドブック」では、職員の組織や仕事への貢献意欲(エンゲージメント)の向上が、人材マネジメントにおける重要な柱の一つとして位置付けられています。
では、エンゲージメントを高めることは、実際に人材の定着につながるのでしょうか。こうした問いに対して実証的な知見を得るため、当社では「自治体におけるエンゲージメントと退職率の関係性」を明らかにする調査を行いました。
その結果、エンゲージメントスコアが高い組織群ほど、退職率が低い傾向にあることが確認されました。
※1 総務省「地方公務員における働き方改革に係る状況―令和5年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要―」(2024年)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei11_02000238.html
※2 リクルートワークス研究所「臨界点が迫る公務サービス(1)―危機に瀕する職業としての地方公務員―」(2024年)
https://www.works-i.com/research/project/turningpoint/introduction/detail002.html
■ 調査概要
■ 調査結果
エンゲージメントスコアが高い組織群ほど、退職率が低い傾向がある
※エンゲージメントスコアは全調査対象の平均を「50(Bランク)」とした偏差値
※過去に当社が調査を行った自治体の初回平均スコアは「42(Cランク)」
研究結果の詳細は下記ページよりご確認ください。
▶調査結果はこちら
▶過去のレポート一覧はこちら https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/
■ 発行責任者のコメント
今回の調査では、エンゲージメントスコアが高い自治体ほど、退職率が顕著に低い傾向がみられました。特にスコアが「55以上」の組織群では、退職率が2%を下回る水準で推移しており、エンゲージメントの向上が人材の定着につながる可能性を示唆する結果となりました。
これまでも、自治体においてエンゲージメントの重要性は指摘されてきましたが、本調査はその意義を定量的に裏づける実証的な結果となりました。今後は、エンゲージメント向上に向けた本格的かつ持続的な取り組みの推進が求められる局面にあると言えるでしょう。
一方で、エンゲージメントサーベイを導入したものの、思うように改善していないという声も耳にします。当社では、サーベイによる現状把握だけでなく、エンゲージメントの向上を実現するための実行支援にも注力しています。たとえば、当社の顧客でエンゲージメント調査を3回以上実施している自治体では、初回のスコア平均が43.9(CCランク)だったところ、最新調査では50.5(Bランク)まで向上しています。また、退職者数が前年から減少している自治体も見られるなど、実行支援を通じて人材定着への効果も着実にあらわれ始めています。
今後も私たちは、民間企業・自治体双方で培ってきた知見をもとに、実効性と再現性のある支援を継続してまいります。
※自治体向けの支援内容や事例は、以下のサイトでご紹介しています。
https://www.motivation-cloud.com/industry/local_authority
■リンクアンドモチベーショングループの概要